7ヵ国目”アルメニア”

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【174日目 7,379km】

 

イランを北側に抜けてたどり着いたのは

7ヵ国となる「アルメニア」。

カスピ海と黒海に挟まれ、険しい山が連なった

「コーカサス」と呼ばれる地域に位置する国です。

 

国境を越えてすぐに景色が変わるということはなく

イラン北部から引き続き、緑の少ない岩山の間を縫うように走りました。

 

入国したこの日は山中の小さな村「メグリ」で1泊。

通りを歩く人とすれ違っても

イラン人のように元気よく声を掛けられることがありません。

 

気温も下がりどことなく寂しさを感じてしまいますが

まだまだ田舎なので、アルメニアの雰囲気が掴めるのもしばらく先でしょうか。

 

初日から驚いたのは宿の値段。

暖房もなく病院のような飾りっ気のないベッドが

ぽつんと置かれただけの部屋で5,000ドラム(≒1,150円)。

 

イランでは500~700円ほどで安宿に泊まれていたので

高く感じてしまいます。

節約しよう。

 

 

 

翌日、南の端からアルメニア中心部を目指していくわけですが

滞在2日目にして目の前に難関が立ちはだかっていました。

はるか高く峠を越えていかなければならず、

その高さは出発地点の村・メグリから1,960m。

 

イラン後半から起伏が激しく、いくつも山を越えてきましたが

今回は少し段違いです。

2,000m近くをたった1日で登ってしまうのはこの旅でも初めての経験。

果たして自分にできるのだろうか…。

またしても、前日から不安に襲われていました。

 

 

日が昇って間もない朝7:30、

少しおびえながら漕ぎだします。

 

走りはじめは快調。

ゆっくりゆっくりではあるけれど、これを繰り返していけば

いつか着くんだと自分を励まします。

 

とはいいつつも、時間が経つにつれ高く登っていくにつれ

踏み込むのが重くなっていくペダル。

少し勾配が急になるとすぐにサドルを降りて自転車を押して進みました。

 

過酷さを記録するため、なるべくたくさん写真を撮ろうを思ってましたが

結果的に登りながら唯一撮ったのがこの1枚。

カメラを構えるために立ち止まってしまうと、

次に踏み出す一歩がなかなか出ないんです。

それくらいしんどかった。

 

途中で、持ってきたパンをかじりながら

なるべく止まらないよう少しずつ登ります。

それでも午後になってからは足がつりそうになり

数十m進んでは休むの繰り返し。

 

そして、午後3:00頃。

登りはじめてから7時間半、標高は2,535m。

ふらつきながらもついに峠に到着しました。

 

 

まばらではありますが雪を被った峠付近。

ゆっくりでも必死に進んでいるとじんわり汗をかきますが、

少し休むとすぐに0℃近くの寒さが身体を冷やします。

 

北側(写真左側)に向かうと一気に下り坂。

努力が報われたように気持ちよく滑り降りていきました。

 

山をくだりながら見下ろしたカジャランという町。

この日はさらにここから30kmほど下りて

「カパン」という町で休みました。

 

 

過酷な道が続き、

ときに次の町へと向かうのが怖くもある自転車旅。

そのぶん、困難を乗り越えた達成感も相まって

たどり着いた先のなんでもない安宿のベッドが

最高に気持ち良いんです。

 

まだまだこの調子でビビりながら進んでいきます。