メキシコ独立記念日
【164日目 9,519km】
大都市グアダラハラでは3日間の休養。
次に目指すのはこちらも人気観光地の「グアナファト」。
300km足らずなので、3日あれば着くはず。
グアダラハラを出発したのは
日曜日の朝。
この時間帯は街の主要道路の一つが
歩行者天国ならぬ、自転車天国に。
日本の都市でもやって欲しいけど
“碁盤の目構造”じゃないと無理だろな。
街から離れると
緩やかながらも上りが続く。
休養明けのサイクリングは、
疲れが無く調子が良い時もあれば
体がなまって足が重い時もある。
今日はどうやら後者。
基本的には高速道路を走るけど
ランチを食べる時には、
一度下りて町へと向かう。
高速は真っすぐで便利だけど
これがちょっとめんどくさい。
食べるのはもちろんタコス。
午後3時頃にパンク。
小さな針金が刺さってました。
今日は100kmあまりを
走りたかったけど、
どうやらもう無理そう。
荷物の着脱含め30分は掛かる。
修理が完了して、いざ走り出すと
今度は突然の雨。
空模様から嫌な予感はしてたけど。
すぐに雨宿りできないのも
高速道路のデメリット。
それでも安全だから走るんですけど。
これ以上の走行は諦め、
近くの「テパチトラン」という割に大きな街へ。
安宿は無いかと中心部をウロウロしていると、
バイクに乗った青年が声を掛けてくれました。
「ウチはバイカー用の無料キャンプ場なんだ。
もちろんサイクリストも歓迎だから、おいでよ!」
数年前にアメリカ大陸をバイクで旅しているマリオさん。
“旅人への助けは惜しまないよ”と嬉しい言葉。
突然の誘いを受けそのまま郊外へ。
キャンプ場といいつつも、
空き地に簡易的な家があるだけですが
もともとは宿を探してたので、
無料で泊まらせてもらえるなんて
もう最高でございます。
テント泊のつもりが
「ベッドで寝ていいよ」とのこと。
お湯シャワーあるし、Wi-Fiもあるし
可愛いフレンチブルもいるし
これ以上なんて望めない
素敵な宿に出会ったようです。
雨も上がった
夕暮れ時の西の空。
オレンジと紫のグラデーションに
うっとり見とれる。
こんなことで一日の疲れが癒える。
何でもない町が思い出深くなる。
夕食はマリオさん御用達の
近くのレストランへ。
彼の勧めで注文したのは
「ポソレ」という鶏肉のスープ。
優しい味でとても食べやすい。
爽やかな香りのレモンを絞ってどうぞ。
互いの拙い英語、スペイン語で進めるマリオさんとの会話。
その途中で判明して驚いたのは、
彼の母方のひいお祖母さんが
数十年前に日本からやって来た移民だということ。
それも僕の地元・広島県から。
異国の地で偶然出会った彼との距離が
ぐっと縮まったように感じます。
大きいようで小さなこの地球。
グアダラハラ出発2日目。
マリオさんに別れを告げ
グアナファトへの道のりを走り始めます。
3日で着くと思っていた
グアナファトですが
パンクや夕立の影響もあり
もう1日掛かってしまいそう。
急ぐとイライラするばっかりなので
のんびり時間をかけていこう。
マリオさんの助言に沿って
高速道路ではない
田舎道を進むことに。
路肩が無いこともあるけど、
近いうえに交通量も少なく
落ち着いて走ることができます。
ちょうどお昼に着いたのは「アランダス」の街。
中心部に近づくと耳に入ってきたのは
ドンドンと打ち鳴らされるパーカッション。
目の前には通りを行き交うたくさんの人たち。
今日は9月16日。
およそ200年前に
植民地支配を受けていた
スペインから独立を果たした
「独立記念日」なんです。
街は文字通りのお祭り騒ぎ。
通りには屋台がずらっと並び、
道路には花で鮮やかに飾られた
トラック達がゆっくりと
行進していきます。
お揃いのスーツを着た楽団
“マリアッチ”達が街を賑やかす。
旗を振り、お酒を飲んで
盛り上がる地元の人々。
陽気なメキシコを象徴するイベント。
少し覗くつもりが
年に一度の祝祭を
長いこと楽しみました。
祭りもひと段落したところで街を出発。
すると、前日に続いての夕立。
実は9月のメキシコは雨季。
このところ毎日
かなりの確率で雨が降っています。
商店でしばしの雨宿り。
ただ日本の梅雨と違うのは
朝から晩まで雨というのは無く
午後のどこかで1時間程度
降るくらい。
「雨だから今日は走るのやめよう」
ということはないです。
雨も止み、祭りで賑わうアランダから
20km足らずの村にあるお宅を訪ねました。
実は今朝別れたばかりのマリオさんから
「電話しとくから、泊まらせてもらうといいよ」
とお友達を紹介されておりました。
二人で仲良く暮らす
“パンチョさん”ご夫妻の庭、
フカフカの芝の上に
テントを張らせてもらいます。
塀で囲まれた敷地の中なら
周囲を気にせずのんびり休める。
晩御飯までお世話になります。
豆を煮たものと鶏を煮たもの。
トウモロコシの粉で焼いた
トルティーヤは
日本人にとってのお米みたいなもの。
どんな料理でも必ずついてきます。
グアナファト出発3日目。
朝食を食べつつパンチョさん夫妻とゆっくりお話し。
思えばメキシコ本土では完璧な野宿というのはなく、
人のお家や庭でお世話になってばかり。
麻薬戦争、多数の行方不明者、など
物騒なキーワードで語られがちなメキシコのイメージが
大きく変わり始めています。
アガベ畑を横目に
車を気にすることなく
ゆっくりと進む田舎道。
標高は1,700mほどで
気温も日中で25℃程度。
かなり過ごしやすくなりました。
もともと3日行程の予定を
4日に増やしたおかげで
かなりゆとりをもって進むことができる。
ずっとこうして余裕があればいいけど、
のんびりしすぎても
南米のゴール地が寒くなりすぎる…。
昼には「ハルパ」という
町に到着。
わざわざ観光客が足を
運ぶような場所じゃないけど
静かで教会もすごく綺麗。
こんな場所がたくさんあるメキシコ。
ひっそりとした教会の雰囲気には
何となく癒されます。
家にもキリストの絵が飾ってあったり
メキシコ人はかなり信心深いよう。
なんと世界で2番目に
カトリック教徒が多いのだとか。
ランチを済ませ
町を出たとたんにパンク。
たったこないだもあったけど
なんでパンクって続くんだろうか。
穴の場所も違うから
それぞれ違う原因だろうけど。
気を取り直して走行再開。
ずっと山が続くと思ってたけど
意外に平坦です。
ちなみに雨季はハリケーンも発生するけど
中央部の標高が高いエリアは
心配ないみたい。
ふと道路脇では
アガベの収穫作業が
行われていました。
この長い柄のついた道具で
トゲトゲをどんどん
落としてくようです。
トゲの落ちたアガベがこちら。
トラックに次々積み込まれます。
このあたりテキーラの町から
300km程度離れてますが
「ホントの発祥はこの地域だぜ!」
とのこと。
サンフランシスコという街に着き
ホテルにチェックイン。
飛び込みで来たけど
ビジネスホテル並みに綺麗な部屋が
¥2,000と、最高のコスパでした。
グアナファトまであと70km。