Cycling The Earth ~自転車世界一周の旅~

日記

首都ソフィア・前編

2019.02.19 | 10 ブルガリア

【267日目 10,020km】

 

 

プロブディフを発って

さらに西を目指します。

 

 

実はこの日の出発直後、

2匹の野犬に遭遇。

 

ワンワン吠えられながら追いかけられるのは

しょっちゅうあることなのですが、

ついに後ろのカバンをガブッと噛まれてしまいました。

 

開いた穴の大きさはわずかだったけど

これまでの道中、互いに心を通わせてきた犬たちに

牙を向けられたという事実に深く傷ついたブルガリアの道。

 

 

 

心の傷を癒すためにも

食堂で温かいスープを飲みます。

距離が近いからか

トルコのものと味付けに大差は

ありません。

 

 

 

 

首都ソフィアへの道に

立ちはだかる山の登り坂が

はじまりました。

道端には

なぜか“柔道”の文字。

 

 

 

 

入国3日目ですが

こんなのどかな田舎が

ずっと続いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

85kmを走ったこの日、

“モミン・プロホド”という小さな集落に到着。

おそらく村唯一であろう宿は安くはなかったものの

綺麗で居心地最高でした。

 

 

 

 

 

 

あくる日は朝から最高の天気で

まさしくサイクリング日和。

 

綺麗に舗装された高速道路が平行していて

そこを走行することもできたのですが、

デコボコの田舎道を走る良さがあるんです。

 

 

 

こんな牧歌的な風景を

のんびり眺めて走ることは

自転旅の醍醐味。

ゆるやかな登り坂を

気持ちよく進んでいきます。

 

 

 

 

首都までわずかなのに

まだこんな山の中。

外国の都市って

何もない原っぱに

突然現れるような場合が

多いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてやはり突然

近代的なビルが姿を現しました。

ブルガリアの首都“ソフィア”です。

 

 

 

人口130万人を抱える都市の

中心に位置する大通り。

すぐ向こう側にはそびえ立つ

山の姿が見えます。

 

 

 

 

 

いかにもヨーロッパといった

街並みでありながら、

どこか旧ソ連圏の国に共通する

共産主義国風デザインが感じられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

WarmShowerを通じて知り合った

ホストの方が“サニーさん”。

初日からちょっと面白い展開になりました。

 

サニーさんは街のはずれにある

このマンションをもうじき引き払う予定。

 

そして数百km離れた別の都市に移り住むらしいのですが

引っ越し先の都市で用事を片付ける必要があるから

「明日からあなた1人で過ごしてね、ヨロシク」

と言われてしまいます。

 

いやいや今日出会ったばかりの人間に

留守番させていいのか、と聞くと

「I trust you. (信じてるわよ。)」

 

 

 

結果的に4日間1人っきり

この快適な部屋で

過ごさせてもらいました。

本当にありがたいことです。

何も悪いことしてないですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

到着の翌日は

地元のNGO団体が行っている

ソフィア無料観光ツアーに参加。

 

徒歩で各所を周りながら

英語で解説をしてくれます。

 

 

 

7,000年もの昔から人々が定住し

ヨーロッパでも最古に近い歴史を持つ

都市“ソフィア”。

西洋では女の子に付けられる

その名は古代ギリシャ語で“知恵”を

意味するそうです。

 

 

 

古代ローマ、オスマン帝国、

ブルガリア帝国、ソビエト連邦と

数百年単位で支配者を変えてきたのが

ブルガリアの特徴。

写真の行政機関はソ連時代の

典型的な建築デザインです。

 

 

 

大統領邸宅の敷地内には、

国の主要宗教となっている

ブルガリア正教会の遺跡が

静かに建っていました。

なんと4世紀に建てられたそう。

 

 

 

 

ヨーロッパでは珍しく

河川を持たない首都として知られる

ソフィアですが、

近くの山々がもたらす湧き水が

街の40ヶ所からから常に溢れており

地元の方が自然の水を汲みにきていました。

 

 

 

街のトレードマークである

アレクサンドル・ネフスキー大聖堂。

ロシア-トルコ戦争の戦没者を弔って

建てられたもの。

撮影禁止の内部は静かながらも

煌びやかな空間が広がっていました。

 

 

 

 

 

 

あまりこれといった見所がないと聞いていた

ブルガリアの首都ソフィア。

 

派手さはないですが

こじんまりとしていて観光しやすく

ヨーロッパの雰囲気を初めに感じるには

ピッタリの街です。

 

 

 

10ヵ国目ブルガリア

2019.02.15 | 10 ブルガリア

【264日目 9,869km】

 

 

いよいよトルコに別れを告げると、

次なる国・ブルガリアに突入です。

 

 

 

 

トルコ最後の町“エディルネ”を後にして

西に向かうと、

わずか1時間ほどでトルコ-ブルガリア国境に到着。

 

改めてヨーロッパに

たどり着いたことを実感します。

 

 

 

といっても、

急に風景が変わるはずもなく…。

どの国も国境付近は

栄えていないので、

しばらく寂しい景色が続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブルガリア最初の町で真っ先に向かったのは

銀行のATM。

新しい国に入るときはすぐに両替できるよう

前もってお金を多めに用意しておくのですが、

この時はさっぱり忘れていました。

 

トルコに2ヵ月もいたので

旅人としての感覚が鈍ってます。

 

