マヤの文化を巡る旅

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【196日目 11,532km】

 

 

ユカタン半島の街・カンペチェを出発。

ここからメキシコのゴール地・カンクンまでは500kmほど。

途中に現れる観光名所にも寄りつつ半島の先端を目指します。

 

 

 

これまで通りフラットな

道がどこまでも続くのですが、

問題は朝から止まない向かい風。

無風で平坦なら時速18kmほどだけど

この日は12kmくらいしか出ない。

漕いでも漕いでも進まない。

 

 

 

上り坂は頂上に

着いた時の達成感があるけど、

風はただただしんどいだけ。

ご褒美に追い風が

吹いてくれるわけでもないし、

ひたすら太ももに乳酸がたまる。

 

 

 

予定の100kmを走り切ることが出来ず

手前の「ベカル」という町に到着。

何にも情報を調べてないですが

どこかテントを張れる場所は

あるだろうか。

キョロキョロしつつ町を巡る。

 

 

 

 

 

 

日も暮れた頃に、

中心部の大聖堂とは別の小さな教会を発見。

芝生も生えてるので、ここで泊まらせてもらおうと

近づいてみることに。

 

 

 

すると教会の敷地内には

一軒のお家が。

中から出てきたお母さんが

「お腹すいてるでしょ。

中へ入んなさい」と

招き入れてくれました。

 

 

 

テーブルの上に置かれたのは

“ブリケケン”という

豆と豚肉を煮たもの。

ユカタン半島で繁栄した

マヤ文明から伝わる伝統料理です。

日本の煮豆にも似て美味しい。

 

 

 

出迎えてくれたハスミンさんの苗字は“ウク・ウク”。

メキシコで一般的な「ロペス」「ガルシア」とは明らかに違う響き。

実はハスミンさんの家系は「マヤ人」なんです。

 

500年ほど前にスペインによる征服と共に滅亡したマヤ文明ですが、

僕たち日本人やネイティブアメリカンとも似た顔立ちを持つマヤの人々は

現在でもユカタン半島を中心に暮らしています。

その人口は数百万にも及ぶのだとか。

 

 

 

神父をされているご主人の

“ヴィクトルさん”と

子供たちが揃ったら

町の中心部へ。

夜の屋台でユカタン名物を食べよう

とのことでございます。

 

 

 

それがこちらの「パヌーチョ」。

油で揚げたインゲン入りの

サクサクしたトルティーヤに

具を乗せたものです。

「もうほぼタコスじゃん」

って思っても、言わないのが大人。

 

 

 

もともとテントを張らせてもらう

予定だったのですが、

「疲れてるだろうし

ベッドで寝たほうがいいよ」

と準備してくださいました。

シャワーも浴びれたし、もう最高。

 

 

 

 

 

 

 

 

カンペチェ出発2日目。

走り出す前にハスミンさん達と記念撮影。

 

ただよく見てもらうと後輪がペシャンコに潰れています。

朝からやれやれとため息をつき、

タイヤに刺さったトゲを抜いて修理を済ませて出発です。

 

 

 

前日から吹き続ける

向かい風によりなかなか

スムーズには進めない。

さらに分厚い雲が時折雨を降らせ

イライラしながらも黙って進む。

メキシコ終盤戦、苦しんでます。

 

 

 

後に他人から聞いて

分かったのですが、

ちょうど半島の沖合に

ハリケーンが来ていたのだとか。

朝から晩まで止まない風は

海の向こうから吹きつけてたそう。

 

 

 

途中に寄った町で

ついにイグアナの撮影に成功。

実はユカタンに入ってから

100匹近く見てるのですが

どれもすばしっこくて

カメラに収めることが出来ませんでした。

 

 

 

10cm程度の子供から1m近い大人まで

大きさも様々。

小さいものほど鮮やかな蛍光グリーンで

道路上にいるとすごく目立つのですが、

写真の個体のように環境によって色を変えていくと思われます。

恐竜みたいでカッコいい。

 

 

 

この日も予定の距離を走れず

ユカタンの中核都市「メリダ」

に泊まることに。

観光地でもありますが

天気が優れず、ゲストハウスで

大人しくじーっと過ごします。

 

 

 

 

 

 

 

 

カンペチェ出発3日目。

出発前にメリダ中心部の大聖堂だけ見ておく。

 

実はもうメキシコ発の飛行機を押さえているので

遅れるわけにはいかない。

ちゃちゃっと見たらすぐに走り出す。

 

