Cycling The Earth ~自転車世界一周の旅~

日記

カテゴリー: スペイン

ユーラシア大陸完走!

2019.06.24

【394日目 15,514km】

 

スペイン・イベリア半島の最南端を目指す前に

まずはマラガの街を

散策してみることにします。

 

 

 

スペイン6番目の人口を誇る都市「マラガ」。

多く人を抱える大都市としては

ヨーロッパで最も南に位置している街です。

 

 

 

中心部には

ブランド店などが並ぶ大通り。

沢山の観光客たちが闊歩していました。

かの芸術家ピカソを

生んだ場所でもあります。

 

 

 

 

マラガの街に集まる人々の目的は

“コスタ・デル・ソル(太陽の海岸)”

と評される美しい海岸。

結構な割合でヌーディストがいるので

写真を撮るのは一苦労。

(皆さん下ははかれてましたよ。)

 

 

 

実はこの街で、

10か月前にキルギスでお会いした

日本人の旅人の方と束の間の合流。

再会を祝してちょっと奮発。

海の幸を遠慮なく平らげました。

 

 

 

 

複数人だと色んなメニューが

食べられるから素晴らしいです。

料理って1人で黙々とではなく、

「美味しいね。」「そうだね。」

と笑顔で食べるもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぶしい日差しが照りつけるマラガの街で

3日間ほどのんびりしたら、

いよいよスペイン

そしてユーラシア大陸最後の地

を目指して走り始めます。

 

 

 

マラガを抜けても

海岸沿いは人の多く住む

住宅街が続いており、

交通量の多いバイパスに沿って

走って行きます。

 

 

 

 

風が吹き抜けるからなのか

海沿いの道はあまり暑くもなく

起伏も少ないので

力強くペダルを踏みしめて

ぐんぐんと進んでいきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

100kmあまり走ったこの日は

小さな町のビーチにテントを張ることに。

基本的には海辺一帯は野宿禁止みたいだけど

茂みに隠れてこっそりしちゃいます。

 

 

 

目の前は地中海。

日が傾きはじめる頃には

誰もいなくなり、

波の音を聞きながら

ゆっくりと眠りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、目を覚ますと東から眩しい朝日が

煌々と輝き始めていました。

今日は旅の節目ともなる特別な日。

 

 

 

前日に引き続き

海沿いのバイパスを

南へ南へと進んでいきます。

 

 

 

 

 

 

目の前にひろがるイベリア半島の大地。

この景色ももう間もなく

見納めとなります。

目に焼き付けるように

噛みしめて走る。

 

 

 

 

お昼の休憩を挟んで、

最後に待ち構えるのは

標高300mほどの山。

午後からは少し気温も上がって

のどがカラカラになりながら

何とか登っていきます。

 

 

 

峠を越えると最後は

長い下り坂。

強く吹き始めた風は止むことがなく

海峡が近づいていることを

予感させます。

 

 

 

 

そして、坂を下った先には

「タリファ」と書かれた看板が。

スペイン・イベリア半島の

最南端の位置する岬の町に

やって来ました。

 

 

 

 

 

強く気持ちのいい風が吹き抜ける

小さな町を走りぬけた先には

港が見えてきました。

やっとここまで来たんだと

少しずつ胸が高鳴っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてついに、

スペイン・イベリア半島タリファの港に到着です!

 

青い空の下に広がるのは

スペインとモロッコに挟まれたジブラルタル海峡。

さらに向こうにうっすらと見えるのは

これから向かうアフリカ大陸。

 

 

 

ということで

1年余りに及んだユーラシア大陸横断の旅は

ここタリファの地で終わりを告げます。

 

一部交通機関を使用した区間もありましたが、

確かにこの足で(タイヤで)

地球上最も大きな大陸を踏みしめてまいりました。

 

掛かった日数:394日

走った距離:15,514km

訪れた国:20ヵ国

使ったお金:約100万円

出会った人たち:数知れず

 

 

この旅路での経験を勇気と自信に変え、

この先に待ち構えている

アフリカ大陸の旅を乗り越えてまいります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タリファ到着のこの日は、

ユーラシア完走を祝してビーフステーキ。

安宿泊まれるくらい高かったけど

ヨーロッパ最後のご馳走です。

 

 

 

 

 

 

ボートに乗ってアフリカに向かう前に

しばらくタリファの町でゆっくりすることにしました。

ヨーロッパの滞在ビザももう少し残ってるので。

 

 

 

これまでに見たスペイン南部の

典型的な町並み。

歩いているだけで落ち着く

白い壁がどこまでも続きます。

 

 

 

 

 

特に観光資源があるわけでもなく

町の観光客は決して多くはありません。

最果ての町なので、

都市からのアクセスが

すごくいいわけでもないし。

 

 

 

 

ひっそりとした町を抜けて

海辺に向かうとビーチは大賑わい。

ヨーロッパの人って

本当に海が好きみたい。

平日なのにすごい人が集まってました。

 

 

 

 

大洋に面し、強い風が吹き続ける

タリファの町はカイトサーフィンの

スポットとして有名。

広大なビーチには

無数のカイトサーファーたち。

 

 

 

 

 

 

 

 

移動の疲れも癒えて

気持ちの準備が整ったら、

いよいよ新たなる大陸「アフリカ編」の始まりです。

 

今は不安しかないですが、

きっと現地に着けば

 

忘れられない素敵な出会いが待っているはず。

 

 

さよならユーラシア。

待ってろアフリカ。

 

 

 

アンダルシアを走る

2019.06.20

【389日目 15,346km】

 

グラナダをしっかりと満喫した後は

スペイン南部の都市マラガを目指して進みます。

 

 

 

グラナダの街を離れると

あっという間に山の中。

またもや暑さとの戦いが始まります。

 

 

 

海の見えない内陸部は

どこを走っても山だらけで、

平らな道はほとんどなし。

常にのぼっているか

下っているか。

疲れる一方です。

 

 

 

山中といえど

原生林はほとんどなく、

アンダルシア地方には

みかんやオリーブ畑が広がっています。

どこまでものどか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラナダから60kmあまり走って着いたのは

山間の小さな街「アルアマ・デル・グラナダ」。

遠くからでも目を引くのは白い家々。

 

 

 

このあたりは温泉が湧いており、

川沿いに無料で入れる場所を発見。

さっそくパンツ一丁になり

汗と一緒に疲れも

流してしまいます。

やっぱり温泉、気持ち良い。

 

 

 