しかも、

ブルガリアの通貨が何なのかも調べてないし

「こんにちわ」「ありがとう」の挨拶も予習してないし

時差も調べてないから何時なのかもわからないし

入国初日はもう本当にぐだぐだ…。

 

国境を越えてから一人でバタバタ焦ってました。

気を引き締めねば。

 

 

 

ブルガリア1日目のこの日は

国境から80kmほどのところ

“ハスコヴォ”に到着。

 

 

 

人口10万人のこの街。

さっそくブルガリアの雰囲気を

感じられると思ったのですが、

中心地にいっても人がおらず

ガランとしてました。

これがブルガリアなのか…。

 

 

 

安いホテルを何件か探し求めたけど

とりあえず最安値が¥1,800。

これまでの国で

一番高いくらいの水準です。

もっと安いトコあったのかな。

 

 

 

 

街を歩くと

とにかく目につくのがカジノ。

通りの両脇に

ずらっと並んでいました。

 

 

 

 

 

他に娯楽がないから

なのでしょうか。

ブルガリアの第一印象は

どこか寂しさ漂う国という

感じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日も、

車の少ない田舎道を進んでいきました。

イスタンブールを出発してから

少しづつ寒さが戻ってきています。

 

 

 

休憩に寄った村で

集まってきた子供たち。

外国人自体がかなり珍しいようで

この周りにも遠巻きに眺める子たちが

沢山いました。

 

 

 

 

 

 

 

ハスコヴォから70kmほど走ると

ブルガリア第2の規模を誇る都市

“プロヴディフ”に到着。

 

 

 

中心街に行けば

人もたくさんいて

賑やかな雰囲気が味わえました。

 

 

 

街のあちこちに

アート作品が多く

展示されています。

 

 

 

 

 

 

近代的で

イメージ通りのヨーロッパ

に近づいてきたように感じます。

町全体がなんともオシャレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

このプロヴディフ

ただ栄えているというだけでなく、

数千年に及ぶ歴史を通じて

ローマ帝国、オスマン帝国と

異なる大国によって支配されてきた街なのです。

 

 

 

街全体に多くの考古遺跡が

存在しており、

その代表は丘の上に建つ

1,500年以上前のローマ劇場。

現在もイベントが催されるそう。

 

 

 

 

こちら2世紀頃に造られた

古代ローマの円形競技場。

なんとその上にショッピングセンターが

覆いかぶさっています。

まさに古代と現代の

コラボレーション。

 

 

 

そして旧市街には

古代ローマではなく

オスマン帝国時代の邸宅が立ち並びます。

1つの町に異なる国の遺産が

共存していること自体、

日本人の感覚からすると実に新鮮。

 

 

 

紆余曲折を経て現在に至る

ブルガリアの歴史の複雑さを

垣間見たプロヴディフの街でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテルに到着して

「さぁ、くつろぐぞ」という時、

前日のホテルにスマホの充電器と変換プラグを

忘れてきたことが発覚!

 

金額的にも大した損失じゃないのですが

実は旅に出て以来

物を失くしたり、忘れたり、盗まれたことって

ほとんどないんです。

 

 

たかが充電器とはいえ

共にアジアを渡ってきた仲間を置き忘れきたことが

すごくショックでした…。

 

さよなら、古い充電器。

こんにちは、新しい充電器。

 

 

 

さよなら、トルコ

2019.02.11 | 9 トルコ

【260日目 9,690km】

 

 

イスタンブールをひと通り観光し

のんびりと過ごしたら、

いよいよ西側の国境を目指します。

 

 

 

海峡間の橋は自動車しか走れないので、

船に自転車を載せてヨーロッパ側へと渡ります。

これで本当にアジアとはお別れ。

 

 

 

イスタンブールの都市圏を抜けるには

かなり混雑が予想されるので、

少し北側に迂回するルートをとりました。

 

2時間ほど走るとあっという間に

のどかな風景に変わってしまいます。

 

 

 

交通量が少ないぶん起伏の多い道を進んだため

この日は予定の120kmを走りきることができず、

小さな村“ビンクリチ”に泊まることに。

 

 

 

 

安宿はないかと村人に尋ねると

この村に宿泊施設はないとのこと。

すると、

話を聞いていたとある方が

「ウチの事務所で寝てっていいよ。」

しかも、晩御飯までご馳走になりました。

 

 

 

事務所内のソファーで

そのまま寝かせてもらうことに。

薪ストーブの燃える暖かい場所で

深い深い眠りにつきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が明けると再び西に向かって漕ぎ出します。

これまでトルコでは見ることのなかった

広大な平原をのんびりと進んでいきました。

 

 

 

80kmほど走ると

“リュレブルガズ”に到着。

小さいけれど

活気のある良い町でした。

 

 

 

 

 

この日、

トルコのチームに移籍した香川選手が

3分間に2点を決める鮮烈デビュー。

イスタンブールは

香川フィーバーに沸いたらしいです。

この町は穏やかでしたが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日もスカッと気持ちのいい青空を見上げながら

見渡す限りの大平原を走っていきます。

 

そして、トルコの道を走るのは

実質この日が最後。

 

気がつけば入国してから64日目。

まったく予定していませんでしたが、

この旅での最長滞在国となっていました。

 

 

 

そして、昼過ぎに

国境の町“エディルネ”に着きました。

隣国ブルガリアまではわずか20kmほど。

 

到着と同時に、

2か月にわたるトルコの旅の思い出が

ぐっとこみ上げてきます。

 

