Cycling The Earth ~自転車世界一周の旅~

日記

首都エレバン

2018.11.26 | 7 アルメニア

【183日目 7,384km】

 

 

タテヴ修道院への観光も終えて

いざ首都エレバンに向かおうとすると、再び雨と霧。

時期的にどうしても悪天候は避けられないようです。

 

朝一晴れてたからと自転車に乗って出発したのですが

山のうえへと進んでいくにつれ天気は悪化、

雨と強風にあおられて宿に戻ってしまうほど。

 

このままでは先に進めないので

やむを得ずバスに自転車を載せて移動することを決心しました。

 

バスといっても実際は大きめのワンボックスカー。

現地の人に任せた結果、

自転車を無理やりトランクにぐいぐい押し込められてしまいましたが

何とか載せて移動することはできました。

もう二度とやりたくない。

 

 

ゴリスから北西に約200km、バスでおよそ4時間。

アルメニアの首都エレバンにやって来ました!

 

首都だけにそれなりに活気があって賑やかですが

人であふれかえっているほどではなく過ごしやすそうな雰囲気。

街や建物の様子を見ると、

イランからぐっと西欧に近づいたように感じます。

 

行き交う人の顔つきはロシア系。

アルメニア語という独自の言語が話されてますが

聞くかぎりロシア語との共通点も多いよう。

文字はロシアのキリル文字をもっとクニャクニャさせた感じです。

 

街中にどしっとそびえ立っている大聖堂。

昼間からお祈りに訪れる人も多くおり、

改めてキリスト教が深く根付いた場所であることを感じます。

 

 

 

エレバン到着の翌日、さっそく口にしたのは

数百年前からアルメニアに伝わる伝統料理「ウドン」。

(嘘ですよ。)

 

あっさりのカツオ出汁とシコシコの麺、

そして上にのっかるのはサクサクの衣に包まれたかしわ天。

それは故郷を思わせる懐かしい味。

 

4年ほど前からオーナーの櫻田さんが営む日本食レストラン、

その名も「SAKURADA」。

日本からの旅人だけでなく、日本の食文化に興味を持つ現地人にも

愛されるレストランです。

 

キルギス以来3カ月ぶりの和食でしたが、

やさしく芳醇なだしの味は五臓六腑にしみわたります。

もう毎日うどん食べながら旅したい。

 

 

 

エレバンから郊外へと足をのばして

観光にやってきたのが「ゲガルド修道院」。

山間にぽつんとたたずむ修道院です。

 

そして、世界遺産にも登録されているこの修道院を

有名にしているのが“ロンギヌスの槍(やり)”の存在。

 

 

およそ2,000年前に磔に処されたイエス・キリスト。

刑が処されたあと、キリストの死を確認するために

亡骸の脇腹を槍でツンツンしたのがロンギヌスという兵士。

浴びた返り血によって

ロンギヌスが患っていた白内障が治ってしまったのだとか。

 

そして、その時に使われた

“ロンギヌスの槍”の一部が発見されたのがここゲガルド修道院。

槍を意味する“ゲガルド”がそのまま修道院の名前になっています。

 

本来であれば少し離れた別の修道院にその槍は展示されていますが、

現在はニューヨークの博物館に貸し出し中。

この旅でニューヨークを訪れるのは1年以上先になるのですが

その頃には槍はアルメニアに戻ってきているそう。

 

追いかけても追いかけても、逃げていく槍。

 

先日訪れた崖の上のタテヴ修道院しかり、

谷間に佇むゲガルド修道院にしかり、

たどり着くにはアクセスの悪い場所にあるのが特徴。

 

かつての僧侶たちは神に近づくため、

俗世間から離れて生活していたということでしょうか。

修道院がなおさら神秘的な雰囲気を帯びている要因です。

 

 

エレバン滞在中にお世話になっている「リダの家」。

 

数年前に宿泊先に困っていた日本人旅行客を泊めて以来、

日本からの旅人を受け入れているリダおばあちゃんとその一家。

ホテルでもゲストハウスでもなく、ここは「リダの家」なんです。

 

アルメニアを訪れる旅人たちには有名なため

複数のバックパッカーの方々が集まっています。

おかげでみんなで鍋をしたりと楽しいひと時を過ごせました。

 

