Cycling The Earth ~自転車世界一周の旅~

日記

カテゴリー: トルコ

さよなら、トルコ

2019.02.11

【260日目 9,690km】

 

 

イスタンブールをひと通り観光し

のんびりと過ごしたら、

いよいよ西側の国境を目指します。

 

 

 

海峡間の橋は自動車しか走れないので、

船に自転車を載せてヨーロッパ側へと渡ります。

これで本当にアジアとはお別れ。

 

 

 

イスタンブールの都市圏を抜けるには

かなり混雑が予想されるので、

少し北側に迂回するルートをとりました。

 

2時間ほど走るとあっという間に

のどかな風景に変わってしまいます。

 

 

 

交通量が少ないぶん起伏の多い道を進んだため

この日は予定の120kmを走りきることができず、

小さな村“ビンクリチ”に泊まることに。

 

 

 

 

安宿はないかと村人に尋ねると

この村に宿泊施設はないとのこと。

すると、

話を聞いていたとある方が

「ウチの事務所で寝てっていいよ。」

しかも、晩御飯までご馳走になりました。

 

 

 

事務所内のソファーで

そのまま寝かせてもらうことに。

薪ストーブの燃える暖かい場所で

深い深い眠りにつきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が明けると再び西に向かって漕ぎ出します。

これまでトルコでは見ることのなかった

広大な平原をのんびりと進んでいきました。

 

 

 

80kmほど走ると

“リュレブルガズ”に到着。

小さいけれど

活気のある良い町でした。

 

 

 

 

 

この日、

トルコのチームに移籍した香川選手が

3分間に2点を決める鮮烈デビュー。

イスタンブールは

香川フィーバーに沸いたらしいです。

この町は穏やかでしたが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日もスカッと気持ちのいい青空を見上げながら

見渡す限りの大平原を走っていきます。

 

そして、トルコの道を走るのは

実質この日が最後。

 

気がつけば入国してから64日目。

まったく予定していませんでしたが、

この旅での最長滞在国となっていました。

 

 

 

そして、昼過ぎに

国境の町“エディルネ”に着きました。

隣国ブルガリアまではわずか20kmほど。

 

到着と同時に、

2か月にわたるトルコの旅の思い出が

ぐっとこみ上げてきます。

 

 

 

かつてオスマン帝国の首都であり

古く歴史のあるエディルネは、

トルコ国内からの観光客たちで

賑わいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

この街の象徴は、

世界遺産にも登録されている

「セリミエ・モスク」。

街の中心に堂々と建っています。

 

 

 

およそ500年前、

オスマン帝国時代に建てられた

このモスクは

イスラム建築の最高峰と

称されているそうです。

 

 

 

 

大きなドームを内側から見上げると

イランやイスタンブールで

散々モスク巡りをした後でも

感動するほどの迫力と美しさでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

旧市街には

サフランボルでも見た

オスマン様式の古い家屋が

立ち並びます。

 

 

 

 

 

ほかにも橋や駅など

トルコ建国以前の施設が、

現代も人々の生活に溶け込んだ形で

その姿を残していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

夜には、

イスタンブールで出会った日本人観光客の方と食事。

同じ旅の身でありながらご馳走になりました。

色んなかたちの出会いがあります。

 

 

 

 

 

エディルネ滞在中にお世話になったのは“エンギンさん”。

イスタンブールに引き続いてWarm Showerです。

もうクセになりそう。

 

 

 

かつて自転車屋を営んでいた

エンギンさん。

この数年で各国からの旅人を

招き入れてきたそう。

壁には感謝のメッセージが

したためられていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

氷点下の雪山にはじまり、

穏やかな海岸線や緑の大平原まで

様々な景色を見せてくれた

トルコの道。

 

 

 

 

 

圧倒的な自然の光景や

世界史においても大きな存在感を放った

オスマン帝国の遺した建造物など、

旅の魅力がぎっしりつまった

長くて短い2か月でした。

 

 

 

 

優しい人々と美味しいトルコ料理に

後ろ髪を引かれつつ、

次なる国へと向かいます。

 

ということで、

さよならトルコ!

 

 

 

東西の架け橋、イスタンブール

2019.02.6

【254日目 9,430km】

 

トルコ最大の都市にして

アジアからヨーロッパへの玄関口である

「イスタンブール」。

 

黒海とマルマラ海に挟まれた細長い半島は

ヒビが入ったかのようにボスポラス海峡によって

東西に分断されています。

 

海峡の東側がアジア、

西側がヨーロッパであるため

長きにわたるアジアの旅もここで終わりとなります。

 

 

 

 

 

 

イスタンブールの観光名所が多く集まるのは

ヨーロッパ側。

 

滞在していたアフメットさん宅はアジア側なので

ボートに乗って海峡を渡る必要があります。

 

 

 

黒海沿岸の町でもそうでしたが

とにかくカモメが多いイスタンブール。

古い街並み、船、海、カモメ。

どこを切り取っても

絵になります。

 

 

 

 

写真の右側がアジアで、

左側がヨーロッパ。

海峡の幅の狭いところには

橋が架かっています。

でも残念ながら自転車は通行禁止。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨーロッパ側へ渡ると、

町ゆく人の数は増え

レストランやみやげもの屋がひしめき合っていました。

 

大きなイスタンブールですが、

観光の見所は徒歩圏内にぎゅっと密集しています。

 

 

 

 

 

 

 

イスタンブール歴史遺産の代表として知られるのは

“ブルーモスク”こと

「スルタンアフメト・モスク」。

 

取り囲むミナレット(塔)が青空を突き刺す様子は

遠目に見ても存在感に溢れています。

 

 

 

およそ400年前に

建てられたこのモスクは

今でも現役の礼拝施設。

トルコ内外から参拝のため

大勢の人が集まります。

 

 

 

 

参拝時間外であれば

イスラム教徒でなくても入場可。

中に入れば

よりそのスケール感を味わえます。

豪華で煌びやかなモスクも

ぼちぼち見納めか。

 

 

 

 

 

 

ブルーモスクと互いに見つめ合うかのように

真正面に建っているのが

「アヤ・ソフィア」。

 

その歴史はまさに

文化の交流地点であるイスタンブールの歴史を

象徴しています。

 

 

 

紀元537年に

ビザンツ帝国(東ローマ帝国)の教会

として建てられたのがはじまり。

そして1453年に、一帯を支配した

オスマン帝国によって

まるごとモスクへと改修されたんです。

 

 

 

20世紀に入りトルコ建国の際、

政教分離を唱える政府により

モスクは博物館になりました。

時代の波に揉まれ続けた歴史は、

どれだけその美しさによって

人々を魅了してきたかを物語ります。

 

 

 

壁の一部には1,000年以上前の

キリスト教のモザイク画が

残っています。

時代は違えど、1つの建物が

異なる宗教によって讃えられるのは

世界的にも珍しいそう。

 

 

 

 

 

 

アヤソフィアのすぐ近くにあるのが、

“地下宮殿”こと

「バシリカ・シスタン」。

 

アヤソフィアと同じく、

ビザンツ帝国によって西暦500年代につくられた

地下貯水槽です。

 

336本の支柱によって広がる空間は

荘厳な雰囲気が漂っており、

映画の撮影にも使われたそう。

 

 

 

 

 

 

海峡間を結ぶ船の発着場は

人々で賑わっており、

簡易的な食堂が並びます。

 

 

 

ここの名物は“サバサンド”。

焼きサバとタマネギ、キャベツを

挟んだサンドイッチです。

机に置かれたレモンと塩をかけて

かぶりつけば、あっさりとした

海の町ならではのグルメが味わえます。

 

 

 

トルコの人たちが愛する

キュウリ、キャベツのピクルスと

サバサンドは相性抜群。

トルコへお越しの際は

ぜひご賞味ください。

 

 

 

 

鉄板にずらっと並んだサバたちが

煙を上げて焼かれています。

かなりの数があるんだけど

これらが飛ぶように

どんどん売れていました。

 

