国境の街・サンディエゴへ

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【125日目 7,261km】

 

 

酷暑の中たどり着いたカリフォルニア最初の街「ブライス」。

半分、熱中症になっていたのだと思うけど

モーテルに逃げ込んだ翌日はほとんど体も動かず

寝たきりで1日を過ごしました。

 

 

 

天気予報を見ても46℃の高温は

どうやら数日続くよう。

“ヒートドーム”と呼ばれ

熱気がドーム状に籠ってしまうという

アメリカで発生しがちな現象だそうです。

通りには誰も歩いていない。

 

 

 

「どうしようか?」とまともに

思考できるようになったのは

モーテル滞在2日目。

この先には本格的な砂漠もあり

自転車で走ることは

現実的ではなさそう。

 

 

 

 

 

 

ブライス到着3日目。

走れるところまで走って、

砂漠地域をヒッチハイクで進むことにしました。

ここまで自走でやって来ただけにかなり悔しいけど

こればかりは仕方ないと、腹をくくることに。

 

 

 

ブライスのモーテルから

30kmほど南に下りたところで

砂漠の入り口に到着。

午前中だけどすでに気温は

40℃を越え汗はダラダラ。

商店で買ったドリンクを流し込む。

 

 

 

覚悟を決め商店の前で

ヒッチハイクを始めるのですが、

思いのほか車の数が少ない。

「1時間足らずで捕まるっしょ」

と思ってたけど、この調子では

すんなりいきそうにありません。

 

 

 

すると見かねた商店のおばちゃんが声を掛けてくれました。

「あんたさっきまで自転車漕いでて、

また太陽の下に立ってるとホント死んでしまうわよ。

私が友達に掛け合ってみるから、店の中で涼んでなさい」

 

ということで、お言葉に甘えて休ませてもらい

さらには車の手配までお世話になることに。

 

 

 

ちょうど夕方に砂漠を越えた街に向かう

お友達がいるとのことで

しばらく待った後、

無事に載せてもらうことが出来ました。

何から何まで取り計らってもらって

もうお礼のしようもない。

 

 

 

広がる砂漠は距離にして110km。

曲がりくねって視界が悪いうえに

路肩が無くすごく危険な道でした。

暑くなくてもここは漕ぎたくなかった。

ヒッチハイクはなるべく避けたかったけど、

これは正しい判断だったな。

 

 

 

快く載せてくださった

“ジェイさん&サニーさん”ご夫妻。

車で1時間以上もの距離を

乗っけてもらい本当に助かりました。

自転車漕げない時にだって

その時ならではの出会いがあるもの。

 

 

 

砂漠を越えたとはいえ

まだ“ヒートドーム”の範囲内で、

夜は38℃なのでモーテルに泊まることに。

ただここから1日走れば

山を越えて一気に気温が下がるはず。

早く海を拝みたい…。

 

 

 

 

 

 

 

 

ブライス出発2日目。

気温は35℃を越えているだろうか、朝から暑いけど

雲が厚いのが幸い。

少しでも早くヒートドームから外へ。

 

 

 

しばらくするとハイウェイに合流し

路肩を走り始めます。

一見怖いけど、幅がかなり広く

多くのドライバーは

余裕をもって避けてくれるので

意外に落ち着いて走ることが出来る。

 

 

 

 

少し疲れを感じ始めた昼前、

一台の車が止まり

ヒンヤリ冷たい水と

粉末の経口補水液をもらいました。

喉がカラッカラに乾いていたので

最高に嬉しい。

 

 

 

そして午後からは山越え、

20kmにおよぶ上り坂です。

ただここを越えてしまえば

ヒートドームの外側に出て

灼熱地帯に別れを告げられる。

じわりじわりとペダルを踏み込む。

 

 

 

坂を上り始めて2時間ほどしたころ。

後ろからパトカーがやってきました。

「あー、そこの自転車止まりなさい」

 

“へっ?何か悪いことしたかな”と思いつつ

耳を傾けると、

「さっき道端でサイクリストがぶっ倒れてるって通報はあったんだよね。

君、まだ坂続くけど大丈夫なの?」

仰向けで大の字に寝そべって休憩していたのを、

どなたかが心配してくださったようでした。

わざわざ警察まで動かしてしまって申し訳ございません。

 

