大自然から文明へ①
【50日目 3,042km】
山火事を避けやってきた「ハイウェイ37」も、いよいよ終盤。
ここを走り切り、別の国道に合流すると
いっきに人も町も増えるとのこと。
メジアディンのモーテルを出発し、今日も走り始めます。
ここ数日全く雨の降らない日が
ほとんどなく、
一日のどこかで雨に濡れています。
道が湿るとゆっくり腰を
落ち着けるところが
なくなるから嫌だ。
休憩中に前方からやってきたのはベルギー人
サイクリスト「フランソワ」さん。
10年近く世界を自転車で旅しているそう。
今回はメキシコから北上しており
僕とは真逆に走っているとのこと。
ルートの情報共有をします。
生粋の自転車好きであるフランソワさんは
毎日140kmも走るそう。
僕は大体100km前後ですが、
ここしばらく刺激が少ないので
今日はちょっと長めに
走ってみることにする。
15時頃、またもや向こうから
やってきたのはスペイン人サイクリスト
「セルジ」さん。
僕が旅のゴールとしている
アルゼンチン・ウシュアイアから
16ヵ月かけてやってきたのだとか。
北米旅においては
ほとんどサイクリストと会ってなかったのに
ここに来て連続で遭遇しております。
珍しい存在だけに
言葉以上に分かり合える気がする。
たまには誰かとキャンプもしてみたいな。
ベルギーのフランソワさんに触発され
予定以上の130kmを走破した19時頃。
ギタンヨーという小さな集落に到着。
当初は森の中でのテント泊を
予定してたので、
小さな商店があるのがとても嬉しい。
自転車でアンカレッジから来たことに
感心してくれた店のお兄さんが
「何か注文しなよ。ごちそうするから」
と嬉しい一言。
チキンフライとポテト…。茶色い。
深い森の集落に新鮮な野菜などありません。
そのままお店の横に
テントを張らせてもらいます。
Wi-Fiも届くし、
トイレ使って良いらしいし、
地味に最高なキャンプスポット
となりました。
翌朝。
今日はここ数日走ってきたハイウェイ37の最終日。
8時過ぎに少しウキウキして走り始めます。
そしてスタートから
20kmばかり走った所、
16号線との合流地点。
ひとつの節目としていた場所に
たどり着くことができました。
「やっとここまで来れたんだ」
この地点はただ道路が合流すること
以上の意味を持っていました。
16号線を東に向かうのですが
ここから先は
多くの町があり
多くの人が暮らしているんです。
つまりアラスカから永遠とも思われるほどに
続いてきた針葉樹林帯の終わり。
国としての“カナダ”が味わえるのはこれからなのかもしれません。
缶詰とポテトチップスしか手に入らない集落や
目の前に川があるのに凍って水が手に入らない
なんてこともおそらく無くなるはず。
北の大自然も素晴らしいのですが、来る時期が早かったばかりに
モノが手に入らない日々が苦しかったんです…。
町が続くとまた大自然が恋しくなるんだろうけども。
お祝いに
曲がり角のガソリンスタンドにて
ピザとコーラ。(¥500)
円安の影響も
カナダにいる内は若干マイルドです。
またアメリカに入るのが怖くて怖くて…。
写真では伝わりにくいかも知れませんが
道路が広くきれいに、
そして交通量も増えました。
起伏はあるもののこれまでに比べて
急なアップダウンは少ないです。
のんびりと気持ちにも余裕が出てくる。
数百kmにひとつしか集落がなかったのに
ちょっと走るだけで
いくつもの町を通り抜けます。
残りの食料もさほど気にしなくて
いいので嬉しい。
どこにでもスーパーがあります。
100kmほど走ったこの日、
ウィットセットという町で
キャンプ場に泊まりました。
値段は¥2500。
町に来ると野宿場所を探すのが
大変になりそう。
続いて翌日。
本当は休養日に充てようと思っていたのですが、
少し進んだ先に大きな街があるようなので
ちょっとだけ進むことにします。
本来は1週間に1~2日ほど
走らない日をもうけて
写真整理したり本読んだりしたいですが
何もない深い森が続いていたので
進むしかないという状況でした。
旅はのんびりがいいに決まってる。
30kmほど走って着いたのは「スミザーズ」。
お店もいっぱいあって
ここで色々なものが揃えられそうです。
町に着いてすぐ向かったのは
インド料理屋さん。
とにかくハンバーガーと揚げ物以外で
お腹を満たしたい。
和食じゃなくてもアジアの食べ物は
血管まで深く浸みわたる。
町の外れに、綺麗で
雰囲気の良いキャンプ場を発見。
まだお昼過ぎだけど
ゆっくり休むことにします。
これでもうちょっと暖かくなったら
最高なんだけどな。
隣にテントを張っていた皆さんと一緒にディナー。
なんと彼ら消防士で、僕も大きな影響を受けた
フォートネルソンの山火事の応援に行っていたそう。
ちなみにまだ道路は封鎖中らしいです。
大自然から少しずつ文明の中へ、
引き続き進んでいきます。