イエローストーン国立公園
【82日目 5,087km】
“自転車はここで止まれ”の看板の通り足を止め、
“リーさん&ジーニーさん”宅にてお世話になった朝。
ジーニーさんの作ってくれたサンドイッチを受け取ると
「イエローストーン」を目指してさらに南へ。
天気の良さは相変わらず。
暑さも若干和らいで
かなり過ごしやすい気候です。
南の方向に山々が見えてきた。
カナダのバンフ以来となる
ロッキー山脈地域に突入していきます。
昼には“リヴィングストン”
という町に到着。
古い雰囲気を醸すダウンタウン。
ここから西に40kmの“ボーズマン”
という町にジョニー・デップが
住んでるそうですよ。
街を出るとまっすぐ南に下りる
一本道を進みます。
リーさんに教えてもらった
交通量の少ない道路がすごく走りやすい。
地元の人の情報に頼ることが
旅においてとても大事です。
ジーニーさんが作ってくれた
サンドウィッチでランチ。
ゆっくり座って休憩することが
気持ち良くなったのは
ホントここ最近です。
こないだまでもう寒くて寒くて…。
110kmを走った夕方に
国立公園の玄関口「ガードナー」
という町に到着。
観光客で溢れかえる
とても賑やかな場所です。
欧米だけでなくアジア系の人もたくさん。
立ち寄ったスーパーで
牛肉が安く(¥400)、
夕食はステーキに。
前の旅含めても初めてじゃなろうか。
焼くだけで意外と調理も簡単だし。
走り切った日に食べる肉、最高です。
町のはずれに図書館を発見。
誰もいないようなので裏で
テントを張らせてもらうことに。
観光地なのでどうかなと思ったけれど、
ぐっすり眠って
無事に朝を迎えることが出来ました。
翌朝。ガードナーの町の南側に料金所があります。
ここからいよいよ「イエローストーン国立公園」へ。
入場料$35と聞いてたけど、自転車は$20とのこと。
嬉しい。
標高2,400mにあるイエローストーン。
ゲートの向こうはかなりの急坂でした。
「傾斜キツイし、路肩もないから
トラックにでも乗せてもらったら…?」
と言われたけど、これまで通り
自力で行きたい。
まず1時間ほど坂をのぼると
“マンモス”というエリアへ。
大自然が広がっていると思いきや
高級なホテルが立ち並んでいました。
イエローストーンは全米屈指の観光地。
人も車も凄い数です。
最初にやってきたのは「マンモス・ホットスプリングス」。
そもそも“イエローストーン国立公園”とは
大きな火山地帯です。
地中深くに世界最大とも言われるマグマだまりがあり、
その地表ではガスや熱水が噴き出す間欠泉など
特有の火山活動が見られるのが国立公園の魅力。
熱水が湧きだす泉を見てみると
複雑な結晶のようなものが見えます。
これらはバクテリアが
層を成しているらしく、
場所によっていろいろな
模様を見せてくれます。
ここマンモス・ホットスプリングスは
棚田のように傾斜した
石灰岩が特徴で、
白い岩肌と
茶色いバクテリアが
独特な景色をつくっています。
ひと通り見終えるとまた坂を上ります。
南北には200kmにも及ぶほど広い国立公園。
その中に間欠泉などの見どころが点在しており
ひとつ見たらまた次へ、と移動を繰り返して観光していきます。
昼頃に高低差800mにもなる
坂を全て上り切りました。
その先は平らな台地になっており
分かりやすいほどに平坦。
高所だけに涼しく、ジャケットを
羽織って漕いでいきます。
何やら車が渋滞しており
合間を縫うように追い越して進むと、
森の奥になんと「グリズリー」が!