 

穴の開いたズボンを直してくれるリダおばあちゃん。

 

コーヒーを淹れてくれるリダおばあちゃん。

 

このやさしさにどれだけの人が癒されてきたことだろう。

いつまでも元気で長生きしてね。

 

 

 

ついに晴れ間が

2018.11.23 | 7 アルメニア

【179日目 7,384km】

 

あいもかわらず霧に包まれた山間の町「ゴリス」で

どこにも行くことができず

悶々と宿で過ごすこと3日間。

 

劇的に天気が回復する見込みもなく

いっそのこと次の町へと進んでしまおうかと

考え始めた4日目の朝のこと。

窓から外をのぞくと、空にはわずかな晴れ間が!

 

 

到着以来、その姿をおがむことのなかったゴリスの町。

高台から見下ろしてみれば

山を背景に家々がずらっと立ち並ぶ景色が美しい場所です。

 

 

まだまだ完璧な天気とはいえませんが

いつ雲に覆われるかもわからないので、

さっそく念願の観光スポット「タテヴ修道院」へと向かうことにしました。

 

ゴリスの町からタクシーで10kmほど、

山の頂へと続くロープウェーに乗ります。

 

麓と崖の上の修道院を結ぶこちらのロープウェー

“Wings Of Tatev(タテヴの翼)”。

 

中継地点を持たないロープウェーとしては

世界最長を誇りその距離じつに5752m。

ギネスブックにも登録されています。

 

閑散期とあって、地元の観光客の方が数名のみでしたが

夏場は満員でこれに乗り込むそう。

 

中国でもロープウェーに乗りましたが、

地上数百mの高さで宙ぶらりんの状態がつづくのって

あまり落ち着くものじゃないです。

安心のスイス社製ですが…。

 

とはいいつつ、地上の谷や川を見下ろすのは

なかなか乙なもの。

まさに鳥になった気分で空の旅を満喫しました。

 

 

そして、たどり着いた先には崖の淵に建つ「タテヴ修道院」。

山に囲まれた場所にたたずむ姿から放たれる独特の存在感。

すべて石でできた武骨なルックスもあって、

ずしっと重厚感を醸しています。

 

中に入ってみれば荘厳な空気が漂っていました。

 

このタテヴ修道院が建てられたのは9世紀ごろ。

建設からすでに1,000年以上が経過している歴史深い建物です。

かつては600人近い僧侶たちが共同生活を送っていたのだとか。

 

敷地内には、地震や敵の襲来(ひずめの振動)を

感知する機能を備えた柱もあったそうです。

 

 

近くの丘から見たタテヴ修道院。

 

日本人にとってあまりなじみのないコーカサスの小国アルメニア。

この国を象徴するのが「タテヴ修道院」に代表される

教会や修道院などのキリスト教関連施設です。

 

イラン、トルコというイスラム教国家と隣接していながら

西暦301年に世界で初めてキリスト教を

国教として定めた国でもあります。

 

“アルメニア正教会”とも呼ばれる独自の宗教文化を築いたが故に

悲しい歴史を持つことにもなるのですが…。

(また後ほど。)

 

 

観光を終えるとゴリスの町に戻りました。

 

連日天気に恵まれなかったゴリスで

お世話になっていた“Aregak Guest House”。

そして、名物女将にもなっているのがお母さん“マリエッタ”。

到着した瞬間から熱いハグで出迎えてくれました。

 

壁にしたためられた

旅人からの感謝のメッセージの数々が

物語っているこの宿とマリエッタの魅力。

 

なかなか外に出ることもかなわず

毎日のようにマリエッタの手作りスイーツを堪能していました。

 

この宿がアルメニアで一番思い入れのある場所になるかも。

 

 

 

何も見えない

2018.11.20 | 7 アルメニア

【177日目 7,384km】

 

 

「カパン」の町で一休みをして

大きな峠を越えた勢いそのままに意気揚々と走りだそうとしたその日、

コーカサスの大地は決して優しくありませんでした。

 

 

「ゴリス」という町を目指して朝早く宿を出ると

雲が空を覆い、小雨が降っています。

 