温泉で出会ったのは

アンダルシア地方の

旅行ガイドをしている“フランさん”。

一緒にアルアマの町を

散策してみることにしました。

 

 

 

 

グラナダでも見た

石灰を使った白い壁が並ぶ町並み。

迷路のような路地の幅が狭いのは

暑い日差しが差し込まないように

しているのではないか、

という僕の予想。

 

 

 

窓辺に飾られた真っ赤な花が

家の壁に映える風景は

ほんとうに絵画の様。

ここにお住いの方々の

美意識の賜物です。

 

 

 

 

観光客は一人もすれ違うことなく

たまに住民の人と出会うだけ。

美しい真っ白な空間は

観光用のテーマパークではなく

あくまで人が暮らすための町

だということが分かります。

 

 

 

町から見える

岩がむき出しになった断崖。

緑豊かな日本では見ることのない

大陸ならではの

ダイナミックな光景です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観光を終えてフランさんに別れを告げると、

村から少し離れた農場の隅っこで

テントを張らせてもらいました。

 

海沿いは人がたくさんいるけど

山間部に入ってしまえばこっちのもの。

どこでも野宿できちゃいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日も青空の下、

元気よく走り始めます。

遠くに岩山が眺めながら進むのが気持ちいい。

 

 

 

空が澄み渡っていると

切り立つ岩山の迫力が

一層際立ちます。

ワイルドな光景が広がる

スペイン南部。

 

 

 

 

舗装された公道を

ずっと進んでいるのですが、

すれ違う車はほとんど無し。

荒涼とした空間を

1人占めにしながら

黙々と走りつづけます。

 

 

 

山を一つ越えたと思ったら、

その向こうにはどこまでも

起伏が続いています。

迂回する道など無く、

一つ一つゆっくりと越えていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日も前日と同じく

農場の隅で野宿。

 

近くに小川でも流れてたら最高ですが

文句なんて言える立場じゃありません。

静かな夜の中、ぐっすり眠らせもらいます。

 

 

 

夕食は相変わらずパスタ。

ヨーロッパを抜け出しても

これが続くんだろうな。

…だって簡単なんだもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明くる日はうってかわって

朝から曇天。

アンダルシア地方で青空を拝めないのは

はじめてのことです。

 

 

 

といっても、

あっという間に雲は流れ

昼前には晴れ間が見えてきました。

絶えず移り変わるところは

やはり山の天気。

 

 

 

 

道すがら立ち寄ったのはヤギ牧場。

広大な丘陵地帯で放牧を行うようです。

こんな穏やかな場所で育ったら

気持ち良いだろうな、

ヤギになりたい…。

 

 

 

 

ときどき現れる村は、

いずれも山の麓に

ぎゅっと身を寄せ合うように

白い家々が密集してます。

「ここが村!」って感じで

とても分かりやすい。

 

 

 

午後からは

すっかり天気も良くなり、

青空のもと勢い良く

山の間を縫って走ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラナダを発って3日目。

「エル・チョロ」といわれる地域にやってきました。

 

湖をとり巻くように遊歩道が整備されたこのエリア。

実は、ここにやって来たのには理由がありまして…

 

 

※参考写真

それが、

「カミニート・デル・レイ(王の小道)」という

大渓谷の壁に沿った補助道を歩く

スリル満点の人気アクティビティ。

 

インターネットで事前にチケットを購入しようとしたところ

2か月先まで予約はいっぱい。

それでも

「1人なら現地で当日券が手に入るよ」と、

複数の情報筋から聞いていたのを信じて

突撃してみることに。

 

入り口ゲートに着くとスタッフのお姉さんがいました。

 

「あのぅ、予約はしてないんですけどもぉ…。

でも1人だけなんで入場させてもらえ…」

「ダメよ。帰りなさい。」

 

 

 

うつむきながら

来た道を引き返しました。

ヨーロッパの人気観光地はどこも

数か月前に予約をするか

旅行会社を通して手配するように

心がけましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

エルチョロのアクティビティを諦め

そのまま南へ向かうと

夕方にはアロラという小さな町に到着。

 

 

 

 

 

 

休みなく自転車を漕いだ上に

山道を歩いたことで

疲労が溜まったのか、

頭痛が起こり熱中症気味に。

見つけたモーテルにふらふら状態で

駆け込みました。

 

 

 

暑いなか毎日全力で漕いでたら

体力なんて持ちません。

余裕をもって

のんびり進んでいかねば。

人間いつも健康第一です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一晩寝れば体力は回復。

海岸を目指して南下していきます。

 

 

 

山だらけの風景が

ビルも増えて

道も平らになってきました。

3日振りの都会のニオイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして昼過ぎ、

スペイン最後の大都市「マラガ」に到着です!

 

ヨーロッパの旅もあと少し。

 

グラナダでひと休み

2019.06.16

【383日目 15,101km】

 

日ごと増していく暑さの中、

たどり着いたのは

スペイン南部アンダルシア地方を

代表する観光都市「グラナダ」。

 

 

 

ここでお世話になっていた

WarmShowerのホストは“ディヴィットさん”。

冬場はスキーインストラクターをされている

アクティブな方です。

 

 

 

お家を留守にされることが多く、

貸切状態で

気持ちよく過ごさせてもらいました。

ここを拠点にグラナダ観光を

楽しみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラナダは観光地といえど

街の規模は割にこじんまりとしていて

人口はおよそ25万人。

広さも十分歩いて回れるほどです。

 

 

 

長い歴史のなかで

時代の波にもまれつづけたグラナダ。

それを象徴する古くからの遺産が

街の中心に

今もその姿を残しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小高い丘の上から街を見下ろしているのは

「アルハンブラ宮殿」。

 

グラナダはもちろん

スペインを代表する歴史遺産であり、

多くの観光客は

ここを訪れるためにグラナダにやってくる

というような場所です。

 

 

アフリカ北部から海を渡り

数百年に及んでスペイン南部を占領したイスラム王朝によって、

9世紀ごろから増築を繰り返し建てられたのがこの宮殿。

 

キリスト教カトリックの

レコンキスタ(スペイン国土回復運動)によって

王朝が陥落した後も、

あまりにも素晴らしい建築物だということで

破壊されることなく現在にいたるまで

その姿を留めてきました。

 

 

ものすごく歴史的価値のある場所だということで

当然この場所への観光は大人気。

 

インターネットで入場チケットを購入しようとしたところ

数か月先まで予約はいっぱい。

 

当日券を手に入れるには

早朝から長蛇の列に並んで

ダフ屋のおっちゃんと競争する必要があるということで

泣く泣く入場は断念。

 

