サボテン砂漠で暑さにやられる

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【138日目 8,042km】

 

 

バハカリフォルニアの砂漠の真っ只中、

道脇に佇む商店の隣にテントを張らせてもらい一泊。

 

目を覚ましテントを出ようとすると、

「あれ、サンダルが片っぽない…」

周りを見回すと、飼われてるのか

野良なのかわからない3頭の犬。

 

英語もスペイン語も通じない相手に問い詰めようもなく、

周辺を探すも見つからず。

悔しいけどあきらめることにしました。

“犬にしがまれる”という第二の人生を精一杯歩んでください。

 

 

 

 

前日同様、乾ききった

荒野の山間部を進み始めます。

ただ標高はこれ以上あがることなく、

アップダウンを繰り返しつつも

道は真っすぐと続いているようです。

車はかなり少なめ。

 

 

 

道の脇には背の高いサボテンが

たくさん生えています。

イメージしていた通りの

メキシコの砂漠の風景。

青空に向かって

高々と真っすぐ伸びている。

 

 

 

 

昼前、道端にカフェを発見。

ドリンクを買おうとするも

財布には500ペソ札しかなく。

(およそ¥4,000相当)

「そんな大きい金額、お釣りがねぇよ」

と店主。

 

 

 

アジアやアフリカの途上国でもあったけど、

お金はあるのに買い物ができないという状況。

ボロボロのお店で当然カードも使えるはずはなく。

残っていた米1ドル札で何とかまけてもらいました。

まだ頭がアメリカからメキシコモードに変換できていない。

 

 

 

南北300kmにもなる

砂漠の一本道。

正午を過ぎ太陽が真上から

照り付けるとかなり暑い…。

喉がからからに乾いても

ひたすら前へ。

 

 

 

15時頃に「カタビニャ」という集落へ。

予想以上に小さな村だけど、

最低限の商店はあって

冷蔵庫で冷えたドリンクで喉を潤す。

こんな砂漠のど真ん中で

どうやって暮らしてるんだろう…。

 

 

 

食堂もあり、

遅めのランチをとることに。

これだけ暑くても

トルティーヤは美味しい。

アメリカに比べてタンパク質が

かなり摂りやすくなったな。

 

 

 

さらに夕方からもうひと踏ん張りして

進むことに。

サボテンと岩に囲まれた

独特の道を走る。

暑くさえなければじっくり

写真でも撮って行きいたいくらい。

 

 

 

18時頃、道路わきの

人目を避ける場所で

テントを張ることに。

この日も35℃くらいでしょうか、

日が暮れても気温が下がらず

暑いまま…。

 

 

 

地面に寝そべって星を眺める。

ただ、肉眼では割と綺麗なんだけど

ちょうど満月で上手く撮影はできず。

サボテンと星のコラボ撮りたかったのに。

夜が更けても煌々と明るい

砂漠の夜でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、目を覚ますとビックリ。

テント内に数えきれないほどの

アリがいるではないか!

 

どこから入ったのかと必死に探すと、

なんとテント底面の布が食い破られていました。

適当に置いていた菓子パンの匂いに誘われ集まったよう。

(※本当に焦って夢中で処理したので写真がありません)

 

 

 

他にも未開封の状態で

ジップロックに入ったシリアルバーも

袋が破られ山ほどたかっていました。

過去の野宿経験でも

ここまでアリにやられたのは

流石にはじめて。

 

 

 

加えて自分自身の体にも異変が…。

僕は超朝型人間なので

起きたらテキパキ行動できるのですが、

今日はどうにも体がだるい。

漕ぎ始めても

いつにも増して足が重い。

 

 

 

でも気分が悪いわけでもなく

ただ体が重いという感じ。

しかし砂漠の真ん中でうだうだ

考えても仕方ないので

目の前にある道をただただ

進むことに専念する。

 

 

 

昼前、道の脇に小綺麗な

レストランを発見。

疲れた体にタコスが染み込む。

食欲ない気がするけど

体が肉を求めてるんだろうな。

ペロリと平らげてしまいます。

 

 

 

ひと休みして、また漕ぎ始めると

やはりいつものようには

体が動かない…。

意識ははっきりしてるのに。

ここでふと、冷静に気づきました。

「あぁ、多分コレ熱中症だ」

 

 

 

自転車旅をしてると

不思議なもので毎日100km漕げてしまいます。

“ランナーズハイ”的なものなのか、

何日も続けて走ってる時こそ逆に調子が良かったりもして。

 

