ベアカントリーのど真ん中に…
【32日目 1,986km】
ワトソンレイクにて1日休養を挟み、
次なる町“フォートネルソン”を目指します。
1番の楽しみは道中に待つ“アレ”。
せっかくのモーテル泊なのでギリギリまで部屋で休んで、
お昼過ぎに出発です。
走り始めてすぐにユーコン準州から
“ブリティッシュコロンビア州”に突入。
道路脇にでかでかと
“バイソン”に注意の看板。
こんなに大きな看板は初めて。
といっても、
ここまでの道のりほぼ動物はいません。
どうせ何も出てこないんでしょ。
と思った矢先、前方にて
黒い物体がモゾモゾ…。
ついに出た!
バイソンではなくブラックベア!
「えっ!?どうしよう、どうしよう」
どう振る舞うべきか分かりません。
距離を置いて、じーっと眺めていると
ひょこっと立ち上がるではないか。
デカい、離れていても分かるそのデカさ。
2mはあるだろうか。
凶暴とされるブラウンベア(グリズリー)ほどではないにせよ
やっぱりデカい。
と、向こうも若干驚いた様子で茂みの中へと逃げ込んでいきました。
初めての遭遇にビビりまくったけれど、何とか事なきを得た…。
気を取り直して走り始めると
わずか100mのところで
バイソン登場!
いやいや、「初めまして」が多い!
もっと間をおいて出てきてください。
こっちもビックリするから。
巨体におののきつつも、
やはり牛なので動きはおっとり系。
しばらく互いに見つめあいながら
そぉっと身を引かせて頂きます。
50kmほど走った夕方4時頃。
曇り空からポツポツと水滴が落ち、すぐに大雨へと変わりました。
カナダに入国して2週間あまり、
思えばずっと晴天で天気など気にしていませんでした。
雨宿りをする場所などなく、どうしようと考えながらも
とにかく必死で走り続けます。
濡れながら1時間ほど走って
道路わきに見つけたのはロッジ。
営業してるようには見えないけど
人の気配を感じ、
「ちょっと雨宿りだけさせて」
と立ち寄ることに。
笑顔で応じてくれた女性は“ザナ”さん。
「しばらく止まないから、
休んでいきな」と迎えてくれました。
ほら、と出してくれたのは
お皿に盛られた
フライドライスとチキン。
聞けば、廃業したロッジを
別の施設に作り替える最中らしく
建物には5人の作業員さん。
「一緒に食べよう」と
テーブルに並んで
食事をさせていただくきます。
雨が止む様子はなく
「ここで寝ていきな」との提案に
甘えることに。
びしょびしょになった服を乾かし、
落ち着いて屋根の下で
眠りにつくことが出来ました。
前日の雨から一転、気持ち良く晴れた
ワトソンレイク出発2日目。
皆さんに別れを告げ、また走り始めます。
出発から1時間ほど
出たー!また出たー!
黒いモサモサがすっごい
こちらを見てきます。
でも近寄ってくる様子もなく
そのまま去っていきました。
さらに、この日たくさん見たのは
トゲトゲした大きなねずみ、
“ヤマアラシ”です。
北米の種はトゲが短め。
のっそのっそとわりと
どんくさそうに動き回ります。
動物に気をとられがちですが
かなり起伏も激しい
この日の行程。
緩やかだけども
絶え間なくアップダウンが続き
体力を奪われていきます。
バッファローの大群にも遭遇。
群れで生活する彼ら、
1頭見ると必ず近くに数頭
いるとのこと。
ゴ〇ブリじゃないんだから。
奥に小さな子供もいましたよ。
100kmあまりを走り、
夕方に開業シーズン前の
キャンプ場を発見。
実はもうオープンしてて
ジュースなんか飲めちゃったりして、
という淡い期待を砕かれる。
カナダ入国以来、
似たような景色が続いてましたが、
ここ2日は動物との出会いもあり
旅ならではのワクワクを
取り戻せています。
適度な刺激が無いと走ってられないので。
ワトソンレイク出発3日目。
出発と同時にパンクが発覚、このやるせなさをどう例えようか…。
ただ、今日は待ちにまった“アレ”の日。
修理完了したらすぐに走り始めます。
はい、朝一番すぐ出ました黒いモサモサ。
向こうもリラックスして草を
食べてるし、こっちもなんか
慣れてきてしまいました。
撮影できなかった個体も含め
目撃するの5頭目です。
キャンピングカーから
声をかけてくれたウルフさん夫妻。
カリフォルニアの家を売り払って
4年間北米を旅しながら
過ごしているそう。
自由に旅する余生、最高ですな。
ちょうど無くなりかけていた
飲み水に加えて、
プロテインバーなどの行動食を
頂きました。
無補給が続いているので
こうした差し入れがすごく嬉しい。
そして、60km足らずを走り
昼過ぎには目的地に到着。
看板には、
「リアドリバーホットスプリングス」。
ずっと楽しみにしてたのは
まさにこの場所…。
アラスカハイウェイを走る旅行者たちの
癒しの場となっている温泉です!
もうここに来るのが楽しみで楽しみで。
自然の泉をそのまま施設にしており
緑に囲まれた最高のロケーション。
端にある源泉へと近づくと
お湯が熱すぎるほど。
程よい場所を見つけて
ゆっくりと腰を下ろしました。
欧米の方々って、広い温泉だと
すぐ泳ぎたがるという偏見がありましたが
みんなじっくりと肩まで
お湯に浸かっています。
「あ゛ぁぁ…」って感じで、
まぁ、言ってはないですけど。
各所からやってくる旅行者の社交場ともなっている
リアドホットスプリングス。
多くの方と話に花が咲き、気が付けば2時間も浸かってしまいました。
ここまでの長時間入浴はおそらく人生初。
熊と遭遇しまくりのベアカントリーのど真ん中で
待っていたのは最高の癒し。
付属のキャンプ場にテントを張って
気持ち良く眠りにつくことが出来ました。
この2日後、とんでもない展開が待っていることも知らずに…。