湖畔の街・プーノ
【242日目 13,056km】
国境付近の街プーノを目指し、クスコを出発して3日目。
温泉の真横で目を覚まし、冷え切った空気の中
ザブンと湯気の立ちこめるプールに飛び込みました。
南米大陸で味わえると思っていなかった朝風呂で
しっかり整うと今日もペダルを漕ぎ始めます。
前日から登り始めていた
上り坂の続きを進みます。
朝ということもあり
車もほとんど通らず
薄く雲がかかった山を眺めつつ
のんびり漕いでいく。
遠くの山の頂上には
ほんのり雪も積もっています。
南半球なのでこれから
夏を迎えるわけだけど
南下する分寒くもなっていくだろうか。
ペルーは服の調整が大変です。
走り始めて1時間の所で
標高4,300mの峠に到達。
同じ4,000m越えでも
クスコの手前の頃ほど
寒くないのが不思議。
地理によって気温がだいぶ違うみたい。
峠を越えると
緩やかに長く続く下り坂を
滑り降りていきます。
日が昇ると一気に気温も上がり
出発時に着込んだ
ジャケットが暑く感じてくる。
通過した集落にて
ちょっと早めの昼食。
地図で確認する限り
村や町が等間隔で現れるようなので
食料をほとんど運んでおりません。
屋台の多い国はこれだから助かる。
ここしばらく豚の煮込み
“チチャロン”ばっかり。
他に選択肢も少ないんだけど
鍋でグツグツ煮てる調理風景が
美味しそうに見えるんですよね。
ジャガイモと一緒に食べます。
朝に峠を越えて以降、延々と平坦な道が続きました。
だだっ広い平原にポツポツ村が現れる程度で
ペルーでここまで平らな道は初めてというほど。
結果、夕方5時頃に
ある町に着いたけれど
手ごろな宿が見つからず。
「まぁどっかでキャンプしよ」
と気楽に構えてたところ
水が無いことに気付く。
商店のある集落を求めていると
結局、夕暮れ直前になってしまいました。
集落の真ん中の広場に
テントを張っていい、と許可を
もらったのでありがたく
ここで寝させてもらうことに。
食堂すらない小さな村なので
夕食は久しぶりの
インスタントラーメン。
肉っけの強い食事が続いてるので
なんだか寂しい。
でも、これから自炊が増えるはず。
クスコ出発4日目。
プーノまではわずか100kmと
今日のうちには到着できそうです。
この日も朝から
まっ平らな道を行きます。
嬉しいのが風がさほど強くないこと。
ただでさえ変わらない景色で
向かい風が吹くともう最悪。
ペダルを漕ぐのが苦役になります。
クスコまでの道は
変化に富んでいたぶん
ここ数日の景色を
退屈に感じてしまう。
それでも広大な平原は見てて
気持ちが良いんですけどね。
ちょうど昼頃に「フリアカ」という、割と大きな町に到着。
食事をしよう、と思ったけど
車が多く巻き上げる砂が酷くて屋台では食べられず。
なんかゴミゴミしてせわしない街なんですけど…。
結局、10kmぐらい走って
街の反対側の郊外に出たところで
やっと食事にありつける。
ここまでのどかだったのに
ここに来て急に道路も町も
騒がしくなってきました。
午後からも引き続き
フラットな道を走ります。
そういえばクスコから連日
続いていた雨が降らなくなりました。
天気に左右されず
このまま予定通りプーノに着けそう。
プーノも近いということは
国境も近いということ。
ペルーは人も食事も素晴らしく
大好きな国だけに
寂しさが込み上げる。
最後まで味わい尽くそう。
そして最後の10kmで小高い山を越え、
午後3頃「プーノ」に到着です。
クスコから予定していた4日間で
無事着きました。
ここから一気に街の中心へと
滑り降りていく。
左手には高所に位置する淡水湖として有名な“チチカカ湖”。
湖畔の街ということで勝手に平坦をイメージしていましたが
プーノは山肌まで広がる起伏の多い都市なようです。