 

 

かつてオスマン帝国の首都であり

古く歴史のあるエディルネは、

トルコ国内からの観光客たちで

賑わいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

この街の象徴は、

世界遺産にも登録されている

「セリミエ・モスク」。

街の中心に堂々と建っています。

 

 

 

およそ500年前、

オスマン帝国時代に建てられた

このモスクは

イスラム建築の最高峰と

称されているそうです。

 

 

 

 

大きなドームを内側から見上げると

イランやイスタンブールで

散々モスク巡りをした後でも

感動するほどの迫力と美しさでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

旧市街には

サフランボルでも見た

オスマン様式の古い家屋が

立ち並びます。

 

 

 

 

 

ほかにも橋や駅など

トルコ建国以前の施設が、

現代も人々の生活に溶け込んだ形で

その姿を残していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜には、

イスタンブールで出会った日本人観光客の方と食事。

同じ旅の身でありながらご馳走になりました。

色んなかたちの出会いがあります。

 

 

 

 

 

エディルネ滞在中にお世話になったのは“エンギンさん”。

イスタンブールに引き続いてWarm Showerです。

もうクセになりそう。

 

 

 

かつて自転車屋を営んでいた

エンギンさん。

この数年で各国からの旅人を

招き入れてきたそう。

壁には感謝のメッセージが

したためられていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

氷点下の雪山にはじまり、

穏やかな海岸線や緑の大平原まで

様々な景色を見せてくれた

トルコの道。

 

 

 

 

 

圧倒的な自然の光景や

世界史においても大きな存在感を放った

オスマン帝国の遺した建造物など、

旅の魅力がぎっしりつまった

長くて短い2か月でした。

 

 

 

 

優しい人々と美味しいトルコ料理に

後ろ髪を引かれつつ、

次なる国へと向かいます。

 

ということで、

さよならトルコ!

 

 

 

東西の架け橋、イスタンブール

2019.02.6 | 9 トルコ

【254日目 9,430km】

 

トルコ最大の都市にして

アジアからヨーロッパへの玄関口である

「イスタンブール」。

 

黒海とマルマラ海に挟まれた細長い半島は

ヒビが入ったかのようにボスポラス海峡によって

東西に分断されています。

 

海峡の東側がアジア、

西側がヨーロッパであるため

長きにわたるアジアの旅もここで終わりとなります。

 

 

 

 

 

 

イスタンブールの観光名所が多く集まるのは

ヨーロッパ側。

 

滞在していたアフメットさん宅はアジア側なので

ボートに乗って海峡を渡る必要があります。

 

 

 

黒海沿岸の町でもそうでしたが

とにかくカモメが多いイスタンブール。

古い街並み、船、海、カモメ。

どこを切り取っても

絵になります。

 

 

 

 

写真の右側がアジアで、

左側がヨーロッパ。

海峡の幅の狭いところには

橋が架かっています。

でも残念ながら自転車は通行禁止。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨーロッパ側へ渡ると、

町ゆく人の数は増え

レストランやみやげもの屋がひしめき合っていました。

 

大きなイスタンブールですが、

観光の見所は徒歩圏内にぎゅっと密集しています。

 

 

 

 

 

 

 

イスタンブール歴史遺産の代表として知られるのは

“ブルーモスク”こと

「スルタンアフメト・モスク」。

 

取り囲むミナレット(塔)が青空を突き刺す様子は

遠目に見ても存在感に溢れています。

 

 

 

およそ400年前に

建てられたこのモスクは

今でも現役の礼拝施設。

トルコ内外から参拝のため

大勢の人が集まります。

 

 

 

 

参拝時間外であれば

イスラム教徒でなくても入場可。

中に入れば

よりそのスケール感を味わえます。

豪華で煌びやかなモスクも

ぼちぼち見納めか。

 

 

 

 

 

 

ブルーモスクと互いに見つめ合うかのように

真正面に建っているのが

「アヤ・ソフィア」。

 

その歴史はまさに

文化の交流地点であるイスタンブールの歴史を

象徴しています。

 

 

 

紀元537年に

ビザンツ帝国(東ローマ帝国)の教会

として建てられたのがはじまり。

そして1453年に、一帯を支配した

オスマン帝国によって

まるごとモスクへと改修されたんです。

 

 

 

20世紀に入りトルコ建国の際、

政教分離を唱える政府により

モスクは博物館になりました。

時代の波に揉まれ続けた歴史は、

どれだけその美しさによって

人々を魅了してきたかを物語ります。

 

 

 

壁の一部には1,000年以上前の

キリスト教のモザイク画が

残っています。

時代は違えど、1つの建物が

異なる宗教によって讃えられるのは

世界的にも珍しいそう。

 

 

 

 

 

 

アヤソフィアのすぐ近くにあるのが、

“地下宮殿”こと

「バシリカ・シスタン」。

 

アヤソフィアと同じく、

ビザンツ帝国によって西暦500年代につくられた

地下貯水槽です。

 

336本の支柱によって広がる空間は

荘厳な雰囲気が漂っており、

映画の撮影にも使われたそう。

 

 

 

 

 

 

海峡間を結ぶ船の発着場は

人々で賑わっており、

簡易的な食堂が並びます。

 

 

 

ここの名物は“サバサンド”。

焼きサバとタマネギ、キャベツを

挟んだサンドイッチです。

机に置かれたレモンと塩をかけて

かぶりつけば、あっさりとした

海の町ならではのグルメが味わえます。

 