 

 

 

 

 

 

さらに港の近く、

イスタンブールの定番風景になっているのが

「ガラタ橋」。

 

1階はレストラン、2階は道路という

珍しい2階構造になっています。

 

 

 

そして名物は、

橋の上から海へと竿をたらす

地元の釣り人たち。

何百という竿が横に

ずらりと並んでいました。

 

 

 

 

橋の上からだからか

みなさんかなり大漁の様子。

これなんの魚なんだろう。

詳しくないのでよくわかりません。

まあ、魚です。

 

 

 

 

 

 

 

橋を渡った向こう側に建つのが

「ガラタ塔」。

 

何度も壊れては建て直してを繰り返し

現在のものは50年ほど前に

建てられたものです。

 

 

 

内部にはエレベーターもあって、

上まで昇るとそこにはレストランが

ありました。

外から見ると

そんなに広く見えなかったけども。

 

 

 

 

 

 

 

塔から見下ろしたイスタンブールの街並み。

 

これまで旅をしてきて

大都市というのは概してごちゃごちゃとしてて

あまり魅力的でないことが多かったのですが、

このイスタンブールはしっかりと“町の色”を持った

味わい深い所でした。

 

 

ここからいよいよヨーロッパの旅がはじまります。

道のり的にもう一度寒い場所に

逆戻りするみたいだけど…。

 

引き続き良い出会いがいっぱいありますように。

 

 

 

漕いでイスタンブール

2019.02.2

【252日目 9,430km】

 

 

海辺の町「アクチャコジャ」で一休みして

すぐに出発するつもりだったのですが、

実は到着翌日の晩から熱を出してしまいまして。

 

これまで1カ月以上に及んで

氷点下のトルコを走ってきながらも

まったく体調を崩さないなんて、

「あら、わたしったらなんて健康なの」と

思っていた矢先のことでした。

 

 

 

現地調達の薬を服用しながら

ベッドに横たわりつづけます。

 

熱をおびた頭でぼんやり天井を見上げていると、

広大なトルコを走り切るのに

予想以上の日数がかかっているという焦りに加えて、

無事にヨーロッパにたどり着けるのだろうかという

これまでよぎったこともないような不安さえこみ上げてきました。

 

健康な身体なくして健全な精神あらず。

弱っているときには考えが良い方には向かいません。

改めて元気でいられることの

ありがたみを感じる時間でした。

 

 

 

 

 

 

3日間寝込んだ後、

咳もおさまらないなかで再び自転車にまたがります。

起伏の少ない行程を90km走ったこの日は

「サカリヤ」に到着。

 

ペダルを漕いでいる時は

意外と気分が楽なのですが

ホテルに着くと疲れがどっと押し寄せてきます。

 

 

 

 

 

 

徐々に体調が改善されていくのを感じながら

明くる日も走ります。

 

前日まで右手に黒海を眺めていたのですが、

こんどは左に“マルマラ海”が姿をあらわしました。

南北を海に挟まれた細い半島を西に向かいます。

 

 

 

80kmあまりを走って

「ゲブゼ」に到着。

道路わきのホテルで

身を休めます。

 

 

 

 

 

この日を境に

風邪もいっきに

吹っ切れた気がします。

しかし、ここ最近ほんとうに

ホテルは“当たり”ばっかり。

テント生活に戻れるか不安。

 

 

 

 

 

 

次の日、

穏やかな海辺の景色は都市空間へと姿を変え

車の数も劇的に増えます。

 

自転車のすれすれを走っていく自動車と

細かなアップダウンにストレスを感じながらも

ゆっくり50kmを走りました。

 

 

 

そして15:00頃。

ついにトルコの大都市、

アジアとヨーロッパが出会う場所

「イスタンブール」に到着です!

 

 

 

1,500万人もの人口を抱える

イスタンブール。

東京やニューヨークをかるく凌ぐほど

多くの人々が

この都市で暮らしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実はこのイスタンブールで初の試みをやってみました。

 

インターネット会員サイト

“Warm Shower (ウォームシャワー)”

というものがありまして、

世界中の自転車好きたちが

互いに無償で寝床を提供しあおうという

素晴らしいサービスなんです。

 

これまで存在は知っていたのですが、

ヨーロッパ方面は特に会員が多いということで

試してみることに。

 

 

 

今回お世話になったのは医師の“アフメットさん”。

大分大学に短期留学もしていたこともあり

ぜひ日本人を招きたいと思ってくれていたそう。

 

到着の数日前から連絡をとり合って、

初回から良い人にめぐり会うことができました。

 

 

 

都会のど真ん中にありながら

ゆったりとした寛ぎの空間を

提供してもらいました。

本当に素晴らしいサービスです、

Warm Shower。

自転車旅の際はぜひご利用ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イスタンブール観光へと駆りだす前に

到着翌日は自転車のメンテナンス。

アフメットさんが紹介してくれた

街の自転車屋さんで備品を調達します。

 

 

 

お店でやってもらうこともできましたが

自らの手で旅の相棒を労うことに。

錆びついて伸びてきたチェーンと

磨り減ってきたブレーキの

交換をやってみます。

 

 

 

 

男ってDIYとか機械いじりとか

往々にして好きなものですけど、

僕は手を汚したくないし

金持ちのお嬢様と一緒で

箸より重いもの持ちたくない派です。

しかし、旅を通じて成長せねば。

 

 

 

10,000km近くを

走ってきたチェーン。

毎日毎日くるくると

何周くらい回ったんだろうか。

ここまでありがとう。

お疲れさまでした。

 

 

 

 

 

やってみれば何てことはない作業でした。

細かいところまでしっかり掃除すれば

ぴかぴかの輝きが蘇ります。

 

 

サイクリング自体は楽しいし好きなのですが、

自転車の機構とかフォルムがどうとか

僕はほとんど興味がないんです。

 

でもこの自転車は、

地球の裏側まで連れて行ってくれる大切な相棒。

ものすごい愛着が湧きはじめてます。

 

これからも大切にしよう。

 

 

 

海へと

2019.01.29

【245日目 9,201km】

 

 

世界遺産の町“サフランボル”で

3日ほどゆっくりして次の場所へと向かいます。

 

 

この日は山間の谷を流れる川に沿って

延々と北を目指しました。

ありがたいことに長い下りが続きます。

 

 

 

出発から70kmほどすると

谷が開けて平坦な道が

伸びていました。

標高も下がって

雪はまったく見当たりません。

 

 

 

 

道路わきの食堂で休憩。

屋外の席に案内され

寒さを感じることなく

食事を済ませました。

山をひとつ下るだけで

とたんに気温が上がります。

 

 

 

 

 

 

 

 

この日の終わりに400mほどの峠を越え、

たどり着いたのが“黒海”を臨む街

「ゾングルダック」。

 

 

 

中国・上海を出発して

実に8カ月ぶりの海。

いくつもの山を越え

荒野を走った後に見る

真っ青な海に

感動してしまいました。

 

 

 

すごかったのは

群がるカモメたち。

海浜公園の観光客たちが

エサを宙にばらまけば

バッサバッサと集まってきます。

 

 

 

 

中心街にあるホテルでひと休み。

この日は久々に

100km以上を走行。

達成感のある心地の良い疲れです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日は出発してからずっと

右手に海を眺めながら走りました。

思いの外、風は冷たくなく

爽快なシーサイドサイクリングを楽しみます。

 

 

 

午前中に600mの山越えをした後、

道はずっと平らでした。

10km以上平坦な道が続くなんて

3カ月前のイラン以降

はじめてな気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

およそ80kmを走ったこの日、

海辺の町「アクチャコジャ」に到着。

トルコ国内の旅行者が集まる観光地です。

 

 

 

目の前に広がる“黒海”は

湖ではなくれっきとした海。

2つの海峡を経て

大西洋へとつながります。

遊歩道を歩くと確かに

ほんのり潮の香り。

 

 

 

 

