巡礼の道
【321日目 12,277km】
フィレンツェで芸術に触れた後は、
いよいよイタリアの首都・ローマを目指して進みます。
法王の鎮座する場所・ローマ。
そのローマを目指して
はるか昔からヨーロッパ各地の人々が歩いたという
巡礼の道があります。
ということで、
フィレンツェ~ローマ間は
悠久の巡礼の道を辿っていくことに。
フィレンツェの街を離れると
なだらかながら起伏の多い
道が延々と続いていました。
主要の国道は別の地域を走っているので
交通量が少ないのがありがたい。
緑豊かで牧歌的な風景。
たくさんの丘が目の前に広がる
このあたりは「トスカーナ地方」
と呼ばれるところ。
残念ながら天気は不安定で
突然の雨に降られてしまいます。
ただ、降ってはやんでを繰り返すのが
イタリアの雨だそうで
しばらく雨宿りをすると
徐々に晴れ間も見えてきました。
巡礼の道は村から村へ
細くうねりながら続いています。
車がせわしなく走っておらず
のんびりと進んでいきました。
65kmを走ったこの日は
「モンテリジョーニ」という城壁に囲まれた小さな町に到着。
昔の人はローマに向かう道中、
町の教会で祈りをささげながら
点と点を結ぶように、また次の町を目指したそう。
教会は巡礼者のために
宿泊施設を併設してることがあり、
この日はそこに泊まってみることに。
要は、お寺の宿坊みたいなもの。
四国のお遍路を思い出しながら
ゆっくり休みました。
巡礼の道2日目。
窓を開けると
鮮やかな緑が目に飛び込んでくる
トスカーナ地方、春の朝。
出発してからわずか10kmほど走ると
次の街「シエナ」が見えてきました。
この町も城壁に囲まれており、
巡礼者たちの宿場町として
栄えたそうです。
町の中心には築700年近いという
役場とその隣に建つ鐘楼。
後で調べて知ったのですが
この「シエナ」は
歴史地区として町がまるごと
世界遺産に登録されているそう。
ゆっくり観光すればよかったですが
小雨が降っていたので先を急ぎました。
イタリアは歴史遺産があまりに多く
すべてのんびり見ている時間がない
というのが悔やまれます。
巡礼者たちへの道しるべとして
ローマの方向を示す標石が
あらゆる所に置いてあります。
歩いてローマに向かう方とも
ちらほら出会いました。
小高い丘の上にも道は伸びているので
未舗装の砂利道が続く区間もあります。
整った道ばかりだったイタリアですが
このあたりは走りごたえがあります。
75kmを走ったこの日は
10軒ほどの家がある集落の近くで
テントを張らせてもらうことに。
朝晩は少し冷え込みますが
日本の3月と同じくらいの気候でしょうか、
アウトドアが快適な季節が近づいてきました。
つづく巡礼の道3日目は
朝からいい天気。
空模様を気にせず走れるというのが
いかに幸せなことか実感します。
巡礼の道も時に車道と合流して
走りやすくなります。
それでもこのトスカーナ地方、
真っ平らな道はほとんどなく
アップダウンが数十kmにわたり
続いていきました。
途中で「バグニ・サン・フィリポ」
という村により、
名物のテルマエ(天然温泉)に
入ってみることに。
石灰岩が溶け出した様子が
トルコのパムッカレを思い出させます。
景色のいいところは人が多いので
上流のこちらでつかることに。
川に流れだしたお湯に浸かる
というスタイル。
ちょっとぬるめなのが気持ちよく
1時間近く入ってしまいました。
温泉で体がふやけきった後は
再び看板に従って
巡礼の道を進んでいきます。
道は再び、ガタガタの砂利道へ。
道沿いには時々、
天然水が垂れ流し状態で湧いています。
これがひんやり冷たくて
渇いたのどを潤してくれました。
こんなに穏やかな景色ですが
上り下りが絶えず続いているので
着実に疲労は溜まっていきます。
時には自転車を押しながらでないと
進めないほどの斜面もありました。
52kmを走った3日目は
「プロチェーノ」という丘の上の町に到着。
ここでも巡礼者のための宿泊施設に
泊まります。
ホテルより安いといっても
¥2000近くするので
やっぱりヨーロッパだな、
という値段ですが…。
ドミトリー(相部屋)には
他に誰もいないので貸切状態。
ベッドがすごくかたくて、
未だに引かない事故による首の痛みが
悪化しそうなほどでした…。
(現在、かなり快方に向かってます!)
イタリアに入国した途端に現れたのは
便器の隣に並ぶもう一つの便器。
“ビデ”です。
一般家庭にも置いてありました。
使い方については
ネットで検索してみてください。
夕日が沈むプロチェーノの町。
シルクロードの西の果て、
ローマまであと2日!