滞在中に上り下りしたくなので
なるべくフラットな湖寄りに
宿を取りたい。
街の全体像も分からないけど
とにかく坂の下を目指して
進んでみる。
宿探しの前に、屋台の
フレッシュジュースで喉を潤す。
健康的な気がするけど
果物の果糖だって
摂りすぎはよく無いんですよね。
でも美味しいから飲む。
中心部を少し離れた
湖の近くにホテルを発見。
1泊¥1,400ほどで
それなりに綺麗な部屋なので
他と比べることもせず
早々とチェックインします。
水辺の街・プーノの見所はもちろん「チチカカ湖」。
その大きさはなんと琵琶湖の12倍。
標高4,000mという高所に
これだけの規模の湖が存在するのはまれだそう。
ただプーノの街は少し奥まった入江の畔にあるので
かなり沖合に出ないとその大きさは実感できないんです。
到着翌朝には
早速ボートに乗って
観光に出かけてみました。
波のない穏やかな水面が
景色の向こう
どこまでも続いています。
港から40分ほどでやってきたのが
チチカカ湖名物の“ウロス島”。
島の上には枯草でつくった家がいくつか見えています。
島とは呼ばれるものの、実はこちら
人の手によって作られた“人工島”。
およそ500年前、
スペイン人の侵略を逃れるため現地の人たちは
暮らしの場所を湖上に求めたのです。
独特のライフスタイルは
今でも継承されており、
付近に浮かぶ120の島々に
2千人近くもの人が暮らしています。
これらの島々を総称して
ウロス島と呼んでいるそう。
観光ツアーに参加すれば
一つの島に降り立つこともできます。
ボートが近づくと
現地の女性たちが慣れた手つきで
島へと手繰り寄せてくれます。
無事ゆっくりと着岸。
1つの島には多くて
5世帯ほどが暮らし、
漁業と観光を柱に
生計を立てられているのだとか。
小学生までは湖の上の学校で
勉強するんですって。
島の地面を形成するのは
“トトラ”という葦の仲間。
これを縦横交互に敷き詰めて
湖に浮かべます。
流されないよう石の錨で
固定しておくそうです。
数トンにも及ぶであろう島は
とても安定していて、
ボートのようにプカプカと
水面を浮いてる感覚は無いですが
踏み込むと柔らかく沈み込むのが
独特な感触。
観光ツアー用ではない
一般住居用の島も遠目に
見ることが出来ます。
ペルー出国直前にして
また一つこの国ならではの
文化を目の当たりにできました。
チチカカ湖以外には街中に目立った見所は無い様子。
ただ休養も兼ね2日休んで出発する予定が
疲れが上手く取れずもう1泊することに。
酸素が薄いことも疲労回復に影響するのだろうか…。
もうすぐペルーを出るということで
“これだけは食べておかねば”と
レストランに駆け込んで注文したのが
国を代表する珍味“クイ”。
ある動物を揚げたものですが
わりと姿そのままですね。
空飛んでるみたい…。
正体はネズミ(モルモット)。
これまで通過した町の市場にも
売られていて、
国を代表する珍味だとは
聞いておりました。
最後に食べられてよかった。
味や肉質は鶏に近いでしょうか。
かなり淡泊ですが
栄養価はとても高いそう。
一人分でおよそ¥2,000と
高級食材として扱われるみたい。
ペルーへご旅行の際はぜひ。
もう一つプーノ近郊地域の名物料理が“カンカチョ”。
到着2日前頃からそこらじゅうのレストランの看板に
書いてあったから気になってました。
これが何かというと“子羊の骨付き肉”で
スパイスに漬けこんでオーブンで焼いたもの。
感想はというと、
肉は柔らかくて塩気の効いた味がガツンときて
もう本当に絶品。
ペルーは肉料理全般がとても美味しいです。
これで気になるペルーの料理は網羅したかな。
胃袋から満足できたらいよいよ次の国へと向かいます。