37ヵ国目・アルゼンチン

投稿日:

【346日目 18,649km】

 

 

大恩人・千田さんの助けもあって

何とか苦難の国境越えを終えた翌日。

 

前日通過したアルゼンチンの入国審査は湖に面しており、

ボートに乗って対岸に向かうことから

アルゼンチン走行の初日が始まります。

といっても午前11時出発なので朝はかなりのんびりできました。

 

 

 

南の方角、ボートの進行方向には

名峰フィッツロイが鎮座するのですが

朝からずっと雲に覆われています。

天気は良いのに

どうしても山頂が見えないのが悔しい。

早起きしたけど、日の出もダメでした。

 

 

 

ただ横を見てみると

山の上が真っ白。

雪のように見えますが

所々青く透き通ってることから

氷河だというのがよく分かる。

小さな滝も滴ってました。

 

 

 

 

 

 

ということで、

美しい大自然から始まった

37ヵ国目、そして世界を巡る旅における

最後の国となるのは“アルゼンチン”。

 

メキシコ以来、ずっとスペイン語圏が続くので

国が変わってもさほど

大きな変化がないように感じてはいるのですが、

“サッカー”、“タンゴ”のイメージが強いこの国では

どんな旅路が待ち受けているのでしょう。

 

 

 

 

 

 

1時間しないうちにボートは着岸。

ここから40km弱離れた

アルゼンチン最初の町を目指す。

写真に写ってないけど、横には大恩人・千田さんもいます。

 

 

 

アウストラル街道後半から

数百kmに及んだ未舗装路も

もうじき終わり。

“あぁ、このガタガタ道も最後か…”

なんて名残惜しくはありません。

はやくアスファルトを走りたい。

 

 

 

未舗装に加えて

のんびり会話をしながら

走ったこともあって、

4時間あまりも掛かった末に

ようやく遠くに

目指す町が見えてきました。

 

 

 

 

 

 

夕方5時前、国境から40kmに位置する

「エル・チャルテン」に到着。

 

“名峰フィッツロイ”のトレッキング拠点として

この20年で出来上がった町らしく、

新しい建物ばかりがまばらに建っている様子は

住宅展示場みたい。

観光客は多いけど、なんかスカスカな印象です。

 

 

 

自転車旅を締めくくり、

ここからは交通機関を利用しつつ

南へ向かう千田さんとは

一度お別れ。

とはいえ200km離れた

次の観光地ですぐ再会の約束。

 

 

 

その後、節約のためにも

キャンプ場へ向かうつもりだったけど

調べてたところが休業中。

しかたなく近くの宿へ。

6人の相部屋でも¥3000

してしまう…、高い。

 

 

 

 

 

 

 

 

エル・チャルテン到着翌日、

雲に隠れてなかなか姿を見せてくれないフィッツロイ。

 

晴れの日にその頂を間近でみるためには

場合によっては5日近くも待たなくてはならず、

天候が好転しそうもないことからトレッキングをあきらめ

すぐに出発することに。

国境越えの日に見れたのが本当にラッキーだ。

 

 

 

エル・チャルテンを出るなり

数週間ぶりとなる

アルファルト舗装の道が

待ち受けておりました。

あぁ、もうあんな悪路を走る

必要なんて無いんだ…。

 

 

 

当初はトレッキングを

したかっただけに

後ろのフィッツロイが気になる。

ただ何度振り返っても

常に雲に覆われており

以後、山頂を見ることはできず。

 

 

 

 

 

 

 

 

国境を越えエル・チャルテンを発ったと同時に

大陸東部に広がる広大な草原

“パンパ地帯”に突入しました。

 

深い森を進み続けた「アウストラル街道」から

たった2日で景色はガラリと変わり、

木の一本も生えてはおりません。

 

 

 

山あり谷ありの砂利道ばかりで

1日60km程度を

走るのがやっとだった

この一カ月。

ここからは時速20kmで

ぐんぐん進めそうです。

 

 

 

ただスムーズに走れるのは良いけど

建物なんて一つも無く

走れども走れども

同じ景色が続くばかり。

朝に町を出てから

歩いてる人を見てません。

 

 

 

 

 

 

夕方5時頃にようやく

道端に建物を発見。

レストラン兼ホテルのよう。

本来ならわざわざ寄らないけど

あまりに寂しい道が続いたので

人恋しくて立ち寄ることに。

 

 

 

前後100km近くにわたり

お店などないからか

特別美味しくもないピザが

ひと切れで¥500。

アルゼンチンの物価が怖いけど

疲れてるからつい買ってしまう…。

 

 

 

 

何気なくレストランの壁を眺めると賞金首の張り紙が。

よく見ると“ブッチ・キャシディ”

と書かれているではないか。

 

お店の人に尋ねると

映画「ブッチ・キャシディ&サンダンス・キッド(明日に向かって撃て)」

の題材になった二人の強盗が

実際にこの宿に宿泊したのだそう。

 