 

 

現地の人曰く、

「この宮殿を見なきゃ

グラナダに来た意味はない」とのこと。

いいんです、いいんです。

宮殿から解き放たれるエネルギーを

たっぷり吸収したので。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、街のほぼ中心に建つのは

「グラナダ大聖堂」。

 

およそ200年の建築期間を経て

18世紀に完成したカトリックの大聖堂は

大きなビルのないグラナダにおいて

抜群の存在感。

正面に立つと圧倒されます。

 

 

 

内部はまさに豪華絢爛。

広いだけでなく

繊細な彫刻、装飾に目を奪われます。

イスラムに支配されつづけた街で

「ここはキリスト教の土地だ」と

高らかに宣言しているかのよう。

 

 

 

グラナダ陥落と同時に

スペイン国内のイスラム王朝は滅亡。

異なる宗教建築が共存していることは、

この場所が

土地争奪戦の最前線であったことを

象徴しているように感じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

宮殿のふもとにあり、大聖堂を取り囲むように広がるのは

イスラム王朝時代の旧市街「アルバイシン地区」。

 

オスマン帝国文化圏でも見てきた

古くからのこる迷路のような住宅街。

アルハンブラ宮殿とあわせて

世界遺産に登録されています。

 

 

 

印象的なのは爽やかな白い壁。

ヨーロッパでは豊富に産出される

石灰が使われてます。

外壁が白いことで

熱を逃がすこともできるとか。

暑い地域ならではの工夫です。

 

 

 

イスラムの建築様式と

地中海沿いであるという要因が

重なってできる

この土地ならではの町並み。

あぁ、アンダルシア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラナダならではの食の楽しみ方があるらしく

昼間から賑わうバル(居酒屋)へ。

どこも列ができるほど人で溢れてます。

 

 

 

グラナダ名物の食事サービスが

「タパス」。

要は日本の“突き出し”にあたるもの。

(“お通し”?)

最初の1皿だけでなく

飲み物を頼むごとに付いてきます。

 

 

 

毎回違うものが色々出てくるタパス。

数軒はしごしながら

お店ごとのタパスを楽しむのが

グラナダ観光の定番。

何が出てくるかわからないから

おもしろいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラナダ滞在中は市内観光だけでなく、

デイヴィッドさんや彼の友達と一緒に

山登りも楽しんできました。

 

といっても麓からではなく

車で移動して2,000m近い高さからのスタート。

 

 

 

グラナダからわずか30kmほどの南に

連なるのは「シエラネバダ山脈」。

スペイン最高峰のムラセン山を

有しています。

といっても3,480mなので

富士山の勝ち。

 

 

 

スペイン語で「雪の積もった山脈」を

意味するシエラネバダ。

アメリカにも

同じ名前の山脈がありますが、

デイヴィッドさん曰く、

「こっちがホンモノ」とのこと。

 

 

 

傾斜はきつくなく

気温もさほど低くないので

ピクニック気分でのんびり登ります。

といっても3,000m付近になると

わずかながら息が切れて

酸素が薄いのを実感できました。

 

 

 

丸みを帯びた地平線の上に広がる

一面の深い青は

空というよりももはや

すぐそこにある宇宙を

感じさせます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3時間足らずで目的の3,393m峰に到達!

本格的な登山ではないけれど、

下に広がる絶景もあいまって

この時の達成感は素晴らしかったです。

世界の山を登りながらの旅するのも楽しそう。

 

 

 

この日は登りませんでしたが

さらに向こうには山脈の最高峰が見えます。

 

頂上目指して

少しずつ登っていくっていいですよね。

長い距離を進む自転車旅と感覚が似てる気がする。

帰国したら日本の山々も登ってみようかな…。

 

 

 

面白いのが登った後のこと。

スペインには

伝統的な昼寝文化“シエスタ”があります。

 

この時もデイヴィットさん達、

「ちょっとシエスタするわ。」と

いきなり寝はじめました。

大のオトナ達が地面にごろごろ。

何とも愛らしいぞ、スペイン人!

 

※この昼寝文化がスピーディな現代社会において、

スペイン経済を停滞させてるという説もあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観光したり、山に登ったり

気が付けば5日間も滞在してしまったグラナダの街。

 

のんびりリラックスした後は、

さらにスペインの南端へと向かいます!

 

 

 

特別賞受賞

2019.06.12

【380日目 15,101km】

 

 

 

スペインも後半戦に突入。

ムルシアから次なる場所へと走り始めます。

 

 

 

天気は雲一つない快晴。

午前中の間は暑さを気にすることもなく

気持ちよく漕ぎ出します。

 

 

 

ヨーロッパ全体に言えることですが

スペインでも自転車文化は盛ん。

いたるところで

何人もの本格的な

ロードバイク乗りの人たちに

追い抜かれていきました。

 

 

 

主要の幹線道路に沿って走ってます。

路肩は狭いけど

そこまで交通量がないので

割と余裕をもって

進むことが出来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうど昼頃にたどり着いたのは「ロルカ」という町。

中央にある高台に立つと

町の全体を見下ろすことが出来ます。

 

 

 

渇いた荒野の中にあらわれた

土色の石で造られた家々。

同じヨーロッパとはいえ

イタリア、フランスとは

明らかに違うスペインならではの

町という雰囲気です。

 

 

 

特に重要な観光名所はないらしく

散策している観光客の人とも

ほとんどすれ違うことはありません。

でも、何気ないただの町角が

すごく綺麗な場所でした。

 

 

 

 

再び走り始めて

午後にはスペインの

最も南に位置する

「アンダルシア州」に

突入しました。

 

 

 

 

この日はあまりの暑さに

かなり疲れが溜まったので

スペインで初めて宿に泊まりました。

30℃は優に超えてたと思います。

といっても去年の中央アジアは

毎日これ以上の暑さだったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベッドでしっかり休んだら翌日も朝から走り始めます。

ムルシアあたりから緑は減っていましたが、

このあたりからさらに渇いた荒野へと

景色が変わっていきました。

 

 

 

暑い時期のサイクリングは

涼しい午前中に

どれだけ距離を稼ぐかが大切。

暑さと同時に着実に戻ってくるのは

中央アジアの砂漠を走った時の感覚。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

面白いことが起こったのは、

お昼に何か食べようと

「オルラ・デル・リオ」という

小さな町をウロウロしていた時のこと。

 

何か自転車のイベントをしていたらしく

サイクリストの集団に出くわしました。

 

 

パシャパシャと写真を撮っていると

「お前もついてこいよ!」と手招きされたので

何もわからぬままとりあえずついて行ってみることに。

 

 

 

たどり着いたのは

町の外れにある大きな倉庫。

中にはサイクルジャージを着た

サイクリスト達が100人ほど

いたでしょうか。

 

 

 

 

聞けば、この日

午前中は自転車レースをしており

午後からはこの倉庫で

打ち上げのパーティーが行われるそう。

会場に入るなり大勢の方に囲まれ

スペイン語の質問が飛び交いました。

 

 

 

パーティ-で皆が食べるのは

大きな鍋で炊かれた「巨大パエリヤ」。

スペインではイベント時の恒例なのか?

