雨にうたれて“ジャスパー”へ

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【61日目 3,830km】

 

 

現在、プリンスジョージを出発して

カナダ最後の都市・カルガリーを目指しています。

ただ平坦な道をのんびり進むわけではなく、

その途中に立ちはだかるのはロッキー山脈。

 

 

 

特に“ジャスパー”と“バンフ”

という二つの町は、

カナディアンロッキーの観光名所

として知られており

それらの町に立ち寄るのも楽しみにしつつ、

ペダルを漕ぎ始めました。

 

 

 

山脈の核心部に向かうにつれ

当然、標高も上がってきます。

斜度はそれほど急ではないけど

朝晩がまた一段と

冷え込むようになっています。

いつまでもジャケットが手放せない。

 

 

 

 

また1日のどこかで必ず

突然のにわか雨に降られています。

どしゃ降りとまでいかずとも

荷物は濡れるし、視界は悪いしで

とても大きなストレス。

今年はやはり降水量が多いそう。

 

 

 

 

夕方には付近で唯一の町

“マクブライド”に到着。

人口千人にも満たない

小さな町ですが、

最低限の補給はできるようで

助かります。

 

 

 

町のはずれに公園をみつけ

テントを張ることに。

“宿泊禁止”と書いてありましたが

地元の人曰く、

「誰も気にしないから寝ていいよ」

とのこと。

 

 

 

スーパーの品ぞろえが充実しており

なんやかんやと買ってしまいました。

南下してきたことで

新鮮な野菜も手に入りやすくなった。

ブロッコリーが¥200、

みかんが7個で¥400と悪くない。

 

 

 

アラスカ、ユーコンで

悩まされた食料調達も

ここからは大きく改善されそうです。

やはり北の大地で暮らすということは

何かと困難が付きまとうよう。

住むには南のあったかいトコが良い。

 

 

 

 

 

 

翌朝。

テントを片付けながら嫌な予感はしていたものの、

この日は旅立ち以来最悪といっていいほどの向かい風。

 

 

 

真正面から吹き付ける風は

ほとんど止む瞬間すらありません。

これから向かう山脈の方から

吹き下ろしているようなので

おそらく弱まることを望んでもムダ。

時速10kmでゆっくりと進んでいく。

 

 

 

加えて、やはり今日も

雨が降り始める。

もう漕ぐのやめようかなと

思っても、

雨風をしのげる場所すらない。

いやいやながら漕ぐしかない。

 

 

 

と思いきや、

次の瞬間には気持ち良く

青空が広がります。

雨が降ると気温も下がり

服の脱ぎ着が本当に面倒。

自然環境に翻弄されまくりです。

 

 

 

そして、また降り始める。

風だけでも辛いのに

体を濡らす雨が心から憎い。

たまたまロッジがあったので

しばし雨宿りをさせてもらうことに。

手が震えるほど、寒い…。

 

 

 

結局、予定の距離は走れず

70kmのあたりで

道路わきの休憩所にテントを

張ることに。

ここまで天候に悩まされることも

珍しい。

 

 

 

この休憩所、芝生がフカフカで

トイレもすごくきれいで

どこからかWi-Fiが飛んでくる、

という謎の最高キャンプスポットでした。

向かい風と雨に苦しんだ一日も、

最後には良いことが待っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の日。

前日の向かい風はどこへやら

穏やかな天候のもと朝から下り坂を気持ちよく

滑り降りていきます。

 

 

 

走りながら左手に見えるのは

“ロブソン山”。

多くの登山家が目指す名峰だそう。

雲がかかっているのは残念だけど

頂上付近の雪がかかった岸壁に

風格を感じます。

 

 

 

山脈の中へと入りこむにつれ

遠くに見えた雪山も

徐々にすぐそこまで

近づいてきています。

大きな坂もなく

割と平坦な道を気持ちよく進ます。

 

 

 

曇り空も、午後からは

気持ち良く晴れて

気温も上がってきました。

天気が良ければロッキー山脈の

美しさもより映えます。

空気も水も美味しく感じる。

 

 

 

 よく見かけるのが

ビーバーの作ったダム。

周辺には前歯でガシガシ削った

木もたくさんあります。

でも肝心のビーバー本体を見ていない。

カナダを象徴する動物なのに。

 

 

 

そして午後3時頃、

ブリティッシュコロンビア州から

州境をまたいで“アルバータ州”へ。

ユーコン、BCに続く3つ目の州です。

時間も変わって時計を1時間進める。

日本との時差は15時間です。

 

 

 

ふと目の前に料金所が現れました。

ここからは国立公園内のため

滞在1日に着き¥1,200とのこと。

公園を抜けるのに6日は掛かるので

¥7,000あまり。

全く事前調査しておらずかなりショック。

 

 

 

 

 

 

そしてやってきました、

カナディアンロッキー1つ目の観光地“ジャスパー”。

建物も綺麗で、色んな国籍の人が練り歩いている

典型的な観光地でございます。

 

 

 

当然、町で野宿は禁止。

Warmshowerのホスト

“グレッグさん”宅にお世話になります。

娯楽としての自転車文化が根付く

北米ではオンラインコミュニティ

“Warmshower”が活発でとても助かる。

 

 

 

裏庭にテントを張らせてもらいます。

ただ、ホストのグレッグさん

多忙な方で外出も多く

滞在中ほとんどゆっくり話もできず。

ホント無料で泊めてもらうだけで

申し訳ない。

 

 

 

 

 

 

 

到着翌日は休養日にしてのんびり観光へ。

町から10kmほどの場所にある

“マリーンキャニオン”へ散策に出かけました。

 

 

 

数万年にわたって

川が削り出した渓谷は

深く鋭いゴツゴツとした

岩の彫刻作品のよう。

流れる水も澄み切って

傍を歩いていると癒されます。

 

 

 

野生動物の住処でもある

ジャスパー国立公園。

渓谷への道ではついに初めて

オスのムースを見ることが出来ました。

やはり普通のシカとは違う

神々しさがあります。

 

 

 

帰り道には

“ビッグホーンシープ”現る。

その名の通り

大きな角が印象的な羊です。

この辺りの個体は人に慣れてるのか

近づいても全然逃げない。

 

 

 

ジャスパーの町に戻ると中心部を散策。

ここに来るまで多くの人に

勧められたのが

“ベアパウズ(熊の手)・ベーカリー”。

「ジャスパー行ったら絶対食べて!」

と皆が言うので気になってました。

 

 

 

持ち帰って食べると

噂に違わぬ美味しさで、

シナモンロール(¥450)が

なかなかの絶品。

近くにあるとリピートしたくなる

一品でございます。

 

 

 

 

 

 

そしてついに、このジャスパーで

山火事前からの走行プランに復帰することができました!

かなりの遠回りでしたが、

その分違う景色も眺められたと満足しております。

 

カナディアンロッキーの綺麗な空気を吸って

疲れを癒したら、

さらに東へとペダルを漕ぎ始めます。