アルメニア出国

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【193日目 7,632km】

 

大成さんとも別れを告げて、ふたたび1人に。

「スピタック」という町から

北側のアルメニア-ジョージア国境に向けて走りだします。

 

 

アルメニアを出るまで残り100kmあまりなのですが、

山ばかりであることに加えて日が短くなっていることもあり

1日の移動距離も短くなってしまいます。

 

これまでは1日当たり120~130kmほど平気で走れていましたが、

アルメニアに入ってからは100km未満に留まっているのが現状。

やはり冬のサイクリング、

穏やかな季節とはわけが違います。

 

この坂の少し前にトンネルがありました。

中国で旅を始めて以来トンネルはほとんどなく、これで5本目くらい。

困ったことにこれまでどのトンネルも日本のように灯りはついておらず

中に入ると完璧な暗闇。

 

どれも猛スピードで間近を走り去る自動車に肝を冷やすような

命がけの走行でした。

 

今回の2kmにおよぶトンネルも前日から不安だったのですが

トンネルに到着していざ突入しようとした時、

後ろから通りがかった車のドライバーのおじさんが

「自転車で通るのか? 危ないからオレが後ろから守ってやる」

 

駅伝の監督車のようについてきてくれることで、

道を照らしてくれると同時に後続車の追突を防いでくれたのです!

出国直前に、

アルメニア男児の粋な思いやりを感じた出来事でした。

 

 

この日はわずか50km足らずを走り

「ギュムリ」という町で1泊。

 

市役所(写真右)も西洋風の洗練されたデザイン。

こじんまりとした田舎町です。

 

街の中心にある教会を訪れると結婚式が行われていました。

この旅でもかなりの結婚式に出くわしてます。

良いこと良いこと。

 

 

翌朝、日も昇りきらない8時前(日の出がかなり遅いんです)に

標高2,200mに位置する国境に向かい走りはじめます。

 

ギュムリの町が標高1,500m前後なので、700mの上昇。

毎日数百m上るのが日課になってきています。

少しは慣れてる気がするけど

やはり数十kmにおよぶ上りは辛い。

 

村が時々あるくらいで建物はほとんどなく車もあまり通らない、

まさに荒涼とした風景のなかアップダウンを繰り返し進んでいきます。

 

冷たい風を避けて休むような場所もない。

前を向いてひたすら漕ぎ進むだけ。

 

 

出発から5時間ほど。

黙々と進み続け、道ばたに雪も見えてきたころに

アルメニア-ジョージア国境が見えてきました。

 

観光バスはおろか地元の人もほとんどいない、

物流トラックが数台のみというこれまでで最も閑散とした国境です。

パスポートや荷物チェックも、

自転車に乗ったままドライブスルーのごとく

簡潔に(いい加減に)終了しました。

 

 

広大な砂漠が広がるイランとはうって変わって、

起伏の激しい山間に古い教会が美しく点在する

小ヨーロッパのような国でした。

 

短い間でしたが、

さようならアルメニア。