 

 

トルコの人たちが愛する

キュウリ、キャベツのピクルスと

サバサンドは相性抜群。

トルコへお越しの際は

ぜひご賞味ください。

 

 

 

 

鉄板にずらっと並んだサバたちが

煙を上げて焼かれています。

かなりの数があるんだけど

これらが飛ぶように

どんどん売れていました。

 

 

 

 

 

 

 

さらに港の近く、

イスタンブールの定番風景になっているのが

「ガラタ橋」。

 

1階はレストラン、2階は道路という

珍しい2階構造になっています。

 

 

 

そして名物は、

橋の上から海へと竿をたらす

地元の釣り人たち。

何百という竿が横に

ずらりと並んでいました。

 

 

 

 

橋の上からだからか

みなさんかなり大漁の様子。

これなんの魚なんだろう。

詳しくないのでよくわかりません。

まあ、魚です。

 

 

 

 

 

 

 

橋を渡った向こう側に建つのが

「ガラタ塔」。

 

何度も壊れては建て直してを繰り返し

現在のものは50年ほど前に

建てられたものです。

 

 

 

内部にはエレベーターもあって、

上まで昇るとそこにはレストランが

ありました。

外から見ると

そんなに広く見えなかったけども。

 

 

 

 

 

 

 

塔から見下ろしたイスタンブールの街並み。

 

これまで旅をしてきて

大都市というのは概してごちゃごちゃとしてて

あまり魅力的でないことが多かったのですが、

このイスタンブールはしっかりと“町の色”を持った

味わい深い所でした。

 

 

ここからいよいよヨーロッパの旅がはじまります。

道のり的にもう一度寒い場所に

逆戻りするみたいだけど…。

 

引き続き良い出会いがいっぱいありますように。

 

 

 

漕いでイスタンブール

2019.02.2 | 9 トルコ

【252日目 9,430km】

 

 

海辺の町「アクチャコジャ」で一休みして

すぐに出発するつもりだったのですが、

実は到着翌日の晩から熱を出してしまいまして。

 

これまで1カ月以上に及んで

氷点下のトルコを走ってきながらも

まったく体調を崩さないなんて、

「あら、わたしったらなんて健康なの」と

思っていた矢先のことでした。

 

 

 

現地調達の薬を服用しながら

ベッドに横たわりつづけます。

 

熱をおびた頭でぼんやり天井を見上げていると、

広大なトルコを走り切るのに

予想以上の日数がかかっているという焦りに加えて、

無事にヨーロッパにたどり着けるのだろうかという

これまでよぎったこともないような不安さえこみ上げてきました。

 

健康な身体なくして健全な精神あらず。

弱っているときには考えが良い方には向かいません。

改めて元気でいられることの

ありがたみを感じる時間でした。

 

 

 

 

 

 

3日間寝込んだ後、

咳もおさまらないなかで再び自転車にまたがります。

起伏の少ない行程を90km走ったこの日は

「サカリヤ」に到着。

 

ペダルを漕いでいる時は

意外と気分が楽なのですが

ホテルに着くと疲れがどっと押し寄せてきます。

 

 

 

 

 

 

徐々に体調が改善されていくのを感じながら

明くる日も走ります。

 

前日まで右手に黒海を眺めていたのですが、

こんどは左に“マルマラ海”が姿をあらわしました。

南北を海に挟まれた細い半島を西に向かいます。

 

 

 

80kmあまりを走って

「ゲブゼ」に到着。

道路わきのホテルで

身を休めます。

 

 

 

 

 

この日を境に

風邪もいっきに

吹っ切れた気がします。

しかし、ここ最近ほんとうに

ホテルは“当たり”ばっかり。

テント生活に戻れるか不安。

 

 

 

 

 

 

次の日、

穏やかな海辺の景色は都市空間へと姿を変え

車の数も劇的に増えます。

 

自転車のすれすれを走っていく自動車と

細かなアップダウンにストレスを感じながらも

ゆっくり50kmを走りました。

 

 

 

そして15:00頃。

ついにトルコの大都市、

アジアとヨーロッパが出会う場所

「イスタンブール」に到着です!

 

 

 

1,500万人もの人口を抱える

イスタンブール。

東京やニューヨークをかるく凌ぐほど

多くの人々が

この都市で暮らしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実はこのイスタンブールで初の試みをやってみました。

 

インターネット会員サイト

“Warm Shower (ウォームシャワー)”

というものがありまして、

世界中の自転車好きたちが

互いに無償で寝床を提供しあおうという

素晴らしいサービスなんです。

 

これまで存在は知っていたのですが、

ヨーロッパ方面は特に会員が多いということで

試してみることに。

 

 

 

今回お世話になったのは医師の“アフメットさん”。

大分大学に短期留学もしていたこともあり

ぜひ日本人を招きたいと思ってくれていたそう。

 

到着の数日前から連絡をとり合って、

初回から良い人にめぐり会うことができました。

 

 

 

都会のど真ん中にありながら

ゆったりとした寛ぎの空間を

提供してもらいました。

本当に素晴らしいサービスです、

Warm Shower。

自転車旅の際はぜひご利用ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イスタンブール観光へと駆りだす前に

到着翌日は自転車のメンテナンス。

アフメットさんが紹介してくれた

街の自転車屋さんで備品を調達します。

 

 

 

