雨に打たれてパタゴニア
【324日目 18,051km】
アウストラル街道7日目。
「プユワピ」の宿で1泊を明かしたけれど
次の日も相変わらずの雨。
予報を見ても、地元の人に聞いても
数日は降り続くようなので、昼頃にはあきらめて走り始めます。
フィヨルドの湾曲した入り江に沿って
ペダルを漕ぎ進めます。
すぐ頭上にはふわふわの雲。
気流が激しいのか
かなりの速さで流れていきます。
おかげで雨も降ったりやんだり。
町を出て20kmほどのところで
路面が未舗装に。
細かいアップダウンもあるので
どうしてもスピードが落ちます。
この入り江沿いも、天気さえよければ
綺麗なんだろうな。
道中にはたくさんのサイクリスト達。
大体みな同じような速度なので
顔馴染みの方もちらほら。
「2日前の町でちょっと喋った、
えぇっと、ナニさんだっけ??」
というのがすごくよくある。
道の傍らでは
そこらじゅうに清流が。
宝石の道やアタカマでは
水の心配ばかりだったので、
この点は本当に助かります。
雨で少し濁ってるけど問題なし。
50kmほど走った夕方6時前。
大きな峠を前にして、今日はここまでに。
途中から一緒に走り始めた
スペイン、アルゼンチンのお二人と一緒に
道路脇でテントを張ります。
雨がヒドくなったので
夕食はそれぞれテント内での自炊。
クスクスだけでなく
パスタも持ち運んでます。
ジェノヴェーゼって和えるだけで
美味しいから便利。
アウストラル街道8日目。
朝7時、ふと目を覚ますとポツポツとテントを打つ雨の音。
悪天候が続くと分かっていても
朝からこれでは気分も乗らない…。
雨が弱まるのを待って
ようやく出発の準備が
整ったのは10時頃。
一瞬だけ顔を覗かせた太陽を
見逃さず、ちょっとだけでも
テントを乾かしておく。
今日のスタートは
6kmで600mの峠を越える
かなりの急坂。
単純計算で斜度10%。
地元の人か観光用の4WDしか通らないので
とにかく傾斜が容赦ありません。
かなり深い山の中を進みます。
砂利道なのも厄介で、
押して歩こうにも
踏んばる足が滑って
思うように進めない。
おまけに地面は水分も含んでます。
見上げる山には
怪しげに雲が立ち込めます。
海のすぐ傍である上に
山がどこまでも広がっているので
とにかく天気がすぐ変わる。
さっきは太陽がちらっと見えたけど。
そして雨が降り始めました。
決して雨粒は大きく無いんだけど
風もそれなりに吹いてるので
顔に打ち付けるのが厄介。
ただでさえ急斜面に
苦戦してるというのに…。
上り始めて3時間弱。
ほとんど押して歩いたけど、ようやく峠に着きました。
そしてここからは嬉しいアスファルト舗装。
ただ雨に濡れるとブレーキシューが
みるみる摩耗し、効きが悪くなります。
50kgの重みを止めるのは容易でなく
握りしめる手もすぐに疲れ果てます。
上りも大変だったけど
下りも同じくらいしんどい。
ようやく坂を下り切った先の
東屋で遅めのランチブレイク。
ただ気温は8℃、
雨に濡れたことで体が冷え
ゆっくり休まらない。
漕いでた方がマシなのですぐ出発。
さらに20km近く走った所で
キャンプ場を発見。
結局、ほぼ終日
雨に降られ続けてしまいました。
ここまでずぶ濡れになるのは
今回の旅で初めてじゃなかろうか。
屋根付きのサイトを選んでテントを張る。
毎日乾き切らない内にたたんでしまうものだから
日ごとにテントがカビくさくなってしまう。
あぁ、徐々に雨によるストレスが蓄積してゆく…。
キャンプ場には小さな食堂も付いてます。
薪ストーブもあるので
明日も着るものを優先的に
乾かさせてもらう。
炎をあげる薪が
体を芯から温めてくれます。
実は今日は誕生日でした。
ということで
贅沢にピザを食べちゃいます。
雨に降られて散々だったぶん
こんな小さな贅沢が
大きな幸せに感じられる。
アウストラル街道9日目。
誕生日の翌日ということで贅沢に朝食も注文。
この調子であと一週間は誕生日フェアやろうかな…。
