13ヵ国目・モンテネグロ

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【289日目 10,892km】

 

 

シュコドラの滞在を終えると

北の隣国モンテネグロへと向かいます。

 

 

この日も天気は良好。

海岸線に近いので

気温もさらに暖かくなりました。

 

 

 

シュコドラを出発して

わずか1時間ほどで国境に到着。

中央アジアのような簡易的な

荷物チェックすらなくなりました。

EU圏内の越境は実に楽チン。

 

 

 

 

 

 

13ヵ国目にやってきたのは「モンテネグロ」。

 

旧ユーゴスラビアといわれる国の1つで、

2006年にセルビア・モンテネグロから

分離独立した若い国家。

人口わずか65万人ほどの小さな国の

素晴らしい風景に期待です。

 

 

 

国境を越えると何もない荒原が広がります。

遠くに見える、岩がむき出しになった

ゴツゴツとした山が印象的。

 

 

 

しばらくすると

アドリア海の海岸線に出ました。

くっきりと濃い水平線に

おもわず目が奪われます。

そして、

春を予感させる暖かい地中海気候。

 

 

 

このあたりは海岸の際まで

山がせせり出た地形なので、

平坦な部分はほとんどなく

アップダウンを繰り返しながら

せっせと進んでいきました。

 

 

 

 

ランチは

ポークウインナーと豆のスープ。

これでおよそ¥500。

着実に物価は上昇してきてます。

節約、節約!

 

 

 

 

午後からも

青い海を左に臨みながら

坂道をのぼったりくだったり。

海沿いを走るのは

本当に気持ちが良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

80km走ったこの日は

海岸のバカンス地「スヴェティ・ステファン」に到着。

海辺からちょこんと突き出た離れ小島が有名だそう。

 

 

 

さっそく島を散歩しようと

島に向かいますが、

島内の高級ホテルの

宿泊客以外は立ち入り禁止。

手前から眺めるだけです。

 

 

 

 

島には入れないし、

逆光で良い写真も撮れないし、

「来た意味ないじゃん!」

って感じでした。

通り道だから寄っただけなので

別にいいですけど。

 

 

 

浜辺沿いにも

宿泊施設が並んでいます。

ただ、今は観光シーズンではないので

人も少なく閑散としていました。

 

 

 

 

 

最安値のホテルは¥1,800。

これから走る地中海沿岸は

観光地ばかりなので、

どんどん値段が上がるのは確実。

もうぼちぼちホテル生活も終わりです。

野宿モードに切り替えねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あくる日も

スカッと抜けるような青空の下、

北へと走っていきます。

この日の目的地はわずか30km先。

 

 

 

走り始めて間もなく

道端の家で庭仕事をしていたおじさんに

声をかけられ一休み。

「泊まっていきなよ」とも

言われますが、

まだ走り始めなのでここはお断り。

 

 

 

ごちそうになったのは

自家製のオレンジスカッシュ

のようなもの。

何か浮いてたけど気にしません。

自家製のものって

だいたい何か浮いてますよね。

 

 

 

ふたたび自転車にまたがり

先へと進みます。

アルバニアから

路肩の狭い道路が増えてきて

ちょっと走りにくい。

 

 

 

 

もうすぐで目的地到着というところで

久々のトンネル。

山を丸ごと1つ通り抜けるため

2km超の長さがあります。

幅の狭い歩道部分を

ゆっくりと進んでいきました。

 

 

 

長くて暗いトンネルを

抜けた先には

高くそびえる灰色の岩山。

傍らには、目的地の町を

示す看板も立っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たどり着いた場所は

マケドニア随一の観光地「コトル」。

 

目の前に青く広がるのは、

河川でもなく湖でもなく

内陸に深く切り込んだ海なんです。

 

 

 

港にズラリと停泊しているのは

おそらく個人所有であろう

高級ボートたち。

水際は優雅な散歩道になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、このコトルの正体は

富豪たちの集まるビーチリゾートではありません。

 

高く積まれた石の壁に囲まれた旧市街が

まるごと世界遺産に登録されている

歴史ある町なのです。

 

 

 

旧市街のメインゲートをくぐると、

町のシンボルでもある時計台の姿。

ヨーロッパを中心に

各国から集まった観光客たちが

あたりを散策しています。

 

 

 

 

バルカン半島の多くの都市が

そうであるように、

東ローマ帝国、セルビア帝国など

支配者を変えてきたコトル。

現在の街並みは、およそ1千年前に

ヴェネツィア帝国が築いたものだそう。

 

 

 

旧市街の中にはいくつかの教会が

建っています。

いずれも500年以上の

歴史を持つ古いものばかり。

 

 

 

 

 

石造りの重厚な見た目が

この町の荘厳な雰囲気を

つくり出しているように感じます。

そして、今もこの場所で

暮らし続ける人がいることで

受け継がれていく町としての美しさ。

 

 

 

滞在するゲストハウスも

旧市街の中。

幅が狭く迷路のように入り組んだ町を

さまよいながらなんとか

場所を見つけることができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コトルの美しさは、

旧市街を散策するだけでなく

町の背後にそそり立つ岩山の高所から

その全貌を見下ろしたとき、

より一層感じられるとのこと。

到着の翌日朝早くから登ってみることに。

 

 

 

山の中腹に古い教会がいくつかあり、

それらを囲うように

山の斜面に建てられていたのは

全長5kmほどにもなる城壁。

オスマン帝国の侵略も防いだという

偉大な石の壁を登っていきます。

 

 

 

傾斜はかなり急です。

昨日の自転車の疲れもあって

脚にどしっと疲労がやってきました。

サクッと登るつもりでしたが

思いのほか長い階段。

 

 

 

 

山の斜面に沿ってジグザグにつくられた

階段を見下ろすと、

登ってきた高さを

直に感じることができます。

自転車を漕がない日は休みたい…。

 

 

 

 

遠くを見渡せば、そこには

うねうねと湾曲しながら

陸地に入り込んだ海と

オレンジの瓦が並ぶ町。

この旅においても

似たような景色は見た覚えがありません。

 

 

 

 

 

 

そして、

城壁の高台から見下ろした景色がこちら。

 

ぎゅっと三角形にまとまった旧市街と

青空を映す澄んだ入り江が

眼下に広がります。

 

自然によってできた地形と

そこに人間が作り出した町並みの

美しい情景。

 

 

これから進んでいく

地中海沿岸の旅路に待ち構えるのは

このように歴史深い市街の数々。

ヨーロッパの気品あふれる風景に

期待高まるコトルでの滞在でした。