“黒いパンダ”ことブラックベアとは違い
グリズリーは本物の猛獣です。
おしりをこちらに向け去っていきました。
15時頃には「ナリス・ガイザー・ベイスン」へ。
開けた土地にいくつもの間欠泉(ガイザー)があり、
そこら中から湯気やガスが立ち上っています。
特に激しくガスを噴出している場所では
「シュー、シュー!」と轟音が
聞こえます。
まさに地球の鼓動とも思えるような
日常ではまず聞くことのない
生々しく存在感のある音。
てくてく歩いていると
一気に雨雲がかかり、
やがて激しく降り始めてしまいました。
観光どころではないと
諦めて退散。
せっかくだから隅々までみたいのに。
雨の中しぶしぶ漕いでいると
やがて晴れ間も見えてきました。
2,000mを越える高山とあって
天気も気温も変わりやすい。
道をのんびり走っていると
湯気が上る場所がちらほら。
数十kmにもなる巨大なマグマが
地中にあるので、
いたるところで温泉が湧いているよう。
なかなかここまでの景色がお目にかかれない。
源泉に触れてみると
45℃ほどでしょうか、
足湯できるような湯加減ではなく
すごく熱いです。
川を眺めながら
お湯に浸かれたら気持ちいいのに。
公園内は野宿厳禁だそうでキャンプ場へ。
高額を覚悟したものの
サイクリスト価格が用意されており
$10とかなり安い。
売店まであり、観光地らしい
整い切ったキャンプ場でした。
イエローストーン観光2日目。
今日も平坦な道をたくさんの車に追い越されながら進みます。
漕ぎ始めてすぐに
間欠泉がありました。
前日よりも天気が良く
青々とした泉が綺麗に映えます。
飛び込みたくなるような色だけど
離れても熱気を感じるほど熱いです。
じっくり見れば見るほど
宝石のように鮮やかな
色と模様。
まさに自然が生み出す芸術。
風がつくりだす水面の波紋が
また美しい。
さらに進んだ場所にあるのは
「ブランド・プリスマティック・スプリング」。
公園内でも特に人気な見所です。
高台からの景色は圧巻。
泉の中心から外側に向かって
温度が変わるのですが、
それによって棲むバクテリアが異なり
青とオレンジのコントラストを
生んでいるのだとか。
舞い上がる湯気がまた荘厳さを増す。
そんな美しい景色の広がるイエローストーンですが、
とにかく人が多い。
平日でしたが、そんなの関係なく人気スポットの周りは大渋滞。
駐車場に入りきらない車が道路にはみ出しています。
こちらはトイレの大行列。
僕は自転車なので
道路脇で適当に済ませますが
これはちょっと嫌だな。
そういう僕自身も観光客の一人なので
何とも言えないですが。
最後にやってきたのが、イエローストーンのみならず
世界でも最も有名な間欠泉である
「オールド・フェイスフル」。
90分おきに30mもの高さまで豪快に熱水を噴出します。
時間なんて全く気にしてなかったのに、
僕が着いてほんの1分後に噴き出してくれました。
ただ、イエローストーン1番の目玉ともいえる
このオールドフェイスフル。
若干、興ざめしてしまったというのも本音でして…。
間欠泉の周りにはぐるりと
人、人、人。
千人は軽く超えるでしょうか。
敷設されたベンチには
収まらないほど溢れかえっています。
皆で中央の間欠泉を見るというわけ。
駐車場から歩いてくる間にも
ホテルやスーパーまであるんですよ。
ただただテーマパークで大きな噴水を見た
という風に感じてしまいました。
「間欠泉も水道水だったりして」
とか思っちゃうくらいです…。
人の多い観光地に来ると
自転車旅の魅力に気づかされます。
誰もいない何でもない景色の方が
いつまでも心に残っていたりして。
でも独特の火山活動の風景は圧巻でしたよ。
(誰に向けてのフォローなのか。)
北米大陸を東西に分断する
ロッキー山脈にあるイエローストーン。
こちらの分水嶺は
太平洋と大西洋それぞれに下っていく
水流の境目となっています。
まさに大陸の分け目。
前日に引き続いてキャンプ場へ。
公園内を自転車で移動する人などほとんどおらず
たくさんの車に追い抜かれながら進みました。
すると間欠泉を見学中に
「お前、さっき見たぞ。頑張れよ!」
「もうここまで来たのか!早いな」
など沢山声をかけてもらい、お菓子をもらったりします。
そんな、いつも以上にちやほやされた
2日間のイエローストーン観光でした。