温かいコーヒーを飲みながら、
今日も朝から降っている外の雨を見ないように現実逃避。
半日休みは数回とったものの
プエルトモントから連続走行9日目。
疲労に加えて、旅の荷物が
びしょびしょに湿ってるせいで
日に日にイライラしてくる。
ダメだ…、平常心、平常心。
前日ほど強く降ることはなく
パラパラと弱い雨が降ったり止んだり。
実は有名な国立公園も通過してるのですが
雲が覆うばかりで
景色を楽しむどころじゃない。
はやく進んで街で休みたい。
この辺りはコンドルの棲み家で
バードウォッチングもできるらしいけど
雨のせいか、何も飛んでません。
1200kmに及ぶアウストラル街道、
その全ての景色を最高の条件で
眺めるのは難しいようです。
最近、ランチはパンに
チーズとハムを挟んで食べてます。
これも気温が低いことの恩恵。
メキシコなんかでは毎日暑いから
とても食材を運ぼうとは
思いもしなかった。
ただ10℃前後の気温って
服の調整がすごく難しい。
着込むと暑いし、薄着じゃ寒いし。
もっと寒くなってくれて
冬用の機能性の高いウェアを来た方が
だいぶマシじゃなかろうか。
午後からは起伏も少なく5時に
「マニウアレス」に到着。
今日も雨が降りそうなので
キャンプ場に泊まっておきたいところ。
町に入ってすぐキャンプ場を発見。
しっかり枝の伸びた大木の下に
テントを張ることに。
大雨にはならなそうなので
たぶんこれで
大丈夫だろう。
オーナーさん宅の共有スペースでのんびり。
もっと野宿ができたらいいんだけど、
ここまで雨が続くと
つい快適さを優先してしまう。
ちなみにキャンプ場はどこも
¥1,000ほどが相場です。
キッチンを借りて夕食の準備。
薪ストーブの上で鍋をかけるのが
パタゴニアスタイル。
屋内だけどちょっとだけ
アウトドア気分を味わうことが
できます。
この日もジェノベーゼ。
雨で不快な日々も
夕食だけは
割りと充実してる気がする
アウストラル街道の旅。
いつも同じメニューだけども。
アウストラル街道10日目。
今日には街道最大の都市である
「コヤイケ」に到着できそう。
天気は当然朝から雨でございます。
谷間の道をのんびり漕いでると
うっすらと虹が!
ひたすら続く森の景色に
うんざりしつつありましたが、
久しぶりに目の前の景色に感動しました。
このままスカッと晴れてくれ。
しかし、それからも
雨は降ったりやんだり。
一時激しくなったときには
バス停で雨宿りをするほど。
ここ数日、靴はずっと
びしょびしょです。
昼頃に一軒の商店を発見。
ただこないだまで汗だくになって
飲み干すジュースが美味しかったけど
気温が下がったことで
そんなに飲み物も欲しくない。
自炊も多いし節約できてます。
コヤイケまであと
40kmに迫った午後。
徐々に空に広がる雲は薄くなり
時には日が照るようになりました。
雨が止んでようやく
周りの景色を眺める余裕が出てくる。
小さなものも含めると
アウストラル街道はとにかく
滝だらけ。
そこらじゅうで水が流れ落ちています。
さらに4時頃には
数日ぶりに青空を
拝むことが出来ました。
そして街へと向かう最後の上り坂。
これがかなり急でしかも長い。
汗もびっしょりになっていく。
そして坂を上りきったところ、
看板には「コヤイケ」まで
残りわずか10km。
連日雨に打たれて
走ってきたけど
ようやく街に着ける。
峠を越えると
一気に景色が開けました。
はるか向こうには
予想以上にたくさんの家屋が
山肌に広がっています。
気合いをいれて最後のひと踏ん張り。
通りも建物もきれいに整って
チリも南下するほど
どんどん“ヨーロッパ感”
が増しているように感じます。
ずっと森と雨ばかりだったので
清々しい気分。
そして到着しました
アウストラル街道・最大の都市
であると同時に前半戦のゴールでもある町「コヤイケ」。
滞在中は天気が良いようなので
太陽の恵みを受けつつ、ここでひと休み。