これで約100人分はあります。

何でも“デカい”ってだけで

興奮しますよね。

 

 

 

 

「特別ゲストなんだからお前も食え!」

と言われたので

遠慮なくご相伴にあずかりました。

こないだバレンシアの有名店で食べたけど

なんら遜色ないほど美味しかった。

きっとデカい鍋だから美味しいんです。

 

 

 

食事を済ませると

自転車レースの表彰式が始まりました。

少年の部、女性の部と

順に発表され、

表彰されていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてなんと、

日本からの特別ゲストとして

“リョウスケ・トモタケ”が

町長特別賞を受賞してしまいました!

 

 

日本でも手にすることのないトロフィーを

スペインの片田舎でもらうことになるとは…。

ふらっと立ち寄っただけなのに、

気を使っていただいて申し訳ない。

 

自分の好きで誰のためにもならない旅をしてるのですが

こうして現地の人たちに暖かく迎えられると

心から嬉しく思います。

 

こんな思いもよらぬ出会いがあるから

「また先へ進んでいこう」

という気持ちになるんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方、パーティーが終わると

もう少しだけ進んでおきたかったので

再び走り始めます。

乾いた大地はどこまでも続く。

 

 

 

 

 

岩山のふもとに

人の来なさそうな場所を見つけ

テントを張ることに。

日が沈まないから

気温も下がらない。

 

 

 

 

 

日が長いぶん自転車を漕げる時間も

長くなるのですが、

毎日長時間漕いでられないので

正直8時ぐらいになったら

もう暗くなってほしい。

文句言っても仕方ないけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

野宿で夜を明かすと

引き続き走り始めました。

山の中にも自転車専用道が整備されており、

とても助かります。

 

 

 

 

遠くを眺めれば風力発電の風車が。

風車って牧歌的で好きなんですけど、

これがあるってことは

風が強い地域ということなので

「びくっ」と不安になってしまいます。

この時は強風は吹いてなかったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

小さな町で一休みして

午後から再び走り始めたとき、

ちょっとしたハプニングが…。

 

 

荒野の道を何となく走っていると

知らないうちに自動車専用のバイパスに侵入しておりました。

 

ビュンビュンとすごい勢いの車に

追い抜かれつつおろおろしていると

バイクに乗った警察がやってきます。

 

「ここは自転車走行不可だから次の出口で降りなさい。」

 

バイパスを降りたところで他に道は無いしどうしよう、

と悩んでいるとガソリンスタンドを発見。

しばらくしてやって来たワンボックスバンのドライバーさんに

事情を説明すると、自転車ごと載せてくれることに。

 

とてもスムーズにヒッチハイク成功です。

人にやさしさに助けられてばかり。

 

 

 

車を降ろしてもらった先に着いたのは

「グラディックス」という町。

遠くの山の頂には雪が見えるけど

まだまだ暑い…。

 

 

 

 

 

全然下調べをしてなかったけど

ものすごく綺麗な街並みでした。

スペインの小さな町って

どこも真ん中に教会が建ってて

美しいところが多いです。

 

 

 

 

この日も暑いうえに

目的地に早くついてしまい

日没まで時間がありすぎるので

キャンプではなく

宿に泊まることに。

 

 

 

 

クーラーが効いてなくても

屋内は涼しいし、ベッドはふかふか。

幸せ…。

キャンプばっかりしてると

初めてやってきた宿でも

快適すぎて家みたいに感じます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐっすり眠って

明くる日は山を越える行程。

気合を入れて出発です。

 

 

 

起伏もかなり激しくなってきました。

暑い中での上り坂は

本当に過酷。

景色を楽しむ余裕もなくなります。

 

 

 

 

 

したたる汗をぬぐうこともせず

黙々と山を登り、

峠にたどり着きました。

ここからは下り坂。

 

 

 

 

 

気持ちよく滑降していると

緑も増えた山の中に

鮮やかなエメラルドグリーンの湖が。

断崖でなければ服を脱いで

飛び込んでしまいたいほど

綺麗な水辺でした。

 

 

 

やがて斜面も緩やかになり

平坦な道を進んでいきました。

スペイン南部は

緑が減ったり増えたり

とにかく景色がコロコロ変わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてたどり着いたのは

スペイン南部の観光都市「グラナダ」。

 

この街でしばし疲れを癒し、

観光を楽しみたいと思います!

 

 

 

町の自転車屋さん

2019.06.8

【375日目 14,805km】

 

バレンシア地方での滞在を終え

次なる場所へと向かっていきます。

 

 

 

これまでスペイン東側の海沿いを走ってきましたが、

クリェラの町からは

少しだけ内陸の山の中へと突入。

 

 

 

しばらく大きな幹線道路沿いを

走ったので

それなりに交通量もあります。

たくさんの車に追い抜かれつつ

少しずつ進みました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出発から50kmほど走ったお昼頃。

ちょろっと立ち寄ったのは

山の麓にある町「ハティバ」。

 

 

 

 

山のゆるやかな斜面に

昔ながらの白い壁をした家屋が

立ち並んでいます。

とても静かな場所でした。

 

 

 

 

 

路地をさまよっていると

町の中央に建つ教会の鐘楼が

見えます。

迷子になりそうになるけど

この教会を目印になんとか

抜け出すことが出来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

午後から走行再開。

傾斜が徐々に急になり

わずかながら

標高が上がっていくのが分かります。

足に力を入れてせっせとのぼる。

 

 

 

 

この日から気温が一気に上がりました。

朝の走行開始時から半袖で走ったのは

今季初めて。

スペインもそろそろ南部に

差し掛かる頃です。

 

 

 

 

降り注ぐ日差しが強く

どんどん体力が奪われていきます。

ただこれから暑くなる一方なので

これに慣れていかねば。

先が思いやられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山をのぼった一帯が農耕地帯になっており

野宿場所を探すのに意外に苦戦。

ひっそりとした誰もいない公園を見つけ

テントを張ります。

 

