目指せワトソンレイク②

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【28日目 1,768km】

 

 

ホワイトホース出発4日目。

なだらかながらも傾斜が続く道を

せっせと走っています。

 

 

 

走り始めて1時間少々。

「やってるはず」と聞いていた商店が

未だ冬季休業であることが発覚。

ここで食料を補給する予定だったのに…。

前にお店のあったテスリンから

ワトソンレイクまで250km無補給決定。

 

 

 

ここまでの経験上、店の休業は

考慮しておくべきなんだけど、

物価高が影響してどうしても

買い控えをしてしまっています。

残りのわずかな食料で

なんとか2日間、乗り越えよう…。

 

 

 

とぼとぼと走っていた昼過ぎ、

1台の対向車が突然停車しました。

「俺たちも自転車乗りなんだよ!

水や食べ物は足りてるか?」

ウソでしょ、とこの時は

ちょっと泣きそうになりました。

 

 

 

昨年まで日本で英語教師をしていた

彼氏のマイクさん。

「来年二人で日本へ

自転車旅に行くつもりなんだよ」

その時はまた会おう、と

約束をして別れました。

 

 

 

カナダのドライバーさん達はほとんどの方が

手を振ってくれたりサムズアップしてくれたり、

とにかくサイクリストに好意的。

 

とはいえ、わざわざ停車までしてくれたのは

このカップルが初めてでした。

それも僕がお腹をすかせて困り果てているタイミングで…。

 

「カナダやアメリカにいる内はなんでも相談してくれよ。

どこにでも友達がいるし、何か役に立てるだろうから」

知り合いなんて誰もいない北の大地で出会った

マイク&ルーさんカップル。

人に優しくできるってなんて素敵なんだろうか。

あぁ、私もそうでありたい…。

 

 

 

と、とりあえず食料問題が解決し

ホクホクした気持ちで

漕ぎ進めることができました。

食料にしろ、時間にしろ、体力にしろ。

余裕が無いと気持ちが焦ってしまいます。

もっとゆとりをもって旅をしよう。

 

 

 

100kmを走ったこの日。

キャンプ場を発見。

「えっ、勝手に泊っていいの?」と

誰もいないのをいいことに

タダで泊まらせてもらいます。

運がいい日だ。

 

 

 

とはいえ、何があるわけでもなく

そのへんで野宿するのと

変わらないですが…。

開業後のキャンプ場は

Wi-Fiネットワークやシャワーがあれば

利用していきたい意向でございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ホワイトホース出発5日目。

前日、食料を頂戴したことで

朝からしっかり食事をすることができます。

 

 

 

この日も上り坂と向かい風が

結構しんどい…。

だだっ広い土地は

平らなイメージがありますが

かなり上りもあります。

ギアを軽くして、ペダルを回す。

 

 

 

道端の商店はやっぱりお休み。

“5月15日オープン”とのこと。

惜しい…、ちょっと早かった。

オンシーズンで商店が営業してたら

これまでの道も

相当楽になっただろうにな。

 

 

 

午後2時頃、

ついに「ワトソンレイク」到着!

小さな村ですがスーパーもあり

最低限のものは揃うよう。

ここしばらく、ちょっとした町でも

着いた時の感動がとても大きい。

 

 

 

 

 

 

このワトソンレイクには少し変わった見所がありまして、

それがこちらの“サイン・ポスト・フォレスト”。

世界各地の地名を記載した標識が無数に掲げられています。

 

これが何かというと、第二次世界大戦中

ケガを負いワトソンレイクで療養していた

アメリカ兵がすべてのきっかけ。

 

 

 

付近の町への距離を示す

標識が壊れていたので、

「キミこれ直すくらいできるでしょ、

やっといて」と指示を受けたそう。

その兵士はただ標識を直すだけなく

ちょっとおふざけをします。

 

 

 

4,000km以上も離れた故郷イリノイ州ダンヴィルを

指し示す標識も並べて取り付けたんです。

それから「じゃあ、俺ん家も書くぅ」と増えに増えて

現在はなんとその数、9万枚!

今でもここを訪れる観光客によって増え続けているそうですよ。

 

 

 

 

 

そんなワトソンレイクですが、ミッションが一つ。

アラスカ走行初日に折れた荷物取り付けのキャリア。

エポキシ樹脂で修理していましたが、

取り付けが甘かったようでまたパイプが分離していました。

 

食料をくれたカップル“マイク&ルーさん”がアドバイスをくれており、

修理できそうなところを紹介してくれていました。

 

 

 

快く引き受けてくれた“ダンさん”。

手際よく溶接して

壊れた部分をくっつけてくれました。

「気を付けて旅をしろよ」と、

お礼のビールを渡したときの

素敵な笑顔も忘れられません。

 

 

 

 

 

まだキャンプ場がオープンしていないのでモーテルに宿泊。

日中は10℃を超えることもあり、道中かなり温かくなっています。

人ともかかわりも増え、旅の厳しさと同時に

楽しさも徐々に増しているような。

ワトソンレイクを離れると、いよいよ楽しみにしていたアレが待ってる!