避難生活 in トードリバー
【38日目 2,178km】
火事に燃えるフォートネルソンの手前で
レネイさん&クリスティーナさん夫婦に救助され、
火災現場から200km離れた田舎の集落“トードリバー”に滞在中。
当初、「翌朝には多少落ち着いて通過できるようになるでしょ」と
思っていたものの、
随時更新される情報をチェックしていても
被害状況は広まるばかり。
火の手は徐々に町の中心部へと近づき
住民避難の最後通告がなされるなど、まさに非常事態の様相。
レネイさん達もご近所さんと朝からそわそわ話をしており、
この地域の人も決して慣れているわけではないご様子。
多くの方の日常が脅かされており、
旅が滞っている僕のモヤモヤなんてちっぽけなものです。
レナイさん達と色々お話をする中で衝撃的だったのは
「ゾンビ・ファイア」なるものの存在。
BBQ後の木炭が消えたと見えて実はくすぶっているように、
消火したとされる火事が雪の下で微かに燃え残ったまま冬を越し、
湿度が下がり気温の上がる春の時期に再び大きく燃え始めることがあるそう。
乾燥がひどく自然火災の多い北米大陸西部に起こりうる現象だそうです。
今回のフォートネルソンの件も、
もともと2か所で“ゾンビ・ファイア”が確認されており
そこに人間の過失が加わり一気に燃え出した可能性が高いとのこと。
そもそも“一つの町が燃える”なんてことが
日本人の感覚からすると想像を超えてるわけですが、
「へぇ、まだまだ知らないことがあるんだねぇ」と呑気に感心しております。
“一つ町が封鎖されたなら
ちょっと避けて通ればいいじゃん”という話なのですが、
ここもだいぶ日本と事情が違うところでして。
世界第二位の面積を誇りながらも、人口は3000万人ほどのカナダ。
特に北部は人口密度がとても低いんです。
となると町の数が少なく、そのぶん道路もシンプル。
日本のように網目状にはなっておらず
一か所が閉じるともうほとんど動けない。
さらに先に目指している南の町に向かって遠回りするとなれば
1,500km、つまり日本の本州ほどの距離を
進む必要があるわけでございます。
それで、どうにも困っているわけでございます。
“ひょっとしたら1週間近く道路が封鎖されたままかも…”
ということで、
庭に停めてあったRV(キャンピングカー)を開放してもらいました。
庭もデカいし、車もデカい。
電源、Wi-Fiもバッチリ、
写真整理やブログの更新も
のんびりできそう。
ご夫婦は引退したら
このキャンピングカーで
ヨーロッパを旅するのが夢だそう。
もちろんベッドも完備。
クリスティーナさんが丁寧に
ベッドメイキングまでしてくれました。
下手なホテルよりずっと良い。
避難生活が長引くと
テント生活が嫌になっちゃいそう…。
夫のゴリ…、レナイさんは大工で
週末は家の周りで色々とDIYをしています。
クリスティーナさんは先生で、
家のすぐ隣にある全児童6人の小学校で授業をしています。
「1週間も一緒にいたら
俺たち大親友になれるな!」
とレナイさん。
大親友どころか大恩人でございます。
本当に素敵な人に
助けてもらうことができました。
家庭の食事は料理好きの
レナイさんが担当。
お礼に何か僕からも
ごちそうをと思いつつも
町が封鎖されて
買い出しに行けないのがもどかしい…。
せっかくここまで調子よく走ってきたのに…。
乾燥がひどくて顔パリッパリになるし。
何日も経てば、やることも無くなるし。
毎晩ベッドは気持ち良いし。
レナイさんの作ったチーズケーキ美味しいし。
2匹の大型犬めちゃめちゃ可愛いし。
Wi-Fi調子良くて動画見放題だし。
読めてなかった本たっぷり読めるし。
避難生活さいこ…、
いや、一日も早く火事が収まりますように。