33ヵ国目・メキシコ
【129日目 7,440km】
アメリカ最後の街・サンディエゴにて
しっかり疲れを癒すと、いよいよ国境越え。
楽しみでもあるけど、やっぱり不安もあります。
街の南にある国境までは
わずか40kmあまり。
「自転車コースがあるから
オレも一緒に走って案内するよ」
と、ホストのショーンさんと共に
青空の下を進みました。
途中で、フランスからやって来た
ファミリーサイクリストと遭遇。
実は今夜ショーンさん宅に泊まることに
なっている次のゲストさんでした。
家族5人でメキシコを下っていくそう。
メキシコでまた会えたりして。
ショーンさんとも別れ、
サンディエゴ中心部から
さらに南へ下り続けると
大きなショッピングモールが現れました。
この辺りが国境らしいけど、
よく分からないので人に聞いてみる。
教えてもらった方へ行くと
拍子抜けするほど
質素な国境審査の入り口が。
移民流入、麻薬取引など
多くの問題を抱えてるそうだけど
国境は本当にシンプル。
そのまま中に進むと、
X線の荷物検査があっただけで
5分ほどでメキシコ側に抜けてしまいました。
気づけばパスポートのチェックすらしてもらっていません。
僕が入国した記録がどこにも残っていない状態だけども
本当にこれでいいのかしら。
疑問に思いつつも、もう審査所に戻ることもできないので
そのまま街へ向かうことにします。
ということでやってまいりました
33ヵ国目となる「メキシコ合衆国」。
タコスやトルティーヤに代表される伝統料理が
とても魅力的な国。
アメリカ、カナダとうって変わってスペイン語圏となり
コミュニケーションが難しくなってしまうのも、
逆に旅の楽しさの一つになると信じています。
ちょっとしたトラブルもありそうではありますが
南北アメリカにおいてもっとも期待していた国の一つ。
国境を越えた瞬間の
雑多な雰囲気につい圧倒され
カメラを取り出すこともなく
15分ほどで予約していたホテルへ。
下水の鼻をつく臭いは
やっぱりアメリカと違う。
ショーンさん宅を出発したのが14時頃と遅く
ホテルにチェックインしたころには日が暮れかけていました。
やってきた国境の街ティファナは治安が良くないとのことだったので、
へたにうろちょろせず今日は近くの中華レストランで済ませることに。
すると、カード社会のアメリカから来たからこともあり
現金を下ろすのを忘れており財布がスッカラカン。
会計時カードが使えず、暗くなった街でATMを探すはめに。
近くのスーパーですぐ見つかったからいいものの
旅人の感覚がすっかり抜け落ちてます。
翌朝。
ほんとうはティファナの街にしばらく滞在して
メキシコ文化に慣れておきたかったのですが、
アメリカに近くホテルの料金も思いのほか
高かったので(¥5,000)
すぐに移動することに。
今いるティファナから
2か月半かけてカンクンを目指す予定ですが、
まずは西部の“バハ・カリフォルニア”という
半島部分を走っていきます。
海に囲まれた砂漠の景色を走っていくのが楽しみ。
ティファナは坂の町で
道は絶えず上に下にと
うねっています。
アメリカほどしっかり
車線が引かれてないけど
そんなに運転も荒くない印象。
街を見下ろすと
家がひしめき合うように
建っていました。
言ってしまえば“ぐちゃぐちゃ”な
感じがアフリカやアジアの国のよう。
綺麗な国からくるとビビってしまう。
ホテルから30分ほど海の方へ
向かって走ると、
国境の壁にたどり着きました。
公園として整備されており
銃を持った兵士が見守っている
わけではありません。
ただ、ここまで大きな壁というのも
見たことは無いので
それだけ不法入国を
企む人も多いということだろうか。
隣り合う国の格差が大きいと
こうなってしまうんだろうな。
写真を撮って「さぁ出発」と思ったときに
声をかけてくれたのは“ダンさん”。
北米から中米にかけて自転車旅をしたことがあるらしく