 

 

映画のロケ地に使われたのか

と思ったのですが、

そうではなく実物の2人が

100年前に泊ったと聞いて

一人で興奮してしまいました。

(※60年代の映画が好きなんです)

 

 

 

ホテルはキャンプ場も兼ねてたけど

寝るだけのためにお金使うのも

勿体ないので、

川を挟んだ向かい側にて野宿。

ロケーションは悪くないけど

トゲのある植物がやっかいでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

エル・カラファテ出発2日目。

東からのぼる眩しい朝日を眺め

朝食を済ませる。

 

“さぁ、今日も100km超の道のりを行こう”

と張り切ったのですが…

 

 

 

テントを片付けている最中に

西からものすごい風が

吹き始めました。

進行方向に対して右から吹くので

道路側にどんどん体が

持ってかれてしまう。

 

 

 

大西洋と太平洋、

二つの大海が合流する

パタゴニアは

世界有数の暴風地帯としても

知られています。

朝から1秒たりとも吹き止まない。

 

 

 

昨日は穏やかだったけど

今日はとことん吹き荒れるみたい。

横風でもなかなか前には進まず

体力だけが奪い取られる…。

小さいのに¥500もする

エンパナダで回復を図る。

 

 

 

天気予報では追い風基調

のはずだったけど、

道は曲がりくねるし

丘などで風の向きが変わる

こともあって

ときに向かい風を浴びることも。

 

 

 

 

 

それでもなんとか80kmを進み

夕方5時半には東西に走る道路と合流する丁字路に到着。

ただここからの問題は、目指す街が西の方角にあるということ。

つまり完全な向かい風を受け続けなければなりません。

 

試しにペダルを踏み込んでも

まともに前進はできず…。

やむを得ずヒッチハイクを試みることに。

ただ交通量が少ないのですんなりいきそうもない。

 

 

 

 

冷たい風に吹かれ続けること1時間。

あまりにも成果が出ないので

停まってくれるわけないと思いつつ、

ツアーバスにも向けて親指を立てると

バスは徐々に減速。

ついに乗せてもらうことができました!

 

 

 

聞けば、僕が昨日出発した

エル・チャルテンに

お客さんを降ろしたのち、

会社に戻っている最中でした。

ということで広々とした車内に

優雅に座らせて頂く。

 

 

 

 

30分ほどでバスは目的の街

「エル・カラファテ」に到着。

しかも、わざわざ僕の予約していたゲストハウスの前まで

送り届けてくださいました。

クリストファーさん、ありがとう!

 

 

 

ということで

そのまま宿にチェックイン。

荷物を運びひと段落したところで

食事スペースに向かうと、

先にバスで移動していた

千田さんと合流を果たしました。

 

 

 

 

 

 

 

エル・チャルテンからたった2日しか漕いでないけど

前日風にあおられ続けたことで疲労困憊。

宿でダラダラしつつ、

観光客でにぎわう綺麗な街並みを歩きつつ、

到着翌日は休養日とします。

 

 

 

チリでは、ほぼ野宿を中心にしつつ

大きな街では個室に泊まってたので

ドミトリー(相部屋)自体が

久しぶり。

まだ物価がよく分かってないけど

贅沢が出来る国ではありません。

 

 

 

 

 

 

「エル・カラファテ」の街はパタゴニアを代表する

一大観光地への拠点として知られております。

 

ということで、

滞在2日目の朝7時から大恩人・千田さんと連れ立って

バスに揺られながらその場所を目指す。

 

 

街から西に進むこと70km、

バスで1時間以上かけて

目的地に到着。

琵琶湖よりも大きな湖の一画に

それは待ち構えております。

ワクワク…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たどり着いたテラスから見渡すのはこちら

「ペリト・モレノ氷河」。

チリ=アルゼンチン間にまたがる広大な氷原から

ゆっくりと這うようにせせりだす巨大な氷塊です。

 

 

 

青みがかった幻想的な色も

素敵ですが、

何よりまずその大きさに

圧倒されてしまいます。

高さにして40m、

とにかくデカイ…。

 

 

 

1日あたり2m押し出されており

先端から崩落した氷が

流氷となって漂っております。

この日は確認できませんでしたが

轟音とともに崩落する瞬間は

迫力もあり見ものだそうですよ。

 

 

 

 

付近にある48もの氷河の多くが

温暖化の影響を受けて縮小・後退が確認されるなか、

“ペリト・モレノ氷河”については

今のところ観測上の変化はないのだとか。

 

パタゴニア氷河界のエースに

予想を越える衝撃を受ける満足の観光となりました。

 

 

 

 

 

 

氷河の観光を終えた後は

ゲストハウスでまったり。

大恩人・千田さんへのささやかなお礼として

食事をごちそうさせて頂きます。

 

観光客向けスーパーの品揃えは悪く

大したものを用意できなかったけれど、

それでも喜んで頂くことが出来ました。

千田さーーん!!