お店でやってもらうこともできましたが

自らの手で旅の相棒を労うことに。

錆びついて伸びてきたチェーンと

磨り減ってきたブレーキの

交換をやってみます。

 

 

 

 

男ってDIYとか機械いじりとか

往々にして好きなものですけど、

僕は手を汚したくないし

金持ちのお嬢様と一緒で

箸より重いもの持ちたくない派です。

しかし、旅を通じて成長せねば。

 

 

 

10,000km近くを

走ってきたチェーン。

毎日毎日くるくると

何周くらい回ったんだろうか。

ここまでありがとう。

お疲れさまでした。

 

 

 

 

 

やってみれば何てことはない作業でした。

細かいところまでしっかり掃除すれば

ぴかぴかの輝きが蘇ります。

 

 

サイクリング自体は楽しいし好きなのですが、

自転車の機構とかフォルムがどうとか

僕はほとんど興味がないんです。

 

でもこの自転車は、

地球の裏側まで連れて行ってくれる大切な相棒。

ものすごい愛着が湧きはじめてます。

 

これからも大切にしよう。

 

 

 

海へと

2019.01.29 | 9 トルコ

【245日目 9,201km】

 

 

世界遺産の町“サフランボル”で

3日ほどゆっくりして次の場所へと向かいます。

 

 

この日は山間の谷を流れる川に沿って

延々と北を目指しました。

ありがたいことに長い下りが続きます。

 

 

 

出発から70kmほどすると

谷が開けて平坦な道が

伸びていました。

標高も下がって

雪はまったく見当たりません。

 

 

 

 

道路わきの食堂で休憩。

屋外の席に案内され

寒さを感じることなく

食事を済ませました。

山をひとつ下るだけで

とたんに気温が上がります。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日の終わりに400mほどの峠を越え、

たどり着いたのが“黒海”を臨む街

「ゾングルダック」。

 

 

 

中国・上海を出発して

実に8カ月ぶりの海。

いくつもの山を越え

荒野を走った後に見る

真っ青な海に

感動してしまいました。

 

 

 

すごかったのは

群がるカモメたち。

海浜公園の観光客たちが

エサを宙にばらまけば

バッサバッサと集まってきます。

 

 

 

 

中心街にあるホテルでひと休み。

この日は久々に

100km以上を走行。

達成感のある心地の良い疲れです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日は出発してからずっと

右手に海を眺めながら走りました。

思いの外、風は冷たくなく

爽快なシーサイドサイクリングを楽しみます。

 

 

 

午前中に600mの山越えをした後、

道はずっと平らでした。

10km以上平坦な道が続くなんて

3カ月前のイラン以降

はじめてな気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

およそ80kmを走ったこの日、

海辺の町「アクチャコジャ」に到着。

トルコ国内の旅行者が集まる観光地です。

 

 

 

目の前に広がる“黒海”は

湖ではなくれっきとした海。

2つの海峡を経て

大西洋へとつながります。

遊歩道を歩くと確かに

ほんのり潮の香り。

 

 

 

 

トルコ入国以来ずっと

標高1,000m以上を走ってましたが

ここはもちろん海抜0m。

そして、気温はなんと15℃。

ついこないだまで氷点下の世界で

凍えていたのが嘘のようです。

 

 

 

 

観光地としてもシーズンオフと思いきや

意外に人が集まっていました。

イスタンブールやアンカラから

寒さを逃れて

遊びに来ているそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

町のど真ん中に位置するホテルに宿泊。

観光地だし高いんだろうな、

と思ったら

¥1,000ちょっとで

泊まれちゃいました。

 

 

 

 

しかも綺麗だし

設備もちゃんとしてて、

ここ数カ月で1番コスパの良い宿

だったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

バルコニーの向こうには

一面に広がる黒海。

最高のオーシャンビューに

居心地の良さを覚えて

予定より長く泊まることに決めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この町で印象的だったのが野良犬たち。

野良というより

町のみんなで飼ってる感じらしく

どいつもこいつも結構肥えてました。

 

暖かいからか、

やる気ゼロの彼らは

そこらじゅうで寝てます。

 

 

 

こないだYouTubeで

「この世から人類が消え去ったら」って

ヤツ観てて言ってましたけど、

猫は本能で狩りをして生き残れても

文明の中で人間に依存しちゃってる犬は

すぐに絶滅するらしいですよ。

 

 

 

こんなにだらけきってたら

確かに生きてけないだろうなって

思います。

余計なお世話だろうけど….。

犬たちよ、目を覚ませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大西洋だったり太平洋だったり

名称は違うけど結局、

地球の海って1つにつながってます。

 

 

黒海なんて初めて来たけど

どこか落ち着くのは

この海が日本へと続いてるからでしょうか。

 

海の近くで育ったわけでもないし、

景色も全然日本と似てないけれど、

何となく望郷の想いに駆られる海辺の町でした。

 

 

 

古き町サフランボル

2019.01.25 | 9 トルコ

【241日目 9,005km】

 

 

大都会アンカラを後にして

次なる場所へと向かいます。

 

 

 

首都であるアンカラは交通量が多く

車を気にしながら走らなければなりません。

 

ゆっくりとすすみ

2時間ほどかけて都市部を抜けると、

一気に山の風景に戻ります。

 

 

 

この日は80kmあまり走って

「キズィルチャハマム」の町に到着。

夕食は久々の魚を食べます。

寒いなか何とか元気でいられるのは

様々な食材をバランスよく

食べられてるからでしょうか。

 

