Cycling The Earth ~自転車世界一周の旅~

日記

カテゴリー: カザフスタン

4ヵ国目ウズベキスタン

2018.09.5

【101日目 4,059km】

 

カザフスタン最後の都市“シムケント”を発って

100kmあまり南にある国境ゲートを目指します。

 

 

連日100km以上に及ぶ距離を走ってきましたが、

あまり景色に代わり映えはなくとにかく目の前に広がるのは何もない荒野。

綺麗な舗装路を快調に走れるのはいいですがちょっと退屈…。

 

 

早朝に出発し、お昼過ぎにはカザフスタン~ウズベキスタン国境に到着。

 

 

沢山の車が行列をなしており、この後ろに並ぶのかと嫌な予感がします。

先に進んでみると、係員が「自転車はコッチ!」と別の道を案内してくれました。

列に巻き込まれなくていいんだとホッとしたのも束の間、

係員が指さした先には数え切れないほどの人たちが!

 

そこは徒歩で国境を超える人専用の道でした。

2m幅ほどの通用口になだれ込む人々はもはや列をなしておらず、

我先にと群衆に身を投じなければ先には進めない状況。

 

「でっかい荷物と自転車あるし、通れるワケないじゃん!」と訴えても、

係員には「いやいや、君もここから通過してね。」と言われるばかり。

自転車携えて通勤ラッシュの電車に乗り込むようなもんです。

 

 

覚悟を決めて人だかりに飛び込むと、身体も自転車も揉みくちゃにされました。

ブーブー文句を言われながら、ジロジロ睨まれながらかろうじて進んでいきます。

 

カザフスタン出国審査からのウズベキスタン入国審査。

そして、最後は荷物検査。

1時間強ほどかかってボロボロになりながら

何とか無事に国境を超えることができました…。

 

 

国境からわずか10kmほど進むと首都“タシケント”に到着です。

これまでの広大な荒野が嘘かと思うほどの大都会が現れました。

 

旅人の間でもウズベキスタン名物として知られるのが

かさばってしまう大量の紙幣。

1円=約70スムということで、

およそ1万円を両替すると写真の通り1万スム札が70枚にも及びます。

 

財布にもおさまらず邪魔で仕方ないですが

大量のお札をパタパタなびかせ、しばしの富豪気分を楽しみたいと思います。

 

 

今後はウズベキスタンを渡りイランに向かうわけですが、その前に立ちはだかるのが

「中央アジアの北朝鮮」の異名をとる“トルクメニスタン”。

あまり観光客に対してもオープンな国ではないですが

ここタシケントでトルクメニスタンのビザを取得しておく必要があります。

 

タシケント到着翌日の早朝、大使館へ向かうと

申請用紙に記入をして思いのほかスムーズに申請作業は終了。

あとは無事発行されるのを待つのみ。

(イランの時みたいに待たされませんように!)

 

発行までしばらく時間が掛かる様なので

自転車で次の街に向かってしまおうと思います。

 

 

ということで4ヵ国目ウズベキスタン、はじまり!!

 

 

 

キルギス脱出、再びカザフスタン

2018.09.1

【100日目 3,923km】

 

 

キルギスの首都ビシュケクに留まること3週間、

遂にイランビザが発行されました!

 

 

夏の休暇時期と被ったとはいえ、あまりに時間が掛かったので

このまま入国拒否されるのではないかという不安もよぎりましたが

無事、先へと続く道は開けました。

 

予定スケジュールよりも若干遅れているので、

荷物をまとめて早速出発です。

思わぬ長逗留に体がなまってしまったのか、踏み込むたび重く感じるペダル。

それでもなんとか進みつつ、大きな荷物を運ぶ感覚を取り戻していきます。

 

首都ビシュケクから西に向かって90kmほど、

お昼過ぎにはキルギス~カザフスタン国境にたどり着きました。

交通量の多い主要道路ということもあり混雑している様子でしたが

意外にスムーズに流れ大きなトラブルもなく難なく通過。

 

緑と青が美しい自然豊かな小国キルギス、

多くの思い出を噛みしめつつ、ここでお別れです。

 

 

およそ1か月ぶりに再入国したのはカザフスタン。

人々の表情や言葉に大きな違いがないので別の国だとは感じませんが…。

 

国境から進むこと30kmほどのところ。

この日、野宿する予定だった“メルケ”という町が予想以上に栄えており

キャンプ場所を見つけるのが難しそうなのでホテルを探すことにしました。

 

