田舎に泊まろう

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【58日目 2,639km】

 

 

チャリンキャニオンの谷底で目を覚ました朝、

まったく予想していなかった雨に降られてしばし足止めを食らいました。

 

覆っていた雲に青い切れ間が見え、雨が止みはじめたのが昼の12:00頃。

急な坂道を必死に踏ん張り、重い荷物を積んだ自転車を

何とかキャニオンの上まで持ち上げました。

 

だだっ広い荒野のど真ん中に横たわるチャリンキャニオンから

5kmほど走ったところに久々の舗装路が見えます。

 

そして、西へ向かうステファンさんともお別れ。

またどこかの国で会えることを祈りつつ

出会って1週間余り共に走ってきた旅仲間を見送りました。

 

依然広がり続ける荒野を進むと、

遠く山の麓にかすかに村が見えてきました。

雨のせいで出発が遅れたこともあり予定していた山越えが難しそうなので

この村で1泊していくことに。

 

たどり着いた村の名前は“アクサイ”。

とりあえず入った食堂で宿はあるか尋ねると

村には民家しかなく宿泊施設はないとのこと。

確かにどうみても観光で人がやってくるような所には見えませんでした。

歩いて回れるほどの村を自転車でぶらついてみることにします。

 

とある民家の前を横切るとじっとコチラを見てくる親子。

何だか興味を持ってくれているようだったので

庭先でテントを張ってもいいか身振りで必死にお願いすると、即OKが!

 

早速、こじんまりとした小さなお家の横にテントを張らせてもらいました。

しっかり柵で囲われておりオオカミに骨までしゃぶられる心配もなさそうです。

 

しばらくして落ち着くと、

「お腹はすいてないかい?」と差し出されたパン。

家の牛から絞った牛乳でつくったチャイと一緒に食べると

疲れていることもあってか、シンプルながら豪華料理の様に感じます。

 

ここアクサイは家畜と共に暮らす人々の静かな村。

夕方になると子供たちも協力して馬や牛、羊たちを柵の中に連れ戻します。

そして、日が暮れるまで動物とじゃれ合ったり追いかけっこをしたり。

 

 

夜になると裸電球の下、家族みんなと食卓を囲んでのんびり食事をしました。

 

食後に「シャワー浴びといで」と案内された先には

火がゴウゴウを燃え盛る窯の備わったロウリュウ(北欧式サウナ)。

蒸し暑い部屋の中で汗と一緒に疲れも吹き飛ばしてくれます。

 

子供たちは自転車やテントに興味津々。

言葉が理解できないなかでも身振り手振りで何とか互いの意思を伝え合います。

 

ふらっと立ち寄っただけの旅人を

心優しく受け入れ、もてなしてくれたカナートさん一家。

 

こんなに優しさに溢れた人たちがいるなら

どこまでだって旅をしていけそうです。

 

穏やかで素敵なひと時をありがとう!