アラスカから数千kmを走ってきて

「今日はもう無理」なんてことはほとんど無いんです。

だからこそ、この時は異常でした。

間違いなく体が進みたがってないのが分かる。

 

 

 

普段一日走り終わると

炭酸ジュースを飲むんですが、

脱水症状気味になると

これが喉を通らなくなるんです。

もうスポーツドリンクしか飲めなくなる。

色んなカタチで体はサインを出している。

 

 

 

そんな時、アメリカから仕事で来た

ドライバーさんから水をもらう。

水もだけど、英語を話せるとホッとする。

まだ国境も近いし、メキシコの人って

割と英語話せると思っていました。

予想以上に英語は通じません。

 

 

 

ところどころに現れる商店で休みつつ、

なんとか予定の集落を目指す。

今日もおそらく熱帯夜だから

テントで寝られる余裕なんてない。

はやくベッドに倒れこみたい。

ただ無心で前へ前へ。

 

 

 

そして夕方6時前、

「プンタ・プリエタ」到着。

モーテルを見つけ、

フラフラになりつつ

なんとかチェックインを済ませました。

そして部屋の扉を開けようとすると…

 

 

 

ドアノブを掴んだ腕の筋肉が

シュルシュルと縮んでいく感覚。

「あーーー!!つるつるつる!つる、つるうぅーー!!」

 

 

 

後ほど落ち着いて調べてみると

“筋肉のけいれん”や“こむら返り”は

典型的な熱中症の初期症状だそうですね。

今日ずっと足が動かなかったのもこのせい。

水分・塩分不足はもちろん

暑さで上手く眠れてないのも良くないみたい。

 

 

 

 

 

 

続く朝も体のダルさは取れていないけど

今日走ればスーパーのある町に着けるので、

気合を入れてなんとか漕ぎ始めます。

 

 

 

砂漠に突入してから3日目。

横を見ればこんな景色が

延々と広がっています。

この向こうに海がある。

全部脱ぎ捨てて

ジャボンと飛び込みたい。

 

 

 

これまでの旅の経験で

寒い方が絶対しんどいと

思っていましたが、

必ずしもそうでもないかもしれない。

氷点下のアラスカでも

走行中に凍えることはなかったし。

 

 

 

途中、軍隊による検問がありました。

自転車の荷物を検査されることはなく

「ここで休んでいきな」と

冷たいドリンクを頂きました。

しんどい時だからこそ

人の優しさが心と体に染み渡る。

 

 

 

ペダルを強く踏み込むような

上り坂がなかったこともあり、

思いのほかスムーズに100km走破。

この日の目標としていた

「ゲレラ・ネグロ」に着きました。

ちょうど半島の真ん中あたりです。

 

 

 

海辺の町はホエールウォッチングの

有名スポットだとか。

町の入り口には、大きなクジラの

骨格が飾られていました。

せっかくだし見たいな、と思ったけど

日本も太平洋に面してるし見れるよな。

 

 

 

すぐにモーテルへチェックイン。

300kmの砂漠を抜けた

疲れを振り払うように、

ベッドに倒れこみました。

流石にすぐ動けそうにないので

しばらく休みをとることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

到着翌日。

ゲレラ・ネグロの町そのものにはさほど見所が無いようで

ガランとしており、人も少ない。

熱中症による疲れもひどいので、完全なる休養をとりました。

 

 

 

これまでゆっくりと見れていないスーパーを覗いてみます。

2か月続くメキシコ旅の物価チェックをしておかねば。

※現在、メキシコ1ペソは8円弱。

 

 

 

玉ねぎ1つ¥110、

リンゴが1つ¥250。

肉はもちろん種類によるけど

大体100gが¥80~110。

コカ・コーラ600mが¥140、

1リットルの水も¥140。

 

 

 

牛乳1リットルあたり¥180、

卵10個あたり¥260。

つまりスーパーに並ぶものは

ほとんど日本と同じくらいなんです。

食事も安い食堂でも1食につき

¥1000弱はしてしまう。

 

 

 

 

メキシコは何となく物価の安いイメージがあり、

ほぼレストランに行けなかったアメリカ・カナダの反動で

タコスを食べまくっていますが、

これを続けてしまうわけにはいかない。

 

アメリカを出て安心したけど

まだまだ貧乏旅をしなければいけないようです。