アウストラル街道を走る
【320日目 17,805km】
チリ南部の都市・プエルトモントを出発して3日目。
フェリーを乗り継いで、
入り組んだフィヨルドの沿岸に続く
「アウストラル街道」を進み始めました。
降水量が多いことで有名な
パタゴニアを進むということで
雨の心配をしてたのですが、
ここ3日間は
とても気持ちの良い快晴。
湖の青も良く映えます。
前日から続く深い森林は
まだ途切れそうにもない。
“世界一の林道”という形容が
確かに大げさではないな
と感じるほど、とにかく深い緑。
一歩踏み入れると遭難しそう。
透き通った清流が
あちこちに流れており、
木と水によって目が潤います。
数週間前に砂漠を走っていた自分に
この水をたっぷりと
飲ませてあげたい。
キャンプ場を出発して50km足らずを走った午後1時前。
目標としていた「チャイテン」の町に着きました。
ハイカーやサイクリスト達の
拠点となる場所と聞いていたので、
それなりに活気があると思いきや
昼だというのに通りはとても静か。
まぁ、町自体に見所は無いので
みんな宿でゆっくりしてるのだろう。
案の定、宿はどこも一杯で
5軒目でようやく空室を発見。
パタゴニアの自然を満喫するには
一番の夏季。
道路上でも、町の中でも
たくさんの観光客に出会います。
予定よりも早い日数で
ここまで来られたうえに、
昼には宿にチェックインできたので
明日は休養日を設けずに
もう出発してしまおう。
良い感じ、良い感じ。
アウストラル街道4日目。
せっかく宿代を支払ったので
チェックアウトギリギリの11時まで部屋でのんびり。
スーパーで食料の買い出しを済ませたら
お昼にゆっくり出発です。
しばらく人口の少ない
集落ばかりが続くので、
交通量もかなりまばら。
チャイテン出発直後は
起伏のないなだらかな道を
気持ち良く進んでいます。
すると目の前に割れた酒瓶の底が
落ちておりました。
「あっ、ヤバい」と意識するほど
避けれず踏んでしまうんですよね。
もちろんすぐにパンク。
ため息をつきながら迅速に修理。
現在の目標は、1200kmに渡る
アウストラル街道の半ばに
位置する都市「コヤイケ」。
あと400kmほどということで
これまで通り
順調にいけると良いけど…。
チャイテン出発から
50kmほどのところで
目標としていた橋に到着。
今日は昼出発の
“のんびりデイ”なので
このあたりにしておこう。
橋の下に丁度良く平らな場所を見つけ
テントを張る。
まだ午後4時で太陽も高く
目の前には綺麗な河。
良いキャンプになりそうでございます。
最近、読書熱が上がって
テントで本を読む時間が幸せ。
読書は“紙派”なんですが
長旅にはKindleがピッタリ。
ロマンはないけど
便利なものは便利です。
ここまでのアウストラル街道での
最高気温は15℃ほど。
さらに寒くなっていくはずですが
気温が低いときのメリットは
新鮮な食料を持ち運べること。
キャンプ飯も楽しくなります。
小粒パスタ“クスクス”は
どんなアレンジも可能。
オートミールと違って
「仕方なく食べる」って感じでは
ないんですよ。
ちゃんと美味しいアラブ料理です。
アウストラル街道5日目。
前日ののんびりキャンプで
しっかり体力を温存した翌日は
600mの峠越えからスタートです。
アウストラル街道走破にあたり
過去数年の先人方々の
情報を参考にしているのですが、
ここ数年で一気に道路の舗装工事が
進んでいるみたい。
ここも未舗装だと思ってました。
そのこともあって
1時間ほどで峠も順調にクリア。
砂利道で苦しむのも
良い思い出にはなるはずだけど
まぁ、道路は
綺麗に越したことはないです。
峠を下り切った所で
「サンタ・ルシア」
の集落に到着。
ちょうど昼頃なので
ここでランチブレイクを
取っていくことに。
ここで小さなトラブルが…
アラスカから2万km近く漕いできた右のペダルが
“カリ、カリ”と異音を鳴らすようになったので
プエルトモントの街で新品に交換してたんです。
「もうゴールも近いし、安いのでいいや」と
¥1,000のプラスチック製のものを取り付けておりました。
すると先ほどの峠越えで力んだからか、
気が付けばペダルが半分に折れているではないか!
安物とはいえ、たった5日で折れるとは…。
(商店のおばちゃんにテープを借りて応急処置をしましたが
たった4漕ぎしたところでまた折れました。)
折れたペダルが
若干漕ぎにくいものの、
意外と走行に支障は無く
午後からも順調に前進。
高低差50m程度の
地味なアップダウンが続きます。
午後6時頃に「ラ・フンタ」到着。
今日も野宿が良かったけど、
夜から雨が降るらしく
濡れないように
屋根のあるキャンプ場で
テントを張っておきたかったんです。
アウストラル街道沿いの町には、
広い庭の一画にテントを張らせてもらうスタイルの
キャンプ場が多いです。
風情も何もないけど、
テントを持ってるアウトドア客が多いから
安い値段で寝るだけの、このスタイルが定着してるんでしょうね。
付設の台所で今日もクスクス。
南米は屋台メシの
多いエリアが続いたから、
しばらく自炊がご無沙汰だったけど
やり始めると限られた条件下の
クッキングが楽しい。
アウストラル街道6日目。
やはり予報通り夜中に雨は降り始め
朝になっても止む様子はありません。
雨具を着たら、覚悟を決めて出発です。
あたり一帯の豊かな自然を
支えている雨は、
パタゴニア旅には付きもの。
最も降水量が少ないという
2月でさえ、
雨の日がかなり多いそうです。
そういうわけで
ここまで晴天が続いていたこと自体が
実は意外だったんです。
視界も悪いし、体は冷えるしで
決して快適ではないけど
これこそがアウストラル街道の旅。
40kmあまり走った12時頃に
「プユワピ」という町に到着。
気持ちに余裕があればもうちょっと進もうかとも思ったけど、
やっぱり雨は辛い…。
もう早いとこ宿で休みたい。
海沿いということで
町中には「TSUNAMI」の看板が。
スペイン語圏でも通じるんですね。
ちなみにインスタントラーメンの
「MARUCHAN(マルチャン)」
も南米の皆さんご存じです。
氷河の見える国立公園も近いとあって
小さな町にも関わらずそこら中が宿だらけ。
そのうちの一軒に決めると、
雨から逃げるようにチェックイン。
パタゴニアの宿は
オーナーの自宅も兼ねた
民宿スタイルが定番のよう。
私生活も垣間見れることで
どこか温かみを感じます。
時間がゆったり流れている。
雨雲が広がると同時に
気温も下がって10℃ほど。
日本の冬ほどじゃないけど
居間には薪ストーブが焚かれてました。
びしょ濡れになった衣類や靴を
ここで乾かさせてもらう。
残念ながら宿の台所は使用不可。
ここ数日テント泊の時は、自炊でしっかり野菜も食べれたけど
仕方なくこんなものを食べることに。
「MARCHAN」じゃなくて「NISSHIN」です。
でも、久しぶりに食べると美味しい…。