 

 

この日のメニューは

手抜きインスタントラーメン。

安い袋ラーメンって

結構どの国でも売られてるので

かなり助かってます。

美味しいのはあまりないけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日も朝から快晴、

この日はほとんど下り坂の予定なので

気持ちよく走り始めました。

 

 

 

暑さは前日と相変わらず。

山上だから若干涼しい気はするものの

少し走れば汗がしたたります。

これから休憩の頻度が

ものすごく増えそう。

 

 

 

 

これまで海沿いばかりだったので

スペインでは

山をじっくり見てませんでした。

南部の乾燥した内陸部では

大きな岩山がいくつもあるようです。

目前にしたときの迫力がすごい。

 

 

 

前日に山をのぼっていたときの

緑豊かな景色とはうって変わり、

乾燥した地域であることが

一目でわかります。

この景色を見るだけで

のどが渇いてくる…。

 

 

 

山を降りると道路も平坦になり

車の数も多くなりました。

目的の街まで颯爽と

駆け抜けていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やって来たのはスペイン南東部に位置する

ムルシア州の州都「ムルシア」。

中心を流れるセグラ川のほとりに立つ大聖堂が印象的。

 

 

 

州都なので賑やかなのかと思いきや

こじんまりとしていて

割と静かな街でした。

街をぶらぶらする程度なら

ちょうどいい気温です。

自転車漕いだら暑いけど。

 

 

 

街の中心部を訪れても

観光客が殺到しているということもなく

とても過ごしやすい場所です。

これがスペインの

“普通の街”なんだろうなという感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムルシアの街で受け入れてくれた

WarmShowerのホストは“フアンさん”。

到着した日の夜は

自宅アパートの屋上でディナーをご馳走になりました。

 

 

 

 

そんなフアンさんは

ムルシア中心部の街角で

自転車屋さんを

営んでらっしゃいます。

 

 

 

 

 

店内をのぞいてみると

修理機材や自転車部品がびっしり。

僕がたどり着いた時も

複数のお客さんの対応中で

かなり繁盛しているようでした。

 

 

 

 

バルセロナでパーツを一新してから

なぜかペダルを重く感じていたので

チェックしてもらうことに。

細かい説明をしなくても原因を究明し

ささっと調整してくれる姿は

まさに職人です。カッコいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

自転車屋の作業場のすぐ横が

居住スペースになっており

ここに泊めてもらってました。

実は家電とソファー以外はほぼすべて

フアンさんによる手作りなんです。

 

 

 

 

机や棚はもちろん、

床張りや電気配線まで

自分でやってしまったのだとか。

大学では工学でなく

経済学を勉強していたということで

自転車修理も含めすべて独学です。

 

 

 

 

 

 

 

 

かつては首都・マドリードで

システムエンジニアとして働いていたフアンさん。

 

「やるべき仕事は終わってるのに、

上司が席を立つまでは帰れないような日々にウンザリ」

と感じて故郷に戻ったそう。

どの国も似たようなもんですね…。

 

 

さらに旅人としての一面も持つ彼。

この夏には2ヵ月間お店を休み、

写真の黄色い自転車に乗って

イランの北隣・アゼルバイジャンまで向かうのだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅のWiFiパスワードが

「Cars are shit(車なんてクソくらえ)」であることからも

溢れる自転車愛が感じられるフアンさん。

 

 

創造力いっぱいの彼のライフスタイルに

ものすごく刺激を与えられた

ムルシアでの滞在でした。

 

 

 

近代都市バレンシア

2019.06.4

【370日目 14,577km】

 

テント泊を続けながら

引き続きスペインを南下していきます。

 

 

 

スペイン各所には「Via Verde(緑の道)」

と呼ばれる自転車道が整備されており

とても走りやすくなっています。

 

 

 

イタリアやフランスのものと同様

かつての鉄道用線路を

サイクリングコースにしたようです。

極端な曲がりも少ないので

景色を満喫しながら

ゆったり走るのが気持ち良い。

 

 

 

途切れながらではあるけど

スペイン全土に広がるので

休暇ごとに色んなコースを走るのが

スパニッシュサイクリスト達の

楽しみだそうです。

 

 

 

 

時々パン屋などで

休憩に立ち寄りながらこの日も

ゆっくり進んでいきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日は「プラヤ」という

小さな町のキャンプ場に宿泊。

 

 

 

最近サラミにはまってまして

テントをはり終えたら

ゆっくり食べるのが恒例。

イタリア発祥の乾燥肉ですが

ヨーロッパのどの国でも

たくさん売られています。

 

 

 

どんどん日が長くなっていく

この季節。

夕方6時なんてまだまだ青空全開。

本当に真っ暗になるのは

夜10時頃です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日もとにかく南へと走ります。

長く続くVia Verede がありがたい。

 

 

 

まもなくスペイン第3の都市

「バレンシア」が近づいてきます。

交通量も徐々に増えてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日はバレンシアを素通りして

少し南にある町「クリェラ」へ。

お世話になる宿泊先へと向かいます。

 

 

 

クリェラで泊まったのは

個人のお宅ではなく、

いわゆるノマドワーカーたちへの

貸事務所の様なアパート。

こちらもWarm Showerを通じて

知った場所です。

 

 

 

オーナーがサイクリング好きな方で

自転車旅の人には

無料で宿泊させてくれるというもの。

色んなところで

自転車ならではの恩恵を受け取ってます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリェラの町に到着した翌日は

電車に乗って

バレンシアの観光にくり出しました。

 

 

 

スペイン東側沿岸のほぼ中央に位置する

バレンシア州の州都「バレンシア」。

 

マドリード、バルセロナに次いで

国内3番目の人口を誇る大都市です。

北部のバルセロナに比べると

雨も少なく気温も高く

イメージ通りのスペインといった気候。

 

 

観光客がまず向かうのは

旧市街の中心地にある「ビルヘン広場」。

多くの人が集まる賑やかな場所です。

 

 

 

広場を見守るように立つのは

「サンタ・マリア大聖堂」。

キリストが最後の晩餐の際、

使用した(可能性が高い)という

聖杯が収められています。

ありがたや。

 

 

 

大聖堂の横に建つ鐘楼の上にのぼれば

バレンシア旧市街が一望できます。

古い建物と新しい建物の

コントラストが面白い。

 

 

 

 

 

