山奥の村”マースーレ”

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【160日目 6,679km】

 

北の方角にある国境へ向け、引き続き進んでいます。

 

10月も後半にさし掛かったとはいえやはり砂漠の国イラン。

汗が滴るまではないですが、

まだまだ半袖で走れるほど。

 

国土のほとんどを緑の少ない砂漠や荒野が占めるイランですが、

北部のカスピ海の周りにはぐるっと覆うように山脈がそびえています。

 

もちろんこれを超えていく必要があるのですが、

首都のテヘランはすでに標高1,000m越え。

ほとんど登ることなく山間を滑降するように

カスピ海沿いの地域へ下ることができました。

 

 

気持ちよく山を下りた日は

路肩のレストラン横の小屋で一晩お世話になりまして

明くる日にそのままカスピ海沿岸を進むこともできたのですが、

ここでしばし寄り道。

再び山の中へと向かいます。

 

 

久々に緑に囲まれた山の中を漕ぎつづけ、

2時間ほどかけて900mの高さを登りました。

 

 

はるばる高所目指してたどり着いたのが、

標高1,500mにひっそり佇む山奥の村“マースーレ”。

山肌に張り付くように無数の住宅が寄り添い合い建っています。

 

標高のせいもあり、

見上げるとすぐ真上はかなり濃い霧に包まれていました。

というかほとんど雲の中にいるような感じ。

 

遠目から一見するとただの集合住宅のように見えるこの村。

 

実はここ、

家の上にまた家がのっかるようにして建てられており

それぞれの家の屋根が生活道として利用されているんです。

つまり、自分の頭の上を誰かがペタペタと歩いている状態。

そのためどの家の屋根も平らにできています。

 

内部をのぞいてみると家と家の間には階段がびっしり。

かなり傾斜も急で足腰がしっかり鍛えられそうです。

当然、自動車が乗り入れるような道は無し。

 

綺麗に段々になっているわけではなくて、

それぞれの家の向きや高さはバラバラ。

 

おそらく都市計画も何もなく、

低い位置から建てたいように建てたんだと思いますが

道も階段も非常に入り組んでいて、

まさに村全体が立体迷路になっているマースーレ。

 

手すりすらない坂道が複雑に絡み合っているので

気を付けて歩かないと、時々ヒヤッとしてしまいます。

多分、年に何人か落ちてる人いそうですけど…。

 

中心部に数多く並ぶのはお土産屋さんに、レストランやカフェなど。

イラン国内の人々に人気の観光地らしく、

夜はかなり賑わっていました。

 

反面、外国人観光客をそれほど見かけなかったんですが、

あまり有名ではないんでしょうか。

雰囲気があって良いトコなんですけど。

 

足元に通りが伸びていて人が歩いてたり、

頭上に誰かがいてこっちをのぞいてたり。

なかなか日常では味わえない不思議な空間がここに広がってます。

 

人間ばかりでなく犬もいっぱいいました。

鎖でつなぐ習慣がないからなのか、

角から急に現れるのでしょっちゅう驚かされます。

 

ちっちゃな村だし、

することなくて暇なんでしょうね。

 

観光でふらっと訪れるぶんには良いのでしょうが、

杖をつくお年寄りの姿を見るたびに

ココに住むのは大変だろうなあと感じてしまいます。

 

 

山間の限られた空間を有効的に使って出来上がった村・マースーレ。

その土地ならではの独特の暮らしを目にするたび、

世界には色んな場所があるもんだと感心するばかり。

 

イランの旅もそろそろ終盤。

出会う景色をしっかり目に焼き付けて進んでいきます!