12ヵ国目・アルバニア
【281日目 10,573km】
湖畔の町オフリドを後にして
北マケドニアから次の国へと向かいます。
宿を出発してから、
ペダルを漕ぎつつ
左手に見えるのはオフリド湖。
背景の雪山と青空が綺麗に映えます。
向かう国境はやはり山の上、
のぼる高さはほんの300mほど。
雲のないこの日ですが、
気温は低めで
冷たい風が吹きつけてきました。
オフリドの町から2時間ほど漕ぐと
北マケドニア-アルバニア国境に到着。
列をなす自動車の間をすり抜け
無事ゲートを通過しました。
1週間ほどの滞在を終えて
北マケドニアとはお別れです。
やってきた12ヵ国目は「アルバニア」。
双頭の鷲をモチーフにしたカッコいい国旗です。
日本人にはなかなか馴染みのないこの国。
その特徴は、
■約30年前は周辺国との国交を断絶した「鎖国状態」であった。
■かつて、いかなる宗教の信仰も許されない「無神国家」であった。
■90年代、紛争中の旧ユーゴスラビア諸国に武器を秘密裏に供給。
―密輸組織の資金源として国民の大多数が「ネズミ講」の被害者となり
―国内経済が破綻して、大暴動が起こった。
という、
近年までかなり閉鎖的かつ不安定だった国なんです。
あまり長く滞在する予定ではないのですが、
どんな景色を見せてくれるのでしょうか。
国境を超えると長い下り坂。
これがかなり急で、
ジェットコースターのように
猛スピードで駆け下りていきます。
しばらく山間の谷を流れる
川沿いをのんびり走っていきます。
下りがほとんどなので
気持ちよく進みました。
とある村を通り過ぎようとした時、
橋の上には人だかり。
パトカーも駆けつけて
何やら物騒な出来事の予感。
近づいてみると
高校生のサッカーの試合でした。
この日は日曜日で大勢の人が
観戦に集まっていました。
ヨーロッパだけにサッカー熱は
かなりのもの。
国境から60kmほど走った町、
「エルバサン」にてこの日は宿泊。
民家の広い庭の一画を宿泊部屋にしてあるという
とても落ち着いたゲストハウスです。
冬はオフシーズンなので
部屋も貸切状態。
「千円でこれなら良いじゃないの」
という快適な宿でした。
次の日も晴れた空の下
穏やかな丘陵地帯をのんびり進んでいきます。
天気が良いっていうだけで
もうこの国のこと好きになりそう。
それくらい気持ちのいい道のりでした。
丘一面には
田園地帯が広がっています。
まだ冬なので
何を育ててるのか分かりませんが
イメージ通りのヨーロッパの田舎
といった風景。
前日に山を下りきっていたので
この日の道はとにかく平坦。
ペダルを踏むのにも力はいらず
午後から太陽に照らされると
なんだか眠くなるほどでした。
65kmを走ったこの日は
目的地「ベラト」に到着。
北マケドニアのオフリドに続き、
同じく世界遺産に登録されている町です。
町の中心にある小高い山の岩肌に
古い住宅が隙間なく建てられています。
窓を多く持つオスマン様式の建物が
互いにぎゅっと身を寄せ合っている様子から
呼ばれている名は「千の窓の町」。
家々が並ぶ旧市街に足を踏み入れると
傾斜はかなり急。
石の階段があちこちへと伸びており
あたり一帯がまさに立体迷路。
家はどれも似てるので
どこから来たのかわからなくなります。
路地から見上げると
ずらっと並んでいる家の窓。
日光がしっかり入るから
家の中は気持ちよさそう。
もちろん現在も地元の方が
住んでいます。
家と家の隙間の幅はかなり狭く
人がすれ違うのがやっと。
白い石がびっしりと敷き詰められた
石畳の道が風情を醸し出します。
ものを運搬するのには
馬が利用されています。
車は当然入れないし、
あまりに急なので
自転車も入れないです。
美しくても、住むのが大変そうな所。
高くへと登っていけば
スーパーやレストランもある
新市街が見下ろせます。
この後、迷いながらも
なんとか旧市街を抜け出せました。
どんな国なのかよくわからないままに
やってきたバルカン半島の小国「アルバニア」。
入国2日目にして、
穏やかな道と趣のある街並みのおかげで
良い印象を持つことができました。
やっぱりヨーロッパって
落ち着いてていいですね。