旅をするうえで

多少の暑さや寒さ、雨に雪は覚悟をしているつもりですが

この日の出発からわずか5kmで行く手を阻んだのは“霧”。

ほんの20~30m先が見えないほど濃く深い霧が

一帯を覆い尽くしていました。

 

視界が奪われた中、蛇行しながらアップダウンを繰り返し

さらに車も行きかう山道を走るのはあまりにも危険と判断し、

やむを得ずタクシーでの移動を決断しました。

 

地元のドライバーは慣れているのでしょうが

助手席に座っていると、

どこを走っているのかわからず、ギリギリまで対向車の姿も見えず

命の危険すら感じる極限のドライブです。

 

 

肝を冷やしながら1時間ほどで目的の町「ゴリス」に到着しました。

ほんの少しだけど標高が下がるぶん霧もはれていると思いきや、

やはり町全体に立ち込める深い霧。

 

古くから山間に存在する歴史ある町だそうですが、

どんより沈んだように感じます。

おまけに雨でろくに散歩もできず。

 

 

 

この町にやってきた旅人たちが目指すのは

少し離れた山にある「タテヴ」。

崖の淵に建つ教会が絶景と評判の観光地で

期待に胸が膨みます。

 

天気なんて日々移り変わるもの。

そのうち晴れるだろうとゴリスの町で

1日過ごし2日過ごし、太陽の姿を首をながくして待っていました。

 

ところが、

国土のほとんどが標高1,000m以上という山岳国家アルメニア。

待てども待てども、一瞬たりとも霧がはれることはありません。

 

 

 

同じ宿に滞在していたドイツ人バックパッカーの方と

何もしないまま過ごしていたところ、

「ここならあまり霧も出てないはず!」という宿主のアドバイスを受け

タクシーで近くの観光地に行くことにしました。

 

そこは、

吊り橋が掛かった谷の向こう側に

中世の人々が暮らした洞窟住居群があるという

地元有数の観光スポット。

 

久々に霧の外に出られるかもとワクワクしながら

タクシーに乗り込みます。

 

相変わらず視界の奪われた危険な山道を進み、

10kmほど走ると到着!

 

 

あれ?

 

あれれ?

でもまあ吊り橋の向こうはきっと…

 

 

 

……、

……………。

そのまま宿に戻って温かい料理を食べました。

 

 

旅の出発当初、訪れる予定はなかったのですが

出会う旅人たちが口を揃えて「美しい」と称賛していた国・アルメニア。

 

僕にはまだその魅力を理解できそうにないです。

 

 

 

7ヵ国目”アルメニア”

2018.11.17 | 7 アルメニア

【174日目 7,379km】

 

イランを北側に抜けてたどり着いたのは

7ヵ国となる「アルメニア」。

カスピ海と黒海に挟まれ、険しい山が連なった

「コーカサス」と呼ばれる地域に位置する国です。

 

国境を越えてすぐに景色が変わるということはなく

イラン北部から引き続き、緑の少ない岩山の間を縫うように走りました。

 

入国したこの日は山中の小さな村「メグリ」で1泊。

通りを歩く人とすれ違っても

イラン人のように元気よく声を掛けられることがありません。

 

気温も下がりどことなく寂しさを感じてしまいますが

まだまだ田舎なので、アルメニアの雰囲気が掴めるのもしばらく先でしょうか。

 

初日から驚いたのは宿の値段。

暖房もなく病院のような飾りっ気のないベッドが

ぽつんと置かれただけの部屋で5,000ドラム(≒1,150円)。

 

イランでは500~700円ほどで安宿に泊まれていたので

高く感じてしまいます。

節約しよう。

 

 

 

翌日、南の端からアルメニア中心部を目指していくわけですが

滞在2日目にして目の前に難関が立ちはだかっていました。

はるか高く峠を越えていかなければならず、

その高さは出発地点の村・メグリから1,960m。

 

イラン後半から起伏が激しく、いくつも山を越えてきましたが

今回は少し段違いです。

2,000m近くをたった1日で登ってしまうのはこの旅でも初めての経験。

果たして自分にできるのだろうか…。

またしても、前日から不安に襲われていました。

 

 

日が昇って間もない朝7:30、

少しおびえながら漕ぎだします。

 

