パンク地獄、灼熱地獄

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【119日目 6,990km】

 

 

ユークアラさんとセドナで過ごすこと1週間。

今回の旅でここまでゆっくりすることもなかなか無く、

重い腰を上げて走り始めます。

目指すは西海岸「サンディエゴ」、アメリカ最後の街へ。

 

 

 

砂漠の広がるアリゾナ州。

高気温が不安でルート選びに悩みましたが、

ユークアラさんやお友達のアドバイスに従い

セドナを真っすぐ西に向かうことに。

どのみち暑くはなるけど

少しはマシだそう。

 

 

 

走り始めて2時間ほどでパンク。

セドナの自転車屋さんで

診てもらったはずなのになぜだ…。

しっかりチェックしても

トゲも刺さってないようだし。

もやもやしたまま取りあえず修理。

 

 

 

確かにルートが良いのか、

最も暑い昼過ぎでも走れるほどの気温。

35℃くらいでしょうか、

決して殺人的な暑さではなく

水分補給さえすれば

フラフラにはなりません。

 

 

 

夕方に“プレスコット”到着。

なかなか野宿場所が見つけられず、

日が沈むことになってやっと

工事現場のすみっこにテントを張る。

風情も何もなく

ただ夜を過ごすだけのキャンプ。

 

 

 

 

 

 

 

 

セドナ出発2日目。

どうやら前輪のタイヤが調子悪いようで、

ゆっくり空気が抜けている。

 

 

 

プレスコットの町を出る前に

自転車さんに寄ってみる。

やはりトゲも刺さっていないようで

はっきりした原因は分からず。

すっごくモヤモヤします。

パンクが気になって気持ち良く走れない。

 

 

 

パンク補修剤を注入してもらい

走り続けることに。

プレスコットからは少し峠が続きます。

ただ主要な完全道路が別にあるので

交通量はかなり少なめ。

日差しに照らされせっせと上る。

 

 

 

峠を越えるとゆるやかな下り坂。

ここからは大きな山が無く

西海岸まで下っていくだけだそう。

アメリカはモンタナから入り

標高1,000から2,000mを

ずっと上下してきました。

 

 

 

夕方に「ヤーネル」という小さな集落へ。

公園を見つけテントを張ります。

ここしばらくロブさんやユークアラさんと

嬉しい出会いが続いたので、少し寂しい。

一人が好きと言っておきながら

出会いが無いと旅も退屈です。

 

 

 

 

 

 

 

 

セドナ出発3日目。

朝から下り坂を気持ちよく滑り降りていきます。

 

 

 

高台から見下ろす荒野。

ここを降りると標高500mほどになり

いよいよ平地に下りていくことに。

ただ標高が下がると気温が

上がってしまうのが不安。

しっかりと走っていけるだろうか。

 

 

 

そして下り坂の途中で

「プスッ!」と大きな音が。

路肩の大きな釘が刺さったよう。

ただでさえ前輪の謎のパンクに

悩んでいるのに、後輪もぐさっと

やられてしまいました。

 

 

 

朝いちから日陰もない場所でパンク修理。

セドナを出て3日間毎日タイヤを外して

作業をしています。

そして、奥底でフツフツと

怒りが湧いているのを感じる。

「あぁ、イライラする…」

 

 

 

 

 

 

自分の心の状態が良くないことを感じ、

パンク現場から30kmばかり離れた「ウィッケンバーグ」にて

モーテルに泊まることに。

 

苛立っている時って必ず何かやらかしてしまいます。

大切なものを失くすとか、不注意でケガや事故をするとか。

 

 

 

長旅で大切なことは

“平常心”だと思っています。

いつも通りのことを

いつも通り淡々と確実にこなす。

それが出来そうにない時は前に進まず

心をニュートラルに戻す。

 

 

 