トルコ入国以来ずっと

標高1,000m以上を走ってましたが

ここはもちろん海抜0m。

そして、気温はなんと15℃。

ついこないだまで氷点下の世界で

凍えていたのが嘘のようです。

 

 

 

 

観光地としてもシーズンオフと思いきや

意外に人が集まっていました。

イスタンブールやアンカラから

寒さを逃れて

遊びに来ているそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

町のど真ん中に位置するホテルに宿泊。

観光地だし高いんだろうな、

と思ったら

¥1,000ちょっとで

泊まれちゃいました。

 

 

 

 

しかも綺麗だし

設備もちゃんとしてて、

ここ数カ月で1番コスパの良い宿

だったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

バルコニーの向こうには

一面に広がる黒海。

最高のオーシャンビューに

居心地の良さを覚えて

予定より長く泊まることに決めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この町で印象的だったのが野良犬たち。

野良というより

町のみんなで飼ってる感じらしく

どいつもこいつも結構肥えてました。

 

暖かいからか、

やる気ゼロの彼らは

そこらじゅうで寝てます。

 

 

 

こないだYouTubeで

「この世から人類が消え去ったら」って

ヤツ観てて言ってましたけど、

猫は本能で狩りをして生き残れても

文明の中で人間に依存しちゃってる犬は

すぐに絶滅するらしいですよ。

 

 

 

こんなにだらけきってたら

確かに生きてけないだろうなって

思います。

余計なお世話だろうけど….。

犬たちよ、目を覚ませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大西洋だったり太平洋だったり

名称は違うけど結局、

地球の海って1つにつながってます。

 

 

黒海なんて初めて来たけど

どこか落ち着くのは

この海が日本へと続いてるからでしょうか。

 

海の近くで育ったわけでもないし、

景色も全然日本と似てないけれど、

何となく望郷の想いに駆られる海辺の町でした。

 

 

 

古き町サフランボル

2019.01.25

【241日目 9,005km】

 

 

大都会アンカラを後にして

次なる場所へと向かいます。

 

 

 

首都であるアンカラは交通量が多く

車を気にしながら走らなければなりません。

 

ゆっくりとすすみ

2時間ほどかけて都市部を抜けると、

一気に山の風景に戻ります。

 

 

 

この日は80kmあまり走って

「キズィルチャハマム」の町に到着。

夕食は久々の魚を食べます。

寒いなか何とか元気でいられるのは

様々な食材をバランスよく

食べられてるからでしょうか。

 

 

 

 

 

 

翌日、距離短めの予定だからと

朝食を軽めに食べたのが祟ってか、

峠を上る途中

腹ペコで動けなくなりそうになりました。

いわゆる“ハンガーノック”の状態。

サイクリングにおいて食事はとても大切。

 

 

 

必死に前へと進みつづけ、

65kmを走って「ゲレデ」で1泊。

安いホテルが見つからず

¥3,000のちょっと良いホテルへ。

おかげでゆっくり休めました。

 

 

 

 

 

 

 

続くこの日は山越え。

といってもその行程のほとんどが下り坂で

すべり降りるように進んでいきました。

 

標高1,500mの高さから

500mほどの町まで一気に下ります。

 

 

 

お昼によった食堂の店主は

自転車旅に興味津々。

食後に支払いをしようとするも、

「てやんでぃ!金なんていらねぇよ」

優しい人はカッコ良い。

 

 

 

 

 

 

 

アンカラから走ること3日間。

たどり着いた町は「サフランボル」。

山間に位置する黒海沿岸の観光地です。

 

 

 

サフランボルの見所は“町そのもの”。

旧市街を歩くと写真のように

白い壁と四角い木枠の窓が特徴の

家があたりに立ち並びます。

どこかヨーロッパを思わせるデザイン。

 

 

 

 

実はここ、

町全体が世界遺産に

登録されているほど

文化的価値が高く評価されている

場所なんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

丘から見下ろしたサフランボルの町。

オレンジの瓦が広がる様が有名なのですが、

雪が積もっちゃってました。

 

数週間前から感じてましたが、

トルコに来る時期間違えてる気がします。

でも、これはこれで綺麗。

 

 

 

町の歴史は13世紀ごろまで遡ります。

シルクロードを辿って

西洋と東洋を行き来する商人たちの

宿場町として栄えたのが始まり。

交易の場としてかなり賑わったそう。

 

 

 

 

町の名は“たくさんのサフラン”の意。

あたりが有名なサフランの産地

であったことも発展に貢献しました。

しかし、鉄道の出現と同時に

町は徐々に衰退していきます。

 

 

 

 

商人たちがいなくなった現在も、

建てられた家々は

オスマン帝国を代表する建築様式

として保存されているそうです。

多くの家屋はホテルに

改装されていました。

 

 

 

中世から商人の町として栄え

そのまま大都市となっている場所もあれば、

こうして時代の波に飲まれ

かつての賑わいを失っていく場所もあります。

 

シルクロードに沿って旅をすると

文明の栄枯盛衰を見ているようで面白い。

 

 

 

 

 

 

町を見下ろす小高い丘で

夕日を眺めていると、

地元の大学生に声を掛けられました。

そのまま自宅に招待され

夕食のピザをごちそうに。

 

 

 

 

ピザを横取りしようとする

猫と戦いつつ完食しました。

猫って呼んでもこっち来ないくせに

来なくていい時に寄って来るから

犬の方がカワイイと思います。

性格もルックスも犬の方が良いです。

 

 

 

っていいながら

猫を抱っこしてみんなと記念撮影。

膝の上にちょこんとのってるときは猫もいいヤツ。

 

 

広大なトルコも

気がつけばぼちぼち後半戦に突入。

 

寒さはあいかわらずですが、

このままトルコ随一の大都市イスタンブールに向かいます!

 

 

 

首都アンカラ

2019.01.21

【235日目 8,772km】

 

 

2晩お世話になった

サヴァシさんの家を発って向かうのは

いよいよトルコの首都「アンカラ」。

 

 

 

クルッカレから1つ山を越え

60km足らずを走ると、

交通量も増え

都市の雰囲気が漂いはじめます。

 

 

実を言うとこの首都・アンカラ。

あまり見どころもなく面白い場所じゃないと、

トルコの人たちからも聞いていたので

立ち寄るべきか迷っていました。

 

しかし、

走行ルート上避けた方が遠回りになるし、

大国の首都の様子を少しでも覗き見るべく

訪れてみることに。

 

 

ということで到着しました「アンカラ」。

気がつけばトルコ入国から5週間以上が過ぎ

中国に次ぐ長期滞在国になってます。

 

繁華街の中心に建てられているのは

現在も国民からの絶大な支持を集める

初代アタテュルク大統領の像。

 

 

 

やはり首都だけあって

トルコでは見たことのないほどの

高層ビル、

そして人の数。

活気に溢れています。

 

 

 

 

 

中心部にある城壁にのぼると

360°広がるアンカラの都市が

見渡せます。

あまりの広さに

その端は見えないほどでした。

 

 

 

 

 

 

 

クルッカレで出会った

うどん職人兼・織物職人兼・高校教師の

サヴァシさんから

「アンカラに友達いるよ」

ということで紹介してもらい、

お世話になったのは“アイジャンさん”。

 

 

 

まだまだ駆け出しだそうですが、

ファッションブランドを立ち上げ

自ら製作した服を販売している

デザイナーさん。

家がそのまま工房になっています。

 

 

 

 

当然、服飾文化の造詣は深く

日本の“藍染め”にも挑戦している

アイジャンさん。

こうして海外で日本文化に出会うと

誇らしい気分になります。

 

 

 

 

 

 

 

お邪魔させてもらったのは

アイジャンさんと

彼女のお手伝いをする友達が

共同生活をする

シェアハウスのようなところ。

 

 

 

 

都会らしく

モダンで何ともハイカラな部屋。

これまで色々なお宅に

お世話になりましたが

一番おしゃれな部屋でした。

 

 

 

 

 

 

 

この日はモデルとなる友人を招いて

ネット販売用の広告写真の撮影会。

リビングがそのままスタジオになります。

 

 

 

こないだ田舎の村で

のんびり暮らす人に

お世話になったばかりだけど、

都会の若者はエネルギッシュで

面白いことやるなあと

ぼんやり眺めてしまいます。

 

 

 

自分たちで撮ること自体が

初の試みらしく、

あーでもないこーでもないと

撮影はかなり長い時間に

およびました。

 

 

 

 

 

 

 

そして夜はなんと“巻き寿司”をつくることに!

