町の自転車屋さん

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【375日目 14,805km】

 

バレンシア地方での滞在を終え

次なる場所へと向かっていきます。

 

 

 

これまでスペイン東側の海沿いを走ってきましたが、

クリェラの町からは

少しだけ内陸の山の中へと突入。

 

 

 

しばらく大きな幹線道路沿いを

走ったので

それなりに交通量もあります。

たくさんの車に追い抜かれつつ

少しずつ進みました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出発から50kmほど走ったお昼頃。

ちょろっと立ち寄ったのは

山の麓にある町「ハティバ」。

 

 

 

 

山のゆるやかな斜面に

昔ながらの白い壁をした家屋が

立ち並んでいます。

とても静かな場所でした。

 

 

 

 

 

路地をさまよっていると

町の中央に建つ教会の鐘楼が

見えます。

迷子になりそうになるけど

この教会を目印になんとか

抜け出すことが出来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

午後から走行再開。

傾斜が徐々に急になり

わずかながら

標高が上がっていくのが分かります。

足に力を入れてせっせとのぼる。

 

 

 

 

この日から気温が一気に上がりました。

朝の走行開始時から半袖で走ったのは

今季初めて。

スペインもそろそろ南部に

差し掛かる頃です。

 

 

 

 

降り注ぐ日差しが強く

どんどん体力が奪われていきます。

ただこれから暑くなる一方なので

これに慣れていかねば。

先が思いやられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

山をのぼった一帯が農耕地帯になっており

野宿場所を探すのに意外に苦戦。

ひっそりとした誰もいない公園を見つけ

テントを張ります。

 

 

 

この日のメニューは

手抜きインスタントラーメン。

安い袋ラーメンって

結構どの国でも売られてるので

かなり助かってます。

美味しいのはあまりないけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日も朝から快晴、

この日はほとんど下り坂の予定なので

気持ちよく走り始めました。

 

 

 

暑さは前日と相変わらず。

山上だから若干涼しい気はするものの

少し走れば汗がしたたります。

これから休憩の頻度が

ものすごく増えそう。

 

 

 

 

これまで海沿いばかりだったので

スペインでは

山をじっくり見てませんでした。

南部の乾燥した内陸部では

大きな岩山がいくつもあるようです。

目前にしたときの迫力がすごい。

 

 

 

前日に山をのぼっていたときの

緑豊かな景色とはうって変わり、

乾燥した地域であることが

一目でわかります。

この景色を見るだけで

のどが渇いてくる…。

 

 

 

山を降りると道路も平坦になり

車の数も多くなりました。

目的の街まで颯爽と

駆け抜けていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やって来たのはスペイン南東部に位置する

ムルシア州の州都「ムルシア」。

中心を流れるセグラ川のほとりに立つ大聖堂が印象的。

 

 

 

州都なので賑やかなのかと思いきや

こじんまりとしていて

割と静かな街でした。

街をぶらぶらする程度なら

ちょうどいい気温です。

自転車漕いだら暑いけど。

 

 

 

街の中心部を訪れても

観光客が殺到しているということもなく

とても過ごしやすい場所です。

これがスペインの

“普通の街”なんだろうなという感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムルシアの街で受け入れてくれた

WarmShowerのホストは“フアンさん”。

到着した日の夜は

自宅アパートの屋上でディナーをご馳走になりました。

 

 

 

 

そんなフアンさんは

ムルシア中心部の街角で

自転車屋さんを

営んでらっしゃいます。

 

 

 

 

 

店内をのぞいてみると

修理機材や自転車部品がびっしり。

僕がたどり着いた時も

複数のお客さんの対応中で

かなり繁盛しているようでした。

 

 

 

 

バルセロナでパーツを一新してから

なぜかペダルを重く感じていたので

チェックしてもらうことに。

細かい説明をしなくても原因を究明し

ささっと調整してくれる姿は

まさに職人です。カッコいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

自転車屋の作業場のすぐ横が

居住スペースになっており

ここに泊めてもらってました。

実は家電とソファー以外はほぼすべて

フアンさんによる手作りなんです。

 

 

 

 

机や棚はもちろん、

床張りや電気配線まで

自分でやってしまったのだとか。

大学では工学でなく

経済学を勉強していたということで

自転車修理も含めすべて独学です。

 

 

 

 

 

 

 

 

かつては首都・マドリードで

システムエンジニアとして働いていたフアンさん。

 

「やるべき仕事は終わってるのに、

上司が席を立つまでは帰れないような日々にウンザリ」

と感じて故郷に戻ったそう。

どの国も似たようなもんですね…。

 

 

さらに旅人としての一面も持つ彼。

この夏には2ヵ月間お店を休み、

写真の黄色い自転車に乗って

イランの北隣・アゼルバイジャンまで向かうのだとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅のWiFiパスワードが

「Cars are shit(車なんてクソくらえ)」であることからも

溢れる自転車愛が感じられるフアンさん。

 

 

創造力いっぱいの彼のライフスタイルに

ものすごく刺激を与えられた

ムルシアでの滞在でした。