走りはじめは快調。

ゆっくりゆっくりではあるけれど、これを繰り返していけば

いつか着くんだと自分を励まします。

 

とはいいつつも、時間が経つにつれ高く登っていくにつれ

踏み込むのが重くなっていくペダル。

少し勾配が急になるとすぐにサドルを降りて自転車を押して進みました。

 

過酷さを記録するため、なるべくたくさん写真を撮ろうを思ってましたが

結果的に登りながら唯一撮ったのがこの1枚。

カメラを構えるために立ち止まってしまうと、

次に踏み出す一歩がなかなか出ないんです。

それくらいしんどかった。

 

途中で、持ってきたパンをかじりながら

なるべく止まらないよう少しずつ登ります。

それでも午後になってからは足がつりそうになり

数十m進んでは休むの繰り返し。

 

そして、午後3:00頃。

登りはじめてから7時間半、標高は2,535m。

ふらつきながらもついに峠に到着しました。

 

 

まばらではありますが雪を被った峠付近。

ゆっくりでも必死に進んでいるとじんわり汗をかきますが、

少し休むとすぐに0℃近くの寒さが身体を冷やします。

 

北側(写真左側)に向かうと一気に下り坂。

努力が報われたように気持ちよく滑り降りていきました。

 

山をくだりながら見下ろしたカジャランという町。

この日はさらにここから30kmほど下りて

「カパン」という町で休みました。

 

 

過酷な道が続き、

ときに次の町へと向かうのが怖くもある自転車旅。

そのぶん、困難を乗り越えた達成感も相まって

たどり着いた先のなんでもない安宿のベッドが

最高に気持ち良いんです。

 

まだまだこの調子でビビりながら進んでいきます。

 

 

 

 

さよなら、イラン

2018.11.14 | 6 イラン

【173日目 7,305km】

 

 

イラン最後の都市タブリーズでしばらく休むこと3日間。

いざ北の隣国「アルメニア」に向かいます。

 

 

気合を入れて走りだしたその日ですが、ちょっと予想外のことが。

 

目指すはタブリーズから真北の方角に位置する

イラン-アルメニア国境だったのですが、

直進の最短ルートを行くと途中の山を1,000m登る必要があります。

 

これまでの経験からも十分越えられるはずと意気込み、

朝早く出発しました。

そして徐々に急になっていく勾配を登っていくこと

3時間、距離にして30kmほど。

 

小さな村の商店に寄るとそこには井戸端会議をする地元のおじさんたち。

これから山を越えてアルメニアに入国することを伝えると、

「無理だ、雪が積もって車でも行けないぞ。戻れ!」

 

なんとも浅はかでした。

イラン北部の気候と標高を考えれば、雪は想定できたはず。

タブリーズまで戻るというトラックの運ちゃんに乗せてもらい

その日はまた宿に戻って、ベッドでぬくぬくと休みました。

 

これから気候も地形も過酷になっていくため、

地元の人からの情報収集は非常に重要です。

今回の出来事はそれを学ぶための必要な失敗だったのです。

(絶対必要だったんです!)

 

 

 

気を取り直して翌日、山を迂回する国道ルートを走りはじめました。

若干の起伏はあるものの道も整備されていてなんとも走りやすい。

急がば回れとはよく言ったもの。

 

 

イラン北の果ての町「ジョルファ」で1晩休み、

国境である川に沿って走ります。

 

 

川の右手はイラン、左手は未承認国家「ナゴルノ・カラバフ」。

隣り合うアルメニアとアゼルバイジャンがその領土権を争っている地域です。

 

平坦だろうという予想に反してアップダウンの激しい川沿いを

東に走ることおよそ60km。

ついにイラン-アルメニア国境に到着しました!

