がっかり世界遺産?

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【214日目 12,171km】

 

 

首都リマを発ち、南米旅が始まって4日目。

引き続き都市を結ぶ主要道に沿って

南へと下っていきます。

 

 

 

景色はいよいよ本格的な

砂だらけの砂漠へと

移り変わってきました。

“南米すなわち山”という印象だったので

ここまで広大な砂漠が広がっている

ということにビックリ。

 

 

 

町や村の近くの道路上には

車のスピードを抑制するための

突起物がよくあるのですが、

ペルーのはひとつずつがデカい。

高さが10cm弱ほどあるので

停まってゆっくり越えなければ。

 

 

 

60kmほどを走った昼過ぎには

目的の街「イカ」に到着。

リマから300kmほどで、

ここまで大きな規模の街は

出発以来初めて。

先を急がず、今日はここで泊まります。

 

 

 

予約していたゲストハウスにチェックイン。

ペルーは南米屈指の観光立国とあって

それなりの規模の街であれば

安価な宿が充実しているようです。

テントを張る場所も見つけやすいし

ペルーの宿泊事情は良好です。

 

 

 

パパっとシャワーだけ浴びると

オート三輪“トゥクトゥク”に乗って

街の郊外にある観光名所に向かいます。

自転車移動ばっかりだから

他の交通機関で移動すると

ちょっとテンションが上がります。

 

 

 

 

 

 

やって来たのは砂漠のオアシス“ワカチナ”。

イカからほんの2km西に位置する観光スポットです。

 

写真の通り砂漠にぽっかり穴が開いたようにオアシスがあり、

その周りに小さな町ができている珍しい光景。

 

 

 

水辺には背の高いヤシの木が影を作り

建物がぐるりとオアシスを囲みます。

その背景には数十mに及ぶ砂丘が

ズンと存在していて、

独特な景色を作っています。

これもイメージしてた南米とは違う。

 

 

 

オアシスのほとりに立ち並ぶのは

カフェや宿ばかりで

すっかり観光の町に

なってしまっているそう。

日中の気温は25°くらいでしょうか

影もあるのでそんなに暑くない。

 

 

 

 

 

 

 

砂丘から見下ろした夕暮れのワカチナ。

本当は日が沈みきった夜景を撮りたかったけど

砂を舞い上げる風と寒さのせいで早めに宿へと切り上げることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

リマ出発5日目。

イカの街を出る前に路上屋台で朝食を済ませます。

ペルーの皆さんが良く食べるのは

パンに切り込みを入れたサンドウィッチ。

具はソーセージや卵、アボカドなど色々です。

 

 

 

朝夕の気温は13°くらいで

一枚羽織りたいくらいの

気持ちいい寒さ。

日中も汗が滴るほどではなく

旅をしていて一番快適な気候です。

すぐ高山に行くので続かないですけど。

 

 

 

イカの街を過ぎると

道路状況が一気に悪くなりました。

路面のひび割れが酷いし

細かな凹凸も多い。

これらのせいでスピードに乗れないのが

小さなストレス。

 

 

 

午後からは周囲の家屋が激減し

よりディープな砂漠へと

突入していきます。

遮るものが無いから

横からの風がもろに吹き付ける。

思うように進めない。

 

 

 

トラックドライバー向けの

休憩所として、

まれに食堂や商店が現れます。

気温がさほど高くないので

そんなに喉は乾かないけど

座って休める場所が嬉しい。

 

 

 

砂漠を突っ切る一本道。

結局午後は延々と

この景色を走ることになりました。

「あそこまで頑張ろう」という

標石が無いから

メンタルがやられます。

 

 

 

5時頃、手招きされた路肩の商店で

スイカをご馳走になります。

クーラーでしっかり冷えた

果汁が喉に体に染み渡る。

砂漠で食べる果物って

最高に美味しいです。

 

 

 

この先の村まで行って

夜を過ごすことを伝えると、

「もうココで寝てきなよ」と

彼らが寝泊まりしている

道路を挟んだ向かいのプレハブ小屋を

案内してくれました。

 

 

 

6時を過ぎると夕日が沈み、

おぼろ気になっていく地平線を眺める。

首都の喧騒を離れ

雄大な南米の自然へと徐々に

踏み込んでいくのを感じます。

砂漠で過ごす夜は気持ちが良い。

 

 

 

夕食も呼ばれてしまいます。

牛豚も食べるけど一番身近なのは

やはり鶏肉。

そして定番の野菜はジャガイモ。

どっちもスープに沈んでしまって

見えないですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

プレハブ小屋で目を覚ましたリマ出発6日目。

深夜は少し冷え込むので久しぶりに寝袋の登場。

夜はちょっと寒いくらいの方が熟睡できます。

 

 

 

出発前には朝食までご馳走に。

ご飯に卵を乗っけたもの。

タンパク質と炭水化物が取れて

もう言うことないんだけど、

強いて言うなら醬油をかけたい。

卵にほんの数滴の醤油をかけたい。

 

 

 

名前も無い、村ですらない場所で

一つ思い出が出来ることこそ

自転車旅の魅力。

ペルー旅はスタートから

良い出会いが続いています。

ルイスさん、ありがとう!