広場ではフラメンコの

パフォーマンスをしていました。

ふらっと見ただけなのに

物凄い迫力に一瞬で圧倒されます。

スペイン滞在中に生演奏付の踊りを

見ておかねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに広場から少し離れたところには

観光名所ともなっている中央市場。

要は普通の市場なのですが

100年近い歴史を誇り

とても活気に溢れていました。

 

 

 

地中海沿いの港湾都市だけあって

目を引くのは豊富な海産物たち。

魚、エビ、貝、イカ、タコ

とにかく何でもあります。

宿が近かったら

何か買って帰りたいのに…。

 

 

 

もちろん海鮮だけでなく

肉も野菜も揃っています。

どの国に行っても市場は

熱気があって

見ているだけでワクワクしてしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歴史ある街バレンシアですが

旧市街を離れた河川沿いの一画には

まったく違う顔ものぞかせています。

 

それが「芸術科学都市」といわれる

現代建築物群。

 

 

10数年前に完成した

劇場、水族館、プラネタリウム、博物館

などの複合施設となっているこの一帯。

建物そのものが芸術作品のようで

あたりには

別空間の雰囲気が漂っています。

 

 

 

もちろん中に入れば

色々見所もあると思うのですが、

周辺を散歩するだけでも

ちょっとした未来空間を味わい

近代都市としての

バレンシアを楽しむことが出来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び旧市街に戻ると

バレンシアが生んだグルメを堪能するため

事前に調べていた人気のレストランへ。

 

 

 

注文したのは伝統料理「パエリヤ」。

スペインといえば

まず思い浮かぶこの料理、

発祥の地はここバレンシアです。

熱々の鍋に平べったく盛られたのは

海鮮と一緒に炊きこまれたお米。

 

 

 

 

バルセロナを発って

初めてまともなレストランで

食事をしましたが

これは本当に美味しかったです。

特に、おこげのカリカリが。

 

 

 

 

 

といった感じでスペイン前半は

道も穏やかで非常にのんびり進んでいます。

この調子で南部まで楽しんでいきます!

 

 

 

スペイン南下

2019.05.31

【366日目 14,420km】

 

バルセロナのマルコさんの家を出発して

いよいよ

スペインの大地を南へ走り始めます。

 

 

 

バルセロナは大都市であるにもかかわらず

思いのほか車の流れもスムーズ。

自転車を漕ぐのも苦戦することなく

30分ほどで都市部を抜けだすことが出来ました。

 

 

 

バルセロナの南は

ひたすら平坦な道が続いています。

所々にある町で休みを取りつつ

進んでいきました。

スペインは割とドライバーの

マナーが良い気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

100kmほど走ったこの日は

「タラゴナ」という街の郊外の

海辺にあるキャンプ場にチェックイン。

強い風にあおられ

この時はテントを立てるのも一苦労でした。

 

 

 

夕食はパスタ。

色んな形のパスタを試した結果

やっぱり麺状のスパゲッティが

1番美味しいということが

解明されました。

茹で加減も慣れてるので分かりやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

キャンプ場で出会ったのは

アーチェリーの大会に出場するため

スイスから数か月にわたり

自転車で旅をしているという女性サイクリスト。

後ろの白い大きな筒は弓だそう。

 

「旅をしている期間を練習に充てなくていいのか」

なんて聞いちゃダメです。

旅人の思考回路なんて他人からしたら

理解できるものじゃないことがほとんどなので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、キャンプ場からすぐ近くの観光名所に

向かってみることに。

 

山の中にひっそりとたたずむのは

「ラスファレラス水道橋」。

紀元前1世紀につくられたローマ帝国の遺産です。

 

 

 

この橋、

2000年以上の昔に

これだけの橋をつくるとは

「悪魔の仕業に違いない!」

ということで

“悪魔の橋”の異名を持ちます。

 

 

 

橋の上部は

歩けるようになっています。

人とすれ違うのが困難なほど

幅が狭いことからも、

通行用ではなく

水を運ぶためだと分かります。

 

 

 

 

 

水道橋の観光を終えると

前日に引き続き走り始めます。

海辺は綺麗に整えられて

非常に走りやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

出発からわずか30kmほどのこと。

自転車専用道を走っていると

ジョギング中のとある男性が声をかけてきました。

 

「俺も自転車に乗って世界を旅してたんだよ。

今はこの街のホテルで住み込みで働いてるから

今日は1晩泊まっていきなよ!」

 

 

路上でまさか旅の同志との出会い。

この日もう少し進む予定でしたが

急いでないので誘われるがまま泊めてもらうことに。

 

 

 

ホテルの主催する自転車ツアーの

ガイドをしているという

スイス人“マティアス”さん。

立派なリゾートホテルのベッドで

寝かせていただくことに。

 

 

 

 

寝床のみならず

食事までごちそうになりました。

なんとなんとビュッフェスタイル。

職員関係者ということで

無料で食べさせてもらいます。

あぁ、幸せ…。

 

 

 

貧乏旅人である以上

ヨーロッパでのビュッフェなんて

なかなか

ありつけるものじゃありません。

ここぞとばかりに

胃袋に詰め込んでやります。

 

 

 

 

 

 

 

 

ユーラシア、オセアニア地域を2年半かけて

旅してきたマティアスさん。

 

日本を走った際には

我が故郷・広島も走ったらしく、

地元のソウルフード“お好み焼き”を絶賛してくれました。

 

 

もうじきガイドの勤務を辞めて

再びヨーロッパの旅へと出発するそうです。

安全に気を付けてお互い良い旅しましょう!

(マティアスさんのブログ→https://www.umunum.ch/

 

 

 

 

 

 

 

 

マティアスさんに別れを告げると

再び南へ下っていきます。

 

 

 

天気は安定していて

暑すぎずとても気持ちが良い。

スペインは南に行くにつれ

降水量も減ってくるそうです。

 

 

 

 

 

似たような風景がどこまでも続きます。

海岸は走りやすいけど

道は退屈…。

あまり印象に残らない道が

延々と続きました。

 

 

 

 

午後からは一気に風が強まりました。

遮蔽物が何もないので

体は吹きさらしの状態。

漕いでも漕いでも進まない道を

少しづつ前と向かいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして海辺のキャンプ場へ。

ここしばらく海岸沿いには

ものすごくたくさんのキャンプ場が並んでいます。

値段を聞いてまわっては安いところにチェックイン。

 

 

 

夕方早めについて

のんびりご飯の準備をしているときが

癒しの時間です。

波の音を聞きながら

ひとりでまったり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バルセロナを出発してから4日目。

この日はおもに幹線道路沿いを走っていきました。

 

