サハラの風に運ばれて
【436日目 17,745km】
モロッコを抜け、
どこでもない国「西サハラ」に突入。
引き続き南下してまいります。
ラーユーンを発つと
あいかわらずの曇り空。
今はもう、こういう季節なんだろうな。
写真映えしないけど涼しいから良しとする。
サハラ走行直後に比べると
交通量が減ってきた気がします。
隣の町まで100km近く。
この地域は車で走ってても
疲れるような場所だろうな。
人のいない廃墟を見つけて
昼休憩。
このあたりから物凄い風が吹き始め
ものがどんどん飛ばされるので
おさえておくのに必死。
午後からも風は吹き止むことなく
強風にあおられ続けます。
そして、幸運なことに
常に追い風。
スピードに乗ってぐんぐん進む。
16時には110kmを走り切り
野宿を予定していた集落に到着。
でも風はまだまだ止みそうもないし、
日没は21時だし、
もうちょっとイケるかも。
とりあえず食堂でタジンを食べながら
考えることに。
このまま進むとすれば
隣の町は80km先。
「結構離れてるしどうしようか」と
沈思黙考…。
強く吹き続ける風の力を借りて
進み続けることにしました。
平坦なコンクリートを滑るように走った
この時の平均時速は28km/h!
(普段は大体18km/hくらい)
そして19時過ぎには
翌日着予定だった「ブーダー」に到着。
80kmを3時間余りで走るなんて
この旅始まって以来の
速さじゃないだろうか。
予想してたよりも割と大きな街。
自転車で旅してて、
予定より遅くなることはあっても
早まることなんて滅多にないので
すごく得した気分。
優雅なダブルの部屋が800円。
明け方ぐっと冷え込む西サハラ、
8月とはいえエアコン要らず。
寝るときは毛布必須。
色んな面で予想外が続いてます。
海沿いの町では肉よりも魚が
新鮮で美味しいともっぱらの評判。
海からあがったばかりであろう魚を
いただいてみることに。
いくつか食堂をのぞいたけど
ここの人たちどうやら
「油で揚げる」しか
知らないみたいです。
日本人なら手を変え品を変え
調理するのに…。
ブーダーの町で体を休めたら
再び海に沿って進んでいきます。
そしてこの日も朝から
非常に強い追い風。
止まると、立っているのがやっと
というような
ものすごい風を背中から受けて
スイスイ進んでいきました。
昼の時点で90km走破。
道ばたに食堂を発見。
予想以上の順調な走りに
笑顔ほくほくで休憩突入です。
そもそもこのあたり、建物が
存在していないと思ったので
用意していた食材でサンドウィッチ。
自炊って程じゃないけど、
自分でつくる美味しさって
ものがあります。
予定よりだいぶ早く進んでるので
食堂で昼寝させてもらうことに。
「あそこ気持ち良さそうだから
寝てもいい?」って
日本なら絶対
たずねることないだろうな。
午後からも追い風はやむ気配なし。
細かい砂が舞い上がる道を
颯爽と走っていきます。
ペダルは軽いし
このままどこまでも走れそう。
この日は175kmを走行。
上り坂もないし、
気が付けば
終日青空が広がったのも
サハラ突入後はじめてのこと。
家が数軒集まった集落に到着。
モロッコ警察の検問があり
「今日の夜どこで寝んの?」
と聞かれました。
「このあたりでキャンプしたいんだけど」
というと、
検問所のすぐ隣の
旧・食堂跡地で寝ていいとのこと。
なんとか風はしのげそうです。
寝るのにちょうど良さそうな
旧・キッチンを発見。
蚊も出ないし寝袋あれば十分なので
テントも張りません。
シャウエンの絨毯がいろんな場所で
役に立つ。
ラーユーン出発3日目。
サハラを走り始めて
500km以上移動してきましたが
道路状況は非常に良いです。
時にはラクダの群れに遭遇。
耳にタグがしてあるので
野放し状態の半野生家畜。
触りたいけど、臆病なのか
近づくと逃げていく彼ら。
この日も順調に進み
昼には80km到達。
人のいないモスクを発見し、
食事休憩を取ります。
久々のインスタントヌードル。
イスラム圏でも袋めん売ってました。
「出前一丁」や「チャルメラ」の
足元にも及ばない味だけれど。
この日の午前中弱まっていた追い風も
午後からはいつもの調子を
取り戻してくれました。
もはや追い風ありきで
走行計画立ててるので
吹いてくれなきゃ困るんです。
そしてこの日も180kmを走って
「ダフラ」の街に到着。
荘厳なゲートに掲げられているのは
モロッコ大統領像。
西サハラのバカンス地であるらしく
ゆったりとした海辺の町は
休暇を楽しむモロッコの人々で
賑わっているようでした。
ラーユーンから走った距離およそ550km。
本来6日間を予定していた行程を
3日で走り切ってしまいました。
決して自分の努力ではなく
海から大陸に吹きつける強い追い風のおかげ。
自然の恩恵に感謝しつつ、
ダフラの街でしばし休みたいと思います。