苦しみの標高4,000m

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【223日目 12,472km】

 

 

ナスカから3日間かけ

4,000mの峠を越えてやって来たのはプキオ。

まだまだアンデス山脈まっ只中ではありますが

つかの間の休みを満喫しています。

 

 

 

平地などほとんど無い

傾斜の急な山間に

これだけの町があるという驚き。

人の数も多いし

これだけの建物や物資が

存在していることが信じられない。

 

 

 

滞在していたのは

こちらのホテル。

観光で訪れるような場所

ではないけれど

¥1,000ちょっとで泊まれる宿が

沢山並んでいます。

 

 

 

路上の屋台で売ってた“コカ茶”。

砂糖が入って飲みやすく

高山病の予防効果もあるそう。

コカの葉は精製しだいで

“ヤべぇ白い粉”も作れてしまうので

日本に持ち込みはできません。

 

 

 

 

 

 

 

 

1日休んで町で疲れを癒すと

またクスコに向かいペダルを漕ぎ始めます。

その道のりは当然のように急な山道。

 

 

 

標高3,200mに位置する

プキオの町から、

再び登っていく。

町の周辺は農耕地として

開拓されているようで

畑が広く続いていました。

 

 

 

 

 

 

出発から1時間ほど。

道の上で出会ったのはブラジル人サイクリストの“アイレリオさん”。

コロナ禍の中断をはさみつつ10年近く世界を旅しています。

南米大陸が最後でもうすぐゴールのブラジルに向かうところ。

 

一緒に走ろうという約束をするでもなく、

ただ一本道をのろのろ走るものだから

当然のごとく共に走ることになりました。

 

 

今日は標高を

1,000m上げていく行程。

大変な高さですがアンデス突入後では

ほぼ毎日これぐらい上っています。

一日のうち平坦な道なんて

ほとんどない。

 

 

 

高所あるある。

日焼け止めやコンタクト洗浄液など

フタを明けた瞬間、膨張した空気と共に

「ボフッ」と中身が飛び出します。

この時も相撲取り一人塗れる分の

日焼け止めがこぼれてしまった。

 

 

 

 

 

 

大変だったのがこの日の午後。

路肩で適当に昼食を済ませ、

再び始めてしばらくのことでした。

 

 

 

標高4,000mに近づいた頃に

激しい頭痛に襲われたのです。

「ちょっと休むから先行っといて」

とアウレリオさんに告げ

しばし道端に寝ころび

休むことに。

 

 

 

なかなか痛みが治まらず

1kmほど戻った食堂にて

休ませてもらうことに。

前回の峠越えでもそうだったけど

僕はどうやら3,800mを境に

頭痛が発生してしまう様。

 

 

 

登山においても高い標高に体を慣らす

“高度順応”が必要ですが

まだそれが十分ではなかったみたい。

低気圧下で膨張した血管が

脳をギシギシと圧迫するそうです。

ここまでの頭痛はなかなか無い。

 

 

 

そのまま食堂でテント泊

させてもらうことも考えたけど、

連絡の取れないアウレリオさんに

心配かけてしまうので

頭痛がおさまった2時間後

再び走り出すことに。

 

 

 

 

 

 

そして走ること10kmほど。

別の食堂に到着しました。

「今日はここまでかな」と二人で示し合わせていた場所です。

 

 

 

「追いかけてこないから心配したよ」

と待ってくれていた彼。

さらに頭痛を心配してくれた

食堂のお母さんが

コカ茶を用意してくれました。

人の暖かさが体に染みる。

 

 

 

晩御飯は魚のマス。

カリカリに素揚げされたマスを

素手で持ってかじりながら、

ご飯をかき込むという

日本とそう変わらない

スタイルの食事。

 

 

 

そのまま食堂奥のスペースで

寝させてもらうことに。

標高4,200mに達するここは

深夜0°まで冷え込みます。

アラスカ以来の防寒をして

ゆっくりと床に就きました。

 

 

 

 

 

 

 

プキオ出発2日目。

朝食にはちょっと重たい牛肉のスープを食べたら

この日も出発です。

 

 

 

昨日から残る頭痛を我慢しつつ、

坂を上るごとに人生最高標高を

記録していく未体験の高所を

なんとか登り続けました。

爽快感のある景色に反して

過酷なアンデスの道のり。

 

 

 