 

 

 

 

 

翌日、距離短めの予定だからと

朝食を軽めに食べたのが祟ってか、

峠を上る途中

腹ペコで動けなくなりそうになりました。

いわゆる“ハンガーノック”の状態。

サイクリングにおいて食事はとても大切。

 

 

 

必死に前へと進みつづけ、

65kmを走って「ゲレデ」で1泊。

安いホテルが見つからず

¥3,000のちょっと良いホテルへ。

おかげでゆっくり休めました。

 

 

 

 

 

 

 

続くこの日は山越え。

といってもその行程のほとんどが下り坂で

すべり降りるように進んでいきました。

 

標高1,500mの高さから

500mほどの町まで一気に下ります。

 

 

 

お昼によった食堂の店主は

自転車旅に興味津々。

食後に支払いをしようとするも、

「てやんでぃ!金なんていらねぇよ」

優しい人はカッコ良い。

 

 

 

 

 

 

 

アンカラから走ること3日間。

たどり着いた町は「サフランボル」。

山間に位置する黒海沿岸の観光地です。

 

 

 

サフランボルの見所は“町そのもの”。

旧市街を歩くと写真のように

白い壁と四角い木枠の窓が特徴の

家があたりに立ち並びます。

どこかヨーロッパを思わせるデザイン。

 

 

 

 

実はここ、

町全体が世界遺産に

登録されているほど

文化的価値が高く評価されている

場所なんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

丘から見下ろしたサフランボルの町。

オレンジの瓦が広がる様が有名なのですが、

雪が積もっちゃってました。

 

数週間前から感じてましたが、

トルコに来る時期間違えてる気がします。

でも、これはこれで綺麗。

 

 

 

町の歴史は13世紀ごろまで遡ります。

シルクロードを辿って

西洋と東洋を行き来する商人たちの

宿場町として栄えたのが始まり。

交易の場としてかなり賑わったそう。

 

 

 

 

町の名は“たくさんのサフラン”の意。

あたりが有名なサフランの産地

であったことも発展に貢献しました。

しかし、鉄道の出現と同時に

町は徐々に衰退していきます。

 

 

 

 

商人たちがいなくなった現在も、

建てられた家々は

オスマン帝国を代表する建築様式

として保存されているそうです。

多くの家屋はホテルに

改装されていました。

 

 

 

中世から商人の町として栄え

そのまま大都市となっている場所もあれば、

こうして時代の波に飲まれ

かつての賑わいを失っていく場所もあります。

 

シルクロードに沿って旅をすると

文明の栄枯盛衰を見ているようで面白い。

 

 

 

 

 

 

町を見下ろす小高い丘で

夕日を眺めていると、

地元の大学生に声を掛けられました。

そのまま自宅に招待され

夕食のピザをごちそうに。

 

 

 

 

ピザを横取りしようとする

猫と戦いつつ完食しました。

猫って呼んでもこっち来ないくせに

来なくていい時に寄って来るから

犬の方がカワイイと思います。

性格もルックスも犬の方が良いです。

 

 

 

っていいながら

猫を抱っこしてみんなと記念撮影。

膝の上にちょこんとのってるときは猫もいいヤツ。

 

 

広大なトルコも

気がつけばぼちぼち後半戦に突入。

 

寒さはあいかわらずですが、

このままトルコ随一の大都市イスタンブールに向かいます!

 

 

 

首都アンカラ

2019.01.21 | 9 トルコ

【235日目 8,772km】

 

 

2晩お世話になった

サヴァシさんの家を発って向かうのは

いよいよトルコの首都「アンカラ」。

 

 

 

クルッカレから1つ山を越え

60km足らずを走ると、

交通量も増え

都市の雰囲気が漂いはじめます。

 

 

実を言うとこの首都・アンカラ。

あまり見どころもなく面白い場所じゃないと、

トルコの人たちからも聞いていたので

立ち寄るべきか迷っていました。

 

しかし、

走行ルート上避けた方が遠回りになるし、

大国の首都の様子を少しでも覗き見るべく

訪れてみることに。

 

 

ということで到着しました「アンカラ」。

気がつけばトルコ入国から5週間以上が過ぎ

中国に次ぐ長期滞在国になってます。

 

繁華街の中心に建てられているのは

現在も国民からの絶大な支持を集める

初代アタテュルク大統領の像。

 

 

 

やはり首都だけあって

トルコでは見たことのないほどの

高層ビル、

そして人の数。

活気に溢れています。

 

 

 

 

 

中心部にある城壁にのぼると

360°広がるアンカラの都市が

見渡せます。

あまりの広さに

その端は見えないほどでした。

 

 

 

 

 

 

 

クルッカレで出会った

うどん職人兼・織物職人兼・高校教師の

サヴァシさんから

「アンカラに友達いるよ」

ということで紹介してもらい、

お世話になったのは“アイジャンさん”。

 

 

 

まだまだ駆け出しだそうですが、

ファッションブランドを立ち上げ

自ら製作した服を販売している

デザイナーさん。

家がそのまま工房になっています。

 

 

 

 

当然、服飾文化の造詣は深く

日本の“藍染め”にも挑戦している

アイジャンさん。

こうして海外で日本文化に出会うと

誇らしい気分になります。

 

 

 

 

 

 

 

お邪魔させてもらったのは

アイジャンさんと

彼女のお手伝いをする友達が

共同生活をする

シェアハウスのようなところ。

 

 

 

 

都会らしく

モダンで何ともハイカラな部屋。

これまで色々なお宅に

お世話になりましたが

一番おしゃれな部屋でした。

 

 

 

 

 

 

 

この日はモデルとなる友人を招いて

ネット販売用の広告写真の撮影会。

リビングがそのままスタジオになります。

 

 

 

こないだ田舎の村で

のんびり暮らす人に

お世話になったばかりだけど、

都会の若者はエネルギッシュで

面白いことやるなあと

ぼんやり眺めてしまいます。

 

 

 

自分たちで撮ること自体が

初の試みらしく、

あーでもないこーでもないと

撮影はかなり長い時間に

およびました。

 

 

 

 

 

 

 

そして夜はなんと“巻き寿司”をつくることに!

