イラン北部をゆく

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【166日目 7,096km】

 

山あいの小さな村“シャル”からさらに北に向かい国境を目指します。

 

 

イラン北部になると気温もぐっと下がり防寒が必要になってきました。

10℃を少し上回るくらいでしょうか。

 

ピリッとした空気が肌寒い一方で、

視界が澄んで空の青がすごく鮮やかで気持ちいいです。

しかしこれから本格的な冬を迎えるのが不安で不安で仕方ない。

 

 

有名観光地の少ないイランの北部。

外国人が珍しいのか、声を掛けられる回数が一段と増えた気がします。

おかげさまで、こちらからお願いしてもいないのに

その日の寝床はなんとかなるからありがたい。

 

“ギヴィ”という村で迎え入れてくれたのは

小学校教諭の「アレハンさん」とその兄弟。

サッカー大好きな彼らとの話題はもっぱら

ACL決勝戦の鹿島アントラーズVSペルセポリス(イラン)について。

 

というかこの1週間、出会う人に「日本人だよ」と伝えるたび

ACLの話題ばっかり。

娯楽の少ないイランにおいてサッカー熱はかなりのものです。

 

 

さらに次の日、

かなり久々に本格的な雨に降られながら走っていたときの事。

横を通り抜けた1台の車が目の前で停まりました。

 

「近くの街に俺の家があるからそこまで乗っけてくよ!」

 

基本的に車では移動したくないしもうすぐでその街に着くしなぁ、

とためらいつつも雨は止みそうにないし風邪の予感もしてたので

お言葉に甘えてしまいました。

 

プロのレスリング選手として駆け出しのころにケガをしてしまい

現役の道を断たれた「バーゲルさん」。

現在は、牧場で働きながらレスリングコーチをするいいお父さんです。

 

鍛えることが大好きな彼には夜の8時半に「泳ぐぞ!」と

市民プールに連れてかれました。

(プール行くには時間遅いんですけど…。)

 

いざ行ってみると温水のジャグジーがあって、ずっとそこに浸かってました。

イランでお風呂に入れるとは予想外。

めちゃくちゃ気持ちよかったです。

 

戦闘民族であったペルシャ人の家庭にはナイフに剣に銃まで。

夜中に身体をズタズタに切り裂かれるのではと思いましたがそんなことはなかったです。

 

右上の手はキツネではなく、聖なる動物オオカミ。

トルコやイラン北部では幸福のシンボルだそうです。

 

 

さらに翌日、1日走ってイラン最後の都市“タブリーズ”に到着。

もう一つ山を越えれば次の国・アルメニアが待っています。

 

連日の走行を終えて大都市に着くといつも安心感を感じるのですが

今回ばかりは心優しいイランの人との別れが近づいていることに

寂しさがこみ上げてきます。

 

タブリーズの名物は、1000年以上も前から街の中心に存在しており

世界遺産にも登録されているというバザール。

道が入り組んでいるうえに人がかなり密集しているので1度入ると同じ所には出られません。

 

並んでいる商品はほかの街と変わりありませんでした。

電化製品や洋服など現代的なモノもあるのですが、

こういう香辛料は何百年も前から同じカタチで売られてるんでしょうね。

 

 

故障のため、「新富士バーナーさん」から再度ご提供頂いた

ガソリンストーブの代替品と、

実家から送られたみそ汁をこの街の郵便局で受け取りました!

 

改めて、

多くの人に支えられてこの旅は成り立っていることを実感しております。

 

 

やっぱりみそ汁美味しいなあ。