 

 

西の内陸側に目をやると

山が連なっています。

海側よりも内陸側の方が

走るのは楽しそうだけど、

ビザの期限もあり

そこまで回り道できないのが悔しい。

 

 

 

同じような景色が

どこまで続くんだろうか。

素敵な出会いはやはり

どこにでもあるわけじゃなく

ときに旅は退屈…。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日は「オロペサ」という

小さな町のキャンプ場にチェックイン。

平日だったこともあってか

おそらく客は僕一人。

 

 

 

夕食はやっぱりパスタ。

そろそろ違うものをと思いつつ

結局、

楽なものに落ち着いてしまいます。

 

 

 

 

 

このままではどんどん

アウトドアでのパスタの

腕前が上がってしまいます。

栄養摂れるし美味しいのは良いけど

そろそろ変わり種レシピも覚えよう。

 

 

 

 

という風に

幹線道路に沿ってしまってるので

若干刺激が少ないながら

穏やかなスペインの旅が続いています。

 

さらに南へ向かえば

「これぞスペイン」な風景に出会えるはず…、多分!

 

 

 

のんびりバルセロナ

2019.05.27

【362日目 14,113km】

 

 

ユーラシア大陸の終盤となる国・スペインに到着。

先を急がず

まずはバルセロナの街を楽しむことにします。

 

 

 

街の中心に位置しており

バルセロナの象徴ともいえるのは

あまりにも有名な「サグラダ・ファミリア」。

 

これまで各国の偉大な建築物を見てきましたが、

その中でも

間近ではじめて見た時の衝撃はトップレベルです。

とにかくデカい、そして美しい。

 

 

 

建築家アントニオ・ガウディ

の設計に基づき、

1882年に着工された

未完成の教会。

完成予定はガウディ没後100年の

2026年になるそう。

 

 

 

実は数年前、当初申請していた

工事作業の期限を超過してるのが発覚し

違法建築となってしまったそう。

カトリック教会がバルセロナ市に

およそ47億円の解決金を払うことで

落ち着いたらしいです。

 

 

 

それでも毎日ものすごい数の

観光客が訪れており

支払いの目途はたっているそう。

なんせ入場料は¥4,000なので

ものすごいお金が動いてます。

僕は外から眺めるだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて向かったのは街の高台にある「グエル公園」。

こちらもサグラダ・ファミリアと同じく

ガウディの作品です。

 

地元の実業家「グエルさん」とガウディが

芸術と自然が溶け込んだ住宅地をつくろうと張り切ったものの、

発想がぶっ飛びすぎてて誰も住もうとせず

市の所有になってしまったというこの公園。

 

 

 

見晴らしは抜群で、

バルセロナの街を見下ろし

向こうには海の見える最高の場所。

ガウディは純粋無垢な感性を持った人

だったんだろうなというのが

感じられる場所です。

 

 

 

この公園の人気スポットが

階段の真ん中に居座るトカゲ。

まあ、ただのトカゲなんですけど

みんな写真撮っていたので

撮ってみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらはガウディのライバルである

建築家ドメネクが設計した「サンパウ病院」。

 

芸術には人を癒す効果があるとし

施設には多くの装飾が施されている様。

現在、病院機能は隣接する新病棟に移され

ここは文化遺産として保護されています。

 

 

 

という具合に

世界遺産に登録されている代表的な場所を訪れてみましたが

イタリア・ローマと同じで入場料が高く、

長い行列に並ばなければならないものばかりなので

簡単に眺めただけで終わってしまいました。

 

 

 

バルセロナの魅力は街の雰囲気そのもの

だったのではないかと思います。

 

もちろんもの凄い数の人がいるのですが

大都市なのになぜかせかせかした感じがなく、

ゆったりとした印象でした。

これがラテンの国なのか。

夕方にふらふら散歩してる時が一番楽しかった気がする。

 

 

 

商業地区を離れて旧市街に行くと

のんびりおしゃべりしたり

友達とお酒を飲んだりと

みんな楽しそう。

古い建物がいっぱいあって

すごく落ち着く雰囲気です。

 

 

 

スリなどの軽犯罪が多いため

「バルセロナに行くときは気を付けろ」

と散々注意を受けており

少し緊張してたのですが、

実際来てみると

なかなか居心地のいい場所。

 

 

 

バルセロナといえば

世界最強の「FCバルセロナ」。

街角には

スタジアム外では唯一の

オフィシャルショップがありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旧市街のなかに突如現れた

赤ちょうちんと見覚えのあるキャラクター。

お店の名前は、

「MUTENROSHI RAMEN (武天老師ラーメン)」

 

 

 

店内は和風のものや

ドラゴンボールグッズで

溢れていました。

 

 

 

 

 

 

頼んだのは味噌ラーメン。

日本のラーメン屋さんと

同じレベルとまではいきませんが、

かなり寄せてきてます。

これは美味しかった、

ごちそうさまです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バルセロナ滞在中にお世話になっていたのは

現地在住のイタリア人“マルコさん”のお宅。

 

 

 

彼に出会ったのは旅の途中、

ウズベキスタンのサマルカンドでのこと。

偶然同じ宿に泊まっており、

「バルセロナに着いたら家においでね」と

お誘いいただき、別れたのはもう8ヵ月前の話。

中央アジアから遠く離れたスペインでの再会です。

 

 

 

大都市の安宿は盗難トラブルが多く

あまり泊まりたくないので

ものすごく助かります。

荷物も散らかし放題

させてもらいました。

人様の部屋を散らかすな。

 

 

 

日本文化が大好きで来日経験もある

マルコさんの本棚には

漫画がびっしり。

日本語読めないけど

持ってるだけで嬉しいそうです。

日本が愛されるのはこちらも嬉しい。

 

 

 

 

居間で寝かせてもらってたのですが

毎朝、東側の窓から差し込む朝日で

目を覚ますのが本当に気持ち良かった。

というか最近テント泊ばかりなので

屋根の下で寝られるだけで幸せ。

旅の疲れが飛んでいきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

マルコさん宅滞在中は

友達と一緒に

地元のスペイン料理を食べに行ったり、

 

 

 

 

 

 

街で一番と評判の

イタリア料理を食べに行ったりと、

とにかく食べてました。

どれも本当に美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バルセロナで果たすべき重要ミッションは

自転車のメインテナンス。

スペインを走り終えた後に待っている

この旅の次なるステップへと備えます。

 

 

 

タイヤを交換するつもりでお店に行くと

1年近く走ったのに

タイヤにはほとんどダメージがなく、

むしろペダルやチェーン回りの部品を

交換する必要がありました。

餅は餅屋ですな。

 

 

 

その他予備のパーツも併せて購入。

この先向かっていくのは

自転車ショップなどない僻地です。

期待と不安が高まってきている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バルセロナに住むマルコさんに

代理で受け取ってもらっていたのは

日本からの大切な贈り物。

 

 

旅を支援してくださっている

ダイアテック株式会社様 から

GIRO社製ヘルメット「Syntax MIPS AF white silver」

をご提供頂きました。

なんと2019年の最新モデル!!