こないだのうどんといい、

嬉しいことに日本食が続きます。

 

 

旅に出て実感しているのが、

我らが国民食“スシ”は

本当に世界中で愛されているということ。

 

この時だって、

「スシをつくろう!」と決まると

彼女たち歓喜に沸いていました。

 

「日本から来たんだよ」と伝えると、

“イチロー”よりも“ケイスケ・ホンダ”よりも

とにかく“スシ”なんです。

 

 

 

酢飯のつくり方や具材の味付けを

監修させていただきました。

レストランや居酒屋で

バイトしてて本当に良かった。

料理すること自体が

良いコミュニケーションになります。

 

 

 

海苔や乾燥シイタケも

流通しているトルコ。

これまであまり良い醤油に

出会えていなかったのですが、

トルコ産の醤油はかなり日本のものに

近くて美味しかったです。

 

 

 

アンカラの日本食レストランでは

たった6切れで

¥1,000近くもするそう。

手作りならば安くて旨い

スシが食べれちゃいます。

やっぱり日本食が美味しい。

 

 

 

 

 

 

ほんの1カ月前にやってきたばかりの国で、

ありがたいことに

人から人へと出会いをつないでもらっています。

 

 

険しい山と厳しい寒さの道中にあふれている

温かい出会いの数々のおかげで、

トルコは忘れられない国になりそうな予感。

 

 

 

日本人より日本人

2019.01.11

【232日目 8,700km】

 

 

大雪の中たどり着いたハミットの村を出て

親切なトールガさん一家に別れを告げると、

首都アンカラの方向へと走りだします。

 

 

 

前日の猛吹雪はぱったりと止み

綺麗な青空が広がっています。

一面に広がる雪景色が

クセになりつつあるトルコの旅。

 

 

 

時々あらわれる町を横目に

ひたすら進んでいきます。

ほどほどの起伏があるおかげで

身体があったまりました。

 

 

 

 

 

 

 

この日に着いたのは「クルッカレ」という街。

街の中心部で安いホテルはないかと探していると

とある男性が声を掛けてきました。

 

「ホテルは沢山あるけど、せっかくだしウチにおいでよ」

 

これまでに沢山の外国人旅行者を招いてきたという

彼を信用してお邪魔することにしました。

 

車で走る彼を7kmほど追いかけると

郊外のマンションに到着。

 

 

 

奥さんは近々引っ越す予定の

イスタンブールに先に行っており、

しばらく独りで暮らしているという「サヴァシさん」。

 

少し話しただけで

にじみ出る人柄の良さが感じられる人でした。

 

 

 

そんな彼の趣味は“織物”。

伝統工芸職人であるあばあちゃんから

直々に教わったという腕は

素人でもその精巧さが分かるほど。

リビングには自作の手織り機が

堂々と置いてありました。

 

 

 

羊毛を紡ぐところから

手作業でおこなう本格派。

トルコでもここまでやる人は

決して多くないらしく、

彼のもとにやってきた友人が

パシャパシャ写真を撮っていました。

 

 

 

 

 

 

実は、

織物好きのサヴァシさんの本職は学校の先生。

街の外れにある高校で英語を教えてるんです。

 

出会った翌日、

彼が教鞭をとる学校に出向き

授業に参加させてもらうことになりました。

 

校長先生にも許可をいただき、ワクワクしつつ

日も昇りきらぬうちからバスに乗って学校に向かいます。

 

 

 

山間部にある学校のため

交通手段はみんなスクールバス。

生徒や同僚の先生が

次々と乗ってきました。

 

 

 

 

 

いよいよ楽しみになってきたと思いきや

バスの中で残念なお知らせが…。

あまりに雪が深いため

この日の学校は

お休みになってしまいました。

 

 

 

 

学校にたどり着くことすらできず

バスはそのままUターン。

後々聞くと、

この日から3日連続休みになったそう。

この辺でも珍しいほどの雪とのこと。

我ながらよくこの中を漕いできたな。

 

 

 

 

 

 

プロ並みの織物師だったり、

僕の前職でもあった英語教員であったり、

色々と驚かされたサヴァシさんですが

一番の衝撃は奥さんと夫婦そろって

大の“日本フリーク”だということ。

 

特に日本食に関心が強いらしく、

「朝ごはんを食べよう!」と言ったとき

まさか卵焼き用の四角いフライパンが出てくるとは

思いませんでした。

 

 

 

学校が休みになって時間ができたので

一緒にうどんを作ることに。

「こっちの食材じゃ

和食のだしは再現できないよ」

と伝えると、海外ではほとんど見ない

“昆布”が出てきました。

 

 

 

「こんな田舎じゃ

日本の麺なんか売ってないでしょ」

と言うと、小麦粉を出してきて

“うどんの麺”を打ちはじめました。

 

 

 

 

 

「麺をのばす棒が要るよ」

と言ってすらないのに、

“麺棒”が出てきました。

もはやこの家にはなんでもある。

 

 

 

 

 

まさか故郷の日本から

数千kmも離れた異国で

人生で初めてうどんを打つとは。

うどん打ち体験に興味がある方は

トルコへどうぞ。

 

 

 

 

もちろん麺を切るための

包丁も出てきました。

ホント職人みたい。

実はトルコにも似たような

麺料理の文化はあるそうです。

 

 

 

 

箸も上手に使いこなし

見事に茹で上げてくれました。

茹でた後に冷水にさらすとこまで

もう完璧。

 

 

 

 

 

うどんだけじゃ寂しいので

親子丼もつくりました。

これは僕が作ったんですよ。

ホントに。

 

 

 

 

 

旅をしていて「日本が恋しい!」

と思う時の理由は食事。

摂取することで精神的余裕を取り戻し

旅を続けることができます。

まさかトルコの田舎で食べられるとは。

予想を大きく超えるほど美味しかった。

 

 

 

 

 

 

日本を愛し、

手打ちの麺を茹で、自作の袴を身に着ける。

そんなサヴァシさんは日本人よりも日本人。

 

 

ホテル泊が中心となっていた

冬のトルコの旅路。

ここにきて現地の人とのかかわりが増えてきています。

 

思わぬ場所での思わぬ出会い、

どれだけ味わっても飽きることがありません。

 

 

 

猛吹雪

2019.01.10

【231日目 8,638km】

 

 

カッパドキアでのんびりと年末年始の休みを過ごした後は、

再び自転車にまたがり西へと向かいます。

 

 

いよいよ2019年の走り始めと意気込んだこの日は

朝から強い風と雨。

出発を遅らせて

天気予報を確認しつつ空模様をうかがっても、

これから数日間天気は安定しないようなので

腹をくくって小雨のなかいよいよ出発しました。

 

 

 

道は決して過酷ではないものの

強い風のせいで

思うようにペダルを漕げません。

さらに時折強まる雨のため

休みを取りつつ

ゆっくり進みました。

 

 

 

予定の半分も走れなかったこの日は

「ハシベクタシュ」という

小さな田舎町で一泊。

通りを歩いても

誰一人すれ違わない淋しい町でした。

 

 

 

 

 

 

 

明くる日も曇天の下を走り始めます。

寒いし、気持ちのいい天気ではないですが

雪が降ってないのが救い。

 

 

 

走り始めてわずか3kmのところで

サドルに違和感を覚え、

自転車を確認してみると

およそ4カ月ぶりのパンク。

脇に建つ民家の軒下で

ささっと修理させてもらいました。

 

 

 