 

 

警察が去ってから数分後、

さらに別のドライバーが停まってくれます。

「もうすぐで頂上だから頑張れよ!」

アメリカ旅最終局面にして、

この日は本当に

沢山の思いやりを受け取っています。

 

 

 

そして夕方18時頃、

ついに峠の頂上へ。

1日で1,000m上りました。

そしてついにヒートドームの外側へ。

30℃前後でしょうか、

疲れてるけど滝のような汗は流れない。

 

 

 

少し進んで「ジャコンバ」という

小さな集落へ。

公園を見つけてテントを張ります。

日が暮れるころには空気もひんやり、

暑さにうなされることなく

気持ち良く爆睡させてもらいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ブライス出発3日目。

山岳地帯を進んで目指すは海辺の街「サンディエゴ」。

今日がアメリカ走行最後の日です。

 

 

 

道の左手に目を向けると、

メキシコとの国境に立ちはだかる

無骨で物々しい壁が

どこまでも続いています。

色んな国を走ったけど、こんなに

大きく長い国境壁は見たことない。

 

 

 

このまますぐに南下して

メキシコ入りすることもできるのですが、

せっかくここまで来て

アメリカ西海岸の“バイブス”を

一度は 感じておきたかったので

サンディエゴを目指しています。

 

 

昨日、汗かいて上った坂を

今日は一気に下っていく。

ただあまりに急すぎて

ブレーキを必死に握って下るので

そんなに早くは進めません。

安全第一。

 

 

 

坂を下り切ったお昼過ぎ、

道のわきに小さな商店を発見。

おそらく1番気温が高い

時間帯だろうけど、

それでも30℃ほどでしょうか。

山を越えたとたん気候が変わりました。

 

 

 

さらに1時間ほど走ると

いよいよ交通量も増え、

都市の様子を感じ始めます。

しかも自転車道が整っており

予想よりもかなり走りやすい。

都市は好きじゃないけど、良い気分。

 

 

 

 

 

 

そして遂に到着しましたアメリカ南西部、

国境の街「サンディエゴ」。

雲一つない青空に向かってまっすぐ伸びるヤシの木。

あぁ、西海岸。

 

 

ルートの都合もあり、今回の旅で

アメリカの大都市を訪れるのは初めて。

中心街の高層ビル群も新鮮。

といってもサンディエゴの人口は

100万人程度なので、

“ぼちぼち”の大きさですが。

 

 

 

 

 

 

 

サンディエゴではWarmshowerのホスト

“ショーンさん&キャリーさん”ご夫婦宅にお世話になることに。

今年Warmshoerのサイトに登録されたばかりで

僕が初めてのゲストなんだとか。

光栄でございます。

 

 

 

暑さによる疲れと

アメリカを走り切った達成感を感じつつ、

到着翌日はお二人と

のんびり休日を過ごします。

自転車に乗らない日こそ楽しいのが

自転車旅の魅力。

 

 

 

午後は海へドライブ。

スタート地点のアラスカ以来となる

太平洋とのご対面。

この海の向こうに

“スウィートホーム 湘南”が

あるのか…。

 

 

 

ランチはお二人のお気に入りだという

メキシカンレストランへ。

これから散々食べることになるけど、

メキシコ料理はバリエーションが

かなり豊かなので

飽きることなさそう。

 

 

 

 

 

 

とても穏やかで気持ち良い日を過ごすことが出来ました。

“ショーンさん&キャリーさん”、ありがとう!

 

 

そして嬉しかったのは、

ショーンさんに電話をお借りして

事故により救急車で運ばれてしまったロブさんとお話が出来たこと。

 

入院こそしなかったものの足の骨を折っており

今でもまだ歩けないそうですが、

看護師である奥さんの献身的な看病のもと

穏やかな療養生活を送られているようでした。

出国前に声が聞けてよかった。

 

ということで

新たな国に向かう不安もありましたが、

疲れも癒えて準備は万全。

ここからいよいよメキシコに向かいます。