僕に興味をもってくれたそう。
「今日走るのに水がいるよね」と
手元の水をくれました。
容器をのぞくとなにか
葉っぱが浮いている。
「ハマイカ」と呼ばれるこれ、
正体はハイビスカスです。
健康にとてもいいらしく
日本人にとってのお茶みたいなもの。
赤みがかってほんのり香ります。
こういう「何これ!?」ってのが
カナダやアメリカには無かったな…。
文句じゃないんですよ。
さて、いよいよ本格的に走り始めます。
目指すは南へ100kmの街「エンセナダ」。
アメリカで聞いたアドバイスに従って
高速道路の路肩を走ることに。
しれっと料金所の端を抜けてゆく。
聞いていた通り
かなり路肩に幅があり
安心して走ることが出来ます。
山はないけど、海沿いには崖もあるので
意外と起伏は激しい。
時に立ち漕ぎをしながら必死に漕ぐ。
途中横切ったビーチには
人も凄いけど、車もびっしり。
こないだサンディエゴで足だけ
海に浸かったけど、冷たくて
入れたもんじゃないけどな。
一応8月だしシーズンなようです。
問題なく100kmを走り切り
夕方には目標の街・エンセナダへ。
看板の文字がスペイン語なのは
違うけど、走ってる分には
まだアメリカと変わった気がしない。
南に行くと“濃く”なってくんだろうな。
街に到着して向かったのは
Warmshowerのホスト“トーマスさん宅”。
欧米が中心ではあるものの世界中に
登録者のいるサイトなので、
今後もチャンスがあれば利用していきます。
これまでに300人近くもの
旅人を受け入れてきたという
トーマスさん。
これから進む道のアドバイスを頂き
わずかながらもメキシコの
不安がやわらぎました。
到着翌日はエンセナダの街をぶらついて
メキシコの雰囲気に慣れておくことに。
街の風景からして、やはりこれまでの国とは大きく違う。
太平洋に面する港町である
エンセナダ。
アメリカから大きな客船がきて
たくさんの観光客がやってくる
場所でもあります。
海辺をゆったり歩いてみる。
魚市場にはあらゆる種類の
海産物がズラリと並びます。
魚だけでなく
エビ、タコ、牡蠣など
本当になんでもありました。
これまで海岸を走ってないから新鮮。
こういう安っぽいお土産を
これでもかと店先に並べるのも
アメリカ・カナダには無かったな。
客引きがひどいなんて
評判も聞いてたけど全然
そんなことなかったです。
中心部を離れても
波が押し寄せるビーチはどこまでも続いています。
平日だというのにすごい人。
もちろんビーチタウンということで
サーフィンも盛ん。
釣りとかもできるんだろうけど、
僕は“海の趣味”を持ってないんです。
せっかく湘南に住んでるんだし
日本帰ったら、なんかやろっと。
そして、メキシコといえば“タコス”。
トウモロコシの粉でできた生地を焼いて
各種肉に玉ねぎ、パクチーをのせ
唐辛子のソースとライムをかけてかぶりつく。
もうこれは、滞在中飽きることないだろうな。
1個が大体¥200~300で
男性なら3個は食べたいところ。
そんなエンセナダで
一番おいしかったのは味噌ラーメン。
「入国初日も中華だったし
メキシコ料理食べろよ」
という風に
思われるかもしれません。
でもね。
数カ月にわたって旅してると
まずは日本はじめアジアの料理が食べたいんです。
それか、自転車で旅してるときは
野菜とか高たんぱくな肉とか
栄養のあるものを体が求めます。
つまり、地元の料理を堪能しようなんてのは
ある程度お腹が満たされてからの話ってこと。
(誰に対して言い訳をしてるんでしょうか。)
街の自転車屋さんでゲットしたのは“バックミラー”。
ティファナから出発して道路脇を走っているときに
警察に停められて、
「付けた方がいいよ」とアドバイスをもらっていました。
カナダの時点で探してたんですが
良いのが見つからず、
ここへきてやっと入手。
全方向にしっかり目を配らせて
安全第一でメキシコの道を進んでまいります。