前日に到着予定だった

「クルシェヒル」に着きここで一泊。

トルコの田舎では1,000円前後で

割に良いホテルに泊まれるから

助かってます。

 

 

 

 

 

 

 

大変だったのが

カッパドキアを出発してから3日目のこと。

走り始めにパラパラと降っていた雨は

気がつくと雪に変わっていました。

 

 

この日走行予定の100kmをこなすために

急がねばとペダルを踏みしめますが

50kmを走った昼前ごろに状況は悪化。

猛吹雪に見舞われ、視界はほとんど奪われました。

 

 

 

みるみるうちに雪は積もっていき、

さすがに走行不可能と判断して

自転車を押しながら

助けを求めてたどり着いたのは小さな村「ハミット」。

 

 

 

ひと気のない村の通りを歩くと

ある建物に中年の男たちが集まっており

「ここで休んでけ」と、

声を掛けてもらいました。

 

 

 

 

 

建物の中に足を踏み入れると、

何やら無数の大人たちが

テーブルを囲んでおり

かなり活気が溢れています。

 

 

 

 

 

そこにいる人たちは皆

麻雀のような遊びに興じており、

どのテーブルも満席。

いわゆる“雀荘”のような所で

順番待ちの人もいるほどの

大賑わいでした。

 

 

 

キョトンと立ち尽くしていると、

「これに着替えろ」と

雪でびしょ濡れになった服の替わりを

用意してくれたり

昼ごはんまで食べさせてくれたりと

まさに至れり尽くせり。

 

 

 

ギャンブルに没頭する男たちの

ダーティな遊び場で出会ったのは、

トルコの心優しき

ジェントルマンたちでした。

平日の昼間から

ずっと遊んでたけど…。

 

 

 

 

 

 

そんな雀荘(らしき場所)で出会ったのは

近くに住む“トールガさん”。

「今夜はウチで泊まっていいよ」と、

優しく迎え入れてくれました。

 

 

 

同居する

おじいちゃん、おばあちゃん

との夕食。

思えばトルコで

地元の方の手料理をご馳走になるのは

はじめてのこと。

 

 

 

真ん中に座るのが

“トールガさん”。

雪に埋もれた小さな村で

ゆっくり穏やかな時間を

過ごすことがました。

 

 

 

 

経験したことのないような猛吹雪の中

1人ぽつんとたたずみ

一時はどうなることかと思いましたが、

そんな状況だからこそ与えられる

素晴らしい出会いってものがあります。

 

 

寒さはまだまだ厳しいけれど、

なんとか進んでいけそうです。

 

 

 

1年のはじまり、カッパドキア

2019.01.9

【227日目 8,473km】

 

 

パムッカレでの観光を終え、

再びバスに乗って“カッパドキア”に戻ってきました。

世界屈指の絶景を堪能しつつ

年を越すことにします。

 

 

 

ウネウネ、ニョキニョキと

不思議な形をした奇岩が

あたりに広がるカッパドキア。

 

 

 

 

 

 

火山の噴火によって

堆積した地層が

数万年という年月をかけ

風化、侵食され

この地が形成されたそう。

 

 

 

 

 

 

パムッカレから戻ると、

自転車で到着した時とうって変わり

奇岩群が雪をかぶっていました。

この時期ならではの貴重な風景です。

 

 

 

6,000~8,000年前には

人類が居住しはじめていた

といわれるカッパドキア。

岩肌には無数の穴があり

洞窟住居の形跡が残っています。

 

 

 

 

視界に収まる程度の広さだと

思っていたのですが、

じっくり見て回ると

バスに乗っても

とても1日では足りないほど。

 

 

 

 

奇岩群のなかに

ひっそりたたずむ

通称“ラクダ岩”。

ほかに

アザラシやライオンもいます。

 

 

 

 

 

 

世界遺産に登録されているカッパドキア。

実は、自然景観だけでなく

文化的価値もあわせ持った複合遺産として登録されています。

 

 

 

キリスト誕生直後の

2,000年前ごろ、

現地に根ざしていた土着の宗教を

押しのけるようなかたちで

定着したキリスト教。

 

 

 

地理的に、

イスラム勢力との衝突が多かったこの地域。

キリスト教徒は逃げ隠れるように

岩の中を暮らしの場として選びました。

 

 

 

教会や修道院、住居など

当時の生活を物語る遺跡。

現在、残っているのは

11世紀ごろに

建てられた(掘られた)

ものだそうです。

 

 

 

洞窟の中の壁には

藍やクルミを染料とした

色鮮やかな“フレスコ画”が

描かれています。

絵にダメージを与えないため

残念ながら撮影禁止でした。

 

 

 

 

 

カッパドキアの中心に位置し、

ホテルが密集していて観光の拠点になる町が

“ギョレメ”。

 

 

 

レストランや旅行会社など

世界各地からやってくる観光客を

ターゲットとしたお店が

ひしめき合っていました。

 

 

 

 

 

 

町中を歩いていても

そこら中に大きな岩が

ズシンとあらわれます。

 

 

 

 

 

 

かつての洞窟住居も

現在はその多くが

旅行者を迎えるためのホテルへと

改築されています。

 

 

 

 

宿泊したホテルの相部屋。

岩を掘っているので窓はなし。

ヒンヤリして寒いのかと

思ってましたが、

保温性があるのか意外と

暖かったです。

 

 

 

 

 

カッパドキアの名物料理

“テスティケバブ(壺焼きケバブ)”。

ふたのついた壺を

トンカチでパッコンと割ります。

 

 

 

 

 

中から出てくるのは

肉と野菜の煮もの。

羊肉、鶏肉もありますが

このとき食べたのは牛肉。

串焼きのケバブにくらべマイルドで

寒い季節にぴったりの1品です。

 

 

 

 

 

ギョレメ滞在中にお世話になっていたのが

ムラートさんと日本人・りょうこさんの

ご夫婦が営む旅行会社 “Bridge Of The World”。

 

 

日本で出会ったお二人が4カ月ほど前にはじめたお店には、

沢山の日本人旅行者の方が

観光ツアーや気球などのアクティビティーを

申し込みにやってきていました。

 

 

貧乏旅行ゆえに

いくつものツアーには

参加できなかったにもかかわらず、

訪れるたびチャイでもてなしてもらい

すっかりくつろぎの場となりました。

 

 

 

 

大晦日の夜には

元コックでもあるムラートさんの

手料理をごちそうになりました。

おかげで楽しい年越しを

過ごせました。

 

 

 

強引な客引きやぼったくりも多い

海外の人気観光地にありながら

安心の日本人スタッフ駐在のお店です。

 

カッパドキアご訪問の際は、ぜひお立ち寄りください!

https://www.instagram.com/bridge_of_the_world

 

 

 

お店で出会った日本人の方々と

町を見下ろす丘の上で年越しのカウントダウン。

 

町中のあちこちから無数の花火が上がる様子は

1年に1回きりのド派手な光景。

2019年は最高の幕開けでした!

 

 

いつもよりちょっと贅沢なホテルでのんびり充電したら

今年もいよいよ走りはじめます!!

