漕いでイスタンブール

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【252日目 9,430km】

 

 

海辺の町「アクチャコジャ」で一休みして

すぐに出発するつもりだったのですが、

実は到着翌日の晩から熱を出してしまいまして。

 

これまで1カ月以上に及んで

氷点下のトルコを走ってきながらも

まったく体調を崩さないなんて、

「あら、わたしったらなんて健康なの」と

思っていた矢先のことでした。

 

 

 

現地調達の薬を服用しながら

ベッドに横たわりつづけます。

 

熱をおびた頭でぼんやり天井を見上げていると、

広大なトルコを走り切るのに

予想以上の日数がかかっているという焦りに加えて、

無事にヨーロッパにたどり着けるのだろうかという

これまでよぎったこともないような不安さえこみ上げてきました。

 

健康な身体なくして健全な精神あらず。

弱っているときには考えが良い方には向かいません。

改めて元気でいられることの

ありがたみを感じる時間でした。

 

 

 

 

 

 

3日間寝込んだ後、

咳もおさまらないなかで再び自転車にまたがります。

起伏の少ない行程を90km走ったこの日は

「サカリヤ」に到着。

 

ペダルを漕いでいる時は

意外と気分が楽なのですが

ホテルに着くと疲れがどっと押し寄せてきます。

 

 

 

 

 

 

徐々に体調が改善されていくのを感じながら

明くる日も走ります。

 

前日まで右手に黒海を眺めていたのですが、

こんどは左に“マルマラ海”が姿をあらわしました。

南北を海に挟まれた細い半島を西に向かいます。

 

 

 

80kmあまりを走って

「ゲブゼ」に到着。

道路わきのホテルで

身を休めます。

 

 

 

 

 

この日を境に

風邪もいっきに

吹っ切れた気がします。

しかし、ここ最近ほんとうに

ホテルは“当たり”ばっかり。

テント生活に戻れるか不安。

 

 

 

 

 

 

次の日、

穏やかな海辺の景色は都市空間へと姿を変え

車の数も劇的に増えます。

 

自転車のすれすれを走っていく自動車と

細かなアップダウンにストレスを感じながらも

ゆっくり50kmを走りました。

 

 

 

そして15:00頃。

ついにトルコの大都市、

アジアとヨーロッパが出会う場所

「イスタンブール」に到着です!

 

 

 

1,500万人もの人口を抱える

イスタンブール。

東京やニューヨークをかるく凌ぐほど

多くの人々が

この都市で暮らしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実はこのイスタンブールで初の試みをやってみました。

 

インターネット会員サイト

“Warm Shower (ウォームシャワー)”

というものがありまして、

世界中の自転車好きたちが

互いに無償で寝床を提供しあおうという

素晴らしいサービスなんです。

 

これまで存在は知っていたのですが、

ヨーロッパ方面は特に会員が多いということで

試してみることに。

 

 

 

今回お世話になったのは医師の“アフメットさん”。

大分大学に短期留学もしていたこともあり

ぜひ日本人を招きたいと思ってくれていたそう。

 

到着の数日前から連絡をとり合って、

初回から良い人にめぐり会うことができました。

 

 

 

都会のど真ん中にありながら

ゆったりとした寛ぎの空間を

提供してもらいました。

本当に素晴らしいサービスです、

Warm Shower。

自転車旅の際はぜひご利用ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イスタンブール観光へと駆りだす前に

到着翌日は自転車のメンテナンス。

アフメットさんが紹介してくれた

街の自転車屋さんで備品を調達します。

 

 

 

お店でやってもらうこともできましたが

自らの手で旅の相棒を労うことに。

錆びついて伸びてきたチェーンと

磨り減ってきたブレーキの

交換をやってみます。

 

 

 

 

男ってDIYとか機械いじりとか

往々にして好きなものですけど、

僕は手を汚したくないし

金持ちのお嬢様と一緒で

箸より重いもの持ちたくない派です。

しかし、旅を通じて成長せねば。

 

 

 

10,000km近くを

走ってきたチェーン。

毎日毎日くるくると

何周くらい回ったんだろうか。

ここまでありがとう。

お疲れさまでした。

 

 

 

 

 

やってみれば何てことはない作業でした。

細かいところまでしっかり掃除すれば

ぴかぴかの輝きが蘇ります。

 

 

サイクリング自体は楽しいし好きなのですが、

自転車の機構とかフォルムがどうとか

僕はほとんど興味がないんです。

 

でもこの自転車は、

地球の裏側まで連れて行ってくれる大切な相棒。

ものすごい愛着が湧きはじめてます。

 

これからも大切にしよう。