 

両国を分ける川に架かる橋の向こう側に渡れば次の国アルメニア。

いよいよ1カ月以上に及ぶイランの旅は終わりです。

 

 

ユーラシア大陸の中央に位置する中東の大国イラン。

陽気で友好的で、

ふらっと訪れただけの旅人を優しく暖かく迎え入れてくれる人たち。

 

常にのんびりで、時にいい加減な彼らは

「厳格な生活習慣を持った排他的な国」という

ネガティブなイメージを拭ってくれました。

半ばその優しさにすがる様に旅をしてしまっていましたが、

それほどにこの国の魅力は「人そのもの」だったなぁと感じます。

 

寂しさを噛みしめつつ、これからも色んな人に出会っていかなければ。

 

ということで

さよなら、イラン。

 

 

 

イラン北部をゆく

2018.11.10 | 6 イラン

【166日目 7,096km】

 

山あいの小さな村“シャル”からさらに北に向かい国境を目指します。

 

 

イラン北部になると気温もぐっと下がり防寒が必要になってきました。

10℃を少し上回るくらいでしょうか。

 

ピリッとした空気が肌寒い一方で、

視界が澄んで空の青がすごく鮮やかで気持ちいいです。

しかしこれから本格的な冬を迎えるのが不安で不安で仕方ない。

 

 

有名観光地の少ないイランの北部。

外国人が珍しいのか、声を掛けられる回数が一段と増えた気がします。

おかげさまで、こちらからお願いしてもいないのに

その日の寝床はなんとかなるからありがたい。

 

“ギヴィ”という村で迎え入れてくれたのは

小学校教諭の「アレハンさん」とその兄弟。

サッカー大好きな彼らとの話題はもっぱら

ACL決勝戦の鹿島アントラーズVSペルセポリス(イラン)について。

 

というかこの1週間、出会う人に「日本人だよ」と伝えるたび

ACLの話題ばっかり。

娯楽の少ないイランにおいてサッカー熱はかなりのものです。

 

 

さらに次の日、

かなり久々に本格的な雨に降られながら走っていたときの事。

横を通り抜けた1台の車が目の前で停まりました。

 

「近くの街に俺の家があるからそこまで乗っけてくよ!」

 

基本的に車では移動したくないしもうすぐでその街に着くしなぁ、

とためらいつつも雨は止みそうにないし風邪の予感もしてたので

お言葉に甘えてしまいました。

 

プロのレスリング選手として駆け出しのころにケガをしてしまい

現役の道を断たれた「バーゲルさん」。

現在は、牧場で働きながらレスリングコーチをするいいお父さんです。

 

鍛えることが大好きな彼には夜の8時半に「泳ぐぞ!」と

市民プールに連れてかれました。

(プール行くには時間遅いんですけど…。)

 

いざ行ってみると温水のジャグジーがあって、ずっとそこに浸かってました。

イランでお風呂に入れるとは予想外。

めちゃくちゃ気持ちよかったです。

 

戦闘民族であったペルシャ人の家庭にはナイフに剣に銃まで。

夜中に身体をズタズタに切り裂かれるのではと思いましたがそんなことはなかったです。

 

右上の手はキツネではなく、聖なる動物オオカミ。

トルコやイラン北部では幸福のシンボルだそうです。

 

 

さらに翌日、1日走ってイラン最後の都市“タブリーズ”に到着。

もう一つ山を越えれば次の国・アルメニアが待っています。

 

連日の走行を終えて大都市に着くといつも安心感を感じるのですが

今回ばかりは心優しいイランの人との別れが近づいていることに

寂しさがこみ上げてきます。

 

タブリーズの名物は、1000年以上も前から街の中心に存在しており

世界遺産にも登録されているというバザール。

道が入り組んでいるうえに人がかなり密集しているので1度入ると同じ所には出られません。

 

並んでいる商品はほかの街と変わりありませんでした。

電化製品や洋服など現代的なモノもあるのですが、

こういう香辛料は何百年も前から同じカタチで売られてるんでしょうね。

 

 

故障のため、「新富士バーナーさん」から再度ご提供頂いた

ガソリンストーブの代替品と、

実家から送られたみそ汁をこの街の郵便局で受け取りました!

