ついに晴れ間が

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【179日目 7,384km】

 

あいもかわらず霧に包まれた山間の町「ゴリス」で

どこにも行くことができず

悶々と宿で過ごすこと3日間。

 

劇的に天気が回復する見込みもなく

いっそのこと次の町へと進んでしまおうかと

考え始めた4日目の朝のこと。

窓から外をのぞくと、空にはわずかな晴れ間が!

 

 

到着以来、その姿をおがむことのなかったゴリスの町。

高台から見下ろしてみれば

山を背景に家々がずらっと立ち並ぶ景色が美しい場所です。

 

 

まだまだ完璧な天気とはいえませんが

いつ雲に覆われるかもわからないので、

さっそく念願の観光スポット「タテヴ修道院」へと向かうことにしました。

 

ゴリスの町からタクシーで10kmほど、

山の頂へと続くロープウェーに乗ります。

 

麓と崖の上の修道院を結ぶこちらのロープウェー

“Wings Of Tatev(タテヴの翼)”。

 

中継地点を持たないロープウェーとしては

世界最長を誇りその距離じつに5752m。

ギネスブックにも登録されています。

 

閑散期とあって、地元の観光客の方が数名のみでしたが

夏場は満員でこれに乗り込むそう。

 

中国でもロープウェーに乗りましたが、

地上数百mの高さで宙ぶらりんの状態がつづくのって

あまり落ち着くものじゃないです。

安心のスイス社製ですが…。

 

とはいいつつ、地上の谷や川を見下ろすのは

なかなか乙なもの。

まさに鳥になった気分で空の旅を満喫しました。

 

 

そして、たどり着いた先には崖の淵に建つ「タテヴ修道院」。

山に囲まれた場所にたたずむ姿から放たれる独特の存在感。

すべて石でできた武骨なルックスもあって、

ずしっと重厚感を醸しています。

 

中に入ってみれば荘厳な空気が漂っていました。

 

このタテヴ修道院が建てられたのは9世紀ごろ。

建設からすでに1,000年以上が経過している歴史深い建物です。

かつては600人近い僧侶たちが共同生活を送っていたのだとか。

 

敷地内には、地震や敵の襲来(ひずめの振動)を

感知する機能を備えた柱もあったそうです。

 

 

近くの丘から見たタテヴ修道院。

 

日本人にとってあまりなじみのないコーカサスの小国アルメニア。

この国を象徴するのが「タテヴ修道院」に代表される

教会や修道院などのキリスト教関連施設です。

 

イラン、トルコというイスラム教国家と隣接していながら

西暦301年に世界で初めてキリスト教を

国教として定めた国でもあります。

 

“アルメニア正教会”とも呼ばれる独自の宗教文化を築いたが故に

悲しい歴史を持つことにもなるのですが…。

(また後ほど。)

 

 

観光を終えるとゴリスの町に戻りました。

 

連日天気に恵まれなかったゴリスで

お世話になっていた“Aregak Guest House”。

そして、名物女将にもなっているのがお母さん“マリエッタ”。

到着した瞬間から熱いハグで出迎えてくれました。

 

壁にしたためられた

旅人からの感謝のメッセージの数々が

物語っているこの宿とマリエッタの魅力。

 

なかなか外に出ることもかなわず

毎日のようにマリエッタの手作りスイーツを堪能していました。

 

この宿がアルメニアで一番思い入れのある場所になるかも。