ハイウェイ37を南へ
【47日目 2,762km】
ただ今、山火事を迂回して“ハイウェイ37”を走行中。
地域で一番大きな町「ディーズレイク」を出発します。
町にはスーパーがあるので、出発前にここで買い物をしておく。
アラスカ出発から一か月余り。
道中どんなモノを食べているのかご紹介してみます。
主食のミニットライス(アルファ米)。
熱湯を注いで5分待つだけの
要はインスタントライスです。
700g(7日分程度)で¥900。
次のアメリカまでは
お世話になりそうな予感。
たんぱく源のツナ缶。
パスタでもライスでも
入れておけば食べ応えが増します。
1缶¥350ほど。
味のバリエーション豊富なので
日替わりで試してます。
お昼に食べがちなのは“サッポロ一番”。
1袋¥150くらい。
どこにでも置いています。
基本、具は玉ねぎだけ。
大きい街に着いたら
本当に美味しいラーメン食べてやる。
走行中につまむ行動食は
その都度あるものを買いますが
この時はバナナとデーツ(ナツメグ)。
デーツはユーラシア、アフリカと
どこでもお世話になってきました。
375gで¥600。
物価が高いからこそ、
安く実現可能なレシピを探そうと張り切っていましたが、
ここまでしっかりしたスーパー自体が少なく
あまりバリエーションは増えておりません。
カナダ南部~アメリカにかけてはもっと
美味しく安いレシピを見つけてみせる。
買い物を済ませると「ディーズレイク」を出発。
この日は大きな峠を二つ越える行程。
気合を入れて走り出します。
ドライバー達が
「この先はすごい上りだぞ」
というからビビってましたが、
いざ上るとそうでもない。
車と自転車では
道の見え方がちょっと違うんです。
思いのほか順調に
峠を越えることが出来ました。
休む町がなく毎日漕いでると
脚が強くなっていってしまう。
本当はもっと観光もしつつ
のんびり進みたいのに。
二つの峠を越えた夕方
「イスカット」という集落に到着。
小さな商店がありました。
ただ、今朝しっかり買い物を
済ませているので買うものが無い。
のぞくだけのぞいてみる。
中に入るとレストランまでありました。
今朝たっぷり買い物を済ませたのに
結局贅沢をしてしまう。
ポークの煮物が¥2,000あまり。
高いけど、どこで何を食べても
これくらいです。
さらに10kmほど走って
湖のほとりにテントを張る。
そういえばハイウェイ37に入って
熊を見ていません。
このあたりはいないのだろうか、
安心して眠らせてもらいます。
やけに冷え込むと思っていたら
雹が降り始めました。
とにかく日毎の寒暖差が激しい。
もう凍えて眠ることはないと
思っていたのに。
おそらく氷点下であろう…。
ディーズレイク出発2日目。
朝から身を切るような寒さです。
バッグの奥にしまった手袋をまた取り出して走り始める。
山や湖の間をつっきる
ハイウェイ37。
平坦な道が続くことは少なく、
常に上るか下るか。
なかなかスピードに
乗ることが出来ない。
休憩中に出会ったご夫婦。
「私、地元に日本人の友達がいるのよ。
彼女と英会話の練習をしたりするの」
と嬉しそうに話す奥さん。
“あぁ、そうなんだね”と
ここまではホントによくある会話でした…
ただ、続く奥さんの言葉にビックリ。
「その友達、日本で歌手活動してるのよ。“UA”っていうんだけど、あなた知ってる?」
いやいや知ってるも何も、とんでもないビッグネームでございます。
UAさん、カナダに家を買って日本と往復しながら暮らされているそうです。
(※ご本人も公表されています。)
久しぶりにクマちゃん登場。
休憩所のトイレを覗いておられます。
トイレから出てきてこの距離で
クマいたら心臓止まるだろうな。
向こうが逃げることが圧倒的に
多いみたいですが。
少し走るとまたクマちゃん。
足元の草を食みながら
こちらをじっと見てきます。
冬眠明けだし、新芽出てるしで
とにかく遭遇率高いです。
8頭目。
夕方、道路わきの休憩所にて
テントを張る。
風を避けるために
キャンピングカーの横で寝ます。
交通量もさほど多くないので
音も気になりません。
夕食はミニットライス。
野菜ブイヨンにツナと玉ねぎ、
すっかり体が旅モードになってるので
食欲がとても旺盛でございます。
常に何か食べてたいほど
いっつも腹ペコ。
ディーズレイク出発3日目。
写真の真ん中の黒い点がお分かりでしょうか。
ブラックベアは本当に毛並みが真っ黒なので、
遠くからでもすぐに発見できます。
さらに近くにも出現、10頭目。
というか自転車に鈴ぶら下げて
チリンチリン鳴らしてるんですが
全然逃げないではないか。
カナダ北部ではクマを避けて
旅することはできないようです。
天気は良いけども景色は変わらない。
カナダの針葉樹林帯は
世界の森林面積の10%を占めるそう。
自転車で走るとよくわかるそのスケール。
アラスカから一か月以上走り続けても
とにかく森が途切れることが無いんです。
100kmを走ってこの日も
道路わきの休憩所にてテント泊。
芝生もあって良い場所じゃんと
スヤスヤ眠りましたが、
後に知らない所で他人に迷惑を
かけていたことを知ります。
ディーズレイク出発4日目。
朝から緩やかな上り坂をゆっくりゆっくり
進んでいきます。
そして2時間ほど走り30km進んだ地点でのことでした。
後ろからやってきたパトカーに
停められました。
「キミひょっとして昨夜、
道路横の休憩所で野宿してた?」
警察に話しかけられるとヒヤリとします。
「うん、してたけども…。」
聞けば、昨夜未明
置いてある自転車を目撃したあるドライバーが
“何もない森のなかに自転車がポツンとあるのはおかしい、事件だ!”
と通報したのだとか。
(暗くて、横に張ってあるテントが見えなかったそう。)
駆け付けたお巡りさんが、自転車の持ち主を探して
この辺りを何往復もしたのだとか。
「何事も無いなら良かったよ。では気を付けて!」と
パトカーは去っていきました。
なんか、ごめんなさい…。
昼前には“メジアディン”という
集落に到着。
延々と続く深い森を走ることで
心も疲れています。
この日はモーテルに泊ることに、
束の間の休息。
¥10,000くらいだけど、この辺りでは安い方。
部屋を見てみるとすごく簡易的。
観光客よりも、道路工事の作業員たちのための施設のようです。
早く森を走り切って人の住むところに行きたい…。