 

 

 

2018年、走り納め

2018.12.29

【221日目 8,473km】

 

トラックに乗ってやって来たシワスで3日間過ごしたのち

再び自転車に乗って進みはじめます。

 

 

 

標高が1,000m近くまで下がっているので

遠くを眺めても雪は見当たりません。

気温も5℃くらいまで上がって

少し漕ぐと暑さを感じるほど。

 

 

 

久しぶりに123kmと

長距離を気持ちよく走ったこの日は

「ゲメレク」という田舎町で1泊。

心地よい疲れの中

ゆっくり眠りました。

 

 

 

 

翌日も平坦な道を80kmあまり走り

トルコ中部の大都市「カイセリ」に到着。

有名な観光地もないので

翌朝すぐ発つことにしました。

 

 

 

 

 

 

 

シワスから続けて走ること3日目。

久々に爽快な青空が広がったこの日は

2018年最後の走行、

今年の走り納めです。

 

 

 

大都市カイセリから

400mほど標高の高い台地。

霊峰“エルジェス山”を背に

進んでいきます。

 

 

 

 

 

この日の行程は短めの70kmほど。

旅が始まった今年、

思えば遠くへ来たもんだと

しみじみ感じつつ

ペダルを漕ぎつづけました。

 

 

 

 

15時頃、目的地である村

「ギョレメ」に到着。

村の中には奇妙な岩が

ウニョウニョと生えています。

 

 

 

 

 

 

 

高台から見下ろしたギョレメ。

 

実はこの村、奇岩群が織りなす絶景で

世界的にも有名な観光地“カッパドキア”の

ど真ん中に位置しているんです。

 

年末年始の冬休みということで、

しばらく自転車を置いて

ここでのんびり年越しを過ごしたいと思います。

 

 

 

ユーラシア大陸を渡る中でも楽しみにしていたカッパドキア。

 

早速じっくりと観光したいところでしたが、

年越しまでしばし日にちもあるということで

はやる気持ちを抑えつつ

まずはバスに乗って遠く離れた別の観光地へと

足を伸ばすことにしました。

 

 

ところが

向かう道中ちょっとしたハプニングが…。

 

 

 

予定通り走りはじめた

ギョレメ発の夜行バスは、深夜0時に

とあるターミナルでなぜか停車。

トルコ語のアナウンスが流れますが

よく分からないので

そのまま寝入ってしまいました。

 

 

 

到着予定の朝6時、目を覚ますと

そこはまだ

深夜に停まったターミナルのまま。

実はこの時、広範囲で大雪が降り

先の道路で大勢が病院に運び込まれる

大事故が発生し道路網は大混乱。

 

 

 

停車してから約12時間後の正午。

待ち続けた末、警察の通行許可がおり

半日ぶりに走りはじめたバスは拍手喝采に包まれました。

 

本来、早朝に着く予定だったのですが

遅れながらもその日の夜7時に何とか目的地に到着。

 

 

 

 

 

ギョレメから西へおよそ500km、

やってきた観光地は

「ヒエラポリス-パムッカレ」。

 

 

 

紀元2~3世紀、

2000年近いほどの昔に反映した

古代ローマ帝国の遺跡群。

石造りの宮殿が崩れながらも

所々その姿を残しています。

 

 

 

 

なかでも圧巻は

丘の上に立つ半円形の劇場。

最上部からすり鉢状の底にある

舞台を見下ろすと

その大きさが感じ取れます。

 

 

 

 

 

 

そして、

ヒエラポリス遺跡観光の目玉ともいえるのがこちら

「パムッカレ」。

 

溢れ出る温泉水に含まれる石灰によって

丘の斜面に大きなお皿が幾重にも重なった棚田のような

絶景が出来上がったそうです。

 

 

 

しみ出るお湯の温度は

38℃ほど。

石灰岩を汚さないよう

皆はだしになります。

 

 

 

 

 

かつてはローマ帝国の

温泉保養地として栄えたパムッカレ。

数百人の兵士たちが同時に浸かって

汗を流したそうです。

 

 

 

 

 

冬場の石灰岩の上は

すっかり冷えきっています。

脇の水路を流れるお湯に足を浸すのが

本当に気持ち良い。

 

 

 

 

 

 

 

数年前まではお皿の1枚1枚に

しっかりお湯が溜まって、

石灰の白と水の青がより美しい絶景を作り出していた上に

深い所では全身浸かることもできたとか。

 

 

 

しかし、

開発が進み周囲に建つホテルたちが

温泉水をひいたことで

パムッカレは干上がりつつあるそう。

お湯を返せ。

 

 

 

 

 

 

バスで一緒になった中国の方と。

 

干上がりかけていることで

「がっかり遺産」なんていう前評判も聞いておりましたが、

上から見下ろす景色は綺麗だし

のんびり足湯につかるのも気持ち良くて

しっかりパムッカレを満喫させてもらいました。

 

 

再びバスでギョレメに戻り、

今度はカッパドキアを楽しみたいと思います!

 

 

ということで2018年の自転車旅はこれにて終了。

それでは、皆さん良いお年を!

 

 

師走にシワス

2018.12.27

【212日目 8,190km】

 

 

エルジンジャンを出て

次の街を目指します。

 

予定ではここから3日間かけて

1,000mの峠を2つ超えるという

トルコ入国以来の過酷な道のりを行くつもりでした。

…つもりでした。

 

 

ところが、

出発から30kmほどのところで

上り坂を一生懸命漕いでいたときのこと。

 

 

後ろからやってきた大きなトラックの運転手が

クラクションを鳴らして合図をしてきました。

「ここからは坂がキツいし、ひどい寒さだ。」

 

それでも道路に雪はないし

何とか自力で進む意思を伝えると、

「やめとけ、街まで乗っけてやる。」

 

 

地元の人がやめろって言ってるし

人の優しさを無下にできないし

ということで、迷いながらも

お言葉に甘えることにしました。

 

 

 

 

 

厳冬の険しい道をゆけるのも

こうやって

いざという時の助けがあるからだと

感謝を抱きつつ車体に揺られました。

 

 

 

 

 

しかし、

トラックの助手席に座りながら

雪景色を眺めていると

胸の中にはモヤモヤが。

 

 

 

 

確かに寒そうだし、坂も急だけど

「これなら自転車でイケてた」とぼんやり思ったんです。

ここに来るまでに

2,000mの峠も越えてきたし、

氷点下のアイスバーンの道も走ってきたし。

 

現地の人の言うことをきくのも大事だけど、

それと同じくらい

自分を信じて突き進むのも大事だと強く実感しました。

 

 

 

ただ、

言葉も通じない見ず知らずの旅人を

放っておけない暖かい人情が

トルコの人々の心に

宿っているのを感じました。

“アルメットさん”本当にありがとう!

 

 

そんなことを考えつつ

気づけば泊まるつもりだった村を過ぎ

トラックはどんどん目的の街に近づきました。

 

 

 

3日間の行程をすっ飛ばしてやって来たのは

トルコ東部最大級の都市“シワス”。

「師走」に「シワス」です、ダジャレなんです。

 

 

街の中央通りには

ブティックや高級レストランも立ち並び

これまでのトルコの都市と比べても

かなり発展していて賑やかです。

 

 

 

 

 

近代的な建物がたち

自動車が行きかう景色の真ん中に

堂々たるモスクがそびえ立つのも

シワスの特徴。

“これぞトルコ”といった街並みです。

 

 

 

 

さらにこのシワスから100kmあまり離れた街に

「ディヴリーイの大モスクと病院」という、

イスラム建築の最高峰ともいわれ

世界遺産にも登録されている

800年前の遺跡があるんです。

 

 

ホテルのスタッフや街中で会った人も

「あの建築は素晴らしい」「ぜひ見ておくべきだ」

と口を揃えて絶賛するほど。

 

英語の通じない人が多いなか

何とか行き方を調べ、

2時間半バスに乗ってたどり着きました!

