ふるさとの味
【57日目 3,564km】
ガソリンスタンドでばったり会った
シャノンさんの歓迎を受けてひと晩。
朝起きると、手作りのグラノーラバーを用意してくれていました。
また一つ優しさを受け取って目的の街・プリンスジョージを目指します。
緩やかな起伏の続く16号線を
数日にわたって走ってきましたが、
やっとプリンスジョージに到着の日。
心地いい追い風を背中に受けて
青空のもと
快適に進んでいきます。
そして出発から4時間ほど、
お昼過ぎに70kmを走り切り
プリンスジョージ郊外にやってきました。
実はこの街には
何日も前から楽しみにしていた
場所があるんです。
それがこちら、「らぁめん屋 船頭」さん。
レネイさん宅で山火事避難生活を送っていた時に
Googleマップで見つけ、ずっと目をつけていました。
ついに、この時がやってきた…。
目の前に現れたるは“味噌ラーメン”。
深い大地の色をしたスープ。
触れずともその弾力を
感じさせるチャーシュー。
果てしない旅路のごとく細長い麵。
待ちに待ったふるさとの味、頂きます。
「走ってるときなに考えてるんですか?」
ってよく聞かれます。
そこで、“人はなぜ生きるのか”とか“本当の幸せとは何か”とか
そういう哲学的な答えを提供できるといいのですが、
実際は“ラーメン食べたい”と“牛丼食べたい”が日替わりで頭を駆け巡っています。
和食に限らずとも、そもそもまともなレストランすら無かったので
飢えに飢えて、よだれはダラダラ。
ここ数日はラーメンの事ばかり考えて走っていました。
“本当の幸せ”ってラーメンのことですよ。
会計時、日本人のご主人が
「がんばってね」と手渡してくれたのは
おにぎり。
一口かじるとおかかの旨味が
ほわっと広がりました。
異国で味わう日本の味は最高です。
満ち足りた心と胃袋に最高の満足を感じながら
プリンスジョージの中心部へ。
特段、見どころはないらしいのですが
ずっと森を走ってたので街の景色にほっとします。
まず向かったのは自転車屋さん。
アフリカ大陸を走り切った
前輪のタイヤにガタンガタンと
違和感を感じていたんです。
内側のワイヤーが切れているらしく
新品と交換してもらいました。
プリンスジョージでお世話になったのは
Warmshowerのホストファミリー、“ロブさん”ご一家。
この辺りによく見る平屋の可愛らしいお家。
ロブさん宅もそうですが、大体地下に広い部屋があるんですけどね。
奥さんの“ナタリーさん”と、
言葉はまだほとんど話せないけど
“ノー”だけははっきり言う
一歳半の“アーサーちゃん”。
ほのぼの家族タイムを
ご一緒させてもらいました。
ご飯もお世話になりました。
走行中はなかなか食べない
肉と野菜が嬉しい。
お刺身とかも大好きですけど
意外と食べたくならないです。
体が味の濃いものを求めている。
滞在中はほとんど雨で屋内で
パソコン作業するばかりでしたが、ゆっくり疲れを癒すことができました。
ロブさんご一家(※真ん中はお友達)、素敵な時間をありがとう。
プリンスジョージでひと休みすると、
東に向かって大都市・カルガリーを目指します。
カナダの旅路もあと2週間ほどだろうか。
引き続き16号線を真っすぐ。
プリンスジョージを少し離れると
交通量がぐっと減りました。
僕が走っているルートがそうなのか
カナダって本当に
人も車も少ないです。
シャロンさんがくれた
手作りシリアルバーが美味しい。
ていうか手作りできるものなんだ…。
北米旅はゲストハウスに泊まってないので
料理をする機会が少ないです。
たまには自分で思うように料理がしたい。
100kmほど走って道路わきにあったのは
原生林の保護地区。
ロブさんから聞いており、立ち寄ってみることにしました。
遊歩道を歩くと
背の高いスプルース(マツ)が
うっそうと広がっています。
さんざん森を眺めてきたけど
ここまでしっかり中に
踏み込むのは初めて。
あまり街らしい街をたくさん
通過しないまま
出国してしまいそうだけど、
この原始林こそがカナダらしい風景
なのかもしれない。
雄大な自然に圧倒されます。
原生林の入り口に東屋があったので、
そのままテントを
張らせてもらうことに。
水も手に入るし
いい野宿場所になりそうです。
屋根があるので雨でも安心。
プリンスジョージのスーパーにて
たっぷり買い物を済ませました。
どんどん充実していく調味料たち。
ただ食べて終わりでなく、
楽しく美味しいキャンプ飯が
長旅の秘訣です。
ターメリックなどの香辛料を加えることで
クスクスが、より本場・北アフリカに味に近づきつつあります。
昔から大っ嫌いだったレーズンもクスクスに入れると
美味しく食べられることが判明。
至高のクスクスを求める旅、まだまだ続きます。