そこで、

道端のスイカ売りの青年たちにホテルがないか尋ねると、

「ここで寝てけよ。」

思わぬカタチで寝床を確保してしまいました。

 

ピラミッドのように高く積まれたスイカの山。

それらが道路脇にずらっと並んでおります。

このスイカたちを見守るため、すぐ横に毛布を敷いて当番が寝るのだそうです。

 

 

道路には車がビュンビュン走ってますが、疲れていれば気にせず爆睡できるもの。

 

ただ、中央アジア定番の果物であるスイカは大人気。

すっかり夜は更けて深夜になっても

路肩に車を止めたドライバーたちが次々に買っていきます。

 

まるまる1玉食べさせてもらいましたが

水分たっぷりのスイカはかなり甘くて美味しかったです。

 

 

夜を明かし路上のスイカ商人たちに別れを告げると、

再び西に向かって、乾いた中央アジアの大地をひたすら進みます。

 

 

この日の夕暮れにたどり着いたのは、“シャクパク・ババ”という村。

道路の両脇に100軒ほどの家が集まっただけの小さな集落でした。

 

道で遊んでいた子どもたちが

たくさんの荷物を積んだ自転車に興味を持ってくれます。

「テントを張りたいんだけど、この辺オオカミ出ないかな?」

ジェスチャーで何とか伝えると

「家の庭で寝ればいいじゃん!」と、あるお家に連れていかれました。

 

 

「このヤポーニャ(日本人)泊めたげて」と、

親に直談判してくれる頼もしい子どもたち。

 

すんなり許しをくれて、庭にベッドをこしらえてくれたのは

この家でかなり強い発言権を持っていると思しきおばあちゃん。

お父さんでもおじいちゃんでもなく、おばあちゃん。

 

空気の澄み切った星空の下、ぐっすり眠ることができました。

 

好奇心たっぷり、元気いっぱいの子どもたち。

見知らぬ外国人にも臆することなく、優しく受け入れてくれました。

 

 

道路の脇に建つモーテルでも身を休めつつ、

ビシュケクから4日間かけてたどり着いたのはカザフスタン南部の都市“シムケント”。

旅に出てからちょうど100日目でした。

 

 

そして、

すぐ近くの国境の向こうに待つのは、4カ国目ウズベキスタンです!

 

 

 

3か国目“キルギス”

2018.07.27

【62日目 2,734km】

 

カナートさん一家にお世話になった後、

南に向かってたどり着いたのはカザフスタン最後の町“ケゲン”。

 

旅をしていると新たな出会いがとどまることなくやってきます。

夜中、滞在していた古いホテルの隣室にやってきたのはベルギー人のサイクリスト。

そして彼の開口一番は、

「君が自転車で世界を旅している日本人かい?」

 

聞けば来る途中に別の旅人から

このあたりを走っている日本人がいるという噂を耳にしたそうです。

恐るべし旅人ネットワーク。

 

元・写真家で教師でもある“ヤンさん”は

連休のたびに自転車で外国をまわっているそう。

50ヵ国以上を訪れた生粋の旅人です。

向かう先が同じく南のキルギスということで一緒に走ることに。

 

 

翌朝、国境に向かって走りはじめます。

すれ違うのは人よりも動物の方が圧倒的に多いという

のどかな草原を進んでいきました。

 

 

静かな1本道の向こうに見えてきた小さなゲート。

カザフスタン~キルギスの国境です。

緊張感のようなものは全くなく、

ちょっとお喋りしたのち、荷物の中身を簡単に(適当に)見られて

あっさり出国および入国審査は終了しました。

 

振り返って写真を撮ろうとしたのですが制止されちゃいました。

そこはちゃんとしてます…。

 

カザフスタンにはほんの1週間ほどの滞在で、

あっという間に3か国目の“キルギス”にやってきました。

国境を越えたとはいえど、

広がる風景は相変わらず延々と続く草原で、

違う国にやってきた実感はあまり沸きません。

 

 

数十kmおきに現れる小さな村で休憩をはさみつつ、

夕方にたどり着いたのが警察の検問所。

外国人サイクリストは対象外で、

地元のドライバーを取り締まっているようです。

 

雲行きも怪しくなってきており

このあたりにテントを張れるところがないか聞いていたまさにその時、

土砂降りの大雨が降りはじめ、さらに雹(ひょう)も降りだしました。

一瞬のうちに天気が変わってしまう山間部ならではの気候です。

 

