最も退屈な日?
【22日目 1,303km】
映画撮影組のニコラス達と共にやってきた
“ヘインズジャンクション”。
互いに二手に分かれる道を別の方へと向かうということで
今度こそ本当にお別れ。
ホワイトホースを目指し、東へと向かいます。
この日は本当に退屈な道でした。
景色が特段キレイなわけじゃなく
起伏もなく平坦。
どれだけ進んでも何も起こらないし
人も建物もホントに
何もない。
唯一の出来事といえば
野生の馬に出会ったくらい。
「このへん出るんだぞ」とは
聞いてたけど、まぁ馬です。
牧場から脱走したんでしょ、って感じ。
たてがみボサボサなのが野生っぽいけど。
人のいない地域って
その分絶景が広がってたりしますが
そんなこともなく、
ホントに作業として
ペダルを漕いでいる
気分になってきました。
夕方、川辺にテントを張って
野宿をすることに。
毎日書いてる日記にも
“過去一退屈な日だった”
と書き留め、こんな日もあるかと
眠りに落ちました。
そして深夜未明。ふっと何気なく目が覚め
ついでに「おしっこしよ」とテントの外に出ました。
そして、用を足しながら何気なく空を仰ぐと…
空一面のオーロラが!
「うわぁ、出とる出とる」と一人で大興奮。
頭上を覆う神秘の光景にしばらく見とれてしまいました。
アラスカについたばっかりの頃は「ねぇ、オーロラ見れる?」
なんて出会う人にしょっちゅう聞いてました。
でも確実に見られるわけではないし、深夜は大体疲れ果てて眠りこけてるので
チャンスをうかがうことすら忘れてたんです。
本当に偶然目が覚めただけなのに、
最も退屈な日が最後の最後に挽回してくれました。
オーロラを満喫した翌朝、
ユーコン準州の街ホワイトホースまで60kmちょっと。
休養日もなく連続で走り続けましたがようやく到着できそうです。
街に近づくと
やたらと工事中の箇所が増えました。
この砂利が厄介で
まともに漕ぐことが出来ず
押しながらなんとか進む。
車も苦戦してました。
そして、郊外から
街の中心部へ。
交通量もかなり増え
路肩を申し訳なさそうに走ります。
カナダのドライバーは
運転がさほど荒くない印象。
そしてついにたどり着きました
「ホワイトホース」。
アンカレッジから1,000kmあまり。
寒さに苦しみながら目指していた
最初の都市です。
ここでひと休み。
ホワイトホースはユーコン準州の州都。
といっても人口は2万人あまりで、
とても大都市というほどではありません。
中心のダウンタウンも全長2kmほどですぐに歩き終わるほど。
街そのものよりも
オーロラ観察やユーコンの自然を満喫する人々の
活動拠点となっているそうです。
川沿いにはサイクリングロードが
敷設され、
とても穏やかで雰囲気の良い街です。
移住地としても人気で
毎年1,000人もの人が
移り住みにやってくるのだとか。
ホワイトホース滞在中にお世話になったのは
“Warm shower”のホスト、ウィリアムさんご一家。
ダウンタウンから河を挟んだ向かいの住宅街にあるお家です。
夫婦ともどもお医者さんということで
お家はとても“いい感じ”。
3人のお子さんと仲良く暮らす
とても雰囲気の良い
ご家族でございます。
これ吹き抜けから見下ろしたリビング。
到着翌日の夜は
ピザパーティー。
夜っていっても22時過ぎまで
明るいので、
小さな子供も含め
大勢の人が集まります。
筋金入りの自転車好きの
ウィリアムさんご一家。
自転車仲間が総勢20人ほど。
庭先でピザ焼いて
ホームパーティーなんて、
ちゃんと欧米してます。
お世話になりっぱなしも
悪いので、
御礼に料理をふるまうことに。
翌朝、近所で豚肉を仕入れ
チャーシューを煮込みます。
グツグツ。
特に子供たちが
大喜びしてくれました。
「ワンモア、ポーク!」って。
あぁ、いけない。
また女子大生の
留学日記みたいになってしまった。
ということでひとまず目標にしていた
「ホワイトホース」に着き、ちょっとの間お休みです。
疲れが取れたら、だだっ広いカナダを南へと下っていきます。