 

 

はい、改修工事中。

立ち入り禁止。

 

 

「日本からはるばる来たんだぞ!」

と、無理を言って

敷地内には入れてもらいましたが

鉄骨と屋根に覆われて

ほとんどなにも見えません。

 

 

 

 

帰り際に振り向いてみましたが

やはり何も見えません。

改修が終わるのは2年後だそう。

というか、バスの運ちゃんか誰かが

「今は見れないよ」って

教えてくれてもいいと思うんですけど。

 

 

 

 

そんなこんなで数日間過ごしているシワス。

あっという間に過ぎてしまう師走。

 

今年もあと少しですな。

 

 

 

白銀をゆく

2018.12.25

【209日目 8,154km】

 

エルズルムの街を3日間ほど堪能したのち

次なる場所へと走りはじめます。

 

 

 

エルズルム周辺はこれまでより標高が低いので

寒さも和らぎ雪も少ないのではと予想してたのですが

出発前夜に激しい雪が降り

走りはじめるとやっぱり白銀の世界。

道路も泥まじりの雪でビチャビチャでした。

 

 

 

 

 

日本ではなかなか

お目にかかれない規模の雪原を

横に見ながら

延々とペダルを漕ぎます。

 

 

 

 

 

深い雪景色のなかに

突如ぽつんと現れる町や村。

レストランで休憩すると

寒さゆえに

休み終えて出発するのが億劫になります。

 

 

 

 

 

 

起伏の多さは相変わらずで

この日も400mほどの峠を越えました。

重いペダルを必死に漕ぐのはつらくても

のぼっている最中は体が温まるので寒さを感じません。

 

峠の頂上から眺める

雪をかぶった山々が波打つように連なる風景は息をのむ素晴らしさ。

この季節ならではの光景です。

 

 

 

 

 

下りの坂も急傾斜すぎず

気持ちよく滑り降りていきます。

標高が下がるにつれ雪も減っていき

走りやすくなりました。

 

 

 

 

 

90kmほど走行したこの日は

「タルチャン」という

小さな町に泊まることに。

 

 

 

 

 

 

日が暮れ始めると

通りにはほとんど人がいなくなります。

地元の人も

家に閉じこもりたくなる寒さ。

 

 

 

 

 

 

 

明くる日も西へ向かって走ります。

標高も1,500mを下回ると雪はなくなりました。

1日中走っても雪を見なかったのは久々な気がする。

 

 

 

 

ゆるやかな下りがほとんどの道のりを

90km走ってたどり着いた町が

「エルジンジャン」。

 

 

 

 

 

 

大きすぎず小さすぎずの中級都市

といったところでしょうか。

ここしばらくどの町にも

安いホテルがたくさんあるので

宿探しがとても簡単で助かってます。

 

 

 

 

 

 

街中にはとくに見どころはないのですが

少し離れたところに地元の人に人気の観光スポットがありました。

 

エルジンジャンの町から20kmほど、

バスで1時間弱揺られたところにある「ギルヴィクの滝」。

 

小さな滝がいくつも集まっており

あちこちから水が流れている不思議な景色で

“トルコで1番美しい滝”とも言われているそう。

 

 

 

気温が氷点下近くまで下がるこの時期は

滝の凍った姿が見れるかもと

期待して向かいましたが

結果は、“半凍り”でした。

岩の壁を伝い落ちる水が

ところどころ凍っています。

 

 

 

1m以上はあろうかという大きなつららが

何百、何千と並んでぶら下がる

幻想的な光景。

まさに

自然が作り出した芸術品です。

 

 

 

 

 

こごえる寒さのサイクリングにも慣れつつあり、

冬ならではの魅力を何とか見出せそうです。

 

ただ、

これからもっと雪が降り積もって道が閉ざされたら

この旅はどうなってしまうのでしょうか。

 

どうしよう。

 

 

 

エルズルム到着

2018.12.21

【204日目 7,964km】

 

ホラサンを発ち、

さらに西へと進んでいきます。

 

 

 

ここしばらく天気は良好。

冬の青空は空気が透き通って清々しい気分で走れます。

 

この日は平坦に見えて

ゆるやかな上り坂がずっと続いていました。

90kmの道のりのほぼすべてが上りで

太ももには着実に疲労が溜まっていきます。

 

 

 

 

 

7時間にわたり

ゆっくりゆっくり上り続けて

たどり着いた所が「エルズルム」。

トルコで最初に訪れた都市・カルス

を上回るほどの大きな都市です。

 

 

 

 

ホテルやビルが乱立し

沢山の車が行き交っています。

ヨーロッパとの距離が近いからか

よく目にするのは

BMW、フィアットなどの欧州産。

もちろんトヨタや日産も走ってます。

 

 

 

標高1,500mの高所にあることから

スキーリゾートでも有名なこの街からは

すぐそこに雪山も望めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

街中には近代的なビルだけでなく

イスラム教の歴史ある建築物も堂々たる存在感を表しています。

 

2本の塔が印象的なコチラは“チフテ・ミナーレ・マドラサ”。

イスラムの神学校ですが

石造りの重厚な見た目はどこかアルメニアの教会にも似た雰囲気。

宗教は違えど地理的に近いことで

互いに影響を与え合ったのでしょうか。

 

 

神学校の近くにある3つの尖塔

“ユチ・キュンベット”は

細かい彫刻などの装飾がなされた霊廟なのですが

誰を弔ったものかは分かっていないそうです。

 

 

 

 

 

街の中心部には

ショッピングモールもあります。

中央アジアなどの商業施設は

たいてい閑散として空虚感が漂うのですが

こちらは割と賑わっていました。

 

 

 

 

フードコートには

旅の始まり中国以来のマクドナルドが!

日本生まれでも何でもないけれど

久々に見るとちょっと落ち着きます。

 

 

 

 

 

“マンガルバーガー”なるものを注文。

若干ケモノ臭かったので

おそらく羊肉のバーガーです。

セットにナゲットを加えて約400円。

激安ではないですが

やはり日本の相場に比べると安い。

 

 

 

 

 

中央アジアからイラン、コーカサスにかけて

単調な食事が続いておりましたが

中華料理、フランス料理に並んで

“世界3大料理”の1つに数えられるトルコ料理。

確かにその食材、味はこれまでの国よりも豊か。

ここ数日で味わったものをご紹介します。

 

 

“キョフテ”

羊や牛の挽き肉を

卵と玉ねぎをつなぎにしてこねて焼いた

まさにトルコ風ハンバーグ。

空腹時にガツンと食べ応えありです。

 

 

 

 

“バルク・ウズガラ”

そのまんま「魚の塩焼き」です。

この時は食べたのはカツオでした。

黒海、地中海に挟まれたトルコは

海鮮料理も豊富。

レモンを絞ってどうぞ。

 

 

 

“マンティ”

小麦粉でつくった皮で

挽き肉などの具を包んで茹でた

トルコ風ギョウザ。

トマトソースとヨーグルトをかけて

あっさり召し上がれ。

 

 

 

“ピデ”

パン生地にお肉たっぷりの具と

チーズをのせて焼いた料理。

ピザの原型だという説もあるとか。

濃厚で結構お腹にきます。

 

 

 

 

“ストゥラッチ”

お米のはいった

トロットロの焼きミルクプリン。

甘さたっぷりの定番スーツは

脂っこい肉料理の後にピッタリ。

 

 

 

 

 

ここエルズルムの名物料理として有名なのが「ジャー・ケバブ」。

焼肉料理を総称して“ケバブ”と呼ぶそうですが、

こちらはマリネ(酢漬け)した羊肉を

回転させながらローストするもので

垂直ではなく横方向にして焼くのが特徴。

 

 

薄切りにしたものが鉄串に刺さった状態で提供されます。

塩をパパッとかけるだけのシンプルな味付けなのですが

肉の旨みたっぷりでこれまた美味しい。

 

 

このように種類豊富なトルコ料理。

味覚は国や文化によってそれぞれなので

どれが美味しいとは一概には決められませんが、

料理に対してどれだけ工夫するか、手をかけるかという点で

これまでの国のなかでも

中国とトルコは群を抜いていると感じます。

 

しかしトルコ料理はまだこんなものではありません。

西に向かえばさらなるグルメがあると聞いております。

 

究極の食を求める旅、

まだまだ続きます。

 

 

 

寒さ増してくトルコの道

2018.12.16

【202日目 7,877km】

 

カルスで2日間ほど身を休めたら

西に向かってまた走りはじめます。

 

 

 

日に日に下がっていく気温。

知ったところで良いことは何もないから調べてすらないですが

おそらく1℃か0℃くらいでしょうか。

 

吹く風は冷たいけども

走行中に雪が降っていないのが救いです。

 

 

 

 

 

夏のように体力を使い切ってしまうと

バテて風邪をひくのがこわいので

毎日少しづつ進むことにしています。

この日もわずか60km足らずを走り

「サルカムシュ」の町に到着。

 

 

 

 