こないだのうどんといい、

嬉しいことに日本食が続きます。

 

 

旅に出て実感しているのが、

我らが国民食“スシ”は

本当に世界中で愛されているということ。

 

この時だって、

「スシをつくろう!」と決まると

彼女たち歓喜に沸いていました。

 

「日本から来たんだよ」と伝えると、

“イチロー”よりも“ケイスケ・ホンダ”よりも

とにかく“スシ”なんです。

 

 

 

酢飯のつくり方や具材の味付けを

監修させていただきました。

レストランや居酒屋で

バイトしてて本当に良かった。

料理すること自体が

良いコミュニケーションになります。

 

 

 

海苔や乾燥シイタケも

流通しているトルコ。

これまであまり良い醤油に

出会えていなかったのですが、

トルコ産の醤油はかなり日本のものに

近くて美味しかったです。

 

 

 

アンカラの日本食レストランでは

たった6切れで

¥1,000近くもするそう。

手作りならば安くて旨い

スシが食べれちゃいます。

やっぱり日本食が美味しい。

 

 

 

 

 

 

ほんの1カ月前にやってきたばかりの国で、

ありがたいことに

人から人へと出会いをつないでもらっています。

 

 

険しい山と厳しい寒さの道中にあふれている

温かい出会いの数々のおかげで、

トルコは忘れられない国になりそうな予感。

 

 

 

日本人より日本人

2019.01.11 | 9 トルコ

【232日目 8,700km】

 

 

大雪の中たどり着いたハミットの村を出て

親切なトールガさん一家に別れを告げると、

首都アンカラの方向へと走りだします。

 

 

 

前日の猛吹雪はぱったりと止み

綺麗な青空が広がっています。

一面に広がる雪景色が

クセになりつつあるトルコの旅。

 

 

 

時々あらわれる町を横目に

ひたすら進んでいきます。

ほどほどの起伏があるおかげで

身体があったまりました。

 

 

 

 

 

 

 

この日に着いたのは「クルッカレ」という街。

街の中心部で安いホテルはないかと探していると

とある男性が声を掛けてきました。

 

「ホテルは沢山あるけど、せっかくだしウチにおいでよ」

 

これまでに沢山の外国人旅行者を招いてきたという

彼を信用してお邪魔することにしました。

 

車で走る彼を7kmほど追いかけると

郊外のマンションに到着。

 

 

 

奥さんは近々引っ越す予定の

イスタンブールに先に行っており、

しばらく独りで暮らしているという「サヴァシさん」。

 

少し話しただけで

にじみ出る人柄の良さが感じられる人でした。

 

 

 

そんな彼の趣味は“織物”。

伝統工芸職人であるあばあちゃんから

直々に教わったという腕は

素人でもその精巧さが分かるほど。

リビングには自作の手織り機が

堂々と置いてありました。

 

 

 

羊毛を紡ぐところから

手作業でおこなう本格派。

トルコでもここまでやる人は

決して多くないらしく、

彼のもとにやってきた友人が

パシャパシャ写真を撮っていました。

 

 

 

 

 

 

実は、

織物好きのサヴァシさんの本職は学校の先生。

街の外れにある高校で英語を教えてるんです。

 

出会った翌日、

彼が教鞭をとる学校に出向き

授業に参加させてもらうことになりました。

 

校長先生にも許可をいただき、ワクワクしつつ

日も昇りきらぬうちからバスに乗って学校に向かいます。

 

 

 

山間部にある学校のため

交通手段はみんなスクールバス。

生徒や同僚の先生が

次々と乗ってきました。

 

 

 

 

 

いよいよ楽しみになってきたと思いきや

バスの中で残念なお知らせが…。

あまりに雪が深いため

この日の学校は

お休みになってしまいました。

 

 

 

 

学校にたどり着くことすらできず

バスはそのままUターン。

後々聞くと、

この日から3日連続休みになったそう。

この辺でも珍しいほどの雪とのこと。

我ながらよくこの中を漕いできたな。

 

 

 

 

 

 

プロ並みの織物師だったり、

僕の前職でもあった英語教員であったり、

色々と驚かされたサヴァシさんですが

一番の衝撃は奥さんと夫婦そろって

大の“日本フリーク”だということ。

 

特に日本食に関心が強いらしく、

「朝ごはんを食べよう!」と言ったとき

まさか卵焼き用の四角いフライパンが出てくるとは

思いませんでした。

 

 

 

学校が休みになって時間ができたので

一緒にうどんを作ることに。

「こっちの食材じゃ

和食のだしは再現できないよ」

と伝えると、海外ではほとんど見ない

“昆布”が出てきました。

 

 

 