 

 

メリダを起点に進行方向が90°曲がるため

向かい風が横風に変わると確信してましたが、

どうやらこの日も真正面の向かい風。

風が意思を持って邪魔しているかのよう。

「なんでやーーー!!」って

1人で叫びながら走ってました。

 

 

 

カンペチェ出発以来

3日間止まない向かい風の中を

漕いでいると脚はもうパンパン。

ほぼ毎日漕いでると筋肉痛なんて

起こらないのですが、

この時ばかりはヒドい筋肉痛が…。

 

 

 

さらに風に加えて

午後からはどんよりと

暗く重たい雲が空を覆っていました。

いつ降り出すだろうかと、

様子を伺いつつも

なんとか持ちそうなので進むことに。

 

 

すると走行中に突然の大雨が…。

自分自身も後ろに着いた荷物ももうビショビショ。

熱帯雨林を突っ切る一本道に雨宿りできる場所は無く

無心でひたすら前に向かいペダルを漕ぎました。

 

 

 

雨の中、「オルカ」という

街に到着。

全く止む様子が無いので

お土産屋さんの軒下に

テントを張らせてもらえないか交渉。

100ペソで許可をもらいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

カンペチェ出発4日目。

昨日の雨は上がったものの、

起きると脚がピキーンとなる。

連日の向かい風、効いてます。

 

 

 

朝食はほぼ毎日

路上の屋台にて。

この日もユカタン名物

パヌーチョを頂きます。

雨のせいで靴までびしょ濡れで

非常に心地悪い…。

 

 

 

カンペチェからカンクンを目指して

日々走っておりますが、

今日は途中で楽しみにしていた

観光が待っています。

思えばメキシコシティ以降

ほとんど観光してないな。

 

 

 

出発から40kmほど走った所で

目的の場所にたどり着きました。

入場ゲートにはメキシコ人だけでなく

様々な国からやって来た人がいます。

入場料が¥5,000ほどと超高額なのに

メキシコ随一の観光地はやはり人気。

 

 

 

 

 

 

 

 

やってきたのがこちら

メキシコのみならず中南米を代表する文化遺産「チチェン・イッツァ」。

紀元前1,000年から17世紀まで存在したとされる

マヤ文明でも最大規模の都市遺跡です。

 

周辺に点在する遺跡の中でも目を引くのが

中央に鎮座する石のピラミッド「カスティージョ」。

創造神ククルカンを祀った祭壇であるこのピラミッドは

高さ24mにも及びます。

 

 

 

四面に敷設されたそれぞれ91段の階段。

頂上の1段を加えて365段になることから

マヤ文明はすでに現在の太陽暦を

把握していたことが分かります。

さらに260日周期の独自の暦と

2つを並行して採用したのだとか。

 

 

 

階段の下部には蛇の姿をした

“ククルカン”の頭が。

春分・秋分の日にだけ

日光の具合で蛇の胴体部が

現れるそうです。

方角も正確に捉えていたということ。

 

 

 

こちらはカラコルと呼ばれる天文台。

太陽や星の動きを観察して

公転周期を把握したのでしょう。

現代の観測所と同じドーム型の屋根を

すでに持ち合わせていることがスゴイ。

人間の文明って脅威的です。

 

 

 

こちらはサッカーのような

球技が行われた競技場。

ただ宗教儀式の一環で、

勝ったチームのキャプテンは

栄誉として首を狩られ

生贄として捧げられたのだとか。

 

 

 

“セノーテ”と呼ばれる天然の湖。

このセノーテに生贄の体や心臓を

放り込んでいたそうで

水底からは人骨も見つかっています。

信仰って崇高であると同時に

狂気ですよね。

 

 

 

当時の暮らしを想像しつつ、

人類の歴史の壮大さを

感じずにはいられません。

遺跡って本当にロマンが詰まってます。

色々な場所を訪れると

勉強したいことがどんどん増える。

 

 

 

 

 

チチェンイッツァの観光を終えると

さらに40kmほど進んで

「バヤドリド」という町へ。

ユカタンの熱帯雨林の湿気はひどく

観光中もジトジトで汗だくです。

早くシャワーを浴びたい。

 

 

 

¥1,500のゲストハウスを見つけチェックイン。

ゴールのカンクンまでいよいよあと150km。

 

ちなみにこの宿に

写真に写ってる充電コードを忘れてきちゃいました。