旅歴

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いよいよ出発まで1週間を切りました。

 

旅立ちを報告するためにもここ最近色々な人にお会いしているのですが

よく聞かれるのが、動機は何なのか、という問いです。

 

さまざまな体験を通過した結果、

今現在、旅に出ねばという心境なんですが

もっとちゃんと説明してと言われると

「…えーと、…んーと。」ってなってしまいます。

 

簡潔にまとめるのは難しいですけど、

これまで旅が与えてくれた無数の出会いが、

僕を魅了する強い引力であることは間違いありません。

 

“旅歴”なんて言葉はないですが、

これまで辿った旅歴なくして今回の挑戦はありえなかったと思います。

 

 

【インド】2012

大きなバックパックを背負って異国を放浪するのは初めての経験でした。

印象深いのがインド亜大陸最南端の町「カニャークマリ」。

 

アラビア海、インド洋、ベンガル湾の3つの大海を臨む岬に位置し

インドでは唯一太陽が海から昇り海へと沈むというこの地におもむいて、

早朝に日の出を迎えて沐浴をすることが

敬虔なヒンドゥー教徒にとっての美徳だそうです。

 

神聖な瞬間に立ち会うべく夜明けの海岸に向かうと

場を埋め尽くす色鮮やかなサリー、一帯を覆う静寂、荘厳な雰囲気。

 

ところがいざ日が昇り始めると一変、

テンションの上がった巡礼者はエキサイトし、子どもたちはシャウトしまくります。

厳かな儀式どころか、「太陽めっちゃキレイじゃん、Yeah」て感じなんです。

 

宗教や儀礼とは縁遠い僕が勝手に別世界の情景を夢想してただけで

ホントはもっと世俗的で普通なんですよね。

神秘の国との距離がちょっと縮まった瞬間でした。

 

 

【アメリカ】2014

グレイハウンドバスを乗り継いで名高いライブハウスを巡った

北米大陸横断の旅にも忘れられない出会いはありました。

 

アリゾナ州「セドナ」でのこと。

ネイティブアメリカンの聖地でシュラフを携えウロウロ寝床を探していたところ

「ここじゃ野宿できんよ」と声をかけてくれて

泊めてもらったのが James Uquallaさんという人でした。

実はこの人、Havasupi族という部族の副酋長的役割にあたる偉いお方。

 

グランドキャニオンの谷底の出身ということで故郷を案内してもらったり、

司祭的役割を務められるとのことで結婚式に参列させてもらったり。

21世紀にありながら土着の慣習に寄り添った暮らしを覗かせてもらいました。

 

大宇宙からのメッセージについて、母なる自然との共存について、

三日三晩ともに語らい過ごしたことで

深遠なる精神世界に足を一歩踏み入れることができました。

合掌。

 

 

【カンボジア】2015

「地雷を踏んだらサヨウナラ」という本をご存知でしょうか。

 

1973年、現地で殉死された写真家・一ノ瀬泰造さんの手記には

ポル・ポト政権下のカンボジア国内の様子がありありと記されており、

東南アジアの小さな国への関心を引きつけられました。

 

多数の人が大虐殺の犠牲となったカンボジアでは

どの地域を歩いてもお年寄りを見かけることはほとんどなく、

少し旅をしただけで暗い歴史の影響が垣間見えました。

 

負のイメージを抱えたまま向かったのが、ラオスとの国境付近にある

ラタナキリ州「バンルン」。

たどり着いたゲストハウスはなんとオープン初日だったらしく客は一人。

4日間滞在しましたがずっと一人。

 

苦戦したのが旅の定番、言葉の問題です。

若い夫婦と幼い二人兄弟の家族経営なんですが誰も英語ができず、

“One, Two, Three”も“Tomorrow”も“Water”も通じませんでした。

身振り手振りで何とか意思疎通をはかりました。(多分できてないけど。)

 

そんななか、奮闘してくれたのが幼い兄弟たち。

少しでも英単語を身につけるため、

必死にジェスチャーで意味を理解し、何度も声に出して覚えようとしてました。

 

何かを学び得ようとするキラキラした純粋な瞳が、

どんな過去があっても前へ進もうとするエネルギーは新しい未来を切り開く

ということを教えてくれた気がします。

 

 

という感じでまとめてみましたが、これらは沢山の出会いのほんの一部です。

 

日常にも溢れている「出会いの尊さ」を、

旅はわかりやすいかたちで示してくれます。

時間的にも空間的にも、極めて小さな点と点がぶつかり合う偶然を味わうため

僕は新しい旅に出ます。

(上手にまとまりました!)

 

出発まであともう少し…!