絶景フィッシュリバーキャニオン
【561日目 24,771km】
砂漠地帯の走行をあきらめ、
親切なホテルオーナーの二人のお陰で
舗装されたメインロードに復帰。
ここから南を目指しますが、
少し西へ寄り道して
砂漠に続くもうひとつの見所である
“フィッシュリバーキャニオン”に向かっていきます。
また少し、未舗装路があるのが気になるけど…。
1週間振りのアスファルト。
心地良くスイスイ進んでいきます。
自転車って押すものじゃなくて、
やっぱり漕ぐものですよね。
もう楽しくてしかたない。
しかもこの日は嬉しい追い風。
かなり強く吹いてくれるので
平らな道をどんどん進んでいきます。
事故の時に速度計壊れたので
もうスピード計れませんが…。
ただ砂漠を離れたぶん
景色は本当に退屈。
まわりに何もない平原が
延々と続いていました。
追い風の力でとても順調に150km走ったこの日は
“チェズ”という小さな村に到着。
野宿のつもりだったけどキャンプ場があったので
泊まることに。
一度テントを張ったけど、
風は強いしやたら暑いしで
結局ブランケットのうえで寝ました。
夏のナミビアまだまだ40℃の日が
続いております。
マリエンタル出発2日目。
この日から苦難の始まりでした。
昨日味方してくれた追い風が
この日は向かい風となって真っ正面から吹き付けてきます。
漕いでも漕いでもスピードが
まったく上がらない。
風を遮るものがなにもないから
とてつもない強風が
一瞬たりとも止むことなく吹き荒れました。
1時間で10kmは進んだでしょうか、
平坦路でこのスピードは
ありえない遅さです。
速度計がないと走行距離も分かりません。
結局、お昼には着く予定だった80km先の
「ケートマンズフープ」に16時すぎにようやく到着。
山をいくつも越えたような疲労感です。
この日も暑いのでテント張らずに直寝。
マリエンタル出発3日目。
この日も前日と同じくひどい向かい風。
基本的に大陸の風は赤道の方へ吹くので
喜望峰へ向かって南下しているいま
向かい風を受け続けることになります。
だけど、時速10kmの遅さでは
いつまで経ってもつかないし、そもそも疲れる…、
フィッシュリバーキャニオンに向かうため
再びメインロードを外れてしまいます。
ということでここから未舗装路。
ナミブ砂漠に向かった時に比べると
かなり漕ぎやすいようですが。
道沿いに突然現れたレストランで
ランチのサンドウィッチ。
ナミビアは南部を中心に旅してますが
人があまり住んでおらず
ローカルフードを味わえていません。
午後からは風が一層強くなりました。
砂が浅くてせっかく漕ぎやすいのに
風に真正面から押されてしまうせいで
ほとんど進めない。
しかも昼過ぎは毎日40℃越えだし。
強風と日差しのせいで
のんびりと休憩を取ることもできないまま、
荒野のど真ん中にあるキャンプ場に到着。
景色は非常に穏やかなのですが
ゴーゴーと恐怖すら抱かせるような
風の音はいつまでたっても止みません。
テントをたてるのも
苦労しながらやっとという感じ。
ここ最近のマイブームが
アフリカ南部名物の“ビルトン”。
燻製肉なのですがこの日食べた
牛の仲間“クーズー”はかなり美味。
お酒飲めないので
コーラで晩酌してます。
マリエンタル出発4日目。
この日はなんと無風!
前日まで踏ん張りながら進んでいたのが嘘のよう。
(しかし、結果的にナミビア出国するまで
無風状態はこの日が最後となりました。)
ゆとりを持って漕ぐことで
やっと周囲の壮大な自然の素晴らしさに
目をやることができます。
風が強いと前に進むのがやっとで
まともに景色なんて見てられません。
分岐を西方面に向かうと
いよいよ
フィッシュリバーキャニオンが
近づいてきます。
渓谷のある国立公園内のキャンプ場で
2泊するつもりだったのですが、
値段が高いそうなので
本日はキャニオンから20km離れた
公園外のキャンプ場に泊まることに。
翌朝、ここで悲劇が起こるとも知らずに…。
ディナーはウシの仲間
“スプリングボック”のステーキ。
値段は高いけど
一生食べる機会なさそうなので。
味はぼちぼちでした…。
オリックスのほうが美味しい。
キャンプ場の値段は¥1,800。
テント張るだけなのに
なんでここまで取られるのか。
観光地ってどこも
足元見てきますよね。
テントの中で目を覚ましたマリエンタル出発5日目。
いつも通り朝食のリンゴとパンと食べようと
食料用リュックに手にしようとした時でした。
「あれ?…ない。
食料を詰めたリュックがない!」
ここまで旅をして盗難・紛失にあっていないので
何が起こったのかすら分かりませんでした。
でもどこを探したってリュックはない!
「リュックが盗まれた!」
すぐさまキャンプ場のスタッフに報告すると、
「食べ物が入ってたんでしょ。それ絶対“ジャッカル”よ」
確かに、隣に置いてたパソコンとカメラは残ったまま
食料入りのリュックだけがなくなってました。
犯人はおそらく夜中に食べ物を探し徘徊する
イヌの仲間“ジャッカル”。
このあたり被害者続出だそうです。
嘆いてもリュックは帰ってこないし
メシ抜きで走ることはできないので、
やむなく朝食ビュッフェ¥1,200を食べました。
(高すぎる!!)
そして目的の
フィッシュリバーキャニオンまでは
あっという間。
1時間ちょっとで到着です。
渓谷を見に行く前に
ますはキャンプ場にチェックイン。
¥3,000の高額とあって
他の観光客はほぼゼロ。
確かに自動車ならわざわざ泊まる必要もないと思います。
ナミブ砂漠にあったのもそうですが
ナミビアの政府が運営する
キャンプサイトで、
設備は大したことないのに高額。
ここ自体に魅力はないので
さっそく渓谷に向かいます。
そしてキャンプ場から10km離れたところに
悠然と広がるのは“フィッシュリバーキャニオン”。
展望台から見下ろすと、
アメリカ・グランドキャニオンに次ぐ
世界で2番目に大きな渓谷のスケールを感じることができます。
全長は160km、
最も深い箇所で高さ550m。
ナミビア最長の川・フィッシュリバーが
5億年もの年月をかけて
削り続けたこの渓谷は
まさに地球の芸術。
グランドキャニオンも見たことますが
流石にここまで大きいと
どちらがどうだなどと
比べることは無意味で
ただただ圧倒されるのみ。
アフリカの旅・終盤にして、
この大陸のみならず
地球を代表する素晴らしい自然遺産を
目前にできる
素敵な場所でした。
渓谷の絶景を味わい尽くしたら
いよいよナミビアともお別れ。
アフリカ最後の国が近づいてきました。