困ったときに頼りになるのはやはり警察。

「検問所に泊まってきな。」と、優しい一言をくれました。

“検問所”なんて聞こえはいいですが、

実際は道ばたに置かれたトラックの荷台でしたけども…。

 

 

 

雨雲も過ぎ去り、無事に夜を明かすことができました。

これからも色んなかたちで警察にお世話になるんだろうな。

 

 

 

田舎に泊まろう

2018.07.23

【58日目 2,639km】

 

 

チャリンキャニオンの谷底で目を覚ました朝、

まったく予想していなかった雨に降られてしばし足止めを食らいました。

 

覆っていた雲に青い切れ間が見え、雨が止みはじめたのが昼の12:00頃。

急な坂道を必死に踏ん張り、重い荷物を積んだ自転車を

何とかキャニオンの上まで持ち上げました。

 

だだっ広い荒野のど真ん中に横たわるチャリンキャニオンから

5kmほど走ったところに久々の舗装路が見えます。

 

そして、西へ向かうステファンさんともお別れ。

またどこかの国で会えることを祈りつつ

出会って1週間余り共に走ってきた旅仲間を見送りました。

 

依然広がり続ける荒野を進むと、

遠く山の麓にかすかに村が見えてきました。

雨のせいで出発が遅れたこともあり予定していた山越えが難しそうなので

この村で1泊していくことに。

 

たどり着いた村の名前は“アクサイ”。

とりあえず入った食堂で宿はあるか尋ねると

村には民家しかなく宿泊施設はないとのこと。

確かにどうみても観光で人がやってくるような所には見えませんでした。

歩いて回れるほどの村を自転車でぶらついてみることにします。

 

とある民家の前を横切るとじっとコチラを見てくる親子。

何だか興味を持ってくれているようだったので

庭先でテントを張ってもいいか身振りで必死にお願いすると、即OKが!

 

早速、こじんまりとした小さなお家の横にテントを張らせてもらいました。

しっかり柵で囲われておりオオカミに骨までしゃぶられる心配もなさそうです。

 

しばらくして落ち着くと、

「お腹はすいてないかい?」と差し出されたパン。

家の牛から絞った牛乳でつくったチャイと一緒に食べると

疲れていることもあってか、シンプルながら豪華料理の様に感じます。

 

ここアクサイは家畜と共に暮らす人々の静かな村。

夕方になると子供たちも協力して馬や牛、羊たちを柵の中に連れ戻します。

そして、日が暮れるまで動物とじゃれ合ったり追いかけっこをしたり。

 

 

夜になると裸電球の下、家族みんなと食卓を囲んでのんびり食事をしました。

 

食後に「シャワー浴びといで」と案内された先には

火がゴウゴウを燃え盛る窯の備わったロウリュウ(北欧式サウナ)。

蒸し暑い部屋の中で汗と一緒に疲れも吹き飛ばしてくれます。

 

子供たちは自転車やテントに興味津々。

言葉が理解できないなかでも身振り手振りで何とか互いの意思を伝え合います。

 

ふらっと立ち寄っただけの旅人を

心優しく受け入れ、もてなしてくれたカナートさん一家。

 

こんなに優しさに溢れた人たちがいるなら

どこまでだって旅をしていけそうです。

 

穏やかで素敵なひと時をありがとう!

 

 

 

ミニ・グランドキャニオン

2018.07.20

【57日目 2,596km】

 

無事カザフスタンに入国して、いよいよ2カ国目の走行開始です。

といってもすぐに南下して次の“キルギス”に向かうので、

とりあえずの滞在期間は1週間ほど。

キルギスを走った後で再入国する予定です。

 

中国の終盤戦が過酷だったことを言い訳に

カザフスタンに対する予習を全くしていませんでした。

通貨は“T(テンゲ)”。こんにちわは“サラム”。

基本情報をその場その場で調べつつ勢い任せに走りはじめます!