 

 

 

 

 

イタリア入国の際の

木への衝突事故により、以前のものは

内側の緩衝材が破損しちゃいました。

ヘルメットとして機能しないので

一足先に帰国してもらいます。

また帰ったら会いましょう。

 

 

 

改めて新しいヘルメットで安全を確保しつつ

旅を進めてまいります!

 

 

 

 

 

 

 

結局、バルセロナには5日間も

居座り続けてしまいました。

マルコさん本当にありがとうございます。

 

人生で初めてやって来たヨーロッパで

こうして人との縁をつむぐことができており、

改めて旅の素晴らしさを感じているところでございます。

 

 

自転車もリフレッシュしたし

ヘルメットも手に入ったし準備万端。

ユーラシア大陸最後の国・スペインを走り始めます!

 

 

 

情熱の国・スペイン

2019.05.23

【357日目 14,113km】

 

 

強風のサイクリングで疲れ果てた体を癒したら、

再び海岸線を南へと下っていきます。

 

 

 

モンペリエの街を離れると

また海沿いにはいくつもの池がある湿地帯が広がっています。

青空の下、平坦な水辺を走るのがなんとも気持ち良い。

 

 

 

ふと横に目をやると

たくさんのフラミンゴたちが。

穏やかな水面に立つ

ピンクの鳥の群れの姿は

とても優雅。

 

 

 

 

道の脇には牧場がいくつもあり、

カマルグの地域では半野生化している

気品ある白い馬たちが。

世界の中でも最古といわれる

品種だそうです。

 

 

 

 

道を進んでいると

今度は空を舞うフラミンゴたち。

なかなか近づくことはできませんが

日本では野生のものを

見ることができないので

かなり新鮮。

 

 

 

この日はカマルグの自然公園で

吹き荒れた暴風が止んでおり、

のんびり海辺のサイクリングを

楽しめました。

起伏もないし気持ちが良い。

 

 

 

 

 

 

 

途中で休憩に寄ったスーパーで出会った

イタリア人サイクリストの“ロベルトさん”と一緒に

キャンプ場で1泊。

フランスの旅もあと100kmほどで終了です。

 

 

 

カバンの中に1週間ほど入れてた

トマトソースでパスタ。

腐ってるかどうかの瀬戸際だったけど

残念ながらお腹壊しました。

トマトソースは

お早めにお召し上がりください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明くる日も南に向かって漕ぎ出します。

湿地が広がるこのあたりは道も平坦で漕ぎやすい。

 

 

 

幹線道路から外れているので

対向車もほとんどおらず

とても快適に走ることができました。

フランスはほとんど

田舎ばかり走ってます。

 

 

 

 

水辺にいるのはフラミンゴだけでなく

沢山の種類の鳥たちが集まります。

エサが欲しいのか

人間を見ると寄ってくるヤツら。

 

 

 

 

 

ひざを痛めているロベルトさんとは

途中でお別れ。

再び1人になると

黙々と海岸を南に進んでいきました。

 

 

 

 

 

国境まで数十kmというあたり。

平坦な湿地帯も終わり

起伏の多い山が連なる

地域に差し掛かってきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

あと1つ山を越えれば国境という所で

この日もキャンプ場にチェックイン。

ディナーはプロヴァンスで出会った

ミツコさんからいただいた

たらこスパゲッティ(生風味)。

 

 

 

(生風味)ってなんだろう?

と思いつつ調理してみると

これがまた美味しい。

茹でたパスタにあえるだけ。

これも立派な日本食です。

 

 

 

 

夏に向かっているヨーロッパ。

なかなか日が沈まないので

9時前ごろまでずっと明るい。

キャンプの時は雰囲気出ないし、

早く暗くなってくれた方が良いのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日は出発と同時に山登りが始まります。

車の通らないひっそりとした道を

時に自転車を押しつつせっせと登る。

 

 

 

海辺から一気に峠の上まで

登ってきました。

国境にまたがるピレネー山脈の

東端にあたるこのあたりは

圧巻の景色です。

ただ山頂だけあって風がすごい。

 

 

 

 

 

 

峠がそのまま国境になっていました。

 

ほとんど人の通らない山道なので

看板も何もないけれど

ここから20ヵ国目となる「スペイン」の旅が始まります!

情熱の国はどんな出会いを与えてくれるのか。

 

 

 

国境を越えると

緩やかな下り坂が数十kmに及んで

続いていました。

天気が崩れそうなので

少し急いで先を目指します。

 

 

 

 

急ぐあまり間違って

高速道路に侵入してしまいました。

料金所をこっそりくぐって出るとき

非常ベルみたいなのが鳴って焦ったけど

誰も追いかけてこないのでセーフ。

もう罰金なんて払いたくない…。

 

 

 

 

 

 

国境から70kmほどの「ジローナ」という街。

 

予定していたキャンプ場が見つからず途方に暮れていると

雨が降ってきたので、

近くの農家さんに相談すると

ビニールハウスにテントを張ってもいいということに。

 

 

 

暖かいし、雨も防げるし、

予想以上に快適なキャンプ場所を

発見です。

でも夏場は暑そう…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が明けると

うってかわって晴天が広がりました。

 

フランスと隣り合ったスペイン北東部の

このあたりはカタルーニャ地方。

最近よく、独立を巡った論争が話題になっている所です。

 

 

 

山間部から海辺に出ると

また道は平坦になります。

この日は南西に向かい

海沿いをただただひた走りました。

 

 

 

 

 

ジローナのビニールハウスから

100kmほど走った夕方、

ビルが増え交通量も多くなり

都会のにおいが

プンプンしてきます。

 

 

 

 

 

 

 

そして、フランス・モンペリエから走ること4日。

スペイン随一の大都市

「バルセロナ」に到着です!

 

 

ラテンの大国を走り出す前に

この街でしばらくのんびりしまーす。

 

 

 

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