 

改めて、

多くの人に支えられてこの旅は成り立っていることを実感しております。

 

 

やっぱりみそ汁美味しいなあ。

 

 

 

山を越える

2018.11.7 | 6 イラン

【162日目 6,730km】

 

“マースーレ”での滞在を終えると、

再び北に向かって進んでいきます。

 

 

北側の国境にたどり着くためには

幾つかの山を越えていくことは避けられず、

高所の村・マースーレからさらに上を目指さなければなりません。

 

この日、越えていく峠は標高およそ2,800m。

のんびり坂道をのぼれるのならまだいいですが、

傾斜も急でわずか10kmあまりの移動の内に

1000m以上の高さまで上がっていきます。

 

果たして、自分の体力で越えていけるのか

前の晩からソワソワしてうまく眠れないほど。

 

覚悟を決めて朝早く走りはじめると

緑豊かな風景に癒されつつ、少しずつ進みました。

さすがにコンクリートの舗装路ではないですが、

車の往来はあるようでしっかり踏み固められて思いの外走りやすい山道。

 

ギアを一番軽くして必死にペダルをぐるぐる回しますが

少しずつ傾斜はきつくなり、しまいには自転車を押して歩くことに。

標高が上がるにつれ気温が下がると汗も出てこなくなります。

 

 

1時間に5kmも進まないようなペースでゆっくりゆっくりと登っていき

4時間が経った頃でしょうか、ついに峠にたどり着きました。

 

冷たい風が吹き抜け、雲を見下ろす標高2,800m。

予想以上に早く着き終わってみれば大したことはなかったのですが、

登り切った後の気分はやっぱり清々しいもの。

 

 

峠の向こう側は舗装もされており、整った道を一気に下っていきます。

猛スピードで走ると身を切るように吹き付ける冷たい風。

 

重い荷物を積んで下り坂を進むと自転車の勢いが猛烈なので

ブレーキが利かずヒヤッとすることもしばしば。

お金出して良いブレーキにしとけばよかったな…。

 

 

山を下り人家が見え始めると“シャル”という小さな村にたどり着きました。

 

通りを走っていると、ある男性が寄ってきて

「ヘーイ、ストップストップ!!」

と半ば強制的に自転車を止められます。

 

外国人旅行者と話をするのが大好きな“モルテザ”というこの男性。

「紅茶だけでも飲んでって! いや、むしろ泊まってって!!」

かなり必死に招き入れようとしてくれました。

 

まだまだ走れる時間だったので迷いつつも、

良い人そうだしいいかなということでお世話になることに。

 

夏場だけ開店して現在は休業中のレストランに寝床を準備してくれました。

寒さもしのげてかなり快適。

 

それから車で村を案内してくれたり、

ご飯をごちそうしてくれたり、

一緒にTVゲームをしたり。

 

心温まるおもてなしのおかげで、

観光資源なんて何もない小さな村にも忘れられない思い出ができました。

 

 

イラン北部では養蜂が盛ん。

村のいたるところに木箱が置かれています。

 

巣まるごと供される新鮮なハチミツは甘さたっぷり。

最高の朝食でした。

 

 

 

山奥の村”マースーレ”

2018.11.3 | 6 イラン

【160日目 6,679km】

 

北の方角にある国境へ向け、引き続き進んでいます。

 

10月も後半にさし掛かったとはいえやはり砂漠の国イラン。

汗が滴るまではないですが、

まだまだ半袖で走れるほど。

 

国土のほとんどを緑の少ない砂漠や荒野が占めるイランですが、

北部のカスピ海の周りにはぐるっと覆うように山脈がそびえています。

 

もちろんこれを超えていく必要があるのですが、

首都のテヘランはすでに標高1,000m越え。

ほとんど登ることなく山間を滑降するように

カスピ海沿いの地域へ下ることができました。

 

 

気持ちよく山を下りた日は

路肩のレストラン横の小屋で一晩お世話になりまして

明くる日にそのままカスピ海沿岸を進むこともできたのですが、

ここでしばし寄り道。

再び山の中へと向かいます。

 

 

久々に緑に囲まれた山の中を漕ぎつづけ、

2時間ほどかけて900mの高さを登りました。

 

 

はるばる高所目指してたどり着いたのが、

標高1,500mにひっそり佇む山奥の村“マースーレ”。

山肌に張り付くように無数の住宅が寄り添い合い建っています。

 

標高のせいもあり、

見上げるとすぐ真上はかなり濃い霧に包まれていました。

というかほとんど雲の中にいるような感じ。

 

遠目から一見するとただの集合住宅のように見えるこの村。

 

実はここ、

家の上にまた家がのっかるようにして建てられており

それぞれの家の屋根が生活道として利用されているんです。

つまり、自分の頭の上を誰かがペタペタと歩いている状態。

そのためどの家の屋根も平らにできています。

 