たどり着くまでの道路に雪はなかったのに

町の中は雪がどっしりで

歩道はかっちかちのアイスバーン状態。

しかも坂の多い所だったので

自転車を押すのも一苦労です。

 

 

 

 

面白いのが

通りを歩く現地の人も

ツルツル滑りまくって

コケそうになってること。

この場所で幾度冬を越せども

全然、雪に慣れてない様子です。

 

 

 

 

 

イランを離れてから

アルメニア、ジョージアの人はシャイなのか

あまり声を掛けられることはなかったのですが、

トルコに入ってまた明るい笑顔とともに

声を掛けられることが増えた気がします。

 

 

夕食時のレストランで同席した地元の女子学生。

散々キャッキャと話したあとで

「写真送っといてねー」と言い放ち去っていきました。

 

親日国として知られるトルコ。

陽気でフレンドリーな人が多いです。

 

 

 

 

 

翌日早くに走りはじめると

空気は前日よりも

ぐっと冷え込んでいました。

ついに道路も

凍ってアイスバーンになってます。

 

 

 

 

主要道路を外れて

車の少ない道をひとり寂しく漕いでいると

横を列車が走っていきました。

写真を撮っていると

中から手を振ってくれるたくさんの人。

こんなちょっとしたことで元気が出ます。

 

 

 

 

 

 

雪の積もった峠を越え

冷たい風にさらされながら

長い下り坂をおりると

小さな集落にたどり着きました。

 

 

 

 

 

通りに立つおじさんに「休んでいきな」

と呼び止められ建物の中へ。

ごうごうと燃えるストーブに

あたりながら飲む甘いチャイ(紅茶)は

前に進む活力を与えてくれました。

 

 

 

 

 

 

さっきまで真っ白だった景色が一変。

平坦な道はなく常にアップダウンを繰り返しているので

1日走っているあいだに

雪があらわれたり突然なくなったり。

汗をかいたり、こごえたりと体温調整が大変です。

 

 

この日もおよそ70kmを走り「ホラサン」の町に到着。

立ち寄ったレストランの愉快な店員さんたちが

教えてくれたホテルに向かいベッドに倒れ込みました。

 

 

世界を旅するサイクリストの悩みの種が“野犬”。

 

彼らのテリトリーに入ると

野生の咆哮とともに親の仇でもあるかのごとく

執拗に追われるわけですが

こっちから「おいでおいで」すると

意外となついてくるものだと最近発見しました。

 

犬って顔は怖くても、

根はいいヤツが多いです。

 

 

 

冬山の洗礼

2018.12.15

【199日目 7,747km】

 

国境付近の町「チュルドゥル」を出発し、

いよいよアジアからヨーロッパへの玄関口である

トルコのサイクリングがはじまります。

 

しかし、意気揚々と走りだしたトルコの道に

冬山の厳しさをまざまざと見せつけられました。

 

 

 

ホテルを出てしばらく走るとそこに綺麗な湖。

透き通る空の下で

気持ちの良い湖畔のサイクリングが楽しめたのも

ほんの束の間のこと。

 

ここからわずか30分ほど走ると

天気は急変し、あたりは雪に覆われ

台風並みの暴風が吹き荒れ始めたんです。

 

手はかじかみ耳はちぎれそうなほど冷え切っているうえ

激しい風で前には進めず後ろにも戻れずまさに絶体絶命!

(カメラを取り出す余裕もありませんでした…。)

 

困り果てていたその時

後ろから1台のワゴン車が通りがかり、

降りてきたドライバーは無言のまま

後ろのトランクを開ると

ジェスチャーで「自転車をのせろ!」と

示してくれました。

 

さっきまで広がっていた青空が

一瞬で灰色の雲に覆われ強風が吹くとは

さすがに山の上。

予想のできない天候は

冬山の油断できないところです。

 

湖から標高が300mほど下がり

雪も減り、風が穏やかになったところにある

小さな町でおろしてもらいました。

 

 

 

車をおりてすぐレストランで食べた牛肉とジャガイモのスープ。

芯まで冷えきった体にしみわたる美味しさでした。

 

 

しっかり体力も回復して

相変わらず冷たい風が吹くなか40kmを走りました。

 

 

 

たどり着いた

トルコ最初の都市は「カルス」。

7万人ほどが住む

トルコ東部最大級の都市です。

 

木もはえない荒野のような風景のなか

どこかから街をまるごと持ってきたかのように

とつぜん都会になりました。

 

通りを歩けば活気に溢れていて

笑顔で声を掛けられます。

アルメニアの首都エレバン以降

あまり元気のない場所が続いていたので

街歩きの楽しさがよみがえりました。

 

 

オスマン帝国の前身である

“セルジューク・トルコ”時代の要塞などの

歴史遺跡もあるカルス。

ヨーロッパからの観光客もいました。

 

イスラム教国家であるトルコにありながら

アルメニア式の教会もあります。

まだ国境からさほど離れていないので

周辺国の文化が交わっているよう。

 

 

 

宿泊先のホテル。

夜が氷点下まで下がるようになってから

野宿や現地の方の家に泊まったりする

機会が減ってます。

 

寒いせいか自転車で走ってても人を見かけることが少なく

地元の方々との交わりも少ないです。

 

ホテル泊はゆっくり休めるし、気楽だけど

ワクワクもちょっと少ない。

 

冬は淋しい季節だ。

 

 

 

 

あっという間のジョージア、そしてトルコへ!

2018.12.11

【197日目 7,692km】

 

 

無事アルメニアを出国してやってきたのは

8ヵ国目となる「ジョージア」。

国境から40kmほどの田舎町「アハラカルキ」に到着しました。

 

特に観光地もない静かな町です。

これまで山中では部分的に雪が降り積もっている所はありましたが

いよいよ町中にもちらほら雪が見えるようになりました。

 

このジョージア。

ワインや伝統料理が評判で長居する観光客もいるそうですが、

これから厳しい冬を迎えるうえで

自転車での進行速度が鈍ることが予想されるため

観光はせず早々と次のトルコに向かうことにしました。

 

アルメニアから直接トルコに入ればよいのですが、

隣り合う両国の関係が悪く国境が閉鎖されているので

一度ジョージアに入国する必要があったのです。

 

アルメニアの山々によって疲労困憊状態のため

この町で3日ほど休憩。

美味しそうなレストランもないので毎日自炊しとりました。

 

 

疲れが癒えたらいよいよ出発。

いちおう道路には雪はないですが

見渡す限り真っ白の景色のなかを走りだします。

 

交通量が少ないうえに、雪が積もっていることもあって

あたりは本当に静寂の世界。

寒さと同時に清々しさも感じます。

 

 

不思議なことに、

若干の起伏がある程度でほとんど標高は下がっていないのに

ある丘を越えると突然雪が消え去りました。

 

「アハラカルキ」の町を出発してから30kmほど走ると

ジョージア-トルコ国境に到着。

 

ジョージアに入る際はかなりスムーズに入国できましたが、

ここではかなり入念な荷物検査を受けました。

数年前にはテロが起こっていたり、

シリアの隣でもあるトルコ。

警備の目を光らせているのが感じ取れます。

 

 

いよいよ国境を越えて入国すると

一気に400mをのぼる峠が待っていました。

本当に休む間を与えてくれません。

 

ここしばらく標高1,500~2,000mのあいだを

ひたすら上ったり下りたりしています。

そして気温は5℃から-5℃。

走っている最中は身体も温まっていますが、

少し止って休むと一気に冷え込みます。

 

 

峠を下った先にあるのが「チュルドゥル」という町。

声を掛けてきた警察が町はずれのホテルへと案内してくれました。

 

1泊1,200円なので

物価はこれまでの国とも大きくは変わらない様子。

 

 

入国後、記念すべき1食目の食事は

やっぱりケバブ。

イランには失礼ですが、ケバブの味はトルコの勝ち。

 

 

ということで

アジアとヨーロッパが出会う国、

地中海と黒海に挟まれた大国“トルコ”の旅がはじまります!

 

 

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