アクシデント!

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【309日目 11,645km】

 

 

強風吹き荒れるボラの中、

救いの手を差し伸べてくれた心優しきナダさんに別れを告げて、

次なる場所を目指します。

 

 

 

ナダさん宅にたどり着いた2日前と比べると

想像もつかないほど穏やかで綺麗な青が広がる海岸線。

アドリア海も色々な表情を持っているようです。

 

 

 

これまで通り

数十km進んでは港町があるので

時に休憩をはさみながら

のんびり進んでいきます。

晴れの海岸線は

本当に気持ちが良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数百mの高さの山を越え、

100kmを走ってたどり着いたのは「リエカ」。

クロアチアの北部に位置しており、

ここから山を越えた向こうに次なる国への国境があります。

 

 

 

北側国境付近の都市ということで

長い歴史を通じて

イタリアやオーストリアの文化が

流入してきたというリエカの街。

さらに“ヨーロッパ感”が

増したような気がします。

 

 

 

いよいよこの街で

クロアチアともお別れ。

新聞に取り上げてもらったり、

暴風に見舞われたり。

しっかりと旅らしい“想定外”に

出会うことができました。

 

 

 

夕暮れ時、

オレンジに染まっていくリエカの港。

人口400万人ほどのこの国は

大きな街でも

人が溢れかえっていないのが

良いところでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リエカの街で2日ほど休んで疲れを癒すと

いよいよ次なる国へと向かいます。

街を離れると山道に突入。

国境は1,000mの高さを上った先にあります。

 

 

 

ここ数週間、

海沿いの風景が続いていたので

山の道というのも新鮮に感じます。

春の新緑には

まだ少し早いようでしたが。

 

 

 

 

汗をかきながらのぼる上り坂と

その向こうに待つ下り坂の連続が

快感になってきているのは

立派なサイクリストの証なのでしょうか。

山ならではの楽しみがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リエカの街から4時間ほど漕いで

たどり着いた山中の国境。

主要道路は別にあるのでここはかなり寂しい雰囲気。

 

そして、国境の向こうは

16ヵ国目の「スロベニア」。

 

 

 

引き続き山の中を走っていきます。

実は、スロベニアを走行するのは

わずか20kmあまり。

そのほとんどが下り坂だったので

一歩も足をつかずに

国を越えられるのではと思うほど。

 

 

 

進んでいく道に

町の1つも見当たらないので、

何の出来事も起こらないまま

スロベニアを通過すると思ってました。

出国直前、この旅最大の悲劇が

待っているとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらスロべニア-イタリア間の国境。

 

楽しみにしていたイタリアなのですが、

この場所からわずか20mほど手前で悲劇は起きました。

 

 

曲がりの多い下り坂を進んでいると、

見通しの悪い道の向こうに突然現れた急カーブ!

 

ブレーキを握りしめるも、

数十kgの荷物をくくり付けた自転車の勢いを止めるには

カーブまでの距離はあまりにも短すぎました。

 

曲がり角に生えていた木に真っ正面から猛スピードで激突。

自転車もろとも倒れこむあたし…。

ぶつかる瞬間、下に顔を向けたので

衝撃を受けたのはヘルメット越しの頭頂でした。

 

体全体に痛みが走るのを感じながら

「ぼぉーっ」とその場に立ち尽くし、

気が付くと自転車を起こしていました。

 

そして、走り始めた直後に

目に留まったのがこのイタリアの看板。

でも正直、この写真撮ったの覚えてないんです。

 

 

 

 

それから

イタリア最初の街トリエステを通過したのですが、

事故を起こしたというショックに加えて

「もし対向車がいたら…」

「もしヘルメットをしていなかったら…」

「もしカーブの向こうが崖だったら…」

色んな事が頭をよぎってしまい

カメラを手にすることもできず写真は1枚も残っていません。

 

この日は野宿の予定でしたが

体の痛みと精神的ショックもありゲストハウスに泊まることに。

 

 

 

 

 

見つけたこちらのゲストハウスは

1泊30ユーロ(およそ¥3,700)。

高い…。

流石のイタリア価格です。

 

 

 

 

身も心もボロボロなのに

「5ユーロまけてよ」って

交渉する元気はありました。

まけてもらえませんでしたけど。

…ケチ。

 

 

 

 

エスプレッソと一緒に頂く

イタリア最初の朝食。

この国では

食べるべきものに対しては

しっかりお金を払ってやろうと

思ってます。

 

 

 

 

 

宿のオーナーとの1枚。

ばっちり目つむっちゃってます。

イタリアの人はそっけないなんて噂も聞いてましたが、

フレンドリーでしっかり話もしてくれて良い人でしたよ。

5ユーロまけてはくれませんけど。

 

 

 

事故の痛みは残っていますが、

ベッドでゆっくり休んだことで気持ちは落ち着きました。

 

思えば、

ブレーキが磨り減ってることに気づいていながら

「まだ大丈夫」と交換を先延ばしにしてたことに原因はあります。

 

 

“腕の良い木こりは体に1つだけ傷を持っている。

0でもなく2つでもなく、1つだけ”

 

この失敗を糧に、

より安全管理徹底して旅をつづけてまいります。

 

 

ということで

イタリア旅スタート!

首が痛い。