31ヵ国目・アメリカ合衆国

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【75日目 4,520km】

 

 

ふらっと立ち寄っただけの旅人を歓迎してくれた

アイラさん宅にて過ごしたカナダ最後の夜。

朝にはコーヒーとパンまで用意してくれました。

 

 

 

朝からパラパラと止まない雨。

空を見上げても晴れる様子はなく

諦めて濡れながら

進むことを覚悟します。

どうやら青空のもとの

国境越えとはならないようだ。

 

 

 

大都市・カルガリーを出て4日。

太陽を見ることはなく

常に厚い雲が

空に立ち込めています。

それに加えて

日に日に寒さが増している。

 

 

 

この日、日中の気温はなんと6℃。

南に下っているというのに

日本の冬並みの寒さです。

休憩に立ち寄った集落でも

店が開いておらず。

あまりの寒さに外で食べることもできず。

 

 

 

午後から晴れる予報だったけれど

どうやら、そんな様子もなく。

6月の終わりに

手袋をして走ることになるとは

思ってもいません。

息も白いし、体が震える。

 

 

 

14時ごろに“ミルクリバー”

という集落に到着。

カナダ最後の食事はレストランの

ハンバーガー(¥2,000)でした。

最後の記念だからではなく、

寒くて外で自炊する元気がなかったんです。

 

 

 

さらに走ること1時間。

“クーツ”という集落の国境に

たどり着きました。

山火事という思わぬ

トラブルもあり2カ月の旅となった

カナダの道はここで終わり。

 

 

 

パスポートを見せると

簡単な質問をされます。

色んな国へ行ったけど

口座の預金額を聞かれたのは

アメリカ、カナダだけではなかろうか。

貧乏なんだから聞かないで…。

 

 

 

 

 

 

ということで、やってきました

31ヵ国目・アメリカ合衆国。

すでにアラスカ州を走っているので一度入国済みですが、

いよいよ本土の走行が始まります。

多くの人が観光に訪れる東西の両海岸ではなく、

中央部の田舎地域を中心に走ることになります。

果たしてどんな旅が待っているだろうか…。

 

 

 

 

 

 

国境を越えてやってきたのは

モンタナ州。

大平原グレートプレーンズが

広くを占める州で

「あそこ走ってもホント退屈だぞ」

と出会う人が口を揃えます。

 

 

 

国境を越えてもすぐに町はなく

変わらない平原がどこまでも

目の前に広がります。

これが何日も続くのだろうか…。

遠くの方にポツンと

何軒かの家が見える。

 

 

 

入国からわずか15kmほどで

「サンバースト」という

何とも暑そうな名前の

集落に到着。

キャンプ場ではなく

タダで野宿できるところを探したい。

 

 

 

町のはずれに静かな公園を発見。

人もいないようだし

芝生は綺麗だし

ここなら落ち着いて眠れそうと

安心してテントを張ることが出来ました。

あんなことが起こるとも知らずに…。

 

 

 

 

 

 

すやすやと気持ち良く眠っていた深夜2時。

突然「ザアー、ザア」と激しい水が

テントを打つ音で目を覚ましました。

“雨か…”と思い、再び眠ろうとするもやけに激しい。

 

一度止んだかと思うと、また降りはじめる。

というかこの雨には変なリズムがある。

そして、雨に強いはずのテントが下の方から濡れている。

ん? なんかおかしい…。

 

眠い目をこすり外に出ると

顔に「びしゃぁっ」としぶきが当たる。

どうやら水は地面から吹き上げられている。

スプリンクラーだ。

 

そして、テントが思いっきり狙い撃ちされているではないか。

「ヤバいヤバい」と眠たい頭で思考し、

なんとかタオルで噴射口を結んでふさぐ。

近くにある二つの噴射口をやっとふさいだ瞬間、

時間が来たようで全体のスプリンクラーが稼働終了。

ムカつく…。

 

 

 

 

 

 

 

 

朝目が覚めると、思った以上に

テントが降れていることが判明。

アメリカで過ごす最初の夜が大切な教訓を与えてくれました。

「公園野宿はスプリンクラーに気をつけろ」

 

 

 

荷物をまとめて走り始めると

青空が広がっていました。

ここ数日拝めていなかった

太陽に感動。

日光が降り注ぐ平原の景色、

まったく退屈ではありません。

 

 

 

ハイウェイを進んでいるけれど

交通量はさほど多くなく

路肩もかなり余裕がある。

昨日までとうって変わり

とても気持ち良く

晴天のサイクリングを楽しめます。

 

 

 

午後からはやはり厚い雲が

空を覆う。

カナダの針葉樹林もそうだったけど

こんな大平原で降られても

まったく逃げ場がございません。

お願い、やめて…。

 

 

 

わずか10分後の写真。

この10分間に、

まず無数の雹が体に降り注ぎ、

やがて大粒の雨に変わったかと

思うと、すぐに晴れ渡りました。

モンタナの天気めちゃくちゃです。

 

 

 

 

休憩に止まれるような場所すらなく

120kmを走破。

どうやらモンタナ州は

ただただ走ってばかりになりそう。

大平原の小さな村

「ダットン」に到着しました。

 

 

 

 

 

 

「ダットン」の集落でお世話になるのは、

Warmshowerのホスト“ルークさん”ご一家。

緑色の可愛らしいお家です。

 

 

 

到着翌日は休養日。

奥さんの“メーガンさん”お手製の

アップルバターが絶品で

パンを何枚も食べちゃいました。

レシピも教えてもらったので、

日本に帰ってつくるのが楽しみ。

 

 

 

この日は1年で最も日の長い夏至の日。

夜10時を過ぎてもまだ明るく

子ども達も外で遊びます。

焚き火であぶるマシュマロが美味しい。

一人キャンプの時は

やらないからこそ楽しい。

 

 

 

明るく楽しい家族の

夏休みを1日だけ

ご一緒させてもらいました。

こうして色んなご家庭の日常を

のぞき見させてもらえるのも

自転車旅の良いところ。

 

 

 

 

 

 

僕はもっと日の長いカナダから南下してきたので

夏至の特別感を感じないけども、

麦畑に沈む夕日がとても綺麗でした。

広大なモンタナの空は色んな表情を見せてくれる。

 

一番近い道を進みたいがために

退屈な景色が続くだろう、と覚悟したモンタナ州。

似たような景色が続くのは間違えないけれど、

決して退屈な道なんかではありません。