坂を上った先の湖の広がる一帯が

台地になっており

ここからはしばらく平坦な道が

続いていく様子。

昨日プキオを出たばかりだけど

すでにクタクタです。

 

 

 

そして不安が的中した昼過ぎ。

砂漠と森林の境にあたるこの地域。

雨季のはじまりは連日

午後から雨が降ってしまうらしく

どんよりとした雲はあっという間に

雨を降らせ始めました。

 

 

 

急いで漕ぎ進めるなか

ナスカ=クスコ間では最高標高となる

4,500m地点を通過。

ただ景色も良くないし

雨で体が凍え始めているので

ささっと通り過ぎることに。

 

 

 

晴れてたら景色良いんだろうな

と思いつつも、

やがてすぐ横で雷もなり始めました。

避難する場所もなくただただ

無心でペダルを漕ぐ。

昨日まで雨なんて考えもしなかったのに。

 

 

 

60kmほど走った所で

「ネグロ・マヨ」という

集落に到着。

まだまだ走れる時間だけど

悪天候と寒さのため

ここで滞在することに。

 

 

 

村に一つしかない食堂で

唯一のメニューは魚のマス。

カリカリに素揚げされたマスを

片手に持ちかじりながら

ごはんをかき込む、

という行為を最近した気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

プキオ出発3日目。

前日の厚い雲は去って、朝からいい天気。

ただ季節的な雨は毎日続くので、

今日も晴れているうちに進んでおきたい。

ちなみにこの宿の2階に泊まっていました。

 

 

 

まだ標高4,200m程度なので

まだ頭痛は残ります。

自転車のガタンという振動で

脳が揺れる。

早く下って

気持ち良く走りたい。

 

 

 

町を離れてほどなく

ついに彼らが現れました!

南米を象徴する動物ともいえる

モフモフ科モフモフ属「アルパカ」。

牛と同じで横を通ると

すっごい見てきます。

 

 

 

出発から10kmあまりで

大きな谷に差し掛かりました。

これが絶景で

勢いよく下りるのがもったいなく

カメラを構えながら

ゆっくりと坂を下る。

 

 

 

こうした雄大な風景こそ

大陸ならではだと感じます。

数百mにも渡って下り続ける道路。

自然が作り出した大地の芸術に

思わず見とれます。

過酷だけど圧倒されるアンデス。

 

 

 

下る途中にもモフモフが。

よーくみたら毛並みが

交換前のダスキンモップみたい

なんて思っても言っちゃダメです。

可愛いで通ってるんだから。

過酷な環境だから汚れるのも仕方ない。

 

 

 

さらに下ると平原いっぱいに

アルパカ達がいました。

写真の小さな点がほぼ全てアルパカです。

夜空を埋める星のようにホント沢山。

このなかに羊もまぎれているので

探してみてください。

 

 

 

谷を下り切った所に

小さな集落があり

そこで昼食を済ませます。

昼間の気温は太陽が出ていれば

16°くらいでしょうか。

割と温かいです。

 

 

 

 

 

 

午後から谷の反対側へ

上ろうとしたころ、

やはり暗雲が立ち込める。

雨が降り出す前に

400mの高さを

登り切ってしまいたい。

 

 

 

と思いきや頂上付近で

やはり雨に打たれてしまう。

民家のガレージ的なスペースにて

ひと休みすることに。

結局降りやまず

2時間の足止めをくらいました。

 

 

 

雨が上がったタイミングで

再び漕ぎはじめ、

谷の頂上までやって来ました。

太陽が隠れると

とたんに気温が下がってしまう。

服の脱ぎ着が大変。

 

 

 

峠の向こうには

緩やかな下りが長く続いていました。

ブレーキを握る必要もない

絶妙な傾斜で

気持ち良くどこまでも下る。

坂道の後のこのご褒美がたまらない。

 

 

 

峠から20kmほどの所で

「ウアラコヨク」という集落に到着。

¥800の安宿に泊まることに。

4,000m付近の寒さと

悪天候のせいで

テント泊から離れてしまっている。

 

 

 

 

 

 

想像すらできなかった高所へ上ることに

不安を感じていたアンデスサイクリング。

 

頭痛に悩まされたりと苦しいこともありますが、

見たこともないような絶景に圧倒しつつ

南米大陸ならではの旅を楽しんでおります。