25ヵ国目・タンザニア
【474日目 19,582km】
ケニアのナイロビから走ること3日。
あっという間に隣国への国境到着です。
やってきた25ヵ国目は「タンザニア」。
最高峰キリマンジャロのみならず
各地にある国立公園でのサファリツアーなど、
豊かな自然を活かした観光が世界的に有名なこの国。
ケニアと同じくスワヒリ語が話されており、
植民地時代以前のアフリカ古来の文化を
色濃く残す国でもあるそうです。
国境の向こう側の道路は
とても綺麗に整備されています。
山の中にもかかわらず
民家は途切れず続いていました。
カメラを向けると
喜んでポーズをとってくれた
この子たち。
見慣れぬ外国人に
興味津々なようです。
とにかく上がっては下る
の繰り返し。
ナイロビから3日続けて走ったこの日は
もうヘトヘト。
サハラを乗り越えた体力が
もう確実に落ちてます。
入国初日に着いたのは
山間の小さな村「マシャティ」。
ひっそりとした村には不似合いな
あまりにも綺麗なホテルを発見。
どうせ高いだろうなと思いつつ
値段を尋ねると
1泊¥750!
即決でした。
翌朝目覚めると、
体がベッドに縛り付けられたのではと
錯覚するほどのヒドい筋肉痛。
予定変更でもう1泊しました。
筋肉痛と疲労で
終日なんにもできず…。
だいぶ疲れも癒えたさらに次の日。
天気も良いし、
はりきってタンザニア走行2日目スタートです。
キリマンジャロ山麓を越えるまでは
とにかくアップダウン。
少しづつギアを上げたいのに
タンザニアなかなか手ごわいです。
昼前に小さな食堂でドーナツ休憩。
右の飲み物はコーヒーではなく
タンザニアの人が
日常的に飲んでいるチャイ。
ショウガ入りの紅茶で甘みたっぷり。
健康にも良さそうです。
山麓を降りきった午後からは
南東に伸びる国道をひたすら走ります。
主要道路の割には
交通量はまばら。
落ち着いてのんびり走ることが
出来ました。
道すがら存在感を放つのは
バオバブの木。
「星の王子様」に出てくるやつです。
どこか怪しげで、でも美しさのある
素敵なフォルムが好きです。
途中から
パイナップルゾーンに突入。
収穫作業を思うと
途方もない広さですが
目の前一面に広がっていました。
道路は最近工事が行われたのか、
赤ちゃんの頬っぺたくらい
滑々でなめらか。
多分いつまでもは
続かないだろうけど…。
100kmを走ったこの日は「ムガガオ」に到着。
タンザニアは小さな集落でも
割と宿泊施設を備えてくれているようです。
WiFiはないけども、
その他には非の打ち所がないような
部屋なのに¥750。
¥2,000が最安値だった
西アフリカとの違いは
何なんだろう。
タンザニア走行3日目。
宿の前の兄ちゃんに
「喜望峰まで行くのか?!スゲぇな!頑張れ」と
気持ちよく励まされてこの日も漕ぎ出します。
「強風注意」の看板。
この注意書きの通り
この日は(翌日もだけど…)
絶え間ない向かい風に
悩まされました。
キリマンジャロ山麓を離れてから
緩やかな起伏がありつつも
基本的に道は平坦。
写真を見返しても変わり映えせず
これどこだろう、というよな
風景が延々と続きました。
砂漠をずっと走ってたとき
よりましだけど
頭がボーっとしてくる。
それでもただ黙って
漕ぎ続ける。
この日は「ムコマジ」という村の宿に宿泊。
そして、
ここでちょっとしたトラブルが発生してしまいます。
宿のおばちゃんとひと通りのやり取りして部屋へ向かうと
廊下には2台の自転車が。
ノックすると出てきたのはニュージーランド人のカップルでした。
僕とは逆で、南アフリカからエジプトまで北上しているそう。
「あとで一緒にご飯食べよ」と告げ
それぞれの部屋へ向かいます。
荷物整理も済ませて
ベッドでリラックスすること
30分ほど。
誰かが僕の部屋をノックしてきました。
そこにいたのは現地人であろう
黒人のおっちゃんたちが5人ほど。
地元の自治体を名乗る彼らが言い出しました。
「君まだ、宿の帳簿に名前とか記入してないよね?
情報を記入せずに部屋に入ることはタンザニアでは違法だから。
隣のニュージーランド人もそうだけど、
罰金として約3万円払ってもらうよ」
確かにまだ帳簿記入も支払いもしてなかったのですが、
“なんじゃそのめちゃくちゃな罰金、怪しい奴め…”
と心の内に秘めつつ、
「そんなルール聞いたことないし、そもそもアンタら本物?
仮にそんな決まりあったとしても
説明してない宿の責任だと思うんですけど…」
ふと宿のおばちゃんを見ても
英語で話す僕らのことを理解できず
オロオロと戸惑った様子。
どうやらグルではなさそう…、多分。
そして会話を聞いた隣室の
ニュージーカップルも参戦。
特に彼女がヒートアップ。
「そんな罰金、どこの国だって
聞いたことないわよ!!」
奴ら:
「とにかく支払い義務は
宿じゃなくて、客である君たちにあるから。
すぐに払いなさい。現金で」
こっち:
「ルールがあるなら規定が書かれた書類持ってきてよ。
その上で、大使館に連絡とって
支払い義務があるって言うなら払うよ」
途中から同じことの繰り返しになりはじめた会話が
続くこと20分ほど。
ついに彼らは「やれやれ」という顔をして
引き上げていきました。
彼らが本物の公的機関で
僕らが本当に違反してたならば、
警察に連れて行ってでも支払いをさせるはず。
というか、
“帳簿への記帳をしてないだけで罰金”というのも
やはりあり得ないので
彼らはどう考えても金目当てのペテン師集団。
「とにかく変な奴らだったけど、
上手く撃退できて良かったね」と
一緒に食事を済ませて気持ち良く眠りにつきました。
タンザニア走行4日目。
逆の方向へ向かう“エマさん&カイルさん”
とはお別れ。
お気をつけて、良い旅を!
道に戻ると再びパイナップル畑。
でも実はなってないみたいです。
夏の果物だから
南半球ではあと半年後だろうか。
タンザニアのパイナップル
めちゃくちゃ美味しいらしいです。
アフリカで初めての水田を発見。
確かに皆お米たくさん食べてます。
泥が混じったような匂いと、
風に揺れる水稲の音。
祖国を思い出します。
あぁ、日本…。
謎の看板発見。
耳に斜線。
「しっかり聞け!」なのか
「何も聞くな!」なのか。
というか、
ホントに耳なのか。
少しづつ海が近づいたこのあたりで
初めての川に遭遇。
水があって緑が豊かで、
もうすぐ出会える野生動物たちの
声が聞こえてくるよう。
この日は80kmを走って
「コログウェ」到着。
同じような景色を
漕ぐこと数百km。
疲れました…。
ビルなんてないけど
タンザニアでは初めての町らしい町に着きました。
ちょっとこの町でひと休みです。