ついでに謎のパンクが続く前輪もチェック。

小さな町の店で適当に買った接着剤が

あまり良いものではなかったのか、

どうやら修理箇所が

しっかり塞がれてなかったよう。

ここでしっかり直しておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

セドナ出発4日目。

クーラーの効いた部屋でぐっすり眠って

心と体を整えたら仕切り直し。

ウィッケンバーグの街をまっすぐ西へ向かうと

いよいよ本格的な荒野が広がっていました。

 

 

 

道路わきの看板に書かれた

“ロサンゼルス”の文字を見ると

いよいよ海が近づくのを感じる。

ロスには行かないし、

まだ距離もかなりあるんだけど

走ってきたんだなぁと感慨に浸る。

 

 

 

たまに現れる町の商店で

水分補給の休憩。

メキシコの人が多いのか

聞こえてくる言葉に

スペイン語がかなり増えてきました。

いよいよ国境が近づいている。

 

 

 

90kmを走って「ウェンデン」という

小さな集落へ。

はずれに広い公園を見つけ

テントを張ることに。

子供たちのバスケを眺めながら

のんびり野営の準備です。

 

 

 

標高が下がっているからか、この日から

夜の気温が上がった気がします。

日が暮れてもほとんど涼しくならない。

なるべくすぐ眠りたいのに

じわっと汗をかき、すっと眠りに

落ちることが出来ませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

セドナ出発5日目。

結局うまく眠れず朝から体が重い。

ただゆっくり休める場所も無いので

とにかく先へと進まなければ。

 

 

 

朝7時には走り出したのに

すでにもう暑い…。

昨日までと全く様子が違います。

今日は100km先の街に

着きたいけれど、

無事にたどり着けるだろうか。

 

 

 

キャンプ場の横に商店を見つけ

逃げ込むように日陰へ。

冷たいスポーツドリンクを飲み干すと

そのまま体に染み込むように感じる。

間違いなく体が

悲鳴を上げつつある状態です。

 

 

 

 

 

 

それからまともに休めるような場所もなく、

午前中の内に80kmを走り切って

13時に「クオーツサイト」という街へ。

 

暑さのあまり食欲もないけれど、冷房を求めて

“M”の看板が印象的なハンバーガー屋さんへ入ります。

 

「はぁ、暑い暑い…」とゆっくり食べてると、

隣のご家族のお父さんが声をかけてきました。

「君、頑張ってるようだけど大丈夫?

一応伝えておくけど外の気温44℃だよ」

 

「へ?」と一瞬、耳を疑いました。

移動中はネットなどつながらないので

気温をチェックする習慣すらないのですが、

どうやらとんでもない温度に到達していたようです。

「さすがにこの暑さはヤバい…」

 

 

 

熱中症気味でもあり野宿は考えられず。

モーテルのある街は

さらに30km進まなければなりません。

下り坂で風を浴びても

ドライヤーの熱風が当たるみたいで

まったく涼しくはありません。

 

 

 

1時間走った所で

ガソリンスタンド付きの商店へ。

火照った体をドリンクで冷ます。

それでも滝のような汗が止まりません。

ここから街までさらに1時間。

意を決して再びペダルを漕ぐ。

 

 

 

街まで10kmを切った地点で

州境であるコロラド川に差し掛かり、

アリゾナ州からカリフォルニア州へ。

ただ感慨にふける余裕もなく

早く先に進みたい…。

暑い、暑い…。

 

 

 

そして夕方17時過ぎに「ブライス」

という町に到着。

昼に予約しておいたモーテルへ駆け込む。

頭も体もフラフラで

何も考えることが出来ない。

もう疲れた…。

 

 

 

 

 

 

モーテルの方に聞くと

到着した夕方時点の気温がなんと46℃!

人生最高気温となる猛烈な暑さでした。

 

どうやら前日からあたりを熱波が襲っているようで

この地域でも異常な暑さなんだとか。

ベッドに就いて寝ようとする頃にも39℃…。

 

セドナを出発してから

連発するパンクに悩まされ、

未体験の酷暑に苦しめられ、

なんとも険しいカリフォルニアまでの道のりでした。