標高3,000mの日常
【70日目 3,012km】
“イシク・クル湖”の湖畔サイクリングを終えたあと、
キルギス西部山中の町・“コシュコル”に滞在しておりました。
小さな町でありながら多くの観光客が集まるコシュコル。
その目的は、町から1,000m以上登った先にある秘境「ソン・コル湖」。
多くの湖があるキルギスのなかでも、ソン・コルは高い人気を誇るそう。
コシュコルはそこを目指す人たちの拠点となっています。
さっそくソン・コル目指して走りはじめますが、
拠点のコシュコルの標高はすでに2,000m弱。
少し走っただけで息が荒くなってしまいます。
高山病の症状が出るのは3,000m付近だそうですが、
自転車で体力を使っていることもあってか、軽い前兆が現れ始めました。
やがて舗装路も途切れ、ときには自転車を押しつつ悪路をなんとか進んでいきます。
すると、通りすがりのワゴンが停まり
降りてきた二人組のおっちゃんが「乗っていけ!」と、
救いの手を差し伸べてくれました。
自力で登りたかったので断ったのですが、
「遠すぎる!いいから乗ってけ!」と
半ば強引に乗っけてもらうことになりました。
おかげで絶景ドライブ楽しめました。ありがとう!
たどり着いたところが標高3,016m、「ソン・コル湖」。
気温も一気に下がり、10℃ほどだったでしょうか。
湖畔には移動式住居“ユルト”で家畜と共に暮らす人々の姿が見えます。
ワゴンを降り、自転車にまたがったと同時に
地元の子供たちが大勢集まってきました。
当然英語は通じませんが、ものすごく興味を持ってくれているのは分かります。
手を引かれるままに連れていかれたのがひとつのユルト。
中に入ると、ティータイムだったようでテーブルには
チャイとパンが並んでいます。
そのまま勧められチャイをいただきました。
なぜ何の予告もなくやってきた言葉すら通じない人間を
こんなにも自然に受け入れてくれるんだろう?
テレビもマンガもない標高3,000mの日常はとにかく自然に寄り添ったものでした。
羊の群れを導いたり、馬の手入れをしたり。
牛の乳を搾ったり、犬とじゃれたり。
小さな子どもたちだって皆上手に馬を乗りこなします。
遊ぶばかりではなく、
食事の用意をしたり、ストーブの薪をくべたり。
羊の毛を刈ったり、肉を捌いたり。
家族みんなで生活のための仕事をこなしていくのがここのスタイル。
そんななか、娯楽はもっぱらトランプ。
日が沈み夜が更けても、懐中電灯のもとみんなでカードに興じます。
ちょっとまぜてもらいましたが(無理やりやらされただけ…)
ルールが全くわかりません。
そのまま晩御飯もご馳走になり、ユルトの中でぐっすり寝させてもらいました。
観光用のユルトでくつろぐ予定が、思わぬかたちで現地住民の方との交流の機会に。
ゆったりと良い時間が過ごせました。
“バカイさん”一家、ありがとう!
お邪魔しました!!