 

 

 

昨日と変わらない砂漠を進む。

なかなか写真では

伝わりづらいかも知れないけど、

ペルーの大地の広大さに

圧倒されています。

そして、空が大きく感じられる。

 

 

 

しばらく進むとこんな道が。

南米初のトンネルです。

狭くて暗くて怖いのですが、

手前に信号代わりに

係の人が立っているので

安心して進むことが出来ました。

 

 

 

トンネルと抜けるとそこは雪ぐ…、

長い下り坂が待っていました。

グネグネと九十九折りに

なっているのですが、

これがかなりの急こう配で

ブレーキを必死に握り恐々と下る。

 

 

 

坂の下に村があり

そこでランチ休憩。

魚のフライを頼みました。

川でとれたモノらしく

マスの仲間だそうです。

鮭みたいなピンクの身が美味しい。

 

 

 

食事を済ませ村を出ると

緩やかながらも長い上り坂が

待っていました。

ギアを軽くして

ゆっくりゆっくりペダルを回す。

じわっと汗をかき始める。

 

 

 

 

 

 

坂を上り切った先は標高600mに位置する砂漠地帯。

看板に記されているのは“LINEAS DE NAZCA(ナスカの線)”。

そう、かの有名な「ナスカの地上絵」が描かれた一帯です。

 

南米大陸を代表する世界遺産に到着したところで

気分も高揚します。

テレビなどで何度も見てきた古代の遺産を

遂に間近で見られるチャンス。

 

 

 

砂漠に入ってすぐの所に

こんな見晴らし台が建っています。

高さ20mくらいはあるだろうか、

ここに上ればきっと

大地に描かれた太古のアートが

目の当たりにできる。

 

 

 

しかし近づいてみると

何やら封鎖されている様子。

ガードマンに確認すると、

ここ一カ月ほどメンテナンスの為

利用不可だとのこと。

「ウ、ウソでしょ…。」

 

 

 

「いや、ちょっと上るだけだからいいじゃん。

アラスカから走って来たんだよ。これを見るために!」

と無駄だろうな、と思いつつ食い下がったけど

やっぱり無理なものは無理でした。

期待していただけに、これはガッカリ…。

 

 

 

仕方なく見張り台を離れ

1kmほど走った先に

小高い丘がありました。

鉄塔の半分くらいの高さしかないけど、

現在地上から見えるのは

ココしかないそう。

 

 

 

 

 

丘の上からは大地に連なる一本の線が見えました。

太さ2~3mほどの線が地平線の果てまで続いている。

 

世界遺産にも登録されている「ナスカの地上絵」。

最も古いもので紀元前3,000年頃から存在しているのだとか。

古代ナスカ文明の遺産でありながら

その線が描かれた目的、方法は

現在でもはっきりとは分かっていないそうです。

 

 

 

他にもいくつもの細い線が

あらゆる方向へと伸びています。

太陽や月の軌道と重なるものもあり

暦との関連もあるそう。

メキシコのマヤ遺跡でも感じたけど

太古の遺跡にはロマンが詰まっている。

 

 

 

あたりの砂漠は小石や砂利が多く

それらの石を綺麗に横に除けるだけで

線が描かれています。

地面に深々掘られてるわけではありません。

数千年も維持されているのは

ほとんど雨が降らないおかげ。

 

 

 

コンドルやクモのモチーフの絵が有名ですが

それらはセスナ(小型飛行機)からでないと

見ることはできません。

発見されたのも飛行機が発明されたここ100年の話で

ホント何のためにこんなものが描かれたのか…。

ロマンです。

 

 

 

 

 

 

30kmほど続く砂漠を再び走ります。

そこらに絵が点在しているのですが

当然サイクリスト目線では

見えるはずもなく。

「あぁ、横に地上絵あるんだなぁ」と

感受性をマックスにして進みました。

 

 

 

砂漠を走り切った所で

「ナスカ」の町に到着。

地上絵を目的にやってくる

観光客が滞在する場所です。

ちなみにセスナ飛行は1万5千円ほど。

僕は怖いので¥100でも乗りたくない。

 

 

 

 

 

 

飛び込みでやって来たゲストハウスにチェックイン。

 

リマから6日間かけてやって来ましたが

ペルー旅のスタートは

人との出会いあり、魅力的な観光地ありで

充実の旅路となりました。