“自転車はここで止まれ”

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【79日目 4,833km】

 

 

アメリカに入国して、“ダットン”という小さな集落でひと休み。

ここから有名観光地である

「イエローストーン国立公園」を目指して進み始めます。

 

 

 

お昼ごろにはモンタナ州有数の都市

「グレイトフォールズ」に到着。

ミズーリ川の沿岸に

快適な自転車道が敷設されています。

車を気にすることなく

のんびりと走っていく。

 

 

 

しばらく進むと

都市名の由来にもなっている

大きな滝がありました。

今はダムになっていますが、

一部ゴツゴツとした岩場が

スケールの大きさを物語ります。

 

 

 

街を出る前に大型スーパー

「ウォルマート」にて

アメリカ本土で初のお買い物。

バナナ5本¥130、リンゴ1つ¥250。

ソフトドリンク1缶¥270。

もちろん高いけど予想ほどではない。

 

 

 

グレイトフォールズを出ると

また大平原を進みます。

気温は20℃を越え、

一気に暖かくなりました。

アラスカ出発以降

初めて終日半袖で走った日となります。

 

 

 

“ビッグ・スカイ”と称される

モンタナ大平原の大空。

綺麗なのは何も夕焼けだけでなく、

昼の時間でも立体感のある雲と

突き抜ける青空が最高に美しい

画を見せてくれます。

 

 

 

90kmほど走って

「ベルト」という町の公園にて

テントを張ります。

芝生がきれいなだけに

スプリンクラーに要注意。

あの悲劇を繰り返してはいけない…。

 

 

 

 

 

 

 

 

ダットン出発2日目。

ルークさん宅で頂いた“アップルバター”がすごく美味しい。

最近はパンではなく、もっぱらトルティーヤ。

かさばらないし、日持ちもするし、

どんな味付けもできる便利食材です。

 

 

 

さらにどこかで落としてしまっていた

コーヒーフィルターまで

頂いちゃいました。

楽しく旅をすすめるために

朝のコーヒーは欠かせません。

あぁ、やっと飲める。

 

 

 

この日は標高1,000mのスタート地から

2,400mの峠を越えるコース。

つまり1,400mも登るということ。

イエローストーンを目指すには最短だそうで

通らないわけにはいかない。

気合を入れて進み始める。

 

 

 

朝からクラクラするほどの暑さです。

たった4日前は息も白く

手袋してたのに。

今日は汗が止まらず

上半身裸で

せっせと坂を漕いでゆく。

 

 

 

標高が上がるにつれ

岩山の合間をぬうような

道へと変わっていきます。

幸い吹き下ろす向かい風が

ないのが嬉しい。

時速10kmでゆっくり前へ。

 

 

 

午後からは小川の傍らを上ります。

涼しげな水面に反して

気温は上がるばかり。

太陽に照らされて

ぬるくなった水で喉を潤す。

車が少ないのもありがたい。

 

 

 

そして夕方6時過ぎ、

やっとのことで標高2,400m、

峠の頂上へとたどり着けました。

疲れて“手前で野宿を”とも

思ったけれど、一日で上り切ると

達成感があります。

 

 

 

峠を下り15kmほど

進んだところでキャンプ場を発見。

有料と聞いていたけど

誰もおらず何もないので

しれっと泊まらせてもらうことに。

オンシーズンのはずなんだけども。

 

 

 

 

 

 

 

 

ダットン出発3日目。

前日にさんざん上った坂を今日は一気に下る。

下り坂から始まる1日なんてホント最高です。

 

 

 

アメリカに入国してから

天気はほとんど晴れ。

気まぐれな通り雨が降る以外は

どこまでも青空が広がっています。

やっと理想のサイクリングシーズンが

やってきたようだ。

 

 

 

40kmほど走った昼前に

“ホワイト・サルファー・スプリング”

という小さな集落に到着。

イメージ通りのアメリカの田舎

といった雰囲気です。

落ち着いた良い場所だ。

 

 

 

商店にてレジ横にピザが置いてあるので

つい買ってしまう。

1枚¥300で割とオッケーな値段。

美味しい誘惑がいっぱいのアメリカ。

カナダからアメリカに入って

肥満体型の人が明らかに増えた気がする。

 

 

 

まだお昼だけどキャンプ場にチェックイン。

前日が大きな峠越えだったので

半休日にします。

急な気温上昇に体も疲れている。

自転車って前に向かって頑張りすぎるので

時には「休むぞ!」って決心が必要。

 

 

 

近くにスーパーがあったので

夕食には、野宿中は食べない

ソーセージや野菜など。

ここしばらく食べることが

一番の幸せになっている。

ちょっとでも美味しいものを。

 

 

 

 

 

 

 

 

ダットン出発4日目。

今日も青空の下、平原の道を進んでいく。

 

 

 

中央アジアにも通じるような

どこまでも果てのない原っぱ。

日本の国土と同じほど広いモンタナ州。

でも、人口は全体で100万人ほど。

地元の広島市とか今住んでる湘南エリアと

同じくらいだから人口密度はかなり低い。

 

 

 

ランチはトルティーヤ。

カナダで1週間前に買った

アボカドがやっと柔らかく

なり始めました。

早く本場メキシコで食べたい。

美味しいんだろうなあ…。

 

 

 

 

 

 

夕方4時ごろ、「クライドパーク」という町を過ぎたあたりで

道端に“The Bike Stops Here(自転車はここで止まれ)”

という看板を発見。

トルーマン大統領の格言をもじっていると思われる文言に従い

立ち寄ってみることに。

 

 

 

奥に進むと平屋があり、ただ家主は不在のよう。

“でも止まれって言われてるしなぁ”ということで

20分ほど木陰で休んでいると

車に乗ったご夫婦が帰宅されました。

 

 

 

聞けば、自転車が大好きなご夫婦は

ここを通るサイクリストを

よく泊めてあげているそう。

裏庭にテントを張って良いということで

遠慮なくここで一泊させてもらいます。

スプリンクラーの心配も無し。

 

 

 

涼しくなった夕方に裏庭でのディナー。

BBQポークがとても美味しい。

食欲爆発で「ねぇ、これも食べていい?」

って聞くのが恥ずかしいけどやめられない。

太ってる人ってこんな感じなんだろうな。

永遠に食べられそう。

 

 

 

「自転車のことで困ってないかい?」

ということで緩んだうえに

錆び付いていたバッグのネジを

つけ直してもらいました。

アメリカの家庭はみな

お店が出来そうなほど工具が揃ってます。

 

 

 

 

 

 

実はこちらの“リーさん&ジーニーさん”、

昼間は遠くから来た友達と会っていたそう。

「このまま夜は映画行く?ディナーはどう?」

と誘ったところ、その友達に“疲れたからホテル戻る”と断られたのだとか。

 

「それで家に帰るとあなたがいたのよ」とのこと。

出会いって小さな奇跡の末に生まれてるんです。

断ってくれたお友達、心からありがとう。