首都エレバン

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【183日目 7,384km】

 

 

タテヴ修道院への観光も終えて

いざ首都エレバンに向かおうとすると、再び雨と霧。

時期的にどうしても悪天候は避けられないようです。

 

朝一晴れてたからと自転車に乗って出発したのですが

山のうえへと進んでいくにつれ天気は悪化、

雨と強風にあおられて宿に戻ってしまうほど。

 

このままでは先に進めないので

やむを得ずバスに自転車を載せて移動することを決心しました。

 

バスといっても実際は大きめのワンボックスカー。

現地の人に任せた結果、

自転車を無理やりトランクにぐいぐい押し込められてしまいましたが

何とか載せて移動することはできました。

もう二度とやりたくない。

 

 

ゴリスから北西に約200km、バスでおよそ4時間。

アルメニアの首都エレバンにやって来ました!

 

首都だけにそれなりに活気があって賑やかですが

人であふれかえっているほどではなく過ごしやすそうな雰囲気。

街や建物の様子を見ると、

イランからぐっと西欧に近づいたように感じます。

 

行き交う人の顔つきはロシア系。

アルメニア語という独自の言語が話されてますが

聞くかぎりロシア語との共通点も多いよう。

文字はロシアのキリル文字をもっとクニャクニャさせた感じです。

 

街中にどしっとそびえ立っている大聖堂。

昼間からお祈りに訪れる人も多くおり、

改めてキリスト教が深く根付いた場所であることを感じます。

 

 

 

エレバン到着の翌日、さっそく口にしたのは

数百年前からアルメニアに伝わる伝統料理「ウドン」。

(嘘ですよ。)

 

あっさりのカツオ出汁とシコシコの麺、

そして上にのっかるのはサクサクの衣に包まれたかしわ天。

それは故郷を思わせる懐かしい味。

 

4年ほど前からオーナーの櫻田さんが営む日本食レストラン、

その名も「SAKURADA」。

日本からの旅人だけでなく、日本の食文化に興味を持つ現地人にも

愛されるレストランです。

 

キルギス以来3カ月ぶりの和食でしたが、

やさしく芳醇なだしの味は五臓六腑にしみわたります。

もう毎日うどん食べながら旅したい。

 

 

 

エレバンから郊外へと足をのばして

観光にやってきたのが「ゲガルド修道院」。

山間にぽつんとたたずむ修道院です。

 

そして、世界遺産にも登録されているこの修道院を

有名にしているのが“ロンギヌスの槍(やり)”の存在。

 

 

およそ2,000年前に磔に処されたイエス・キリスト。

刑が処されたあと、キリストの死を確認するために

亡骸の脇腹を槍でツンツンしたのがロンギヌスという兵士。

浴びた返り血によって

ロンギヌスが患っていた白内障が治ってしまったのだとか。

 

そして、その時に使われた

“ロンギヌスの槍”の一部が発見されたのがここゲガルド修道院。

槍を意味する“ゲガルド”がそのまま修道院の名前になっています。

 

本来であれば少し離れた別の修道院にその槍は展示されていますが、

現在はニューヨークの博物館に貸し出し中。

この旅でニューヨークを訪れるのは1年以上先になるのですが

その頃には槍はアルメニアに戻ってきているそう。

 

追いかけても追いかけても、逃げていく槍。

 

先日訪れた崖の上のタテヴ修道院しかり、

谷間に佇むゲガルド修道院にしかり、

たどり着くにはアクセスの悪い場所にあるのが特徴。

 

かつての僧侶たちは神に近づくため、

俗世間から離れて生活していたということでしょうか。

修道院がなおさら神秘的な雰囲気を帯びている要因です。

 

 

エレバン滞在中にお世話になっている「リダの家」。

 

数年前に宿泊先に困っていた日本人旅行客を泊めて以来、

日本からの旅人を受け入れているリダおばあちゃんとその一家。

ホテルでもゲストハウスでもなく、ここは「リダの家」なんです。

 

アルメニアを訪れる旅人たちには有名なため

複数のバックパッカーの方々が集まっています。

おかげでみんなで鍋をしたりと楽しいひと時を過ごせました。

 

 

穴の開いたズボンを直してくれるリダおばあちゃん。

 

コーヒーを淹れてくれるリダおばあちゃん。

 

このやさしさにどれだけの人が癒されてきたことだろう。

いつまでも元気で長生きしてね。