内部をのぞいてみると家と家の間には階段がびっしり。

かなり傾斜も急で足腰がしっかり鍛えられそうです。

当然、自動車が乗り入れるような道は無し。

 

綺麗に段々になっているわけではなくて、

それぞれの家の向きや高さはバラバラ。

 

おそらく都市計画も何もなく、

低い位置から建てたいように建てたんだと思いますが

道も階段も非常に入り組んでいて、

まさに村全体が立体迷路になっているマースーレ。

 

手すりすらない坂道が複雑に絡み合っているので

気を付けて歩かないと、時々ヒヤッとしてしまいます。

多分、年に何人か落ちてる人いそうですけど…。

 

中心部に数多く並ぶのはお土産屋さんに、レストランやカフェなど。

イラン国内の人々に人気の観光地らしく、

夜はかなり賑わっていました。

 

反面、外国人観光客をそれほど見かけなかったんですが、

あまり有名ではないんでしょうか。

雰囲気があって良いトコなんですけど。

 

足元に通りが伸びていて人が歩いてたり、

頭上に誰かがいてこっちをのぞいてたり。

なかなか日常では味わえない不思議な空間がここに広がってます。

 

人間ばかりでなく犬もいっぱいいました。

鎖でつなぐ習慣がないからなのか、

角から急に現れるのでしょっちゅう驚かされます。

 

ちっちゃな村だし、

することなくて暇なんでしょうね。

 

観光でふらっと訪れるぶんには良いのでしょうが、

杖をつくお年寄りの姿を見るたびに

ココに住むのは大変だろうなあと感じてしまいます。

 

 

山間の限られた空間を有効的に使って出来上がった村・マースーレ。

その土地ならではの独特の暮らしを目にするたび、

世界には色んな場所があるもんだと感心するばかり。

 

イランの旅もそろそろ終盤。

出会う景色をしっかり目に焼き付けて進んでいきます!

 

 

 

やさしさが止まらない

2018.10.31 | 6 イラン

【157日目 6,461km】

 

 

無事イラン延長分のビザも取得し、

再び自転車に乗って進んでいきます。

 

イラン各所への観光旅行とビザ待ちもあって、荷物を積んで走るのが2週間ぶり。

漕ぎはじめは重みを感じてフラフラしてしまいました。

 

首都テヘランの混雑は相変わらずで、

すぐ横すれすれを追い抜いていく自動車たち。

都市部を抜けるのに2時間ほど掛かったでしょうか。

 

 

しっかり走行感覚を取り戻したこの日の終わりに

たどり着いたのは道端のサービスエリア。

 

食事を済ませ、広々した駐車場の隅にこっそりテントを張ることに。

無事設置を済ませて売店に水を買いに行くと

レジのおじちゃんが、

「あそこで寝るつもりなのか? 寒いし、野良犬もいるぞ」

 

そのままおじちゃんとレストランの店員さんたちの緊急会議開始。

結果的に「ここで寝な」と通されたのはレストラン横にある

イスラム圏お馴染みの礼拝部屋。

こんな神聖な場所で寝てもいいのかと思いつつ、お言葉に甘えました。

 

イランに入国して以来、

移動中は毎日と言っていいくらい好意を受け取っています。

こんなに人に親切にしてもらうばかりでいいのかと疑問を抱きつつも、

イラン人のやさしさは止まりません。

 

 

翌日も快調に走りはじめたのですが、

いつかやらかすのではと思っていた失敗をついにしでかします。

 

お昼過ぎに少し休憩をしようと自転車を停め、

スマホのGPSで場所を確認したところ真っすぐ西に向かっていたつもりが

気がつけば矢印は下向き、南に下っていました。

 

大きな街に入り、抜け出すときに間違った方向に出てしまった様子。

正しい道路には後方30km戻る必要があります。

 

時間にして2時間分ほどの走行が水の泡になったと嘆きつつも

できるのは自分を責めることだけ。仕方なく来た道を引き返します。

 

 

再び2時間かけて合計60kmの無駄な寄り道を済ませ、

本来の道に戻ってすぐのこと。

1台のセダンがのろのろと並走してきました。

 