 

国境の町“ジャルケント”を抜けると建物の少ない荒野が広がります。

ロシア語に代表される「キリル文字」で書かれた看板を見れば、

間違いなくここは東アジアとは違う文化圏。

 

大地と空のほかに何も見えない道をひたすら数十km進んでいきます。

時折あらわれる道端の露店で

トラックのドライバーたちにケバブをごちそうになったり、

スイカ売りのおっちゃんにスイカを丸ごともらったり。

透明な瞳がどことなく冷淡なイメージを与えるカザフスタンの人々ですが、

訪れた外国人をやさしく受け入れてくれる心を感じました。

 

 

そして、90kmほど進んだ“チュンジャ”という小さな町で

中国で分かれたステファンさんと再合流することに。

 

二人ともこの先の目的地でそれぞれキャンプをする予定だったんですが、

事前に現地の人から、

「この地域ではオオカミが出るので一人でキャンプをしないように!」

との警告を受けていました。

オオカミなんて日本人には馴染みがないですが

ロシアや周辺国では死亡例も数多く出ているほど危険な動物です。

ということで、連絡を取って落ち合ったホテルでこの日は宿泊。

 

 

翌日、チュンジャの町からさらに荒野のど真ん中に突き進んでいきます。

緑も徐々に減っていき、ほとんど砂漠地帯のなか

オフロードに苦戦しながらも走り続けました。

 

 

そして、周囲数十kmに渡って何もない広大な荒野の中に

突如現れたのがこの日の目的地「チャリンキャニオン」。

チャリン川が削りだした渓谷は

“カザフスタンのグランドキャニオン”の異名を持ちます。

 

本家アメリカのグランドキャニオンのスケールには及びませんが

日に照らされた赤土の崖は圧巻の風景です。

カザフスタンからはもちろん、

アメリカやヨーロッパなどからも観光客が来ていました。

 

ちなみに1日目に上海で出会って以来、日本人には1人も会ってないです…。

別にいいんですけどね。…寂しいワケじゃないですし。

「お寿司食べたいね」とか、「W杯良かったね」とか話せたらいいですけども。

まあ、別にいいんですけどね…。

 

 

ぐるっと回ってくれば谷底に降りられるようになっています。

底から崖を見上げるのもなかなか素晴らしい景色。

 

 

谷底を流れるチャリン川のほとりには簡単なアウトドア設備が整っており

この日はここで1泊。

 

オオカミも現れることなく、

大自然に囲まれた静かな夜を過ごしました。

 

 

バイバイ中国

2018.07.18

【55日目 2,448km】

 

西の果ての町・霍尔果斯(コルガス)。

この町にある国境線を超えればいよいよカザフスタン入国です。

 

滞在していたホテルからほんの1km進めば国境なのですが、

ここもなんだかややこしいみたいで…。

 

前日にカザフスタンに入国したステファンさん曰く、

自転車で突入しても門前払いを食らうだけ。

町のバスターミナルから出ているバスに乗らないと

出国の手続きをしてくれないそうです。

 

過去には自転車で越境した人も沢山いるみたいですが、

事情がコロコロ変わってこちら思い通りにいかないあたりは最後まで中国。

 

 

ということで自転車を載せて国境を超えるバスに乗車。

満員のバスの乗客は瞳の色が透明がかったカザフスタン人が大半を占めています。

 

国境に着くと、空港の荷物検査や出入国審査と同じ要領で進んでいきます。

中国側の出国審査はスマホの中のデータをじろじろ見られたくらいで

思いのほかスムーズに完了。

 

そのままバスに乗ってカザフスタンの入国審査。

こちらも特に何も聞かれることなくさらっと完了。

 

・荷物を全部ひっくり返される

・パソコンやカメラのデータを全部見られる などなど

やっかいそうな前評判を聞いていたコルガスの国境ですが

本当に拍子抜けするほど順調に進みました。

 

国境を越えたバスはそのまま30kmほど進み、“ジャルケント”という小さな町に到着。

とりあえずここのホテルでゆっくりします。

 

 

 

記念すべきカザフスタン第一回目の食事はウイグル地区にもありました「ラグマン」。

茹でた麺にトマトと牛肉(もしくは羊肉)ベースの炒め物が乗っかっています。

非常に食べやすく日本人なら誰もが好むであろう一品。

中国生まれ、中央アジア育ちのようです。

 

 

 

これといった見どころのない田舎町をぶらつくと、

ごちゃごちゃと乱立したビルや13億人のかもし出す活気はなく

ここはもうすでに中国ではないことを実感。

 

 

ついにアジアの大国・中国の旅を終えました。

鉄道を利用してではありましたが振り返ってみれば長い道のり。

世界地図を見ても、東西の幅でいうと

広大なユーラシア大陸の3分の1ほど占めているのではないでしょうか。

 

たくさんのトラブルをもたらし、たくさんのトラブルから救ってくれた中国の人たち。

一カ国目にして、旅の大変さと楽しさを同時に教えてくれました。

 

まだまだ最高の出会いを求めて、旅は続きます!

 

てことで、

バイバイ中国!!

 

 

 

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