「こんな田舎じゃ

日本の麺なんか売ってないでしょ」

と言うと、小麦粉を出してきて

“うどんの麺”を打ちはじめました。

 

 

 

 

 

「麺をのばす棒が要るよ」

と言ってすらないのに、

“麺棒”が出てきました。

もはやこの家にはなんでもある。

 

 

 

 

 

まさか故郷の日本から

数千kmも離れた異国で

人生で初めてうどんを打つとは。

うどん打ち体験に興味がある方は

トルコへどうぞ。

 

 

 

 

もちろん麺を切るための

包丁も出てきました。

ホント職人みたい。

実はトルコにも似たような

麺料理の文化はあるそうです。

 

 

 

 

箸も上手に使いこなし

見事に茹で上げてくれました。

茹でた後に冷水にさらすとこまで

もう完璧。

 

 

 

 

 

うどんだけじゃ寂しいので

親子丼もつくりました。

これは僕が作ったんですよ。

ホントに。

 

 

 

 

 

旅をしていて「日本が恋しい!」

と思う時の理由は食事。

摂取することで精神的余裕を取り戻し

旅を続けることができます。

まさかトルコの田舎で食べられるとは。

予想を大きく超えるほど美味しかった。

 

 

 

 

 

 

日本を愛し、

手打ちの麺を茹で、自作の袴を身に着ける。

そんなサヴァシさんは日本人よりも日本人。

 

 

ホテル泊が中心となっていた

冬のトルコの旅路。

ここにきて現地の人とのかかわりが増えてきています。

 

思わぬ場所での思わぬ出会い、

どれだけ味わっても飽きることがありません。

 

 

 

猛吹雪

2019.01.10 | 9 トルコ

【231日目 8,638km】

 

 

カッパドキアでのんびりと年末年始の休みを過ごした後は、

再び自転車にまたがり西へと向かいます。

 

 

いよいよ2019年の走り始めと意気込んだこの日は

朝から強い風と雨。

出発を遅らせて

天気予報を確認しつつ空模様をうかがっても、

これから数日間天気は安定しないようなので

腹をくくって小雨のなかいよいよ出発しました。

 

 

 

道は決して過酷ではないものの

強い風のせいで

思うようにペダルを漕げません。

さらに時折強まる雨のため

休みを取りつつ

ゆっくり進みました。

 

 

 

予定の半分も走れなかったこの日は

「ハシベクタシュ」という

小さな田舎町で一泊。

通りを歩いても

誰一人すれ違わない淋しい町でした。

 

 

 

 

 

 

 

明くる日も曇天の下を走り始めます。

寒いし、気持ちのいい天気ではないですが

雪が降ってないのが救い。

 

 

 

走り始めてわずか3kmのところで

サドルに違和感を覚え、

自転車を確認してみると

およそ4カ月ぶりのパンク。

脇に建つ民家の軒下で

ささっと修理させてもらいました。

 

 

 

前日に到着予定だった

「クルシェヒル」に着きここで一泊。

トルコの田舎では1,000円前後で

割に良いホテルに泊まれるから

助かってます。

 

 

 

 

 

 

 

大変だったのが

カッパドキアを出発してから3日目のこと。

走り始めにパラパラと降っていた雨は

気がつくと雪に変わっていました。

 

 

この日走行予定の100kmをこなすために

急がねばとペダルを踏みしめますが

50kmを走った昼前ごろに状況は悪化。

猛吹雪に見舞われ、視界はほとんど奪われました。

 

 

 

みるみるうちに雪は積もっていき、

さすがに走行不可能と判断して

自転車を押しながら

助けを求めてたどり着いたのは小さな村「ハミット」。

 

 

 

ひと気のない村の通りを歩くと

ある建物に中年の男たちが集まっており

「ここで休んでけ」と、

声を掛けてもらいました。

 

 

 

 

 

建物の中に足を踏み入れると、

何やら無数の大人たちが

テーブルを囲んでおり

かなり活気が溢れています。

 

 

 

 

 

そこにいる人たちは皆

麻雀のような遊びに興じており、

どのテーブルも満席。

いわゆる“雀荘”のような所で

順番待ちの人もいるほどの

大賑わいでした。

 

 

 

キョトンと立ち尽くしていると、

「これに着替えろ」と

雪でびしょ濡れになった服の替わりを

用意してくれたり

昼ごはんまで食べさせてくれたりと

まさに至れり尽くせり。

 

 

 

ギャンブルに没頭する男たちの

ダーティな遊び場で出会ったのは、

トルコの心優しき

ジェントルマンたちでした。

平日の昼間から

ずっと遊んでたけど…。

 

 

 

 

 

 

そんな雀荘(らしき場所)で出会ったのは

近くに住む“トールガさん”。

「今夜はウチで泊まっていいよ」と、

優しく迎え入れてくれました。

 

 

 

同居する

おじいちゃん、おばあちゃん

との夕食。

思えばトルコで

地元の方の手料理をご馳走になるのは

はじめてのこと。

 

 

 

真ん中に座るのが

“トールガさん”。

雪に埋もれた小さな村で

ゆっくり穏やかな時間を

過ごすことがました。

 

 

 

 

経験したことのないような猛吹雪の中

1人ぽつんとたたずみ

一時はどうなることかと思いましたが、

そんな状況だからこそ与えられる

素晴らしい出会いってものがあります。

 

 

寒さはまだまだ厳しいけれど、

なんとか進んでいけそうです。

 

 

 

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