「ヘイ、フレンド! どこから来たんだい?」

声を掛けられても、遅れを取り戻すために

いちいち止まってる場合じゃないとさらっと流して先を急ぎました。

 

すると、わざわざ路肩に停めた車から降りてくるドライバー。

「オレは警察官なんだ。何か君の力になりたい」

胸には確かに警察のバッジもあり、すでに夕方だったことから

言われるがままついていくことにしました。

 

たどり着いた先は彼の家。

あがるなり果物やチャイをごちそうになりました。

 

「ここを家だと思ってくれていいよ。」

優しい言葉のまま、シャワーを借りたり、車で町を案内してもらったり。

とにかく至れり尽くせりでした。

 

食事までごちそうになり、すっかり家でくつろがせて頂きました。

やはり布団でぐっすり眠るのはテントよりも快適なもの。

 

居間でくつろぎながら次々聞かれるのは日本のことや、旅のこと。

見知らぬ外国人に興味津々で接してくれました。

 

 

現地に住む人の優しい表情を見ているときは、

“他人の親切を食いつぶしているだけでは?”という疑問も吹き飛んで、

“出会えて良かった”という感謝の気持ちが沸いてきます。

 

その時間、その場所にいたからこその出会いに気づかされるのは、

間違えた道にも意味があるということ。

 

心優しき警察官、バーバイーさん一家。

素敵なひと時をありがとうございました!

 

 

ただいまテヘラン

2018.10.27 | 6 イラン

【150日目 6,226km】

 

ほぼ1週間かけてイランの有名観光地を巡った後に

再び首都テヘランに舞い戻ってきました。

 

相変わらず道路は混沌としており、

どこを歩いても人口密度の高さを肌で感じます。

 

すぐに自転車に乗って出発したいところなのですが、

ビザ期間30日間のうちに出国することが難しそうなので

ビザを延長する必要があります。

 

申請の次の日には発行されるとのことだったでのんびり構えてたのですが

観光から戻った翌日の木曜に申請のため警察に行くと、

翌週の月曜日までかかるとのこと。

イスラム圏は金曜日が休日であることを完璧に忘れていました。

 

急に3日間予定が空くって結構長いです。

せっかくなのでテヘランをぶらぶらしてみました。

 

見所の少ないテヘランにも世界遺産があって、

それがこの「ゴレスターン宮殿」。

かつての王宮が現在は博物館になっています。

 

内部はまさに贅沢尽くしで、キラキラの装飾に覆われています。

展示品は各国からの調度品などが並んでいました。

 

宮殿から少し離れると考古学博物館もあります。

ただ、早く走りたいとはやる気持ちのせいかあまりじっくり見ていませんが…。

 

観光なんて1日で終わってしまい何とか時間を潰すべく

バザールを歩いてみたり、

 

ざくろのフレッシュジュースを飲んでみたり、

 

いろいろするのですが少しづつうんざり感じ始めます。

ゆっくり休めばいいのに

何でこんなに落ち着かないんだろうと考えるとある答えが見つかりました。

 

それはイランのレストラン事情です!

 

ケバブ。

 

次もケバブ。

 

はい、またケバブ。

 

ケバブに次ぐケバブ。明けても暮れてもケバブ。

 

そもそもレストランが少ないのにその多くがケバブ屋さんなんです。

サンドイッチ屋さんもあるんですがモサモサしてあまり美味しくない…。

 

あまり食にこだわっているつもりもないんですが

「次の食事なに食べようかな、フフフ」っていう楽しみが

ものすごく大切だということに気づきました。

早く次の食文化に出会いたい!

 

 

実は自転車でテヘランに着く前に初めて装備品のトラブルがありまして。

外で料理をするためのガソリンストーブですが、

火がつかなくなってしまいました。

 

提供メーカーさんに確認をした結果、

内部に溜まったススを取り除く際に、重要な部品を誤って捨ててしまったことが発覚。

早急に対応いただきイラン出国直前の都市で

日本からの代替品を受け取ることになりました。

「新富士バーナー」さん、本当にありがとうございます!

 

これからもっと大変なトラブルが待ち構えているんだろうなあと

びくびくしながら進んでいきたいと思います。

 

 

 

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